《初心者必見》自宅で良い音でギターをレコーディングする方法(ライン録り)

[記事公開日]2021/6/15 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

良い音でレコーディング

「弾いてみた」や「歌ってみた」、またはオリジナル曲の制作など、簡単なものならスマホが1台あればできてしまいます。しかし、もっと良い音で録りたい、もっと凝った曲にしたい、と思ったらそれなりの設備が必要になってきます。今回は「自宅でエレキギターをライン録りする」という目的に絞って、どうすれば実現できるのか、いろいろなパターンを見ていきましょう。

《自宅レコーディングに必要なもの》コレがあれば、ギターを録音できる!

ではさっそく、ギターの録音には何が必要なのかを見ていきましょう。現在もっとも標準的な録音環境は、「PC」「オーディオインターフェイス」「ケーブル」「DAW」の4つが揃えばどうにかなります。

じゅうぶんなスペックのパソコン

パソコン 音楽に限らず、クリエイト系はMacが強い。専門家になると、自宅用にパワフルなデスクトップを置き、持ち出し用に軽量なノートを持つようになる。

スマホやタブレット全盛の現代ですが、音楽制作の主力はまだまだパソコン(PC)です。そんなわけで、ご自宅にPCがあったら、さっそくスペックをチェックしてみましょう。ギターの録音には、

  • CPU:64bit Intel Core i5以上
  • メモリ:4GB(8GB以上が推奨)
  • HDD容量:あるだけ(100GB以上が望ましい)

これくらいのスペックがあれば、だいたい問題ありません。新たにPCを調達するのなら、これよりもできるだけ高いスペックを狙いましょう。ギターの録音など音楽制作では、PCになかなか重たい処理が要求されます。マシンパワーには、ある程度のゆとりがあった方が安心なのです。

六弦かなで

Macが良いのか、Windowsが良いのか

意見の分かれるところでが、これは「レスポールが良いのか、ストラトキャスターが良いのか」のようなもので、運命を分かつほどの違いこそあれ、どちらを選んでもちゃーんと録音できます。ちなみに、一般論としてMacは音楽制作と相性が良く、ドライバのインストールなくして周辺機器を接続できます。Windowsは本体の選択肢が多く、比較的低価格で揃えることも可能です。

オーディオインターフェイス(Audio Interface)

オーディオインターフェイス Universal Audio Apollo Twin。お弁当箱サイズくらいのものが多い。

オーディオインターフェイスは「ギターから出力されるアナログ・オーディオ信号をデジタル信号に変換する装置」ではありますが、カンタンに言うと「ギターを挿すところ」です。もともとPCには、ギターアンプのようなインプットジャックはありません。PCにオーディオインターフェイスを接続することで、ギターの音をPCに送れるようになるわけです。音の出口として、ステレオやヘッドホンの接続端子も備わっています。

近年では、この機能が備わっているアンプやエフェクターも珍しくありません。お手元のギターアンプやマルチエフェクターに、オーディオインターフェイスの機能があるかどうか、チェックしてみましょう。

2021年:オーディオインターフェイスの選び方とおすすめモデル – DTM博士

USB/Thunderboltケーブル

PCとオーディオインターフェイスをつなぐのが、適合するUSBケーブルやThunderbolt(サンダーボルト)ケーブルです。オーディオインターフェイスに付属している場合もありますが、無ければ調達する必要があります。Thunderboltケーブルの端子は今のところ1種類しかないので、適合しないものを買ってしまうような心配はありません。ところがUSBケーブルには、伝送速度に2.0、3.0、3.1の3種、主な接続端子だけでもType-A、Type-B、Type-Cの3種あるので、何が適合するのかはしっかりチェックしておきましょう。通常、PC側がType-A、周辺機器側がType-BかCです。

USBケーブル(Bタイプ) 左がType-B、右がType-A。「ABケーブル」、「タイプA-タイプB」など、呼び方は統一されていない。

USBケーブル(Cタイプ) こちらはUSB2.0A-Cケーブル。タイプCは表裏が無いので、抜き差しに困らない。

DAWソフト

DAW パソコンの中で音楽制作ができる、それがDAWソフトだ。

ギター録音をはじめとする、音楽制作を行うソフトウェアの総称が「DAW(Digital Audio Workstation)」です。「ダウ」とも「ディーエーダブリュー」とも読み、「DAWソフト」と呼ぶこともあります。単体で販売されることも、「バンドル」と言って何かのオマケで付属するものも、また無料で手に入っちゃうものもあります。

DAWはSonar、Acid、Digital Performer、Logic、Cubase、Pro Toolsなど、代表的なものだけでもさまざまリリースされています。

オススメのDAW(作曲)ソフト一覧 – DTM博士

六弦かなで

初心者は、どのDAWがいいの?

それぞれに運命を分かつほどの違いこそありますが、これから始める人にとっては、初めてギターを買う時のように、どれがいいのか判断に悩むかもしれません。Windows版のみ、Mac版のみのものがあるほか、両方に対応するものもあります。どれもが考え抜かれて完成した、業務レベルで使えるものです。

フィーリングで選んでも良いですし、機材に付属するバンドル版から試してみてもいいでしょう。Macの人には、プリインストールされているDAW「GarageBand(ガレージバンド)」があります。「ボカロP」になる野望を抱いている人は、ボーカロイドと極めて相性の良い「Cubase(キューベース)」がお勧めです。

《タイプ別》ギター録音の方法

ではここから、ギターアンプ、マルチエフェクター、オーディオインターフェイスなどいろいろなデバイスを利用してギターを録音する方法を見ていきましょう。さきほど標準的な録音にはPCが必要だと紹介したばかりですが、PCを使わなかったらどうすればよいか、これについても考えていきましょう。

ギターアンプを使う

オーディオインターフェイス機能のあるギターアンプやアンプシミュレーターがあれば、PCに接続することでレコーディングができます。ここでは最初に、フェンダーの超小型パーソナルアンプ「Mustang Micro(ムスタング・マイクロ)」をピックアップしましょう。「Mustang Micro」は、ワイヤレス送信機ほどの大きさに12種類のアンプタイプ、EQ、12種類のエフェクターを収録した、練習用の超小型ヘッドホンアンプです。

Fender Mustang Micro ギターにそのまま差し込み、ヘッドホンを使用するヘッドホンアンプ「Mustang Micro」。練習を目的としたものだが、PCと連携することで録音もできる。

ヘッドホンは有線ですが、ギター自体はアンプとつなぐケーブルから解放されます。またBluetoothオーディオをストリーミングできますから、音楽に合わせて練習できます。本体正面のホイールで音量を操作し、本体側面のスイッチで順番に音を切り替えます。

《超小型で便利なヘッドホンアンプ》Fender「Mustang Micro」

USBケーブルでパソコンとアンプを繋ぐ

オーディオインターフェイス・アンプ オーディオインターフェイスは、PCに直接つなぐのが基本。Mustang Microで録音する場合には、シールドと同じ要領で3m程度のUSBケーブルを用意するとストレスなく作業できる。

「Mustang Micro」の場合、PCとはデバイス側が「Type-C」のUSBケーブルで接続します。接続にはUSBハブを使わず、本体に直接つなぐ必要があります。録音のためには、Windows10では「ASIO4ALL」ドライバのインストールが必要です。Macならそのまま挿せばOK。

Windowsでは、「ドライバのインストール」が必須

Windowsマシンに機材を接続する前には、ほとんどの場合「ドライバのインストール」という作業が必要になります。「ドライバ」は、機材の動かし方をPCに教えるソフトのことです。正しいドライバを手に入れる方法は、取説に従って同梱のCO-ROMを読み込むか、公式サイトから入手するか、という二つに分かれます。

DAWを起動、オーディオ入出力を設定して、録音開始!

入力デバイスの設定 パソコンとUSBケーブルで繋いだら、DAWソフト上で入力デバイスを設定する。これでようやく音が出るようになる。

DAWを起動してオーディオ入出力の設定を済ましたら、ギターの録音を開始できます。録音では、「Mustang Micro」で作られたギターサウンドが、ケーブルを通してPCに送られます。

ここで注意すべきは、「Mustang Micro」のオーディオインターフェイス機能が「ギターの音をPCに送ることのみ」に絞られているということです。音楽に合わせて録音したい場合でも、本体のヘッドホン端子へは音楽が送られません。この場合、PCのヘッドホン端子か他のモニタースピーカーか、どちらかを利用する必要があります。

いろいろなアンプが利用できる

YAMAHA THR II デスクトップアンプ「YAMAHA THR II」では、背面にUSB端子(Type-B)を装備している

ほかのアンプを使った例も考えてみましょう。「Fender Mustang LT25」や「YAMAHA THR II」シリーズのように、PCとUSB接続する設計のアンプであれば、アンプのスピーカーをレコーディング用のモニターに使うこともできます。音楽に合わせて録音する場合、その音楽も自分が演奏するギターの音も、ギターアンプのスピーカーから出てくるわけです。もちろんヘッドホンを利用すれば、音の問題を心配することもありません。

はじめてのアンプに!Fenderの小型デジタルアンプ 「Mustang LT25」
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マルチエフェクターを使う

マルチエフェクター 「HX Stomp(ストンプ)」。小さな本体に、機能がいっぱい。

さて次はLine 6「HX Stomp」をピックアップして、マルチエフェクターをPCにつなげて録音する方法を見ていきましょう。基本的にギターアンプを使用する時とほぼ同じですが、高機能なモデルではもうすこし高度な使い方に挑戦できます。

HX Stompは、コンパクトな本体に高品位なギターアンプやエフェクターの音を収録したマルチエフェクターです。単体での使用はもとより、サイズを活かしてエフェクターボードに組み込めたり、またPCと連動した音作りができたりオーディオインターフェイスとして使用できたりと、1台で何役もこなすことができます。

おすすめのオーディオインターフェイス機能付マルチエフェクター
Line 6 HX Stomp – Supernice!エフェクター

マルチエフェクターとPCをUSB接続する

マルチエフェクターで録音 このサイズだと、PCと共に机に置いても邪魔になりにくい。

USBケーブルを手配し、PCに接続します。ギターアンプの時と同様、USBハブは使用せず、PC本体に直接つなげます。

DAWを起動、オーディオ入出力を設定して、録音開始!

PCとの接続が完了したら、あとはギターアンプの時と手順は同じです。DAWを起動、ギターの音をHX Stompから入れるように設定、また全体の音をどこから出すか設定し、録音を開始します。普通に録音すると、ギターアンプの時と同様、HX Stompで完成させたギターサウンドがそのまま録音されます。

アンプとキャビネットは、解除しない方が良い

マルチエフェクターには、常識のようにアンプ/キャビネット・シミュレーターが備わっています。ヘッドホンで聴いたりPAに送ったりするとき、たいへん便利です。しかし、ギターアンプに接続して使う場合は、わざわざシミュレーターに頼らなくても大丈夫です。

一方で、PCに接続する場合には実物のアンプもキャビネットも無いですから、その代わりとなるシミュレーターが必要になります。録音には、アンプ/キャビネット・シミュレーターをしっかり使いましょう。なお、使わなかったとしても「使わなかった音」になるだけのことで、故障したり爆発したりすることはありません。

オーディオインターフェイスを使う

オーディオインターフェイス Steinberg UR24C:手頃な価格で32bitの高音質レコーディングが可能なオーディオインターフェイス

これまで見てきたように、ギターアンプやマルチエフェクターのオーディオインターフェイス機能を使って、ギターを録音することはできます。今回は「ギターを録音する」という特集ですから、アンプやエフェクターで目的はじゅうぶん達成できます。しかし今後、ボーカルその他、ギター以外のパートを録音しようと思ったら、やはりギター用のデバイスでは対処できません。将来の活用を見越し、オーディオインターフェイスを導入するというのもポピュラーなアプローチです。またこれがあれば、オーディオインターフェイス機能のないマルチエフェクターでも録音できます。

ギタリストが手に入れたいオーディオインターフェイスおすすめモデル

PCと接続、DAWを立ち上げ、オーディオ入出力の設定をする

パソコンと接続 Steinberg UR24CはパソコンのUSB端子から電源供給できる「バスパワー駆動」に対応しているので、別途電源が必要ない

PCとの接続、またDAWの設定については、先述したギターアンプやマルチエフェクターの例と同じです。ただし、ギターを直接つないでいるだけでは、出てくる音はアンプもエフェクターも通っていない、「素」の音です。このツルツルのクリーンサウンドを本格的なギターサウンドに化けさせるのが、「プラグイン・エフェクト」です。

PCが苦手でも、どうにかなるよ!

さてここまで、「録音にはPCが必須」という論調で進めてきました。現代の録音では、やはりPCを使用したレコーディングが一般的なんです。「そんなこと言われても、PCは苦手なんだよ!」というあなた、ご安心ください。そんなわけで、ここからはPCじゃなかったらどうすればいいのか、というお話です。現実的な選択肢としては「マルチトラックレコーダー(MTR)」と「iOSデバイス対応オーディオインターフェイス」の二つがあります。

マルチトラックレコーダー(MTR)を使う

ZOOM R16 ZOOM R16

PCでの録音が一般化する前は、MTRが録音の主軸でした。かつては磁気テープが使われていましたが、現代のMTRはハードディスクやSDカードに録音するのが普通です。MTRは、録音のために作られた専用機であって、スペックがどうとかどれをつなげるかなど、初期設定を気にしなくてよい、また外へ持ち出しやすい、という2点がメリットです。

iPhoneでも、ちゃんと録音できる!

iPhone iPhone/iPadなどのiOSデバイスにもDAWソフトが用意されているので、本格的なレコーディングも可能だ。

最後はiPhoneやiPadなど、iOSデバイスを利用する録音の方法です。スマートデバイスによる録音という分野では、今のところiOSの独走態勢となっています。PCをメインにしていても、外で手軽に録音するためにスマホを活用する、という人も多くいます。

「プラグイン」ではなく「アプリ」と呼ぶなど異なる名前が使われますが、基本は上記「オーディオインターフェイスを使う」に近い感じです。対応するオーディオインターフェイスを接続し、アンプシミュレーターやエフェクターのアプリで音を作り、DAWアプリで録音、という手順になります。スマホ本体のスピーカーではじゅうぶんなモニタリングがしにくいですから、ヘッドホンやイヤホンを使いましょう。


以上、ギターを録音するためのいろいろな方法を見ていきました。いろいろな方法が、またいろいろなデバイスがありますが、まずは始めやすいところから試してみてください。

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