フェンダー・ストラトキャスターの種類と選び方

[記事公開日]2022/5/8 [最終更新日]2025/11/13
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

フェンダー・ストラトキャスターの選び方

1954年にデビューした「フェンダー・ストラトキャスター」は、フェンダー・テレキャスターギブソン・レスポールと並ぶ「エレキギターの王道」です。70年以上の歴史にその魅力が色あせることはなく、全ジャンルに対応できる素直なサウンド、ハイポジションが弾きやすくアーミングもできる演奏性、ピックアップなどカスタマイズ性の高さなど、多くのギタリストを今なお惹きつけます。

「ストラトの本家」はフェンダーであり、フェンダーブランドだけが正式に「ストラトキャスター」を名乗ることができます(それ以外のものは「ストラトタイプ」)。とはいえそのラインナップは膨大。そこで今回は、フェンダーブランドからリリースされているストラトキャスターを選ぶポイントを考えていきましょう。


  1. ストラトキャスターのブランドとグレードをチェック
  2. 《ヴィンテージ/モダン》2つのスタイルから選ぶ
  3. ストラトキャスター各部プロファイルとサウンド傾向


Kenny Wayne Shepherd Band – Never Lookin’ Back [OFFICIAL VIDEO]
ケニー・ウェイン・シェファード氏は、高校在学中にリリースしたアルバムがゴールドディスクになるという鮮烈なデビューを飾ったブルース・ロックギタリストです。氏のシグネイチャーモデルは太めのネックに平滑な指板、ジャンボフレットを備えた男気あふれる仕様で、シグネイチャーピックアップ、社外ブロックサドルなど随所に深いこだわりが反映されています。

ストラトキャスターのブランドとグレードをチェック

ストラトキャスターのヘッドロゴ

フェンダーは、最高グレードの「フェンダー・カスタムショップ(FCS)」、王道の「フェンダー(レギュラーライン)」、求めやすい「スクワイア(Squier)」の3つのブランドでラインナップを展開しています。
FCSはカリフォルニア州コロナ工場内の専用工房で製造され、このほかフェンダーはアメリカ、メキシコ、日本、インドネシアの4カ国で分担して生産、スクワイヤはインドネシアで生産というように、ブランドごとに生産地を分けています。
また、フェンダーブランドにおいてはアメリカ製と日本製のみ、シリーズ名に生産地を冠してブランド化しています。個々のモデルをチェックする前に、各ブランドの概要を見ていきましょう。真っ先にこうしたブランドから絞り込むのも、有力な選び方です。

フェンダー・カスタムショップ(FCS)

カスタムショップのストラトキャスター 60 Stratocaster Heavy Relic Built by Kyle Mcmillin

FCSは、フェンダー最高グレードの名にふさわしい格の高さと品質の高さを併せ持っており、ヴィンテージギター特有の感触やサウンドまで再現するほか、新しい設計も柔軟に採用します。工房は本社コロナ工場の一角に構える独立したセクションで、技術の高い限られた職人たちが仕事をしています。
そのトップに位置するマスタービルダーは品質管理や製品開発の監修なども担当しており、フェンダーブランド全体の品質向上に寄与しています。

いわゆる「フェンダーUSA」


未来感じる音とルックス!Fender American Ultra II Stratocasterを弾いてみた

「フェンダーUSA」と呼ばれることもあるアメリカ製フェンダーは、カリフォルニア州のコロナ工場で生産されています。モデル名に「American」がついていたら、USAです。工員たちはマスタービルダーの技術指導を受け、技術の向上と伝承に努めています。プロの酷使に耐える品質とサウンドがあり、リセールバリュー(下取り価格)が高いのが特徴です。

メイド・イン・ジャパン(MIJ)


フェンダー・ジャパン製ストラトキャスターをギター博士が弾いてみた!

日本製は、モデル名に「MADE IN JAPAN」が添えられ(除アーティストモデル)、カスタムショップ出身スタッフ監修のもと、日本の提携工場にてOEM生産されます。提携工場は長らく「フェンダー・ジャパン」の生産にたずさわった経歴もあり、価格に不釣り合いな高いクオリティが世界的に評価されています。

メキシコやインドネシアで作られるフェンダー

アメリカとも日本とも表示されないギター(除アーティストモデル)は、メキシコ製かインドネシア製です。メキシコ製はバハ・カリフォルニア州エンセナダにあるフェンダー直営の工場で生産され、価格帯は日本製とほぼ同じです。木材の調達先、工作機械や製造ノウハウなどはUSA工場と同じで、工員にはカスタムショップのマスタービルダーによる技術指導が定期的に行われています。

インドネシア製は、パートナー工場によるOEMで生産されます。フェンダーの職人や品質管理スタッフが派遣されることで、フェンダーの名を冠するに足る製品が作られています。

スクワイア(Squier)


スクワイヤーのストラトキャスターをギター博士が弾いてみた!!

「これからギターを始める人が、最初の一本として手に入れやすい価格」を実現させるブランドで、インドネシアをはじめとするアジア諸国のメーカーでOEM生産されます。フェンダーの下位ブランドという位置づけですが、フェンダーの設計によるピックアップが使われるなど、フェンダー社がしっかりプロデュースしており、調整やカスタマイズによってはプロミュージシャンの使用にも十分耐えることができます。

ラインナップによって付属品も違う

ストラトキャスターのギターケース比較 ストラトキャスターのギターケース:3種類の比較
オレンジのハードケースがFCS、ブラックのハードケースがUSAアメリカンシリーズ、ギグバッグはメイド・イン・ジャパン

付属品については、特に「どんなケースが付くか」に注目するべきでしょう。FCSとUSAはハードケース、MEXとMIJはギグバッグ、スクワイアはソフトケースが付属するのが基本です。FCSとUSAについては、ケースだけでなくストラップやシールドまで同梱されるものがあります。

《ヴィンテージ/モダン》フェンダー・ストラトを2つのスタイルから選ぶ

ストラトキャスター

こだわりのない目で見れば、ストラトキャスターはどれも同じように見えます。しかしながら実際には、グレードのほかにもいろいろなところの違いから、大きく2つのスタイルに分けられます。こんどはココに注目していきましょう。

  • ヴィンテージ・スタイル:1950年代から1970年代までの、旧式の設計。ストラトはここから始まった。レトロでかっこいい。
  • モダン・スタイル:1980年代から現在に至る、新しい設計。演奏性やメンテナンス性など各部の性能が年々アップデートされる。高性能でかっこいい。

ヴィンテージ・スタイルのストラトキャスター

「ヴィンテージ・スタイル」はストラトキャスターの原点であり、愛用するアーティストやヴィンテージギターの人気も手伝って、今なお厚く支持されています。1950年代、1960年代、1970年代の3世代で大別するのが一般的で、グレードが上がるにつれてその再現度は上がっていきます。各年式の特徴を見ていきましょう。

1950年代型(1954~1959)


Cliff Richard & The Shadows – Move It (The Cliff Richard Show, 19.03.1960)
ストラトキャスターは1954年、テレキャスターを大幅に改良した全く新しいギターとしてデビューしました。Vシェイプのネックは親指を出した握り方に有利で、チョーキングを駆使するブルース系の演奏に良好です。良好な音抜けを重視した明るく鋭い音色が持ち味で、コード弾きにも大変良好。出力は低めです。

1950年代型ストラト
Made in Japan Traditional ’50s Stratocaster
メイプル指板と8点留めピックガードが外観上の特徴。

1960年代型


Taste – What’s Going On – Live At The Isle Of Wight Festival / 1970
1960年代型はローズ指板により高域がやや丸まったマイルドな感触と、アンプドライヴに耐える厚めの中域を持つ太いサウンドが特徴。ロックやポップスなど幅広い音楽に浸透できる柔軟性があり、その完成度の高さからモダン・スタイルのお手本にもなっています。

1960年代型ストラト
American Professional Classic Stratocaster
ローズ指板と11点留めピックガードが外観上の特徴。

1970年代型


CHIC – Le Freak (Official Music Video)
1970年代型は大型化させたヘッドと重量のあるアッシュ製ボディによる、硬質でサスティン豊かな弦振動が持ち味です。またピックアップの出力も増強され、音圧が強化されています。太い音が得られることから、ハードロック/ヘヴィメタルの分野でも盛んに使用されます。

1970年代型ストラト
American Vintage II 1973 Stratocaster
ラージヘッドとブレットナットが外観上の特徴。

ヴィンテージ・スタイルの代表例

モダン・スタイルのストラトキャスター


Dirty Loops & Cory Wong – Follow The Light

もっと弾きやすく、もっと調整しやすく、さらなるサウンドバリエーションを、と改善を積み重ねてきた1980年代以降の新しい仕様が「モダン・スタイル」です。サウンド面では抜けの良いフェンダー・トーンを継承しつつ、エフェクターやシンセサイザー、DTMが当たり前の現代音楽で使いやすいバランスの良さとクセのなさ、そして充分な出力が持ち味。上位機種にはノイズレス・ピックアップが搭載されます。
ただしモダン・スタイルはどれもが「全身モダン仕様」とは限らず、「ココだけモダン」や「ココだけヴィンテージ・スタイル」というように、新旧の設計を織り交ぜているモデルが多数見られます。

モダン・スタイルの代表例

ハムバッカー搭載モデルを選ぶ

六弦かなで

ヴィンテージ/モダン、どっちが良い?

フェンダーのストラトは、ヴィンテージ・スタイルとモダン・スタイルに大別できることが分かりました。それでは、どちらを選べばいいのでしょうか。
ずばり、迷う人にはモダン・スタイルがおすすめです。音楽を奏でる道具として優秀で、弾きやすいからです。一方で、使用アーティストのイメージや音楽を支えた歴史に何か感じるものがある人には、ヴィンテージ・スタイルがおすすめです。ただし、初心者さんに細く低いフレットはおすすめしにくいので、ミディアムジャンボもしくはヴィンテージ・トールフレットが採用されているモデルを選ぶといいでしょう。

「アーティストモデル」という選択

アーティストモデルには、新旧の設計でレギュラーモデルにはない組み合わせが見られるほか、そのモデルにしか採用されていない仕様が見られます。多くのアーティストモデルが「何の変哲もないストラトキャスター」というルックスを持っていることもあって、ファンならずとも魅力を感じ、また自分のメイン機として堂々と使用できます。では、そのいくつかを見ていきましょう。

変わり種ストラト

変わり種ストラト
Fender x Hello Kitty Black Stratocaster
Made in Japan Limited Stratocaster Pink Paisley
Limited Edition Suona Stratocaster Thinline

遊び心を感じさせる製品開発もフェンダーの魅力で、いろいろなコラボレーションでさまざまなストラトキャスターが限定生産されます。レギュラーモデルの本体にグラフィックを施すものばかりでなく、このために本体ばかりかピックアップまで開発することもあります。

ストラトキャスター各部プロファイルとサウンド傾向

では次に、ビンテージ/モダンといったスタイルの違いがどんな設計から生じるのか、またその演奏性やサウンドへの影響を見ていきましょう。

《ネック仕様》ネックシェイプや指板、フレット

ストラトキャスターのネック ストラトキャスターのネック:メイプルネックにローズウッド指板のモデル

ネック仕様は時代の変遷で大きな変貌を遂げています。それぞれについてざっと見ていきましょう

ネックシェイプ

ストラトのネックグリップ6種類 ストラトのネックグリップ6種類

  • Vシェイプ:1950年代の特徴。角材のカドをノコギリで落としてから作るので、この形状に。チョーキングを多用するスタイルにフィットしやすい。丸みを帯びた「ソフトV」シェイプもある。
  • Dシェイプ/Uシェイプ:1960年代や1970年代に見られる、エッジ部分が肉厚のグリップ。ネック本体の体積が増えることで、音抜けやサスティンに優れる。エッジ部分をスリムにしたのが「C」シェイプ
  • Cシェイプ:現代の標準。細みの「スリムC」、細すぎない「モダンC」、肉厚の「ディープC」のように、さまざまなバリエーションがある。

ネック裏の塗装

サテン・フィニッシュ・ネック サテン・フィニッシュのネック

  • グロス・フィニッシュ(ビンテージ):ツヤッツヤにテカる。適度な摩擦がグリップ感となって手に伝わる。
  • サテン・フィニッシュ(モダン):表面はサラサラで、鈍く光る。摩擦が抑えられ、ポジション移動に有利。

ナット幅について

ネックの横幅を決める「ナット幅」については42mmが大多数ですが、42.8mmから40mmまでの振り幅があります。欧米人に体格で劣る日本人には細いネックが有利なようにも思えますが、細いネックはコードを押さえる際に隣の弦に触れやすくなります。また、ナット幅が広いネックはそのぶんだけネック本体の体積が大きくなることから音響性能が良くなりやすい傾向があります。

指板材の違いは?

ローズウッド/メイプル指板 上:ローズウッド指板、下:メイプル指板
ストラトキャスターの王道スタイル

ストラトキャスターで使用される指板はメイプルとローズウッドの二種類が基本ですが、このほか色々な木材が使われます。

  • メイプル指板:立ち上がりの早い硬質な音
  • ローズ指板:比較的甘さのある音
  • エボニー:メイプルよりさらに硬質かつ低音域が豊かに出る
  • パーフェロー:ローズをもっと硬質にした感じ
  • ローレル:ローズに近いが、音はやや明るい

と言われます。しかし音の違いは分かりやすくはありません。深いこだわりがなければ、ある程度見た目上の違いだと割り切っておきましょう。モデルによっては、ボディカラーと指板材を対応させているものもあります。

指板の丸みにもいろいろある

ストラトキャスターの指板R Made In Japan Traditional 60s Stratocaster GOLD HARDWAREの指板Rの様子
指板曲線の曲がり具合を、Rの値で示している。
この指板は250R。

指板Rについては、ヴィンテージ・スタイルが7.25″ (184.1 mm)で、現代標準は9.5″(241mm)、このほかの仕様も採用されています。

  • 7.25″ (184.1 mm) :親指を出して握りこむスタイルや、コード演奏に有利。しかし弦高はあまり下げられない。
  • 9.5″(241mm) :ちょっと平たくなったが、フェンダーらしさも残した現代標準。
  • 12″ (305 mm) :ギブソンと同じ設計。テクニカル系に有利。
  • コンパウンド・ラジアス:ローポジションでは丸く、ハイポジションに向けて徐々に平たくなる。弦高を下げたセッティングに有利。

どんなフレットが使われているのか

ミディアム・ジャンボ・フレット ミディアム・ジャンボ・フレット

ヴィンテージ・スタイルでは小さめのフレットが標準的に使われていましたが、現代では大きめが弾きやすいと考えられています。小さめだと木材の個性が活かされ、大くなるにつれて金属の個性が強くなり、アタックとサスティンが増すと考えられています。

  • ヴィンテージ: 小さめ。細くて低い。押弦時に指が指板に触れる。ウッディな響きが得られると言われる。
  • ミディアム・ジャンボ: ちょっと大きめ。太くて背が高い。押弦に力がいらず、音の伸びが良い現代標準。
  • ナロー・トール: スリムで背が高い。ヴィンテージっぽさがありつつ、ラクに演奏できる。
  • ジャンボ : 最も押さえやすいが、力んで弾くと音程を上げてしまうことも。もっとデカい「Super Jumbo」が使われることも。

フレット数:21 か 22 か

21フレットのストラトキャスター 21フレットのストラト

ストラトキャスターは21フレット仕様でデビューしました。現代の音楽では22フレットまで欲しくなることもありますが、チョーキングで対応するなどで21フレットを工夫して使う、という面白みもあります。ルックス的には21フレット仕様は指板の端とフロントピックアップとの間に若干の開きがあり、デザイン的に収まりの良さを感じさせます。

一方、モダン・スタイルの22フレットは便利ですが、指板の端がフロントピックアップにかなり接近するため、外観的には窮屈さを感じる人もいるでしょう。ストラトキャスターの生みの親であるレオ・フェンダー氏も、その一人だったといいます。

トラスロッドの開口部

トラスロッドがエンド側 トラスロッドがエンド側にある60年代スタイル・ストラトキャスター

トラスロッドがヘッド側 モダンスタイルのストラトでは、トラスロッドはヘッド側にある

フェンダーはエンド側についていましたが、やがてヘッド側へと移行していった歴史があります。ネックエンド側から操作する形式では一旦ネックを外してしまわなければならず、調整にはある程度の技術を必要とします。

  • エンド側:50年代、60年代の標準仕様。
  • ヘッド側:現代標準。70年代式では、金属部品(ブレットナット)が付けられる。

「ネックエンド側からのトラスロッド調整」は面倒臭いイメージがあるかもしれませんが、この方式こそフェンダーが世に知らしめたデタッチャブル(着脱可能)ネックの大きなメリットでした。ジョイント部の奥までロッドが行きわたることで、最も高い剛性が求められるジョイント部近辺の強度を上げることができるわけです。

2種類のヘッド形状

American Vintage II 。左から、1957、1965、1973。

フェンダーのストラトには普通のヘッドと「ラージヘッド」の2種類があります。ラージヘッドは70年代に採用された仕様で、ヘッド重量が増したことでサスティンに優れると言われます。ボディとヘッドが同じ色のものは「マッチングヘッド」といいます。

《ボディ仕様》材質や形状

アルダー:アッシュ 左:アルダー材、右:アッシュ材:アッシュ材の方が木目がしっかり出ている

ストラトキャスターのボディ材はアルダーとアッシュの2種類がメインです。

  • アルダー:大多数で使用される最もオーソドックスな木材
  • アッシュ:’50sや’70sで使用される、木目のハッキリした木材

アタックのアッシュ、粘りのアルダー」と言われ、ピックアップなど他の仕様が同じでもボディ材の違いによってトーンのニュアンスが変わってきます。アッシュ材は木目がはっきり出るため、その美しさもポイントです。FCSでは厳選された最上級のボディ材が使用されます。

バスウッドやポプラなどが使用されることもあります。これらは安価で加工しやすい木材ですが、素直な音響特性から、他のブランドでは高級モデルで採用されることもあります。

ボディ材について詳しく:
ギターのボディ材について

ヒール形状

左から、American Professional Classic、American Professional II、American Ultra II 。

ヒール部分は、長方形が基本です。これに対してモダン・スタイルでは、ハイポジションの演奏性を高めるため「ヒールカット」が施される場合があります。フェンダーは歴史上ヒールカットに消極的で、初めての採用は「American Ultra(旧モデル)」でした。

ピックガードはストラトの「顔」

ストラトキャスターのピックガード 白/ミントグリーン/黒/べっ甲/パール、ピックガードのカラーも様々

ストラトのルックスは、ピックガードで決まると断言してもいいでしょう。基本は白ですが、ヴィンテージ感のある黄色がかったものや薄い緑が入ったもの、黒やパール、べっ甲柄などいろいろなものがあります。また金属製やミラー(鏡)になっているものなど、変わった素材が使われることもあります。

3Pピックガード 白+黒+白の3Pピックガード

ネジもちょっとしたポイント

ストラトキャスターのネジ ネジにこだわる人もいる

かなりマニアックなポイントですが、50年代風のストラトキャスターのピックガードは8本のネジで、60年代以降のストラトキャスターやほとんどのストラトタイプのギターは11本のネジでボディに固定されています。ネジの個数でも印象に違いが出ますよ。

ストラトキャスターを極める!(ネジ編) – ギターニュース.com

《電気系》ピックアップと操作系

SSS:HSS 同じアメリカン・スタンダード・ストラトの中でHSS配列のモデルも存在する

ピックアップ配列


SSSスタイルのストラトでも、内部を見てみるとハムバッカーに変更が可能なようにあらかじめ「ザグリ」が入れられていることがある。
写真のMade in Japan Hybrid Stratocasterは、HSH配列にすることもできる様子だ。

ストラトキャスターのピックアップは3シングル(3S、SSS)を基本としていますが、現代的なモデルではリアをハムバッカーに置き換える「HSS」配列が多く採用され、このほか「HH」配列も見られます。ハムバッカーは高出力で出音が太く、ロックにおいては特にディストーション・エフェクターとの相性が抜群です。HSS配列ではシングルコイルとの音量差が懸念されますが、フェンダーのハムバッカーは出力がうまく抑えられているので心配ありません。

キレの良いコード演奏などで澄んだ音が欲しい場合は、オーソドックスなSSS配列が最も理想的です。このSSS配列で歪ませた軽やかで鋭いトーンも活用されますが、太くのびやかなソロ用のトーンを得ようと思ったら、ファズで飽和させるのが一般的です。

搭載されるピックアップ

フェンダーはギター本体のメーカーでありながら、世界的なピックアップのメーカーでもあります。ヴィンテージ・スタイルでは材料から作り方まで当時と全く同一のレシピで作られるものもあれば、年代を大まか再現にとどめたものもあります。
モダン・スタイルではヴィンテージ風のサウンドを残しつつ、ハムノイズを除去した「ノイズレスピックアップ」、ヴィンテージPAFを再現した「ショウバッカー」など、新しい設計であってもサウンド的にはヴィンテージ系のフィーリングを残すモデルが目立ちます。
アーティストモデルではディマジオセイモアダンカンなどの社外品が特別に搭載されることも多く、カスタムショップ製のピックアップを搭載してアップグレードしたモデルも多くリリースされています。

操作系の違い

ストラトキャスターの操作系は、マスターボリューム1基&トーン2基の「1V2T」に、5WAYセレクタースイッチ、という構成です。新旧の違いは特に、トーン回路で見られます。

ヴィンテージ・スタイルでは、トーンがそれぞれフロントピックアップ、ミドルピックアップに効き、リアはトーンなし、という配線です。リア単体ではキャリッキャリな音ですが、ミドルとのハーフトーン時にトーンを使用できます。
現代の感覚では、リアにトーンが効いたほうが便利だと考えられています。そこでモダン・スタイルのストラトでは、トーン1でフロント&ミドル、トーン2でリア、という配線が標準的です。また、サウンドバリエーションを拡充させる「S-1スイッチ」、ツマミを絞ったときの音を良好に響かせる「トレブル・ブリード回路(ボリューム)」、「グリースバケット回路(トーン)」といった特殊配線が採用されるモデルもあります。

《ハードウェア》金属パーツの違い

ストラトキャスターのペグ 左:ロートマチック・タイプ、右:クルーソン・タイプ

ギターの性能にかかわる重要な金属パーツは「ペグ」と「ブリッジ」、そして「サドル」です。
ヴィンテージ・スタイルでは、ペグに軽量な「クルーソンタイプ」、ブリッジは「6点留め」、サドルは鉄板を曲げて作った「ベントサドル」という組み合わせが普通です。軽量で倍音豊かな響きと、弦振動の気持ち良い減衰が持ち味。これらのパーツは現代の音楽シーンにおいても充分に通用する性能があります。

時代と共に進化を続けてきた金属パーツ

ヴィンテージ・スタイル(左)とモダン・スタイル(右)のシンクロナイズド・トレモロユニット。

モダン・スタイルの金属パーツは、よりスムーズな作動、より高い精度、より高い剛性、より長いサスティン、そしてよりクリアなサウンドを目指して進化していきました。モダン・スタイルのさまざまな仕様を見ていきましょう。カッコ内はカタログでの表示です。こうしたパーツは後から交換することも比較的容易ですから、好奇心で試してみるのもお勧めです。

  • ロトマチック・ペグ(Cast/Sealed):頑丈で重く、サスティンに優れる。
  • スタガード・ストリングポスト(Staggered):弦ごとにストリングポスト軸の長さを変えることで、ナットにかかる弦張力のバランスを取る。
  • ショート・ポスト(short posts):ストリングポストを短くすることで、ナットにかかる弦張力を高めに確保する。
  • ロック式ペグ(Locking):ペグ自身が弦を固定できる。チューニングが安定し、素早く弦交換できる。
  • 2点支持トレモロ(2-Point):可動部分の摩擦を軽減させ、スムーズな作動とチューニングの安定を得る。
  • ブロックサドル(Block Saddles Deluxe):弦振動をがっちりと受け止め、音の立ち上がりとサスティンを向上させる。
  • ポップインアーム(Pop-In Arm):回転させず、押し込み引き抜くだけで着脱できるアーム。

以上、いろいろなポイントでフェンダーのストラトをチェックしていきました。ライブや録音で頼りになる道具として、また音楽を楽しむ相棒として、納得ができる一本をぜひ見つけてください。

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