スマート・マルチコントローラー「XSONIC AIRSTEPシリーズ」徹底比較!

[記事公開日]2022/8/25 [最終更新日]2025/9/4
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

AIRSTEP Classic

XSONIC AIRSTEPシリーズは、自宅の音楽制作や配信環境で複数の機器を足元からワイヤレス操作できるスマート・フットコントローラーのラインナップです。いずれも5ボタン式フットスイッチを搭載し、アンプやエフェクター、タブレットやパソコン上の音楽ソフトなどの制御をハンズフリーで行えます。

代表モデルの「AIRSTEP」は、MIDI対応機器やUSB機器、Bluetooth機器まで幅広く対応し、これ一台であらゆるデバイスを制御可能です。
シリーズにはフル機能搭載の基本モデルに加え、

  • AIRSTEP Lite:簡易版
  • AIRSTEP Spk Edition:Positive Grid Spark専用
  • AIRSTEP Kat EX Edition:BOSS KATANA専用
  • AIRSTEP TX Edition:IK Multimedia TONEX専用

が揃います。
今回はこのXSONIC AIRSTEPシリーズについて見ていきましょう。

XSONIC AIRSTEPのラインナップ

AIRSTEP(基本モデル)

AIRSTEP:対応機材

AIRSTEPはシリーズ基本モデルで、「Smart Multi Controller」の名が示す通り汎用性と多機能が最大の特徴です。コンパクトサイズながら、堅牢なアルミ筐体でステージ利用にも耐える設計。内蔵バッテリーでの連続動作時間は公称約300時間と長時間で、自宅での長時間配信やリハーサルでも頻繁な充電を気にせず使えます。後述する他モデルに比べると高価ですが、その分対応範囲の広さと拡張性で群を抜いています。


AIRSTEP Smart Multi Controller – From Now on, You Only Need One Controller!
各フットスイッチに機能をアサインできる。ギター弾きの自宅録音で録音の開始/停止などを足で操作できるのは、かなり便利。

対応機器と接続方式

接続端子

  • MIDI端子(5ピンDIN):MIDIインターフェース搭載のアンプ、マルチエフェクター、MIDI対応楽器などに直接接続できます。
  • USB(Type-C):DAWやプラグインの遠隔操作。
  • Bluetooth:スマホやタブレットのアプリ制御、PCのプレゼンテーションや動画再生(HIDデバイスとしてキーボード入力を送信)など、Bluetooth対応デバイスの操作も可能。
  • エクスプレッションペダル入力:ボリュームペダルやワウペダルを接続して、アナログ的な連続操作を送信。
  • 外部フットスイッチ用リレー出力:リレー式アンプのチャンネル切替

フットスイッチにPCのショートカットキーなどを割り当てることで、DAWやYouTubeのスタート/ストップ、譜面アプリの譜めくりなど、いろいろな操作を足で行えます。
このように、あらゆる種類のコントロール信号を出力できる柔軟性が、AIRSTEP(基本モデル)最大の強みです。
アイディア次第でどのような使い方をすることも出来て、大きな可能性を秘めています、

アサイン可能な5つのフットスイッチ

フットスイッチには1基あたり8つまで機能をアサインでき、「押す」「放す」「長押し」の3種類の操作に別々の信号を送ることも可能です。さらに、押すごとにAB切替の操作(トグルモード)に振り分けることも可能。
ギターアンプのチャンネル切替などのスイッチとしては、踏んでいる間だけONの「モーメンタリタイプ」と、踏むごとにON/OFFする「ラッチタイプ」の両方が設定でき、ギターのシステムなら踏んでる間だけONのブースターやソロ/バッキング切替スイッチなど、発想次第でさまざまなコントロールが可能です。

コントロールはアプリで制御

AIRSTEPアプリ

これらの詳細な設定は、無料提供されているモバイル向け専用エディターアプリで行います。
スマートフォンやタブレット(iOS/Android)とAIRSTEPをBluetooth接続し、アプリ上で各スイッチに送信させるコマンド(MIDIのCCやPC、キーストロークなど)や動作モードを編集できます。専用アプリには主要なアンプ・エフェクター・ソフトに対応したプリセットも多数用意されており、目的の機器プロファイルを選ぶだけで基本的なコントロール割り当てが完了するため、MIDIの専門知識がなくても安心です。

例えばKemper ProfilerやFractal Axe-Fx、BOSSのGTシリーズ、Steinberg Cubase等のプリセットが順次提供されており、選択後に微調整するだけで使い始められます。設定内容は本体に記憶され、アプリから切断してもスタンドアロンで動作します。

AIRSTEP Lite(簡易モデル)

AIRSTEP Lite

AIRSTEP Liteは基本モデルの機能を絞り込み、家庭内でのシンプルなワイヤレス操作に特化したエントリーモデルです。外観は基本モデルと同じく5ボタンのフットスイッチですが、こちらは基本モデルの有線インターフェースをすべて省略し、Bluetooth接続のみに対応しています。基本モデルより低価格に抑えられ、自宅での持ち運びや机上配置もしやすいメリットがあります。

用途と機能

Liteの接続端子

AIRSTEP LiteはワイヤレスMIDIコントローラー兼HIDリモコンとして、主にPC・スマホ・タブレット上のソフト制御に使われます。例えば、Bluetooth MIDIに対応したDAWソフトやプラグイン(CubaseやAbleton Live、BIAS FXなど)を足元で操作したり、キーボード操作に対応した配信ソフトや動画プレイヤー(YouTube、Spotify、OBS等)をリモート制御する、といった用途です。

また、AIRSTEP Liteは単体利用だけでなく、基本モデルのワイヤレス拡張フットスイッチとしても機能します。Liteと基本モデル本体を相互にBluetooth接続することで、基本モデルのスイッチを最大10個に拡張できます。
Liteは初期状態でも広範なデバイスに対応できるプリセットモードを搭載しており、ペアリング直後からPCやスマホを操作できます。例えば工場出荷時には、フットスイッチ操作で音楽再生/一時停止や曲送り、ボリューム調整などができるHIDモードが登録されています。

XSONIC「AIRSTEPスペシャルエディション」

AIRSTEPスペシャルエディション

基本モデルのノウハウを生かしつつ、あえて対応する機材を絞り込む形で開発されたのが、「AIRSTEPスペシャルエディション」です。最初から設定が完了しているので専用アプリ「AIRSTEP APP」をインストールする必要すらなく、また特定の機種に特化した専用機なので、安定した作動が期待できます。低価格化を達成しているところも見逃せないポイントです。

「AIRSTEPスペシャルエディション」では、著名な小型アンプYAMAHA「THR-II」シリーズ、BOSS「KATANA」シリーズ、Positive Grid「Spark」、IK Multimedia「TONEX」シリーズそれぞれに最適化した専用機種として、4モデルがリリースされています。カンタンな操作でペアリングでき、どのフットスイッチにどんな機能をアサインするかなど面倒な作業ゼロで利用できます。

そのかわり各アンプの専用機として完結した製品なので、別の機材を操作するようにフットスイッチをカスタマイズしたり、スイッチやペダルを増設したりはできません。


足元の操作で、各チャンネルの音色やエフェクターを切り替えることができるようになります。そのため練習のクオリティを上げられるばかりか、生配信やライブ演奏など本番でも使えるようになります。これは便利。

AIRSTEPのマルチコントロール比較
モデル名 主な対応機器・用途 接続インターフェース エクスプレッション入力 連続駆動時間
XSONIC AIRSTEP MIDI対応アンプ/マルチエフェクト
USB-MIDI機器
Bluetooth/HIDデバイス等
5ピンMIDI入出力
USB(デバイス&ホスト)
Bluetooth
2系統 約300時間
XSONIC AIRSTEP
Lite
PC・スマホのDAW
エフェクトアプリ
譜めくり
プレーヤー操作
Bluetooth のみ なし 約300時間
XSONIC AIRSTEP
Spk Edition
Positive Grid Spark Ampシリーズ(専用) Bluetooth(Spark Ampと直結) なし 約300時間
XSONIC AIRSTEP
Kat Edition(EX)
BOSS KATANA MkI/MkII/Gen3 アンプ(専用) USB(Katanaと直結)
Bluetooth(アプリ連携)
2系統 約15時間
XSONIC AIRSTEP
TX Edition
IK TONEX Pedal/TONEX Capture(専用) USB(TONEXと直結)
Bluetooth(アプリ連携)
2系統 約100時間

以上、XSONIC AIRSTEPをチェックしていきました。
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