Jackson US製シリーズの新モデル American Series Virtuoso

[記事公開日]2023/10/21 [最終更新日]2024/8/22
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

ジャクソン(Jackson)「アメリカンシリーズ・ヴァーチュオーゾ(American Series Virtuoso)」は、ジャクソン発祥の地カリフォルニアで作られる「アメリカンシリーズ」の第二弾です。ジャクソン伝統のスタイルに最新の設計理念を注ぎ、サウンドやプレイアビリティに特化した機能美あふれるギターとして完成しています。今回は、この「Virtuoso」に注目していきましょう。


The Virtuoso Mega Shred | American Series Virtuoso | Jackson Guitars
スイスイと運指できる「スピード・ネック」とセイモア・ダンカン王道のピックアップが持ち味。基本構造こそシンプルだが、150以上という手作業の工程を踏む、ていねいに作られたプレミアムなギターだ。

ヘヴィミュージックを牽引したブランド「Jackson」


映画『ランディ・ローズ』予告編
ジャクソンの歴史は、故ランディ・ローズ氏の忘れ形見、いわゆる「ランディV」から始まった。

ギターブランド「Jackson」は1980年に南カリフォルニアで発足して以来、演奏性のために計算し尽くされた数々の独自構造が、特にハードロック/ヘヴィメタルの分野で厚く支持されました。ヘヴィミュージックのシーンには常にJacksonがあり、今やポピュラーミュージックの分野にも浸透しています。

現在Jacksonブランドはフェンダー・ミュージカル・インストゥルメンツ・コーポレーション(FMIC)傘下にあり、アメリカンシリーズはフェンダー製品と共にカリフォルニア州のコロナ工場で生産されます。

Jackson Guitars

「American Series Virtuoso」の特徴

American Series Virtuoso American Series Virtuoso(Specific Ocean)

アメリカンシリーズ第一弾となった定番機種「Soloist SL-3」に対し、第二弾のVirtuosoは全く新しいニューモデルとして発表されました。Jacksonにおける「ボルトオンジョイントのスーパーストラト」は「Dinky(ディンキー)」が定番ですが、dinkyというワードにはマイナスイメージもあり、Jackson上位機種の名称としては相応しくないと判断されたようです。「Virtuoso」は芸の道に長けた名人/大家/巨匠といった意味で、主に卓越した演奏技術を備えた演奏家を現します。もとはイタリア語で「ヴィルトゥオーソ」と読みますが、英語で読むと「ヴァーチュオーゾ」になります。

新たに発表されたVirtuosoは、世界で最も要求の高いプレーヤーの要求を満たし、世界中のプレイヤーにインスピレーションを与える、世界最高峰の舞台に相応しいギターのスタンダードを目指しています。

伝統のロゴを冠するコンコルドヘッド

コンコルドヘッド 超音速旅客機コンコルドが全機退役となって20年。ジャクソンですらこのヘッド形状を「ジャクソン・ポインテッド6インライン・ヘッドストック(Jackson pointed 6-in-line headstock)」と呼んでいる。しかし、だからこそ、コンコルドヘッドと呼び続けたい。

いつの時代も変わらない、伝統のJacksonロゴを冠するコンコルドヘッドは本モデルでも健在です。シンプルな単層のバインディングが施され、ボディカラーと色を合わせるマッチングヘッド仕様になっています。ネックの裏側には6角レンチが準備されており、チューニングや弦交換に便利です。

6角レンチ ヘッド裏の6角レンチはチューニングや弦交換に便利。

テクニカルな演奏をサポートする「スピードネック」

スピードネック 強度を考えての設計だが、メイプルの白いストライプが洒落た意匠にもなっている。

ジャクソンの「スピード・ネック」は速いパッセージの演奏に定評のあるネックシェイプで、親指をネック裏に立てるプレイスタイルに特に良好です。Virtuosoではこのスピード・ネックをキャラメリゼド・メイプル(ローステッドメイプル)と普通のメイプルの5層構造で作り、内部にグラファイト製補強ロッドを埋設しています。貼り付ける指板材も肉厚で、ネックの頑強さに対する深い深いこだわりが伝わってきます。

またネックが強ければ強いほど音が引き締まり、音の立ち上がりが早くなり、かつサスティンが伸びると考えられています。トラスロッドはネックエンド側に開口、アジャストホイールにより手軽に反りの調整が行えます。

ストリーク・エボニー American Series Virtuoso(Mystic Blue)
指板材のストリーク・エボニーは、色みが不均一で縞模様が出ているエボニー材のこと。色みの薄さからローズウッドと見間違えられることもあるが、木材の性能はエボニーそのもの。

ナット部の12″から最終フレットの16″まで、指板Rが無段階に変化する「コンパウンドラジアス指板」は、Jacksonの代名詞とも言える仕様です。低い音域ではコードが押さえやすく、高い音域ではリードプレイに有利です。音域は24フレットあり、端を丸く整える指板の処理とジャンボフレット採用、そして低弦高のセットアップによってスムーズに運指できます。

演奏性の高いボディ構造

ボディ構造 普通に構えても、ハイポジションをギャンギャン鳴らしても、弾きやすい。

アルダー製のボディ形状は、くびれ部分が非対称なオフセット・ウェスト仕様となっており、エルボー部分とボディ背面の滑らかなカットも相まって、立っても座っても抱え心地は良好です。大胆なカッタウェイによってハイポジションの演奏性も大変良好ですが、これに加えてジョイント部の形状に人間工学に基づいて設計された「ハンドシェイク・ヒール」が採用されており、長時間にわたるプレイも快適にこなせます。

王道のセイモア・ダンカン社製ピックアップ

セイモア・ダンカン・ピックアップ American Series Virtuoso(Satin Black)
王道ピックアップのサウンドは、メタル意外にもトラッドなロックやブルース、ポップスなど幅広く使用できる。

ボディにダイレクトマウントされたセイモアダンカン社製HH配列のピックアップは、Seymour Duncan「JB(ブリッジ)」とSeymour Duncan「’59(ネック)」という、まさにロックギター王道の組み合わせです。セイモア・ダンカン「JB」は力強く重厚で倍音豊かな音色を持ち、同「’59」は透き通った高域が持ち味で、あらゆるジャンルの音楽に浸透できます。

セレクタースイッチは5WAYで、それぞれのハムバッカー単体とミックスに加え、ブリッジ外側&ネック内側、ブリッジ内側&ネック外側というコイルタップ同士のミックスが2種類使えます。

信頼性の高い金属部品

Floyd Rose 1500 Floyd Rose 1500の銀色部分は、頑丈なステンレス製。

フロイドローズ「1500」ダブルロッキング・トレモロは、スタンダードモデル「1000」にプッシュイン式トレモロアームとステンレス製ネジを備えたアップグレードモデルです。アームのトルクは根元のイモネジで調整します。

トレモロユニットは、ボディに埋め込まれるようにマウントされています。ボディからの弦高が低く設定されており、ボディに指を置いてピッキングするスタイルに有利です。可動域は広く、金切り声のようなハーモニクス・スクウィールから急降下爆撃のようなアームダウンまで可能。

このほか、精度が高く素早い弦交換が可能なGotoh「MG-T」ロック式ペグ、普通のストラップピンとしても使用可能なDunlop「Straplock」を備えています。

ラインナップは4色で展開

American Series Virtuoso:ラインナップ 左から、Mystic Blue、Satin Shell Pink、Satin Black、Specific Ocean。

Jackson「American Series Virtuoso」は、Mystic Blue(ミスティック・ブルー)、Satin Shell Pink(サテン・シェルピンク)、Satin Black(サテン・ブラック)、Specific Ocean(スペシフィック・オーシャン)の4色でラインナップを展開しています。Mystic Blueはツヤツヤのグロス仕上げ、他の3色はツヤを抑えたサテン仕上げです。


以上、Jackson「American Series Virtuoso」についてチェックしていきました。弾きやすく頑強なネックに深くこだわりつつ、虚飾を排して基本性能に特化した、機能美だけで構成された新しいプレミアム・スタンダードです。ぜひ実際にチェックしてみてください。

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