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トレモロは音量を周期的に上下させるエフェクター。コーラスなどと同じモジュレーション系に分類され、歴史上初めてのエフェクターと言われることもあります。音量が上下するため、音が断続的に聞こえるのが特徴で、軽めに掛けることで緩やかな雰囲気を出したり、強烈に掛けることでマシンガンのようなサウンドを作り出したり、単純なゆえに奥の深いエフェクターです。
Sonomaic のエフェクターをギター博士が弾いてみた
6:02〜:トレモロ・ペダル「Palmetto 3」の演奏
トレモロのコントロールツマミは、
主にこの3種類が挙げられます。特にRATEとDEPTHについては定番のコントロールで、これらが付いていないものはまずありません。
トレモロエフェクトは、滑らかに掛かるサイン波や三角波、過激なマシンガン風の掛かり方をする矩形波など、音量の”波”の部分を波形によってコントロールしていますが、WAVEはそれらを選択しコントロールするためのものです。このつまみは付いていないモデルも多いですが、エフェクトの掛かり方を調整する重要なものです。スイッチで波形を選ぶほか、BOSS TR-2のようにダイヤルになっているものもあります。
ダイヤルやスイッチにこのような絵柄で表されていることもあります。
トレモロは主に単音弾きのソロ、コードストローク、アルペジオなどで使うのが効果的です。音量が周期的に上下するため、カッティングのような細かいプレイには向きません。コードストロークにも16ビートのような細かいものよりも、ゆったりとしたリズムでの演奏の方が相性が良いです。
コーラスなどと同様、単独でエフェクターとして登場する以前から、一つの機能としてアンプに搭載されていました。とくにヴィンテージ系のアンプに多く、60年代の音楽などで比較的多く聴かれるのはそのためです。トレモロ搭載アンプはフェンダーの機種が有名です。
フェンダー最初期のラインナップを彩るツイードアンプ。その中でも”Deluxe”にトレモロ回路を増設することで開発されたのが、こちらのTremoluxです。SpeedとDepthで掛かり具合を調整します。オリジナル機は稀少で、現在ではエリック・クラプトン氏のシグネイチャーアンプとしてリイシューされたものを手に入れることができます。
Fender Twin Reverb
1963年に登場以来、その透き通ったクリーントーンでフェンダーアンプの代名詞となっているTwin Reverbにもトレモロが搭載されています。インプットが”Normal”と”Vibrato”の二系統になっており、Vibratoの方に入力するとトレモロエフェクト付きのサウンドを得ることができます。こちらのチャンネルにはSPEEDとINTENSITYというコントロールが付いており、これで調整できます。また、同時期に生産されたDeluxe Reverb、Super Reverbなどにも同じ回路が搭載されています。
他にはVOXの代表的機種、「VOX AC30」にもトレモロが標準搭載されています。VOX特有の中音域に癖があるブリティッシュトーンが好きで、尚且つアンプのトレモロを使いたいという方にオススメです。
トレモロは音楽的に言うと同じ音の反復を指します。ギターでのトレモロピッキングは同じ音を高速で連打することを指し、ヴァイオリンでも弓を高速で上下し、同じ音を連続的に出し続けます。音量を上下するエフェクトとしてのトレモロも、同音の反復というイメージから付いたものでしょう。
対してヴィブラートは音程の変化を伴います。ギターではチョーキングとチョークダウンの繰り返し、ヴァイオリンでは左手のフィンガリングを上下に素早く動かします。いずれも音量ではなく音程が上下しているのが想像できるでしょう。
ストラトキャスターのトレモロアーム
フェンダーの製品はこの辺りが曖昧です。例えば上記のTwin Reverbのトレモロ側チャンネルはVibratoという表記で、同じくトレモロが付いているのにVibroverbと名付けられたアンプもあります。また、ストラトキャスターのアームを伴うヴィブラートユニットはシンクロナイズド・トレモロと呼ばれます。これらは名称としては逆にするのが妥当かもしれません。
My bloody Valentine「Sometimes」
シューゲイザーというジャンルを世に広めたバンドといえばマイブラッディバレンタインです。同バンドのギタリストであるケヴィン・シールズ氏は、深いリバーブとディストーションにトレモロを加え、「浮遊感のある轟音サウンド」を作り出します。
不安定で強烈なノイズサウンドがシューゲイザーというジャンルの代名詞にもなり、後続バンドに多大な影響を与えています。ちなみに、ケヴィンはジャズマスターやジャガーに搭載されているトレモロアームを主に使いますが、楽曲によってはトレモロ・ペダル「BOSS TR-2」を使っているようです。
トレモロには種類がありませんが、強いて言えば「トレモロ+α」の機能を搭載しているモデルがあります。例えば、「トレモロ+リバーブ」、「トレモロ+コーラス」といった具合に、トレモロ以外のエフェクトを搭載し、それぞれ独立したコントロールを持ったペダルも販売されています。
BOSSの定番トレモロエフェクター。ヴィンテージに寄りすぎることもなく、過激すぎることもなく、きわめて使いやすい王道の音色といった印象のペダルです。中でもポイントは波形部分をつまみで制御できるWAVEコントロール。左に回すと滑らかに、右に回すと過激なマシンガン風サウンドに変化するというのもで、エフェクトの掛かり方を柔軟に調整できるため、このモデルの要ともなっています。他のつまみはDepthとRateという定番のコントロール。良い意味で個性がなく、使いやすい音色と操作性から、入門にも最適の一台です。
BOSS TR-2 – Supernice!エフェクター
TC Electronic「CHOKA TREMOLO」は、アナログ回路によって60年代のサーフミュージックで聞くことができるような、暖かみのあるレトロなトレモロサウンドが得られるコンパクトなエフェクター。トレモロ入門機種として最適なモデルです。
TC Electronic CHOKA TREMOLO – Supernice!エフェクター
空間系エフェクトの王者strymonのリバーブ/トレモロ。リバーブとトレモロという組み合わせからも明らかなように、ヴィンテージアンプに搭載されたエフェクト部だけを取り出したようなユニークなエフェクターとなっています。3種類のモードが選べるトレモロはそれぞれ「’61 harm」「’63 tube」「’65 photo」となっており、搭載されたアンプと発売された時代にもとづく特徴的なトレモロを意識しています。その特性ゆえに過激な掛け方には合いませんが、いずれも非常に立体的かつナチュラルな音色で、トレモロの最終形と言っても過言ではないでしょう。
strymon FLINT – Supernice!エフェクター
Latitude Deluxの特徴は入力部にアナログ回路を、パラメーターの調整にデジタル回路を使った「ハイブリット回路」です。アナログ特有の温かいトーンはそのままに、コントール部にデジタルを用いることで、より緻密な音作りが可能という訳です。
また、リアルタイムでSPEEDを調整できるタップテンポスイッチや、三種類の波形を選択できるトグルスイッチなど、ハイエンドペダルならではの機能が充実しているのも本機の特徴です。
Wampler Pedals Latitude Deluxe – Supernice!エフェクター
ヴィンテージアンプに付属するトレモロ効果を狙って作られたペダルで、フルアナログならではの温かみのある音色が特徴です。Depth、Rateの定番コントロールに加え、波形を選択するShapeを装備しており、アンプに付属するエフェクトのような自然な効果から、エフェクトペダル特有の強い掛け方までコントロール次第で様々な音を出すことができます。また、ステレオ出力であるところは見逃せない点で、二台のアンプに繋ぐことで、立体的な音像を得ることができます。
ELECTRO HARMONIX Stereo Pulsar – Supernice!エフェクター
Deluxe Plusは「スプリングリバーブ」と、ヴィンテージアンプに搭載されていた「バイアス変調トレモロ」を組み合わせたユニークなペダルです。バイアス変調トレモロとは60年代前期のギターアンプに搭載されていたトレモロシステムのことで、アンプの出力自体を周期的に変化させ、音の揺らぎを得るというものです。
そんなトレモロを再現したのがDeluxe Plusで、ヴィンテージアンプを鳴らしたようなレトロなサウンドが特徴です。ヤシの木をデザインしたボディは、サーフミュージックを意識しているのは間違いありません。
Mr. Black Deluxe Plus – Supernice!エフェクター
アンプメーカーとして有名なSuproの手がけるトレモロ。内部にプリアンプとパワーアンプのセクションを置き、ゲインつまみでプリアンプ部分のレベルを変えられるという、他の機種には見られないこだわりの設計が特徴。Amplitude、Harmonicという二つのモードを持ち、それぞれ掛かり方にかなりの差があるため、使い分けも容易。値段は安いとは言えませんが、アナログならではの暖かいサウンドも魅力の一台です。
Mooerの送り出す、正方形にして小型の”Spark”シリーズにおけるトレモロエフェクター。外観から分かるようにヴィンテージ系のクラシックなトレモロエフェクトで、かつてアンプに搭載されたナチュラルなエフェクトがモチーフとなっています。DepthとRateという定番コントロールに加え、音色の高域を制御するToneを装備。波形の選択などはなく、効果の掛かり方については1種類のみですが、何にでも合わせやすい音色で使いやすいペダルとなっています。
Mooer Spark Tremolo – Supernice!エフェクター
日本発の定番エフェクターブランドOne Controlからもトレモロが1種類発売されています。往年のヴィンテージアンプに搭載されたサウンドをモチーフとしており、ゆったりとした滑らかな掛かり方が魅力。そして、その良さを残しつつも現代的なハイファイさを実現している点は見逃せないポイントでしょう。Amplitudeというコントロールで揺れ方を微調整でき、その他はDepthとSpeedという定番のコントロール。機材の組み合わせに応じて位相を変えられるよう、Phaseスイッチを装備しています。
One Control Tiger Lily Tremolo – Supernice!エフェクター
トレモロはモジュレーション系エフェクターなので、歪み系エフェクターと空間系エフェクターの間に繋ぐようにします。オーバードライブの後段、ディレイの前段と覚えておきましょう。
トレモロ・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター
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