ワウペダルの使い方とおすすめモデル

[記事公開日]2022/7/12 [最終更新日]2025/9/9
[編集者]神崎聡

ワウ・ペダル

ワウ・ペダル(以下ワウ)は、ペダルを踏みこむことでギターの周波数帯(特に中音域)を強調したり削ったりするエフェクターです。踏み込むと高音域が強調され、上げた状態では中低音域がブーストされるようになっています。ペダルを繰り返し上下することで音が「ワウワウ」と人の声のように変化するため、この名前が付きました。

ワウはペダル型エフェクトの代表選手ですが、出音の周波数帯域を変えるという特性から、フィルターの一種に分類されることもあり、実際にオートワウなどはマルチエフェクターではフィルターのカテゴリに入っていることもあります。


  1. ワウペダルの基礎知識
  2. おすすめのワウ・ペダル

ワウペダルの基礎知識


はじめてのワウ・ペダル【ギター博士】

ギター博士「ロックなリフやギターソロに、ファンキーなカッティングにも、ワウは使えるゾィ!動画では【半止め】ワウにも挑戦したんぢゃ♪」

六弦かなで「人の声みたいで、なんていうか、すごく、本能に訴えかけてくる音だあ!」

ワウ・ペダルの使い方

ワウは主にリードプレイやカッティングで活躍するエフェクターです。足元の操作で音色をリアルタイムに変化させられるため、ギターに豊かな表情を加えることができます。例えばソロの冒頭で踏み込めばインパクトを強調でき、カッティングでは4分のリズムに合わせてペダルを動かすことで、グルーヴ感あふれるエモーショナルなサウンドを生み出せるでしょう。

またアンプを強く歪ませた状態でワウを踏み込んでフィードバックの音量などを操ることができるのも魅力の一つ。
踏み込んだ状態だと高音域がブーストされるので容易にフィードバックを発生させることができ、戻すと高域カットとなりフィードバックの量が下がっていきます。操作によって自分の気持ちいいところでフィードバックを強くしたり・引っ込めたりと自在に操ることが可能。エレキギターという楽器の表現の幅を大いに広げてくれるのがワウ・ペダルです。

回路とペダルの基本構造

ワウの内部には「バンドパスフィルター」と呼ばれる回路が組み込まれており、ペダルを動かすことでその中心周波数(強調する音域)をリアルタイムに変化させています。ペダル自体はシンプルな構造で、可変抵抗器(ポット)とギア機構によって足の動きを回路に伝えています。

六弦かなで

定期的なメンテが必要

ワウペダルを長年使うとギア部分やポットに埃が溜まってしまい、「ガリ」と呼ばれるノイズを発生させることがあるため、定期的な清掃が必要です。
メンテナンスには埃の除去、グリスの塗布、接点復活などが含まれます。

ワウとオートワウの違い

ワウペダルは足下で変化量を調節しますが、自動でワウを掛けてくれる「オートワウ」というエフェクターがあります。足を動かさなくても、スイッチを入れておくだけで自動で掛かるため、手軽に使うことができます。

オートワウには一定周期でワウを掛けるものや、ピッキングの強弱に追従して掛かり方が変わるものなどがあります。前者は「エンベロープフィルター」、後者は通常のオートワウと区別して「タッチワウ」と呼ばれることもあります。

エリック・クラプトン

Tales Of Brave Ulysses – Cream

エリック・クラプトン氏はローリングストーンズ誌が発表する「歴史上最も偉大なギタリスト」の上位ランク常連ギタリストです。クラプトン氏のリードプレイにワウペダルは欠かせず、ワウを使わせたら右に出る者はいない程の名手でもあります。
1967年、世界に初めて登場したワウペダル「Clyde McCoy Wah-Wah Pedal」を、アルバムのレコーディングの最中にニューヨークの楽器店で入手し、そのまま「英雄ユリシーズ」で使用しました。ギタープレイヤーを席巻するワウペダルの歴史は、ここからはじまったと言われています。

ジミ・ヘンドリックス

Ezy Ryder

ギターの神様、ジミ・ヘンドリックス。ファズ・エフェクターと並んでジミのギタープレイの重要な要素となっているのがワウ・ペダル。非常に個性的な使い方をしたことで知られています。
ジミ・ヘンドリックス氏はクリームでのエリック・クラプトン氏のプレイに触発され、1967年頃からワウを使用し始めたと言われており、クラプトン氏と同じく、当時ワウペダルを初めて開発したVOXのものを愛用していました。アルバム「Electric Ladyland」に収められたVoodoo Child、Still Raining,Still Dreamingなどではジミの達人級ワウペダルを聴くことができます。

マイケル・シェンカー

MICHAEL SCHENKER:INTO THE ARENA

マイケル・シェンカーのワウプレイは、単なるエフェクト効果以上に彼のトレードマーク的サウンドを形作っています。一般的なギタリストがリズムに合わせてペダルを大きく動かすのに対し、シェンカーはペダルを中間の位置で微妙に固定し、中域が強調された「太さと切れ味を兼ね備えたサウンド」を自身の持ち味としました。
ソロ中のダイナミクスを強調するためにワウを繊細に踏み込み、歌うようなフレージングを際立たせています。過剰な効果に頼らず、ギター本来の表現力を引き出すための“声帯”としてワウを扱っている点が、シェンカーのプレイを唯一無二のものにしています。

スティーヴ・ヴァイ

Steve Vai – Bad Horsie

世界最高峰のテクニシャンで唯一無二の存在感を放つギタリスト、スティーヴ・ヴァイ氏もワウの愛用者として名高い存在です。Morleyのシグネイチャー・モデル「Morley Bad Horsie Wah」を愛用しており、主にリードギター時に使用します。彼は音色変化を過激にするために、歪んだ音の後段にワウを配置していると言われており、叫ぶようなサウンドを自在に扱ったり、強烈なアーミング奏法との併用で、まさに人がしゃべっているような演奏を得意としています。

ワウの接続順

エフェクターの接続順

ワウをボードに組み込む際の基本は「歪み系(オーバードライブやディストーション)の前後」に接続することです。
歪みの前に置くと、ワウのフィルター効果が歪みによって自然に強調されロックらしいサウンドが得られます。歪みの後に置くと、よりエフェクト感の強い派手な音になりファンクやエレクトロニカ風のプレイに向いています。

関連記事:
エフェクターのつなぎ方・接続の順番について – Supernice!エフェクター

おすすめのワウ・ペダル

ワウ・ペダルの定番ブランドとしては、VOX、JIM DUNLOP、MORLEYが挙げられますが、他にも様々なメーカーから魅力的なモデルが登場しています。

VOX

トランペット奏者Clyde McCoyのミュート奏法に着想を得て世界で初めてワウを作り出したのが、VOXブランドを擁するJMI(Jenninga Music Industries)と、共同で製品開発に携わったThomas Organ。最初期の製品にはそのClyde McCoyの名が冠されました。
そんなワウペダル誕生の系譜をそのまま受け継ぐのが現在のVOXで、変化量が緩やかでウォームな音を信条とする、昔ながらのワウペダルを得意としています。V84シリーズはまさにワウペダルの代表的製品と言って良いでしょう。

JIM DUNLOP

VOX、Thomas Organが1967年後期に製造した「CRY BABY」は様々な系譜をたどり、現在では完全にVOXから離れて、このJIM DUNLOPの製品として世界中に出回っています。VOXワウに比べて現代風で、可変幅や踏みしろが大きく、その強烈な効果から非常に多くのファンを持ち、ワウの二大巨頭のうちの一翼を担っています。JIM DUNLOPは他にもハードロック系を中心に、名だたるギタリストのシグネイチャー・ワウペダルを10種以上もラインナップしており、その選択肢の幅広さも魅力です。

MORLEY

スティーヴ・ヴァイのシグネイチャー・ワウペダルで有名なMORLEY。他にも何種類かのシグネイチャーモデルがラインナップに入っており、ワウペダルのブランドとしてはVOX、JIM DUNLOPに継ぐ第3の地位を確立しているメーカーです。

VOX、JIM DUNLOP、MORLEYのワウ比べてみた!

ワウ3機種比較

ギター博士がVOX「V846 HW」、Jim Dunlop「CRYBABY GCB-95F」、Morley「Maverick」というそれぞれに個性と魅力のある3機種のワウを、弾き比べて比較しました!
ワウ徹底比較:VOX / Jim Dunlop / Morley

その他ブランドのおすすめワウペダル

ミニサイズ・ワウ

昨今急激に増えてきているのが、通常のエフェクターと同サイズ程度のミニサイズワウ。勿論操作性はフルサイズのものには到底及びませんが、従来のワウにあった最大の欠点である、”重くてでかい”という部分が見られないのは大きなメリット。特に使う頻度がそこまで多くないというギタリストにとっては、有力な選択肢です。

ワウはモデルごとにキャラクターが異なるため、導入前にはサウンドの違いを意識しておくとよいでしょう。ぜひ実際に踏み込んで、その変化と表現力を体感してみてください。

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