JHS Pedalsのエフェクターって?特徴やおすすめモデル紹介

[記事公開日]2019/9/25 [最終更新日]2023/10/8
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

JHS Pedals

JHS Pedalsは2007年にアメリカ・カンザスシティーで設立された、ハンドメイドのエフェクター専門ブランド。創設者のJosh Scott氏はBOSSのBlues Driver BD-2を修理したことをきっかけに当ブランドを設立し、完全なるハンドメイド・エフェクターメーカーとして歩み続けてきました。

現在では従業員20~25名程度の中規模な会社に成長し、アメリカの同地に拠点を置き続け、全品ハンドメイドの姿勢を崩すことなく、エフェクターを作り続けています。評価の高いオリジナルに加え、ブランド設立のきっかけとなったモディファイにも力を入れており、JHS Pedalsのロゴシールが貼られたBOSS製品などを楽器店で見たことのある方も多いでしょう。まだ若い会社であり、今後の発展、ラインナップの拡充にも大いに期待が持てるブランドです。

JHS Pedalsの特徴

他のハンドメイド系エフェクターブランドと同様、ラインナップのメインは歪み系ペダルで、トランスペアレント系と言われるローゲインのものから、ハードディストーションまで幅広いサウンドのものが並びます。クリアーで明るく、粗い歪みを得意とするものがラインナップに並んでおり、ブランドのサウンドの傾向と言えるでしょう。またディレイ、コーラス、トレモロなど空間系も数品ながらも網羅しており、いずれも高品質を地で行くものばかり。メタル系に特化したようなエクストリームなものや飛び道具系のものはなく、王道と言われる類のものが主流です。

多数の海外発ブランドと同じく、エフェクターの中では高価な部類に入り、気楽に試せる価格ではないため、気に入ったものを一点ずつ吟味することにならざるを得ませんが、そのサウンドはさすがに世界最高峰のもので、価格並みの満足度が得られるはずです。

JHS Pedalsとモディファイ

JHS Pedals Mod Boss BD-2 JHS Pedals Mod
Boss BD-2 Blu Drive

モディファイ(改造)ペダルは、2000年代に入ったあたりから俄に市場に出回りだした製品群で、巷の有名な量販品ペダルをブティック系の工房が改造を施すことで、オリジナル品に不足している部分を補ったり、そもそも存在しない機能を新たに付け加えたりしたものです。BOSS製品などは定番でかつ種類が豊富であるがゆえに、モディファイの元ネタとして使われることが多く、JHS Pedalsについても、BOSS BD-2の修理をきっかけとしてブランドが始まっていることは前に述べた通りです。海外のブティック系ブランドのものが日本でも多く出回っており、JHSの他、Keelyやweedなどが有名です。

JHS Pedalsのモディファイはローノイズ化、レスポンスが強化され、スムースでワイドレンジなサウンドに磨きを掛けるという点において共通しています。また既存のペダルにない機能を新たに付加したものが多いのも特徴で、特にダイオードを変更して歪みのキャラクターを変えるミニスイッチの増設は、ほとんどの歪みエフェクターに見られます。また、ローファイやリングモジュレーションなどのシンセサウンドをフィーチュアしたBOSS DS-1のように、もはや完全な別物に変貌しているものもあります。ブランド設立のきっかけともなったBOSS BD-2のモディファイ品は現在ラインナップから外れていますが、ワイドレンジ化し、スムースなサウンドを強化。Fuzztainという新たなスイッチでファズっぽいサウンドが得られるオプションが付けられています。

JHS Pedalsのおすすめエフェクター

Morning Glory V4

Morning Glory V4

いわゆるトランスペアレント系に分類される、味付けの少ない上品なオーバードライブ。チューブアンプらしい質感が特徴で、ピッキングのレスポンスへの追従具合は驚くべきものを持っています。全体的に高域側へとどこまでも広がるような明るいサウンドが特徴ですが、横にはハイカットのスイッチも付いており、望んだ音色へ追い込むのは容易でしょう。ゲインは全体的に低めながら、V4になりゲインブーストのスイッチが増設され、少し余分に歪むようになりました。煌びやかなオーバードライブとしても、ブースターとしても、様々な使い方で優秀な効果を果たすモデルです。

JHS Pedals Morning Glory – Supernice!エフェクター

Angry Charlie V3

Angry Charlie V3

後述のCharlie BrownがJTM45を代表とする、マーシャル最初期のサウンドをフィーチュアしたものであったのに比べ、こちらはよりハイゲインなJTM800をトレースしています。ブースト、カット可能のアクティブなベース、ミドル、トレブルを備え、非常に幅の広いゲイン幅を持つドライブコントロールを装備。オリジナルのJTM800はハードディストーションの域までは歪みませんが、このペダルはそれ以上のゲインを得ることができるので、軽いクランチから猛烈に歪んだ音まで、マーシャルアンプらしい個性を保ったまま幅広いサウンドを操ることができます。

JHS Pedals Angry Charlie V3 – Supernice!エフェクター

Charlie Brown V4

Charlie Brown V4

ジム・マーシャル氏の本名”James Charles Marshall”のミドルネーム部分”Charles”と、スヌーピーの有名キャラクターからの拝借という、ユニークな名前を持つJHS Pedalsの代表的製品。JTM45に端を発する初期のマーシャルサウンドをフィーチュアしており、いわゆるマーシャルらしいジャキジャキとした、かっこいいクランチからオーバードライブをベースとしたサウンドが得られます。4代目のV4になり、筐体が黄色に変更され、3バンドEQが追加されています。特に後者の方は実用的に大きな変更であり、積極的にV4を選ぶ要因の一つとなるでしょう。

JHS Pedals Charlie Brown V4 – Supernice!エフェクター

Twin Twelve V2

Twin Twelve V2

1960年代にわずかに製造されたSilvertone社の”1484 Twin Twelve”というアンプをトレースしたモデル。中高域辺りにピークがあり、アンプ特有の粘り気を備えたドライブ感は、ヴィンテージアンプを模した数多いエフェクターの中でもトップクラスの気持ちよさ。中央にあるトグルスイッチでクリーンとドライブを切り替えることができますが、レンジが全体的に広く、オリジナルのアンプ以上にゲイン幅を持たせてあるので、クリーンブースターやバッファー、あるいは単体のオーバードライブとしても非常に使いやすいモデルとなっています。

JHS Pedals Twin Twelve – Supernice!エフェクター

Muffuletta

Muffuletta

Electro-Harmonix社のファズ「Big Muff」を再現したモデル。Big Muffは1970年頃の”Triangle”と呼ばれる初代機から、幾度ものモデルチェンジを経つつも、それぞれが微妙に異なるサウンドを持っており、そのいずれもがプレミアムな価値を持っているというマニア泣かせの代物。このMuffulettaはそれらのほぼ全てをアナログサーキットで再現し、それぞれダイヤルで選択できるという、数多いBig Muff系ファズの中でも唯一にして究極とも言えるモデルです。選択できるモデルは6種で、初代Triangle、二代目Ram’s Head、三代目”3rd version”ことThe Pi、そしてロシア時代のRussian、Civil Warの二種に加えて、JHS Pedals流のBig Muff的解釈を施したJHS。Big Muffの音に魅せられた人はもちろん、ファズをあまり使ったことがない人にもおすすめできる、最高のファズペダルの一つでしょう。

JHS Pedals Muffuletta – Supernice!エフェクター

Lucky Cat Delay

Lucky Cat Delay

日本国外ではPink Panther Delayという名で登場したデジタルディレイ。数多いコントロールを擁しつつも透き通った音色が特徴で、最長で1秒までのディレイに対応しています。側面にはテープエコーモードとデジタルモードを選択するスイッチがあり、DARKENという名のEQやモジュレーションスイッチとともにコントロールすることで、さまざまな表情のディレイを操ることが可能。2つあるフットスイッチの片方はタップテンポ用で、RATIOつまみと併用して符割を元にタイムを決定します。タップテンポには外部のスイッチを接続して使うこともできます。

JHS Pedals Lucky Cat Delay – Supernice!エフェクター

Emperor V2

JHS Pedals Emperor V2

コウテイペンギンの絵が描かれたアナログコーラス・ヴィブラートペダル。安価でありながら音の良さで伝説的な存在となったArion SCH-1がモチーフとなっており、アナログならではの暖かくも艶やかなサウンドは非常に存在感のあるものです。EQつまみはローカットからハイカットまでを直感的に決められるようになっており、 中央のミニスイッチでは波形をサイン波、矩形波、三角波の3つから選択可能。シンプルな見た目とは裏腹に多彩な音色を作り出すことができます。なお、ヴィブラートモードはBOSS VB-2がモチーフとなっているようです。

JHS Pedals Emperor V2 – Supernice!エフェクター

Crayon

JHS Pedals Crayon

ビートルズの”Revolution”で聴けるような、ミキサーに直接ギターを繋いでの猛烈なディストーションをモチーフとして作られたペダル。音の傾向としては高域がジリジリとしたファズに近いものですが、音作りの幅は広く、中央のPRE-VOLの設定によっては通常のオーバードライブ的なものから、音が破綻する寸前の強烈なサウンドまでを作ることができます。その独特なサウンドは60年代のサイケロック特有のものに極めて近く、当時のロックで聴かれるサウンドを得るのにこれ以上適したペダルはありません。個性的ですが、これでしか得られないサウンドに大変魅力のある一品です。

JHS Pedals Crayon – Supernice!エフェクター

Soul Food “Meat & 3” Mod

Soul Food Meat&3 Mod

エレクトロハーモニクス社の銘機「Soul Food」のモディファイ品。Soul Foodは伝説のオーバードライブ・ブースターである「Centaur(ケンタウルス)」を狙ったモデルの中でも定番の地位にあるペダルで、そのままの状態でも相当のクオリティを誇りますが、こちらのモディファイ品は、オリジナルCentaurのサウンドにより近づけるために、ゲルマニウム・クリッピングを含む3種のクリッピングを選択できるミニスイッチ、そして低域を調整するためのBass Contourを増設。よりCentaurに迫りつつも、元のSoul Foodからは考えられないほどの多彩なサウンドを得ることに成功しています。

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