エレキギターの総合情報サイト
「Jackson Guitars(ジャクソン)」は、特にハードロック/ヘヴィメタル志向のギターで知られるブランドです。その歴史は1980年、シャーベル社を経営するグローヴァー・ジャクソン氏がランディ・ローズ氏の希望を取り入れた全く新しいギターを作成したことに始まります。シャーベルのイメージと全くかけ離れたギターだったので、「Charvel」ロゴの代わりに自分の名前を記した、これが「Jackson」の始まりだと言われています。
ランディ・ローズ氏が生みの親であることもあって、ブランド誕生以来数限りないハードロック&ヘヴィメタル系のアーティストがその片腕として愛用してきました(一時期はジャズ・フュージョンの分野でも好まれました)。
有無を言わせない説得力をもっているその姿、デビュー当時の常識では考えられなかった異常にとんがったヘッド、メタリックなボディからライブ会場の熱気が伝わってきそうなオーラ。これからも、ハード&ヘヴィな世界観を体現しているすべてのアーティストの片腕的存在であり続けるブランドです。
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1: ジャクソン・ギターの構造的な特徴 1.1: コンコルド・ヘッド 1.2: コニカル・フィンガーボード 1.3: スカーフジョイント 1.4: スルーネック 1.5: ボディ材 1.6: ピックアップ 2: ジャクソン・ギターを象徴するエレキギター達 2.1: ランディV 2.2: キングV 2.3: ケリー 2.4: ソロイスト 2.5: ディンキー 3: ジャクソン・ギターのラインナップ 3.1: 特別仕様機「Custom Shop」 3.2: レギュラーモデル最高級グレード「USA Select」 3.3: 日本の工場で作られる上位グレード「MJ Series」 3.4: プロ仕様「Pro Series」 3.5: 高いスペックとコストパフォーマンスを両立「X Series」 3.6: エントリーモデル「JS Series」
GYZE Moonlight Sonata Death Metal version
地球から見た月の円盤が最大に見える「スーパームーン」の日に公開されたという、ベートーベン作曲「月光」のメロディック・デスメタルアレンジ。エッジの立った力強さと軽やかさが共存するサウンドは、「まさにジャクソン」というべきものです。ジャクソンのギターはたたずまいに類稀な存在感があり、またこのようなテクニカルなプレイに特にフィットします。俗に「座って弾くことができない」と言われるVシェイプですが、このような構え方ならばちょうどクラシックギターと同じになり、両手をストレスなく自由に使うことができる、むしろ理想的な構え方になります。
この動画に関して、演奏しているRYOJI氏よりコメントをいただきました。
【最初は”うわっ弾けない!”と思ったのだけど、この感情こそがいつも楽器を弾くときのモチベーションになってます。
ピアノの練習してみたくて月光第三楽章の譜面をみてたら、音階の美しさに惚れてギターアレンジをしたくなって、ギター用に譜面を書き直しているうちに気がついたらGYZEスタイルになってた、という感じでした。
ライブではギター+歌いながら演奏するので、生で見てもらえる機会があったら是非一緒に楽しんでもらいたいと思ってます!】
リードパートをガンガン弾きながらデスヴォイスで熱唱するRYOJI氏の姿は、まさに圧巻の一言に尽きます。
The Official GYZE Website | メロディックデスメタルバンドGYZE(ギゼ)の公式サイト
ジャクソンのエレキギターは、フェンダーとギブソンが席巻していた当時のエレキギター市場に独自の構造で参入、品質と性能が高く評価されたことに加えて空前のヘヴィメタルブームも手伝って大ヒットしました。現在の感覚では珍しさを感じないほどに普及している仕様も多いことから、ジャクソンの設計がいかに画期的だったのかが分かりますね。それではここから、ジャクソンのギターにどんな特徴があるのかをチェックしていきましょう。
ジャクソンを象徴する通称「コンコルド・ヘッド」はななめに突き刺さるような独特の形状ですが、ギブソンでもフェンダーでもない明らかな個性があり、かつシンプルにまとまっている大変優秀なデザインです。「コンコルド・ヘッド」の呼び名は超音速旅客機「コンコルド」に由来しています。コンコルドは離着陸時に機首を折り曲げて前方視界を広げるのですが、この時の姿がこのヘッド形状と似ています。
コンコルド(Concorde)は、イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機(SST; supersonic transport)であった。2003年に全機が退役した。-Wikipedia「コンコルド」より-
公式には「Pointed(尖っている)」と名付けられるヘッドの先端は冗談抜きで突き刺さりそうなほどで、しばしばバンドメンバーに実際に突き刺さる事故が起きます。このヘッドに「Jackson」の巨大なロゴが光り輝きます。「とにかく他の人がやっていないことをやってやろう」、という強い意志を持つギタリストにぴったりのデザインです。
「コニカル(conical)」は「円錐(えんすい)形の」という意味を持ちます。ジャクソンが発祥となった「円錐指板」は、現在では「コンパウンド・ラジアス指板」の名称が普及しています。ジャクソンの円錐指板は、
というように、ハイポジションに向かって徐々になだらかになるように作られます。この設計はチョーキングで「音の詰まり」を発生させにくいのが最大の特徴で、ロー・セッティング(弦高を下げたセッティング)にしやすいというメリットがあります。
ジャクソンと言えば「シャーク・フィン(サメのヒレ)」インレイと呼ばれる独特のポジション・マークが定番のスタイルです。現在では「ピラニア・トゥース(スモール・シャーク・フィン)」や「ドット(点)」などインレイも多様化していますが、コンコルド・ヘッドとシャーク・フィンによる鋭角なイメージはジャクソンの象徴であり、今なお根強いファンが大勢います。
現在「角度付きヘッド」仕様のギターに普及している「スカーフジョイント」は、ジャクソンが発祥の工法です。これはヘッドに角度の付いたネックを一本の木材から作りだすアイディアで、限られた材料を効率的に使用することができます。
スカーフジョイントの原理
スカーフジョイントで作られたヘッドは剛性が高く、折れてしまうことがほとんどありません。しかし逆に剛性が高すぎて、ネックの順ぞりや逆ぞりに従わないことがあります。ジャクソンではエントリークラスのJSシリーズから憧れのカスタムショップまで、全機種ネック内にグラファイト製の補強を仕込むことで、スカーフジョイントとバランスの取れた頑強なネックを作り上げています。「特殊炭素」とも呼ばれるグラファイトは、膨張率が低く軽量で、耐蝕性に優れています。
MJ Series Rhoads RRT
B.C.リッチを起源とする「スルーネック」構造は、ネックからボディの末端までを一本の木材で作ってしまう工法です。ネックとボディが一体化されることから振動伝達の効率が良くなり、びやかなサスティーンを実現させています。
またハイポジションを薄く仕上げることができますから、プレイヤーはストレスから解き放たれた演奏ができます
※求めやすい価格帯のモデルを中心に、ボルトオンやセットネック仕様のギターも用意されています。
ボディにポプラ材が採用されている「JS32 DKA Bright Blue」
名だたるギターメーカーがアッシュやアルダー、マホガニーやメイプルをボディ材に使用する中、ジャクソンはこれまで楽器用として注目されていなかった「ポプラ」材に着目し、ボディ材に採用しました。ポプラは軽量で安定しており加工しやすく、成長が早いため安定供給ができるので比較的安価で仕入れることができる、メーカーとして大変理想的な木材です。
ポプラ材は柔らかめな材木であり、中高域に良好な響きが得られる半面、低音域は物足りないと言われます。しかしジャクソンはスルーネックを基本としていたため、芯材となっているメイプルの個性を利用することができたこと、またこのギター本体にマッチするピックアップの開発に成功したことから、他のメーカーとは異なる「ジャクソンの音」を作り上げることに成功しています。事実、ジャクソンはこのポプラをメインのボディ材に使用して商業的な成功を遂げ、愛用するアーティストたちによりたくさんの名演が残されました。
時代のニーズもあることから現在ではポプラにこだわることはなく、アルダーやマホガニーといったスタンダードなボディ材も多く使用されています。
JacksonオリジナルPUを搭載した「X Series Soloist SLX DX Camo」
初期タイプのエレキギターでは、自社開発したピックアップとポプラ材のボディの組み合わせで独自性のある音質を実現していました。このピックアップは、フェンダー社でピックアップを設計していたポール・ギャゴン氏が、ジャクソンに参加することにより、開発がはじまりました。実際にボディに搭載した状態でのテストを繰り返して、もっとも理想的な音がでる仕様のピックアップを模索したと伝えられています。
現在では、セイモアダンカン製など他社製のピックアップとポプラ材以外のボディを組み合わせたモデルも多数販売しています。
時代を越えてハードロック&ヘヴィメタル系のアーティストに愛されたJacksonの代表的なギターたちを、愛用しているアーティストとともにチェックしていきましょう。
「ランディV」は、ランディ・ローズ氏のアイディアから生まれた左右比非対称のボディシェイプが特徴的なモデルです。日本国内では「ランディV」の名で、欧米では「ローズ(Rhoads)」の名で通っています。
EXMORTUS – Let Us Roam (official video)
「EXMORTUS」は、二本のランディVが掛け合いをしまくるメロディック・デスメタルバンドです。ザクザクとしたギターサウンドと突き抜けるビートが、大変気持ちいいですね。
「JS」シリーズのランディVはボルトオンジョイント採用により、高いコストパフォーマンスを実現しています。ネック裏がサラサラなので、ぺったり塗ったネックが苦手という人にはスルーネック機よりもお勧めです。
JS32 Rhoads を…
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「X」シリーズのランディVは、ヘッド、シャークフィン共にリバース仕様のスルーネックモデルです。セイモア・ダンカンのアクティブピックアップ「Blackouts(AHB-1)」採用により、ズムズムのヘヴィサウンドが得られます。
X Series Rhoads RRX24 を…
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「キングV」は、ギブソン・フライングVをジャクソン風にアレンジしたギターで、もともとロビン・クロスビー氏(元ラットのメンバー、故人)のためにデザインされました。ランディVと異なる左右対称のボディシェイプが特徴です。「KING」と命名されたのは、ロビン・クロスビー氏のあだ名が「KING」であったことによります。
Trivium – Dead And Gone [OFFICIAL VIDEO]
ヘヴィメタルバンド「トリヴィアム(Trivium)」のギタリスト、コリィ・ビューリュー氏のシグネイチャー・キングVは、内側がギザギザに刻まれた独特のルックスと、ちいさめのシャークフィン・インレイが特徴です。
ジャクソンのトレモロレス仕様は弦をボディ裏から通す仕様(裏通し)とTOM(チューン・O・マチック)ブリッジの組み合わせで、ブリッジミュートにたいへん有利です。
JS32T KING V を…
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「ケリー」は、ギブソン・エクスプローラーをベースに、ルックスの攻撃性を強化したしたモデルです。デザインを担当したブラッドフォード・ケリー氏の名前から「KELLY」と命名されました。ケリー氏自身も、バンド活動をしていたアーティストでした。
「ケリー」は先述のランディVやキングVと異なり「座って弾くことができる」という大きな利点を持った変形ギターです。裏通し仕様、TOMブリッジ、ジャクソンオリジナルピックアップなど、上記「JS32T KING V」との共通点が多いモデルです。
JS32T KELLY を…
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「小ぶりなストラトタイプのボディにスルーネック」という仕様はジャクソンの「ソロイスト」が元祖で、今でもこの仕様のギターを「ソロイストタイプ」と呼ぶことが多くあります。ランディVから始まったジャクソンですが、比較的オーソドックスなボディシェイプの機能性は高く、メタル以外の音楽でも使いやすいことから人気機種となりました。
The Damned Things – We’ve Got A Situation Here
2012年まで活動していた「ザ・ダムド・シングス」は、ヘヴィ・メタルの有名アーティストが集まったスーパーグループです。彼らの姿からは、メタルを演奏する楽しさが伝わってくるようですね。
スペックを維持しながら価格に挑戦する「Xシリーズ」のソロイストは、セイモア・ダンカン設計によるピックアップを備えています。SSHに見えますが、2基のシングルコイルはいずれもブレード状のポールピースを持ったハムバッカー構造なので、実質的にはハムバッカーを3基備えているギターです。
SOLOIST SL3X DXを…
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スルーネックにこだわるジャクソンが、一旦そのこだわりを捨てて開発したボルトオンジョイント仕様のギターが「ディンキー」です。ネックジョイントがボルトオンになっている以外はソロイストと同じイメージのギターですが、多くのアーティストが愛用して商業的に大成功を収めるばかりか、今や「スーパーストラト」の代名詞にまでなっています。
「ディンキー・アーチトップ」は、低価格帯のモデルでありながらボディトップが滑らかな曲面に仕上げられ、プレイヤーの身体にフィットしやすくなっています。一歩深く掘り込まれたカッタウェイの加工は、「ディープ・ダブルカッタウェイ」と呼ばれるディンキー専用の仕様です。
JS32 DINKY を…
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何といっても、その見た目から受ける強烈なイメージが、最初にジャクソン・ギターから受け取るメッセージです。そして、ロングサスティーン/非常に弾きやすいハイポジションのフレット/軽い材質/ボディとピックアップの絶妙なアンサンブルによる計算された極上の音質等々のポイントが、ハードロック&ヘヴィメタル系のアーティストの琴線にふれるのは、至極当然のことではないでしょうか。
とはいえジャクソンのギターのトーンや弾きやすさ、便利さはヘヴィ系以外のアーティストも虜にする魅力があります。これまでスタジオミュージシャンやフュージョンのプレイヤーなど、多くのジャンルのプレイヤーに愛されてきました。意外な愛用者の一人として知られるのがジェフ・ベック氏で、1985年に発売された「フラッシュ」というアルバムでは、メインのギターとして、録音に使用されたとのことです。
現在ジャクソンでは
という5段階のグレードに、アーティストのシグネイチャーモデルを交えたラインナップ展開を行っています。それぞれのグレードについて、代表機種を中心にチェックしていきましょう。
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