国産の雄「HISTORY」から、価格を抑えた「CV」シリーズが登場!!

[記事公開日]2019/10/30 [最終更新日]2019/10/31
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

HISTORY CVシリーズ左:CV-SV、右:CV-TV/M

ブランド設立25周年となった2019年、「HISTORY(ヒストリー)」は価格をキュっと圧縮した「CV」シリーズを発表しました。プロミュージシャンも使っているHISTORYが、国産でありながら6万円台で買えるとあって注目を集めています。今回はこれから始める人の最初の一本として強くお勧めできる、HISTORY「CV」シリーズに注目していきましょう。CVシリーズはこんなギターです。

いや、その前に「HISTORY」って?

HISTORY:ロゴ

「HISTORY」は、島村楽器がプロデュースする国産ギター/ベースのブランドです。一見オーソドックスなスタイルのギターですが、「随所に施された現代的なアレンジ」と「日本製だからこその丁寧な作り」を持ち味としており、多くのギタリストに支持されています。上位機種には「ヘリテイジウッド」や「サークル・フレッティングシステム(CFS)」といったプレミアムな仕様が採用され、他にはない存在感を発揮しています。

HISTORYのギターについて

「CVシリーズ」のラインナップ


CV-SV、CV-TV/M。サウンドにはルックス通りのキャラクターがありますね。CV-SVには「軽快かつ広がりがある」、CV-TV/Mには「抜けが良く、ストレートに飛ぶようなサウンド」だと博士は感じたようです。あなたはどう思いましたか?

まずはCVシリーズのラインナップを見て行きましょう。CV-SV、CV-TVは、1950年代に誕生し今なおスタンダードであり続ける「王道スタイルのエレキギター」を踏まえて作られています。まさに定番のスタイルであり、どんな現場にも堂々と持っていくことができるギターです。CV-SV、CV-TVともに指板材でバリエーションを設けていますが、それに応じてボディカラーとネックシェイプにも違いが設けられています。またベースも2種類ラインナップされています。

CV-SV、CV-SV/M

HISTORY CV-SV
CV-SV
指板材はカリマンタン・エボニー、ネックはUシェイプ、ボディカラーはサンバースト/黒/白/赤/オールド・シェルピンクの5色を用意

HISTORY CV-SV/M
CV-SV/M
指板材はメイプル、ネックはソフトVシェイプ、ボディカラーは黒/オーシャンターコイズメタリックの2色を用意

CV-SV、CV-SV/Mは、

  • 3つのピックアップの組み合わせで、5種類の音色を持つ
  • 最終22フレットまで指が届きやすく、ハイポジションが弾きやすい
  • ボディの表裏が滑らかにカットされており、構えやすい
  • シンクロナイズド・トレモロユニットがついており、アーミングができる

という多機能ぶりで、「王道スタイルのエレキギター」の特徴をしっかり継承しています。カリマンタン・エボニー指板のCV-SV、メイプル指板のCV-SV/Mはネックとボディカラーにも違いがあり、計7色がラインナップ。珍しい色調もあり、選ぶ楽しさがあります。

HISTORY CV-SV

CV-SV OSP(オールド・シェルピンク)
  • HISTORY CV-SV
  • HISTORY CV-SV:ボディ
  • HISTORY CV-SV:コントロール
  • HISTORY CV-SV:ヘッド
  • HISTORY CV-SV:ヘッド裏
  • HISTORY CV-SV:ボディバック
  • HISTORY CV-SV:ブリッジ
  • HISTORY CV-SV:ネックジョイント
  • HISTORY CV-SV:指板R

HISTORY CV-SVを…
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CV-TV、CV-TV/M

HISTORY CV-TV
CV-TV
指板材はカリマンタン・エボニー、ネックはUシェイプ、ボディカラーはサンバースト/赤の2色を用意

HISTORY CV-TV/M
CV-TV/M
指板材はメイプル、ネックはソフトVシェイプ、ボディカラーは白/黒/ナチュラル/オーシャンターコイズメタリックの4色を用意

CV-TV、CV-TV/Mは、

  • 大小のピックアップによる、違いのはっきりとした3音色
  • 表裏とも平面のボディ
  • カッタウェイは片側だけだが、最終22フレットまで十分使える
  • ストラップで吊ると水平になろうとするボディバランス

というキャラクターで、定番エレキギターの特徴をしっかり受け継いでいます。やはり指板材ごとにネックシェイプとボディカラーが分けられていて、計6色展開。選ぶ楽しさがあります。

HISTORY CV-TV/M

CV-TV/M VNT(ヴィンテージナチュラル)
  • HISTORY CV-TV/M
  • HISTORY CV-TV/M:ボディ
  • HISTORY CV-TV/M:ピックアップ
  • HISTORY CV-TV/M:ヘッド
  • HISTORY CV-TV/M:ブリッジ
  • HISTORY CV-TV/M:ネック
  • HISTORY CV-TV/M:ボディバック
  • HISTORY CV-TV/M:指板R

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CV-BJ4、CV-BJ4/M

HISTORY CV-BJ4

ベースは指板材にカリマンタン・エボニーを採用した「CV-BJ4」、メイプル指板モデル「CV-BJ4/M」の2種類/5モデルがラインナップ。フレットを弧状にする「サークル・フレッティング・システム」が施され、低音域でのピッチ(音程)感が良好になり抜けの良い安定したサウンドを実現しています。

CVシリーズの特徴を掘り下げる!

ではもう少し、CVシリーズの特徴を掘り下げていきましょう。

ボディの木工/塗装は海外、ネック製造/組み込みは国内

HISTORY CV:ボディとネック 海外製のボディと日本製のネックががっちりと合わさった、国際親善を絵に描いたようなCV-SVのネックジョイント部。ボディの仕上がりはキレイで、ネックではフレットの端がネックからはみ出ないよう、ていねいに整えられているのが分かる。

CVシリーズは第一に、本来なら8~10万円になる価格帯を6万円台まで圧縮させることに成功しています。ネック製造、組み込みといった高い精度が求められる工程を日本で踏みつつ、ボディの木工と塗装は海外に委託することで原価を下げたわけです。

海外工場のボディ製造技術は日本の出荷基準に追いついたと認められており、仕上がりの美しさは日本製のボディに引けを取りません。これに日本製のネックを取り付け、日本国内で完成させます。CVシリーズは、低価格帯ながら「メイドイン・ジャパン」の名に恥じない、「価格帯を越えたクオリティ」を持っているのです。

HISTORY上位モデルとほぼ同じ仕様

「CV」シリーズの一つ上位には、標準機「CZ」シリーズがあります。

  • 調整がシビアで、最初から弾きやすい状態
  • 現代的なネック仕様で、ソロもコードも弾きやすい。
  • メンテナンス性も考慮した設計
  • ボディ材、ネック材、ピックアップ、電気系や金属部品などほとんどのパーツが同じ仕様

両者はこのような共通点をもつ「ほぼ同じ楽器」だと言えます。

HISTORY CV:ヘッド裏 CV-SVのヘッド裏。ペグにロゴはないが、GOTOH社製が採用されている。

ボディの製造国以外の相違点は、指板とネックジョイントです。また、CVはカラーバリエーションが多く、「友達と色がかぶりにくい」という大きなメリットがあります。

CVシリーズ CZシリーズ(標準機)
指板材 カリマンタン・エボニー ローズウッド
ネックジョイント ノーマル ヒールカット

表:CVとCZの違い

CVの指板材「カリマンタン・エボニー」は、硬く強靭で、水に沈むほど重い木材です。「ヒールカット」は、ジョイント部を削ってハイポジションを弾きやすくする設計です。

「ヴィンテージ・スタイル」のギターとはどう違うのか?

HISTORYのCVシリーズは、オーソドックスなギター本体に現代的なアレンジを施した、いわば「モダン・スタイル」のギターです。ではその対極にある「ヴィンテージ・スタイル」とはどう違うのか、そこのところを見ていきましょう。

「ヴィンテージ・スタイル」、「モダン・スタイル」の意味

用語に明確な規定はありませんが、エレキギターでいう「ヴィンテージ・スタイル」とは、だいたい1950年代から1970年代までの「旧式」な設計を言います。これに対する「モダン・スタイル」は、1980年代以降の「現代的」な設計です。

エレキギターのスタンダードモデルは、半世紀以上も姿を変えずに愛されてきました。しかし、歴史とともに弾きやすさへの研究が進み、細かいところに変化が加えられています。昔の仕様を再現したこだわりのヴィンテージ・スタイルより、モダン・スタイルの方がだいたい弾きやすくできているのです。

じゃあ、ヴィンテージ・スタイルは楽器として駄目なのかというと、決してそうではありません。ヴィンテージ・スタイルは歴史上の名演を支えたギターに近い設計であり、現代でも通用する楽器です。またそのため権威とかっこよさを感じさせます。

ネックの演奏性

上:CV-SV、下:CV-TV/M
どちらも22フレット仕様

CV-SV:指板RCV-SV:フラット気味な指板R

CVシリーズのネックは現代的な設計を取り入れ、

  • フレット数22(昔のギターは21フレット)
  • フラット気味な250mmRの指板(旧式はもっと丸い)
  • 指を運びやすいミディアムサイズのフレット(旧式はもっと細い)

となっています。こうしたネックは、チョーキングやスライドなどの技に有利です。また22フレット仕様のため、ギターソロなどのリードプレイにも音域的に安心です。

メンテナンス性

CV-TV:ブリッジ CV-TVの6連サドル。現代の流行は旧式の3連サドルだが、6連の方がピッチは正確になる上に、弦ごとに弦高が調整できる。

CV-TV:ピックアップ CV-TVのフロントピックアップは高さ調節ができるようにネジが取り付けられている。

ギターと付き合うには、たまに調整して「正確なピッチ(音程)」と「弾きやすさ」を維持/向上させる必要があります。CVシリーズは現代的なメンテナンス性も考慮されているので、やがて自分でも調整できるようになれます。CVシリーズの現代的なところと、ヴィンテージ・スタイルだったらどうだったのかを並べてみましょう。

モデル名 箇所 CVの現代的な特徴 旧式だったら
共通 トラスロッド調節口 ヘッド側にあるので、調節の時にネックを外さなくてよい。 ボディ側にあるので、ネックを外して調節する。
CV-SV バックパネル スリットが刻まれている。 トレモロスプリング調整には、パネルを外す。
CV-TV フロントピックアップ ピックガードマウントなので、高さ調節しやすい。 高さの調節には、ピックガードをいったん取り外す。
CV-TV サドル 6連なので、ピッチが正確。 3連なのでシビアなセッティングは苦手。

表:CVシリーズの現代性

HISTORY CV-TV:トラスロッド CV-TVのトラスロッド。ヘッド側なので自力での調整にチャレンジしやすい。

CVに残されたヴィンテージ・スタイル

CV-TV:ボディ裏 CV-TV/Mのまっ平らなボディ裏。この潔さこそが、権威あるヴィンテージ・スタイル。

CVシリーズはモダン・スタイルのギターですが、どこをとっても現代風、というわけではありません。いろいろなところにヴィンテージ・スタイルが残されており、全体的なバランスを形作っています。こんどはどんなところがヴィンテージ・スタイルなのか、わかりやすいところを見ていきましょう。

モデル名 箇所 CVの旧式な特徴 現代版だったら
共通 ジョイント部 ヒールカットなし。 ヒールを削って、演奏性をさらに向上させる。
CV-SV ブリッジ 6本のネジで設置。鉄板状サドル。 2本のネジで設置。ブロック状サドル。
CV-TV ボディ形状 真っ平。 身体にフィットするように削る。

表:CVシリーズに残されたヴィンテージ・スタイル

ヒールカットについては「ヒールを削らなかったからこその鳴りがある」という考え方もあり、オーソドックスな形状のギターでは高く評価される傾向にあります。CV-TVに至っては、ボディの表裏が平面のままの、古式豊かなボディが採用されています。


HISTORY CV

以上、HISTORYからリリースされた「CV」シリーズに注目していきました。CVシリーズは部活でギターを始める学生さんなど、初心者の人に特におすすめできるギターです。「最初の一本」を探している人は、ぜひ候補に入れてください。

「1万円台でギターが買える時代に、6万円台なんて高いんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。しかし「愛機」として長く付き合うなら、巧くなってからも使える品質が必要です。CVシリーズは日本製で、どこに出しても恥ずかしくない、ちゃんとした楽器です。

また、メンテナンスがしやすい設計になっているため、電気系を操作したり、弦を交換したり、果ては好みの状態に調整したりと、いろいろな体験を経てギターへの理解を深めるのに適しています。CVシリーズは、これからギターと付き合っていく人にこそふさわしいと言えるでしょう。

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