PCがギターアンプに!アンプシミュレーター・プラグイン特集

[記事公開日]2021/10/1 [最終更新日]2025/8/30
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

アンプシミュレーター・プラグイン

最近のマルチエフェクターやギタープロセッサーには、必ずと言って良いほどアンプシミュレーターが組み込まれています。アンプで爆音を鳴らさなくてもライン録りで充分なクオリティでの録音ができ、また指先の操作でいくつものアンプのサウンドをとっかえひっかえ使い分けられます。これをパソコン上のDAWでやってしまおう、というのがアンプシミュレーター・プラグインです。そんなわけで今回は、「アンプシミュレーター・プラグイン」に注目していきましょう。


IK Multimedia AmpliTube 3 Free – 無料ギターアンプ・エフェクター・プラグイン
アンプシミュレーター・プラグインは、アンプの設定やエフェクターの配置、録音時のマイクの向け方にいたるまで、ギターのサウンドを作り込むことができます。しかもこのように無料で手に入っちゃうものもあるんです。

「アンプシミュレーター・プラグイン」って何?メリットは?

「プラグイン」とは、「アプリに機能を追加するソフトウェア」のことです。アンプシミュレーター・プラグインとは、もともと打ち込みや録音をするためのDAWアプリケーションに、ギターアンプの機能を追加するソフトウェアのことです。レコーディング作業において、そのメリットは絶大です。

超コンパクトな機材で、本格レコーディングが可能

アンプシミュレーター・プラグインを使えば、ギターをオーディオインターフェイスに直接挿しこむだけで、本格的なギターサウンドを録音することができてしまいます。ライン録りですから、深夜に自宅でギターの録音を始めても誰の迷惑にもなりません。

アンプシミュレーターが誕生するまで、ギターの録音と言えば近隣との騒音問題に気を付けなければなりませんでした。また真空管アンプは性能を発揮するためにある程度以上の音量を出す必要がありますから、録音スタジオにアンプとギターを持ちこみ、機材を設営して、マイクを立て、レコーダーにつなぎ、といったいろいろな肉体労働が必要でした。
アンプシミュレーター・プラグインを導入することで、これらの厄介事がキレイサッパリ片付いてしまうわけです。

録音した後からでも、違うアンプを試すことができる

「アンプから音を出してこそ、エレキギターだ」「爆音を鳴らしてこそ、真空管アンプだ」「エフェクターで作った音を録音しても、同じでしょ」まさにそのとおりです。しかし、録音の可能性にフォーカスした場合、こちらのメリットはどうでしょうか。

アンプシミュレーター・プラグインを利用すると、録音した後からでもアンプの設定を変更したり、アンプ自体を変更したりできてしまうんです。演奏時にアンプを通ったギターサウンドでモニターしていても、PCに保存されるのはケーブルを通っただけのギターの音です。この音をアンプシミュレーターに通す形で、ギターサウンドは再生されます。ですから録音した後からでもアンプの設定を調節したり、いっそのことアンプを取り換えたりもできてしまうんです。

後からイコライジングで補正するなんていうものではなく、最初から全体のバランスを見据えたバッチリなセッティングで録音したかのような、神業的なサウンドメイキングが可能です。

「アンプシミュレーター・プラグイン」には、どんな機能があるの?

「アンプシミュレーター・プラグイン」にはさまざまな機能がありますが、一般的には機能ごとに別々のプラグインを作り、「アンプシミュレーター・プラグイン」というパッケージを構成しています。また機能ごとに単体のプラグインとして公開されているものもあります。「アンプシミュレーター・プラグイン」にどんな機能があるのか、代表的なものを見てみましょう。

アンプシミュレーター

Amplitube
IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。ジョー・サトリアーニ師匠の機材を思う存分いじることができる。

単体の機能としてのアンプシミュレーターは、「プリアンプ」もしくは「アンプヘッド」のシミュレーションです。ギターから受けた信号をキャビネット(スピーカー)に送る寸前までを担当し、有名メーカーの著名なアンプを再現するものが多く作られています

キャビネットシミュレーター/マイクシミュレーター

キャビネット・シミュレーター IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。

キャビネットシミュレーターとマイクシミュレーターはセットになっていることが多く、どんなキャビネットを使い、どんなマイクをどこに配置して録音しているのかをシミュレートします。写真の例のように実際の機材を操作するものもありますが、現在では「IRデータ」を読み込んでリアルなサウンドを作りだすものが主流です。


LePou Plugins Le456 – Free VST/AU Guitar Amp Simulator 無料ギターアンプ・プラグイン
「キャビネットシミュレーターを使わなかったら、こうなる」という言わば失敗例です。いかついルックスの割に、なんだか物足りない音に聞こえますよね。やはり、スピーカーで空気を振動させてこそのギターサウンドなのです。

IR(IRデータ)とは?

「IR(インパルス・レスポンス)」とは、スピーカーから短い音(インパルス)を発した時の反応(レスポンス)のデータです。このデータには、実際に出た音に反応したキャビネットや部屋の響き具合、マイクの個性などさまざまな要素が含まれています。実際に発せられた音から作ったIRを読み込むことで、実際にスタジオでキャビネットを鳴らしてマイクで拾ったような、非常にリアルなサウンドを作ることができる、というわけです。

エフェクター

プラグイン・エフェクト
IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。

ギター用からスタジオ用まで、さまざまなエフェクターも含まれます。これらを自由に配置し、設定も自由に決めて、イメージ通りのギターサウンドを作ることができます。

「スタンドアロン」機能があれば、ライブでも使える

「プラグイン」はDAWに組み込まれる「部品」ですから、本来DAWなくしては使うことができません。これに対し「スタンドアロン(stand-alone、自立)」機能があれば、DAWに頼らず単体のソフトウェアとしても使用できます。PCをギタープロセッサーのように使えて、ライブで使用することもできるわけです。MIDI対応ならば、フットスイッチでコントロールすることもできます。

おすすめのアンプシミュレーター・プラグイン

ここからいろいろなアンプシミュレーター・プラグインをチェックしていきますが、自分のDAWに組み込まれているプラグインがあれば、まずはそれを試しに使ってみましょう。インストールや設定などの作業なく使えます。
これに物足りなくなってしまったら、いよいよアンプシミュレーター探しの旅が始まります。安いものや無料のものはポイントを絞った作りに、高額なものは包括的にサウンドメイキングが完了できる作りになっています。

完全無料プラグイン

まずはお試し期間があるわけでも有償アップグレードがあるわけでもない、完全に無料プラグインとして公開されているアンプシミュレーターを見てみましょう。

無料でお試しできる有力プラグイン

こちらは、プロの要求にも耐えうる性能を無料で体験できちゃうプラグインです。ただし、試用期間が設けられていたり機能に制限が加えられていたりしています。製品版はなかなかの高額ですから、不本意な買い物にならないよう、自分のDAW環境でちゃんと走るのか、自分がしっかり使い込む道具として使いやすいのか、無料版で確認できるというわけです。

無料で試すまでもない、強力なプラグイン

こちらは有料版のみリリースされている、アンプシミュレーター・プラグインです。クオリティに釣り合うかのように価格も高めなので、初心者の最初の1本としてではなく、ある程度の経験を積んだ段階で次のレベルに行くために導入するのがお勧めです。

以上、アンプシミュレーター・プラグインについて注目していきました。DTMを強力にサポートする便利なアイテムなので、いろいろ試してみてください。

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