《鮮やかなルックスと特殊配線》Fender Player Plusシリーズ

[記事公開日]2022/2/8 [最終更新日]2022/3/30
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

Fender Player Plusシリーズ

2018年に発表された「Player」シリーズは、パンデミック下で多くの人が楽器を始める中で特に厚い支持を受け、通算40万本以上のセールスを記録する大成功となりました。またSNSが音楽を発表する場として定着したこともあり、特に若い世代のプレイヤーにはこれまで以上に多様な個性が見られるようになりました。こうしたプレイヤーたちのために、これまでにない鮮やかなルックスがあり、ワンランク上の演奏体験ができる楽器を提供すべく開発されたのが、「Player Plus」シリーズです。今回は、この「Player Plus」シリーズに注目していきましょう。


Destroy Boys | Player Plus Sessions | Fender
フェンダー社は、このシリーズの発表に合わせて公式TikTokアカウントを開設したほどの気合の入れようです。ここにはこのDestroy Boysほか、さまざまなアーティストが参加しています。

「Player Plus」シリーズの特徴

Fender Player Plusシリーズ:ジョイントプレート

「Player Plus」シリーズは、フェンダーのエントリークラス「Player」シリーズのアップグレード版ではありますが、価格はシビアに抑えられています。「Made in Japan Hybrid II シリーズ」より一段上、かつ「Made in Japan Modern シリーズ」より控えめ、という高すぎない設定です。では「Player Plus」シリーズの特徴を見ていきましょう。

現代の上位モデルにふさわしい新しい顔つき

Fender Player Plusシリーズ:カラー このシリーズを象徴する、ビビッドなカラーリング。

配信とライブの両面を意識したと言われるだけに、ビビッドなメタリックや近年のフェンダーでは珍しいグラデーションカラーといった、攻めた色調が採用されています。ピックガードとのマッチングが渋いエイジド・キャンディアップルレッドや王道のサンバーストなど落ち着いた色調も選べる反面、レギュラーモデルでは定番視されている真っ黒や真っ白が非採用となっているあたりも含めて、カラーバリエーションには深いこだわりが見られます。

Fender Player Plusシリーズ:カラー2 落ち着いた色調もしっかり確保。

「モダン系上位機種」を誇示するヘッドデザイン

Fender Player Plus:ストラトキャスター・ヘッド ストラトキャスターのヘッドでは、部品とロゴの配置についてPlayerシリーズを基本的に踏襲。ストリングガイドが頑丈な現代仕様に変更されている。

Fender Player Plus:テレキャスター・ヘッド テレキャスターのヘッドでは、ストリングガイドが3弦ペグ付近に来る50年代式に変更。

ヘッドの意匠はアルミデカールのブランドロゴとモデル名、そして現代仕様のストリングガイド1基とシンプルにまとまっています。この意匠はモダン系最上位機種「アメリカン・ウルトラ」シリーズと同じです。今のところ、マッチングヘッド仕様はありません。

《最強最新鋭》Fender American Ultra Stratocaster

新開発のピックアップと特殊配線

Fender Player Plusシリーズ:配線 左から、Player Plus Stratocaster、Player Plus Stratocaster HSS、Player Plus Nashville Telecaster。

シングルコイルのポールピースは、通常のシングルコイルよりもほんのちょこっとだけ太め。弦の真下に整然と並んでおり、見た目に整った印象。

フェンダーは世界的なギターメーカーであると同時に、世界的なピックアップのメーカーでもあります。それゆえ新しいモデルには、当たり前のように新しい専用ピックアップが開発されます。

テレキャスター、ストラトキャスターそれぞれに開発された「Player Plus Noiseless」ピックアップは、その名の通りノイズの無い澄み切ったフェンダートーンを出力します。サウンド面では特にクリアさとバランスの良さを重視しており、アンプやエフェクターの設定次第でさまざまなキャラクターが演出できる柔軟性を持っています。

専用ハムバッカーも開発

Fender Player Plusシリーズ・ハムバッカー

ワイドレンジハムバッカーの外観を持つ「Player Plusハムバッカー」は充分な出力があり、温かくファットでありながらきらめく高音域もある、フェンダーらしい音色が特徴です。分離の良いコード感もあり、ソロ/バッキングともに活用できます。

トーンポットで起動する特殊配線

Fender Player Plusシリーズ・コントロール

セレクタースイッチやコントロールノブなど、基本操作は各モデルのオーソドックスな使用法に準じています。それに加えて全機種でトーンポットにスイッチが仕込まれ、プッシュ/プルの操作でピックアップの配線を切り替えられます。スイッチの機能は、モデルによってさまざまです。

  • ストラトキャスター:フロントピックアップ起動。リア+フロント、およびシングルコイル全部という組み合わせが可能。
  • ストラトキャスターHSS:リアのハムバッカーをコイルタップする。
  • テレキャスター:ミックスポジションで、両シングルコイルを直列つなぎ(シリーズ)にする。
  • ナッシュビル・テレキャスター:フロントピックアップ起動。リア+フロント、およびシングルコイル全部という組み合わせが可能。

全ジャンル対応のネック

Fender Player Plusシリーズ・ネック Nashville Telecasterの背面。サテン仕上げのネック裏が鈍く光る。ネックジョイントにヒールカットはないが、バックコンター加工が施されている。

Playerシリーズのネックシェイプ「モダンC」は、Player Plusでも引き続き採用されています。程よい太さがあり、あらゆるスタイルの演奏に適しています。表面はサテン仕上げで、サラッサラの感触です。

リードプレイに特に有利な設計

Fender Player Plusシリーズ・ナット

Playerシリーズの「指板R9.5″、ナット幅42mm」という指板仕様は「指板R12″、ナット幅42.8mm」と、いずれも数値的に拡大されています。弦落ちの予防とチョーキングのしやすさを重視した寸法になっており、リードプレイに特に有利な設計です。ネックのエッジは丁寧に丸められており、ゴツゴツしません。

現代仕様の金属部品

ペグとブリッジについては、チューニングの安定、サスティンの確保、そして明瞭なサウンドを目指した、性能重視の現代仕様で統一しています。

全機種にロック式ペグ装備

Fender Player Plusシリーズ:ロックペグ

ペグは強固なロトマチック・タイプのロック式ペグです。背面のネジで弦を固定するサムホイール式で、短時間での弦交換が可能です。

2点支持トレモロ+ブロックサドル(ストラトキャスター)

Fender Player Plus:ストラトキャスター・サドル

シンクロナイズド・トレモロユニットは、操作性に優れる2点支持です。スチール製ブロックサドルとの組み合わせで、イントネーション、サスティン、チューニングの安定性、トレモロアクション、調整のしやすさに優れます。

肉厚ブリッジプレート+6連ブロックサドル(テレキャスター)

Fender Player Plus:テレキャスター・サドル

テレキャスターのブリッジは、ピッキングを妨げないブリッジプレートに6連スチール製ブロックサドルという組み合わせです。ストレスのない演奏性に加え、イントネーションとサスティン、そしてブライトさに優れます。


Nova Twins | Player Plus Sessions | Fender
でっかいエフェクトボードを駆使しつつ、ガンガン歌いまくる二人。新しい音楽には、新しい楽器が必要なのです。

Fender「Player Plus」シリーズのラインナップ

では、「Player Plus」シリーズのラインナップをチェックしていきましょう。今のところストラトキャスターとテレキャスターから2タイプがリリースされています。木材構成は全機種共通で、現代のフェンダー標準ともいえる、アルダーボディ、メイプルネック、指板はメイプルもしくはパーフェローです。デラックス・ギグバッグが付属します。今のところ、左用はリリースされていません。

ストラトキャスター


Exploring the Player Plus Stratocaster Models | Fender
澄んだ音色と明るいルックスが印象的。特殊配線のサウンドも使いやすそうです。

ストラトキャスターは王道の3シングル配列、リアをハムバッカーに換装したHSS配列、2モデルがリリースされています。両機とも、トーン1がフロントとミドルに、トーン2がリアにかかります。トーン2には、特殊配線の起動スイッチが仕込まれています。

Player Plus Stratocaster

Player Plus Stratocaster

ストラトキャスターの特殊配線は「フロントピックアップ起動」で、普通のストラトでは不可能だった「リア+フロント」および「シングルコイルぜんぶ起動」という二つのサウンドバリエーションが使用できます。

カラーバリエーションは、3カラー・サンバースト、オリンピックパール、エイジド・キャンディアップルレッド、テキーラサンライズ、オパールスパークの5タイプで、ボディカラーに応じて指板とピックガードが設定されています。

左から3-Color Sunburst、Olympic Pearl、Aged Candy Apple Red、Tequila Sunrise、Opal Spark。

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Player Plus Stratocaster HSS

Player Plus Stratocaster HSS

ストラトキャスターHSSの特殊配線は、リアピックアップのコイルタップです。カラーバリエーションは、3カラー・サンバースト、ベルエアー・ブルー、コズミック・ジェイド、シルバーバーストの4タイプで、ボディカラーに応じて指板とピックガードが設定されています。

左から、Belair Blue、3-Color Sunburst、Cosmic Jade、Silverburst。

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テレキャスター


Exploring the Player Plus Telecaster Models | Fender
バリエーションモデルがハムバッカーに行かず、ナッシュビルに行くあたり、フェンダーのチャレンジ精神がうかがえます。

Player Plus Telecaster

Player Plus Telecaster

テレキャスターの特殊配線は、ミックスポジション時の直列つなぎ(シリーズ接続)です。これは原理的にはハムバッカーと同じ状態となり、普通のテレキャスターでは不可能だった太く力強いサウンドが手に入ります。

カラーバリエーションは、3カラー・サンバースト、エイジド・キャンディアップルレッド、コズミック・ジェイド、シルバースモークの4タイプで、ボディカラーに応じて指板とピックガードが設定されています。

左から、3-Color Sunburst、Aged Candy Apple Red、Cosmic Jade、Silver Smoke。

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Player Plus Nashville Telecaster

ナッシュビル・テレキャスターは、テレキャスター用ピックアップの間にストラト用シングルコイルを配置する3S配列で、5WAYセレクタースイッチで操作します。特殊配線はストラトキャスターと同様に「フロントピックアップ起動」で、「リア+フロント」および「シングルコイルぜんぶ起動」という二つのサウンドバリエーションが使用できます。

カラーバリエーションは、3カラー・サンバースト、エイジド・キャンディアップルレッド、バタースコッチ・ブロンド、オパールスパークの4タイプで、ボディカラーに応じて指板とピックガードが設定されています。

左から、Butterscotch Blonde、3-Color Sunburst、Opal Spark、Aged Candy Apple Red。

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以上、新しいルックスと幅広いサウンドバリエーション、そしてテクニカルなプレイにも対応する演奏性を持ったPlayer Plusシリーズを見ていきました。ワンランク上のギターにステップアップしたい人は、ぜひチェックしてください。またPlayerシリーズからも、木材構成をグレードアップさせたワンランク上のリミテッドモデルがリリースされています。指板に丸みのある細いネックが好き、あるいはサウンドバリエーションはこのままでグレードを一段アップさせたいという人は、こちらをチェックしてみてください。

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