エレキギターの総合情報サイト

《ケーブル不要!》ギター用ワイヤレスシステム特集

日常で気軽に使える低価格モデル

1万円台の低価格なワイヤレスシステムが登場したことで、ワイヤレス市場は一気に湧きあがり、ユーザーの関心が高まりました。低価格モデルとはいえ音質は良く、日常的な使用以外にもちょっとした規模ならライブで使うこともできます。

Xvive「U2」シリーズ

Xviveの「U2」シリーズは、市場的には地味な存在だったワイヤレスシステムに光を当てた画期的な製品です。「送信機と受信機が同じルックス」、「送信機も受信機も、ギターやアンプに挿すだけ」という低価格ワイヤレスのひとつの「お約束」は、このモデルが定着させたと言っても過言ではありません。

  • 最大伝送距離:30m
  • 駆動時間:約5時間
  • 周波数特性:20Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:103db以上
  • レイテンシー:6ms未満

というスペックはやはり後発モデルや上位機種にはかないませんが、日常的な使用やちょっとしたライブで「じゅうぶん使用に耐える」と判断する声が多く上がっています。曲線で構成される独特のルックス、豊富なカラーバリエーションも手伝い(それでも「黒」が一番人気)、下記BOSSと二分する高い支持を誇っています。


Wireless Guitar – Yes or No? (Xvive U2 Demo)
自宅での練習がとっても楽しくなる感じのレビュー動画です。

Xvive U2を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

NUX「B-2」

Xvive「U2」の対抗馬として名乗りを上げたのが、先ほどチェックしたNUX(ニューエックス)の「B-2」です。カクカクしすぎないデザイン、折りたためるプラグといった特徴は「U2」シリーズを意識しているようですが、

  • 最大伝送距離:30m
  • 駆動時間:約6時間
  • 周波数特性:10Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:110db
  • レイテンシー:5ms未満

このように性能面での向上が見られます。

NUX B-2を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

BOSS「WL」シリーズ

BOSS WL-20

Xviveが開拓してNUXが対抗した「低価格ワイヤレス」市場に、満を持して大きく上を行くモデルを投入したのがBOSSです。

  • 最大伝送距離:見通し15m
  • 駆動時間:約10時間
  • 周波数特性:20Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:110db以上
  • レイテンシー:2.3ms

最大伝送距離こそ短めですが、注目すべきは高額な上位モデルにも迫ろうという「際立った超低レイテンシー」です。二つ直列で使ってもまだ上記「B2」より速いことから、「ギター/エフェクトボード間」だけでなく「エフェクトボード/アンプ間」までもワイヤレス化させる猛者が現れました。

《BOSS WL-20レビュー》小型で高品質なギターワイヤレスシステム

Line6 「RELAY G10」

Line6  RELAY G10

Line6のワイヤレスシステム「RELAY」シリーズで最も手に入れやすいのが「G10」です。操作ボタンはなく、充電器を兼ねる受信機、自動チャンネル設定というユーザーフレンドリーな機能に加え、受信機に「キャノンアウト」が備わっているのがポイントです。ギタリストには無用かもしれませんが、DIやPAへ直接音を送ることができます。

  • 最大伝送距離:見通し15m
  • 駆動時間:約8時間
  • 周波数特性:10Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:110dB
  • レイテンシー:2.9ms

レイテンシーこそBOSSに一歩譲っていますが、Line6のワイヤレスシステムは全モデル「周波数特性10Hz~20KHz」になっており、理論上全モデル同じクオリティの音が出ます。普段はこのG10を気楽に使い、ガチの現場で上位機種を使っても、同じ感覚で本番に臨めるわけです。


Relay G10登場 – 史上最も簡単なギターワイヤレス | Line 6
「G10を深く掘り下げる」はずの動画が、すぐに終わってしまいます。それほどにシンプルなデバイスなわけです。

RELAY G10を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

Line6「RELAY G30」

「G10」からいっこ上のグレードにあたる「G30」は、受信機がエフェクターボードに組み込みやすい、本格使用も視野に入れたモデルです。乾電池を使用する送信機はいざという時の電池交換で即座にフルパワーにできるメリットがあります。受信機と送信機の両方から、受信機の電源残量を確認できるのもうれしいポイントです。

  • 最大伝送距離:見通し30m
  • 駆動時間:約8時間
  • 周波数特性:10Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:118dB
  • レイテンシー:2.9ms


Line 6 Relay G30 demo
このグレードであっても「高級シールドよりもクリアなサウンドになる」という検証です。「ケーブル・トーン」でケーブルによる劣化を再現した音は、シールドでつないだ音と区別できる人はいるのでしょうか。

RELAY G30を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

audio-technica ATW-1501

audio-technica ATW-1501

ヘッドホンやマイクなどの製品で知られる「オーディオテクニカ」のギター用ワイヤレスシステムは、「一台の受信機で最大8台の送信機をペアリングできる」、「リアルタイム双方向通信で干渉周波数を自動回避」、という本格的な機能がありながら、2014年発表という比較的ちょっと旧式ということで、大幅な価格改定を受けています。良いものを手軽に、と考えている人だけでなくライブで本格的に使い倒したい人にも検討して欲しい魅力的な選択肢となっています。

  • 最大伝送距離:見通し20m
  • 駆動時間:約6時間
  • 周波数特性:20Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:109dB
  • レイテンシー:仕様書に記載なし


【SYSTEM10】 Stompbox experience episode.1 – audio-technica×Crossfaith
ヘヴィロックバンド「Crossfaith」がワイヤレスで録音して、この音です。「数年ひと昔」と言われるデジタル機器は値崩れが速いけれど、その時のプロがじゅうぶん以上に納得した性能を持っているわけです。

ATW-1501を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

AKG WMS40 PRO MINI INSTRUMENTAL SET(JP1)/(JP2)
AKG WMS40 PRO MINI2 INSTRUMENTAL SET DUAL

レコーディング用マイクの分野で世界中の信頼を集めているAKGから、シンプル設計で低価格、高品位なワイヤレスシステムがリリースされています。最大の特徴は「B帯(800MHz帯)を使用」、「周波数固定」の2点です。現代の主流である「2.4GHz帯」を使用するシステムと全く干渉することがありません。また、「JP1」と「JP2」それぞれに周波数が設定してあり、チャンネルを設定する必要がありません。「DUAL」では、JP1とJP2を同時に使用できます。アナログ方式のため送信機から音量調整できるのと、電池がやたら長生きするのも大きな特徴です。

  • 最大伝送距離:20m
  • 駆動時間:30時間
  • 周波数特性:40Hz~20KHz
  • S/N比:110dB
  • レイテンシー:仕様書に記載なし


AKG WMS40 MINI NSTRUMENTAL SET, MINI 2 INSTRUMENTAL SET, MINI 2 MIX SET
シンプルかつ高性能、ボーカル用ワイヤレスマイクとのセットも可能です。

AKG WMS40 PRO MINIを…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

「ワイヤレスアンプ」という新しい選択

各社が低価格のワイヤレスシステムを発表していく中、練習用アンプに受信機を仕込んだ「ワイヤレスアンプ」が頭角を現しています。自宅でスッキリとギターを楽しむなら、かなり理想的なデバイスです。ただしアンプ自体が受信機になっているので、エフェクターをつないで使いたい時にはワイヤレス機能は使えません。

BOSS「KATANA-AIR」

BOSS「KATANA-AIR」

BOSS KATANAシリーズ」の高品位小型アンプとワイヤレスシステム「WL」とを融合させたワイヤレスアンプが、世界初となる「完全ワイヤレス」を実現した小型の家庭用ギターアンプ「KATANA-AIR」です。電池駆動ができるため「コードレス」でもあり、音楽再生はBluetoothで行うのでオーディオケーブルも使いません。

アンプ自体が受信機/充電器となっており、送信機をアンプに差し込むだけで充電できます。アンプとしてはほかの「KATANA」シリーズ同様に高品位なサウンドを楽しむことができますが、普通のインプットジャックもついているため、普通のアンプとしても使用できます。

BOSS KATANA-AIR – Supernice!ギターアンプ

LINE6「Spider V」シリーズ

LINE6「Spider V」シリーズ

多数のアンプシミュレーター、エフェクターを備え、アコギも対応、新品購入者が無償で入手できるDTMソフト「Cubase LE」と連携でき、モバイルアプリでスマホなどから詳細なサウンドメイキングができる超多機能アンプ「Spider V」シリーズの「60」以上のグレードには、Line6のワイヤレスシステム「RELAY」受信機能が備わっています。別売の送信機「Relay G10Tトランスミッター」とのセットで、気軽に演奏できます。

Line6 SPIDER Vシリーズ – Supernice!ギターアンプ

高品位な上位モデル

現在のワイヤレス上位機種は、

  • SHURE(シュアー):永らくヴォーカル用ワイヤレスで培った信頼により、「現代の主流派」として君臨
  • LINE6:デジタル技術と開発力を武器に、猛烈に追い上げ

という二社がしのぎを削っている情勢です。プロの現場に耐える上位機種は、本体が頑丈で、音質が良く、また伝達距離が長くなります。またそれだけの性能を持たせるため、送信機は低価格モデルより大きめになります。プロ用の送信機は電源に乾電池やリチウム電池を使用するのも心強いポイントです。ライブの現場で「電池交換すれば一瞬でフルパワーにできる」というメリットは、かなり大きいと言えるでしょう。

SHURE「GLXD」シリーズ

BOSS WL-20 GLXD6

シュアーのワイヤレスシステム「GLXD」シリーズは、

  • ギター/ベースに特化した受信機「GLXD6
  • ヴォーカルマイクにも対応している「GLXD4」とラックマウント型の「GLXD4R
  • 送信機「GLXD1

の組み合わせで構成され、それぞれ個別でもセットでも販売されています。GXLDシリーズは音の良さでプロに選ばれる音質があり、「インテリジェント周波数管理機能(LINKFREQ)」により、常にベストな送受信ができる周波数に自動調整します。「GXLD6」はエフェクタボードに組み込まれることを想定した作りになっており、フットスイッチの操作でチューナーとしても使用できます。専用の充電式リチウム電池に対しては、送信機から外して充電できる充電器や自動車のシガーライターから充電できる装置もリリースされています。

  • 最大伝送距離:最大60m
  • 駆動時間:最長16時間
  • 周波数特性:20Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:120db
  • レイテンシー:仕様書に記載なし


How to Set Up a Shure GLXD6 Wireless Guitar Pedal System
スイッチポンで良い感じのチャンネルを利用したペアリングができます。プロ用だからと言って、決して難しいものではありません。

SHURE GLXDシリーズを…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

Line6「RELAY G50/G55/G90」

Line6のワイヤレスシステム「RELAY」シリーズは、お手軽な「G10」からラックマウント型の「G90」まで、7つのグレードでラインナップを展開しています。また、暗号化されたデジタル・チャンネル・ロック(DCL /Digital Channel Lock)技術により、ギターの信号とWi-FiやBluetoothなどとを識別して安定した送受信ができます。

G50、G55、G90は送信機を共用しているので、リハと本番で違った機材でも同じようにワイヤレスを利用できるメリットがあります。

  • G50:エフェクター型(受信機をエフェクタボードに組み込んで使う)
  • G55:アンプトップ型(受信機をアンプの上に乗せて使う)
  • G90:ラックマウント型(受信機をラックに組み込んで使う)
G50(エフェクター型) G55(アンプトップ型) G90(ラックマウント型)
最大伝送距離 見通し60m 見通し100m 見通し100m
駆動時間 約8時間 約8時間 約8時間
周波数特性 10Hz~20KHz 10Hz~20KHz 10Hz~20KHz
ダイナミックレンジ 120dB 117dB 120dB
レイテンシー 2.9ms 2.9ms 2.9ms

表:ワイヤレス3モデルの仕様比較

この比較では性能に横並び感がありますが、G90では

  • 2台のトランスミッターをToggle設定可能
  • LEDおよびLCDディスプレイ
  • IEC端子採用の全世界対応スイッチングパワーサプライ内蔵

というように、トッププロのステージを支えるに足る機能が充実しています。

Line6「RELAY G70/G75」

RELAY G70 RELAY G70

ギター用に特化した「RELAY G70」の受信機は、「ABボックス」、「チューナー」、「ゲインブースター」、「ダイレクトボックス」という4つの機能を持っており、エフェクタボードをスッキリと整理できます。アンプトップ型の「RELAY G75」は、普通のケーブルに加えてキャノン出力端子も備えています。

この「RELAY G70」および「G75」の性能は以下の通りで、

  • 最大伝送距離:最大60m
  • 駆動時間:約8時間
  • 周波数特性:10Hz~20KHz
  • ダイナミックレンジ:120dB
  • レイテンシー:1.5ms

どのスペックもじゅうぶんなクオリティですが、特にLine6最新の「第5世代デジタルオーディオ伝送」で実現した「1.5ms」という「超低レイテンシー」は、メカに最高の性能を求める人にはたまりません。


Switching Multiple Instruments With Relay G70 | Line 6
フットスイッチの操作だけで楽器を切り替えられるという機能は、非常にありがたいですね。

LINE6 RELAY G70を…
Aアマゾンで探す Sサウンドハウスで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

難しい用語のお勉強

さて、「メカの性能」というものはなかなか奥ゆかしい問題でして、良く分からない用語を何となく理解したつもりで通過してしまう、ということもあります。ここからは「資料編」ということで、ワイヤレスシステムを語る上で高確率で遭遇するであろうキーワードをピックアップしていきます。

周波数帯

ワイヤレスシステムにおける「周波数帯」は、飛ばす電波がどんな範囲に収まるのかを示しています。今回ピックアップしたワイヤレスシステムはすべて「2.4GHz帯」になりますが、これは「2401MHzから2483MHz」までの範囲になります。ヴォーカルのワイヤレスで使われることの多い「800MHz帯」は「806MHzから810MHz」です。

チャンネル

「チャンネル」は「1~4」などのように数字で表し、周波数帯の中のどこを使用するのかを選択します。たとえば「あなたは2402MHz、わたしは2404MHz」などのように無線通信で使用する周波数を割り振ることで、いくつものワイヤレスシステムを混線させずに共存させることができるのです。多くのメカが2.4GHz帯にひしめき合っている状態で、人の手でチャンネル設定をやろうとするのはかなり大変です。そのため上位モデルでは問題なく使えるチャンネルを自動的に検出できる機能が付いています。

最大伝送距離

「最大伝送距離」は、「電波が最長でどこまで届くか」を表します。「最大」というところがポイントで、これは送信機と受信機の「間に何もない状態」でならばどれだけ離れても大丈夫か、という数値です。ですから間に遮蔽物があったり、他の電波が邪魔したりすると、この数値は達成できなくなります。

周波数特性

オーディオ製品における「周波数特性」は、どこまでの範囲の音を再生できるかを表します。人間の可聴範囲は「20Hzから20KHz」ですからここまで再生できれば充分のようですが、この範囲に収まらない周波数の音を私たち人間は耳以外から感じることができます。耳では聞こえてない「10Hz」も、肌で感じる振動などから迫力として感じることができるのです。今回ピックアップしたワイヤレスシステムの周波数特性は

  • 20Hzから20KHz
  • 10Hzから20KHz

のどちらかになり、このうち10Hzまで再生できるほうが音に迫力がある感じに聞こえます。

ダイナミックレンジ

「ダイナミックレンジ」は最小の信号と最大の信号との比率を表し、「デシベル(dB)」で表します。この数値が大きいほど、音の強弱をキレイに再生することができます。

人間の聴覚が持つダイナミックレンジは、個人差はあるもののおよそ120dBといわれる。これは知覚できる最小の音圧と、苦痛を感じる最大音圧の比率である(Wikipedia「ダイナミックレンジ」より)。

レイテンシー

「レイテンシー」とは「遅れ(late)」を語源とする用語で、ワイヤレスシステムでは「音を電波にするのに、どれだけ待たされるか」を「ms(1000分の1秒)」で表します。この数字が小さければ小さいほど、送信機の処理が速いことになります。「低レイテンシーのメカを使用する気持ちよさ」を好むユーザーは多いので、メーカーは血眼でこの数値を少しでも下げようと努力しています。こうした性能を表す数値は残酷にも簡単に比較できてしまい、数値が少しでも劣っているものは性能が劣っているかのように思えてしまうものです。しかしこれについて、ちょっと落ち着いて考えてみましょう。

  • RELAY G70のレイテンシー「1.5ms」
  • NUX「B-2」のレイテンシー「5ms」

の差を見ると、「B2」は「G70」より「3.5ms(0.0035秒)」遅いわけですが、「3.5もあるのか。そんなに待つことは出来ぬ」という気の短い人はあまりいないのではないでしょうか。その聞こえ方はどうかというと、約120センチ遠ざけたアンプから聞こえるのと同じです(音速が秒速34029センチメートル。これを1000で割って、3.5を掛ける)。「B2」を使う時には、アンプを120センチだけ耳に近づければ、RELAY G70と同じ聞こえ方になる、ということでもあります。その差はあまりにも小さくて、とても認識できるものではありません。レイテンシーは性能を比較しやすい数値ですが、あまり気にしすぎなくても大丈夫なのです。