Jackson の新世代USA製フラッグシップ・モデル American Series Soloist SL3

[記事公開日]2022/9/9 [最終更新日]2023/11/9
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

Jackson SL3 American Series Soloist SL3(Satin Slime Green)

ジャクソン(Jackson)「アメリカンシリーズ・ソロイスト(American Series Soloist)SL3」は、ブランド発祥の地カリフォルニアで作る新シリーズ「American Series」第一号です。USA製のジャクソンはカスタムショップ製の最高級品しかなく高嶺の花でしたが、これにより現実的な価格で手に入れられるようになりました。今回は、この「American Series Soloist SL3」に注目していきましょう。


The American Series Soloist | Jackson Guitars
19歳で渡米して以来LAを拠点に活躍する日本人ギタリスト、ヤス野村氏。不登校の少年が一転、ギターとの出会いをきっかけに、運命を切り拓いてきた。

Jackson定番機種「Soloist」とは

Jackson Soloist American Series Soloist SL3(Gloss Black)
グロスブラックは、定番機ソロイストの中でも定番中の定番。

ギターブランド「ジャクソン」は1980年、故ランディ・ローズ氏の発案による「ランディV」でデビューし、注目を集めました。「Soloist」はその翌年に開発が始まり、いくつものプロトタイプを経て1984年に完成します。
小ぶりなボディと大きなカッタウェイ、スルーネック構造、ハムバッカーとフロイドローズ・トレモロユニットという特徴を持ったSoloistは、象徴的なコンコルドヘッドもあいまって、ストラトキャスターを出発点にしたとは到底信じられないほどのオリジナリティを誇りました。
高い演奏性とパワフルなサウンドは特にヘヴィ・ミュージックとの相性が良く、Soloistはこの分野における定番機種として世界中で轟音をとどろかせました。現在では他社製スルーネック・スーパーストラトが「ソロイスト・タイプ」と呼ばれることもあります。


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ブラジル出身のヘヴィ・メタルバンド「セパルトゥラ(Sepultuta)」。ヘヴィ・ミュージックの歴史は、Jacksonと共にあったと言っても過言ではない。

「American Series Soloist SL3」の特徴

American Series Soloist SL3 American Series Soloist SL3(Platinum Pearl)

現在のジャクソンはフェンダー・ミュージカル・インストゥルメンツ・コーポレーション(FMIC)傘下にあり、USA製カスタムショップ・モデルはフェンダー・カスタムショップで作られていました。今回発表されたジャクソン・アメリカンシリーズは、これまでジャクソン最高級品を作ってきたマスタービルダー監督のもと、他のフェンダー製品と共にカリフォルニア州のコロナ工場で生産されます。
カリフォルニアへの帰還を果たしたSoloistは、ジャクソンのさまざまな独自構造を引き継ぎながら、現代のギタリストに向けてのアップデートを受けています。

ジャクソンの伝統と現代の設計理念が融合

コンコルドヘッド ジャクソン伝統のコンコルドヘッドとシャークフィン・インレイ。そして今も昔も変わらないJacksonのロゴ。しかしバインディングとロッドカバーを伴わないその姿は、新鮮でもある。なお、アメリカンシリーズはマッチングヘッド仕様。

  • ネックの高い演奏性:弦長25.5インチ、スピードを重視した伝統の「スピードネック」プロファイル、コンパウンド・ラジアス仕様のエボニー指板と24本のジャンボフレット。指板のエッジ部を丁寧にロールオフして握り心地を向上。畜光サイドドット採用。ヒール部を大胆にカットしており、ハイポジションもストレスフリー。
  • 剛性を確保するネック設計:演奏性と音響性を高めるスルーネック構造はSoloistのアイデンティティ。メイプル3Pのネック本体にグラファイト製の補強ロッドを埋設し、極めて高い剛性を確保。ジャクソン伝統のスカーフジョイントは非採用で、ネックの根元からヘッドの先まで継ぎ目がない。トラスロッドはジョイント部に開口。
  • 演奏性の高いボディ設計:スリムなオフセット形状でコンター&カッタウェイ共に深く、立っても座っても構えやすく、24フレットまで楽に手が届く。
  • 表現力を高めるブリッジ仕様:フロイドローズ上位機種「1500 Series」は、ステンレスネジ使用により長寿命が期待できる。ボディからの弦高が抑えられており、ギターソロでのピッキングに有利。ボディを深くザグったフローティング・セッティングはクリケット奏法や大幅なアームアップなど、大胆な表現が可能。
  • 頼れるハードウェア:基本性能の高さが世界的に認められているGotoh社製ロック式ペグ「MG-T Locking」は、弦交換の作業時間を大幅に短縮できる。Dunlop社製「 Dual Locking」ストラップピンは、通常のストラップピンとしても利用可能。ヘッド裏に6角レンチを付属し、日ごろのチューニングに便利。

ジョイント部はヒールを大胆にカット。ネック裏はボディと同色に塗装される。

セイモア・ダンカン社製ピックアップと特殊配線

American Series Soloist SL3(Riviera Blue)

ピックアップはセイモアダンカン社製で、TB-4(JB)1基とSSL-6(Custom Flat)2基のHSS配列をボディに直接マウントしています。セイモア・ダンカン「JB」は同社の王道ハムバッカーで、豊かな中域を持ち味にしつつ低域にも十分な迫力があります。「Custom Flat」はシングルコイル特有のジャキッとした響きを残しつつ、中域を持ち上げた中出力モデルです。
サウンドバリエーションは一般的なHSS配列機とは異なった特殊配線を活用しており、5WAYセレクタースイッチの5ポジションのうち3つがシングルコイル2基のミックス、ミドルの単体使用なし、となっています。

  • Position 1:ブリッジ単体
  • Position 2:ブリッジ外側コイル&ミドル
  • Position 3:ネック&ブリッジ内側コイル
  • Position 4:ネック&ミドル
  • Position 5:ネック単体

「RWRP(逆巻き&逆極性)」仕様のミドルピックアップが効いており、ミックス時にハムキャンセル効果が得られます。

American Series第二弾「Virtuoso」との違いは?

Virtuosoとの違い 上:American Series Soloist SL3(Gloss Black)
下:American Series Virtuoso(Satin Black)

アメリカンシリーズ第二弾として発表された「Virtuoso(ヴァーチュオーソ)」はSoloist SL3と同じ「ヘヴィ・ミュージックでのテクニカルな演奏に特化する」というコンセプトのもと、同じシルエット、同じネック・プロフィール、同じボディ形状を持っています。ここでは両者の相違点を探してみましょう。

Soloist SL3 Virtuoso
指板仕様 上位モデルに相応しい黒々としたエボニー指板&大きな白蝶貝のシャークフィン・インレイ 色みの個体差が楽しめるストリーク・エボニー指板&白蝶貝のドットインレイ
ピックアップ HSS配列&5WAYセレクターの特殊配線 HH配列&5WAYセレクターの特殊配線
ネック本体 3Pメイプルのスルーネック キャラメリゼド・メイプル&メイプル5層構造のボルトオンジョイント
ネック塗装 ボディと同色のグロス塗装。程良いグリップ感が得られる。 サテン・ウレタン塗装。サラサラの感触で良く滑る。
ヒール部 根元まで大胆にカット 人間工学に基づいて設計された「ハンドシェイク・ヒール」


上:American Series Soloist SL3(Gloss Black)
下:American Series Virtuoso(Satin Black)
背面を比べると、全く違うギターだという事が良く判る。

Jackson US製シリーズの新モデル American Series Virtuoso

ラインナップは4色で展開

Jackson「American Series Soloist SL3」は、Gloss Black(グロスブラック)、Platinum Pearl(プラチナム・パール)、Riviera Blue(リビエラ・ブルー)、Satin Slime Green(サテン・スライムグリーン)の4色で展開しています。ヘッドはボディと同色、ハードウェアはブラックです。
以上、ブランド発祥の地カリフォルニアで生産されるジャクソン新モデル「American Series Soloist SL3」をチェックしていきました。ソロイストはヘヴィ・ミュージックに不可欠のギターであり、後発ギターメーカーも大いに参考にした歴史的名機でもあります。ぜひ実際にチェックしてみてください。

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