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特に注目するのは、「各弦の伸び率」と「ニュートラル・ポイント」です(伸び率の値は約数、ニュートラル・ポイントは、スタッフの目視によって判断しています)。
S-624MS NAKED:ボディ
細かいところまで考え抜かれた高性能なギターを、合理性を尽くした生産体制でリーズナブルにリリースする「SAITO GUITARS(齋藤ギターズ)」は、22フレット機は普通のフレット、24フレットならファンフレット、というようにはっきりと仕様を分けています。
S-624MS NAKED
S-724MS NAKED
S-HL7 NAKED
ヘヴィ路線にこだわることのないオーソドックスさを重視していることもあってか、ファンの角度は比較的控えめになっています。また、6弦モデルと7弦モデルでフレットの角度が一致しているというのが、他ではなかなか見られない特徴になっています。
ヘヴィ志向モデルを中心に幅広いラインナップを誇る「アイバニーズ」は、ヘヴィメタル仕様の「IRON RABEL(アイアン・レーベル)」シリーズからファンフレット機をリリースしています。
ダウンチューニング専用機「RGD」をベースに、アッシュとマホガニーの2層構造にフレイムメイプルの化粧板をあしらった個性的なボディ構造と、近年のヘヴィサウンドで注目されている「フィッシュマン」製のアクティブピックアップ、「Fluence (フルーエンス)」モダン・ハムバッカーの採用を大きな特徴とする新しいスタイルのギターです。ボリュームポットに仕込まれたスイッチの操作で、ピックアップのキャラクターを切り替えることができます。
Ibanez RGDIM6FM-CLFを…
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マホガニーボディ、EMGピックアップ搭載という二つの「RG」は、各弦の伸び率がだいたい同じ辺りでおさまっており、弦の本数に違いがありながらも近い演奏性を実現しています。
RGIM7MH/RGIM8MHを…
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「ジャクソン」の代表機「ソロイスト」のファンフレット版です。ファンフレット機でスルーネックを採用しているところ、またジャクソン社のお家芸ともいうべき「コンパウンド・ラジアス指板」が採用されていることを大きな特徴としています。ネックにはグラファイト製の補強が埋め込まれているため、ネックのコンディションは常に維持されます。
先述のアイバニーズ「RGIM7MH」とは、弦長や各弦伸び率が共通していますが、ニュートラル・ポイントの位置が違うため、異なるフィーリングを楽しむことができます。
Soloist Archtop SLAT7 MSを…
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「Legator(レガター)」は2012年設立とまだ若いブランドですが、豊富なラインナップと十分な機能性、そして魅力的なコストパフォーマンスによって急速に支持を伸ばしています。現在では本国アメリカのメタルシーンに欠かせないギターだとまで言われることがありますが、日本でもファンを着実に増やしています。
定番機「ニンジャ」の2018年仕様は、アッシュボディとメイプル指板の組み合わせになっています。ピックアップはキレを生むダイレクトマウント、操作はシンプルな1ボリューム+キルスイッチ、というバリバリのメタル仕様です。弦が増えていくごとに、フレットの角度が緩やかになっています。
ポーランドの雄「MAYONES(メイワンズ)」では、人気機種「REGIUS(レジウス)」で「V-フレット」と名付けたファンフレット仕様機をリリースしています。
6弦モデルがかなり急角度になっていますが、7弦、8弦でも他社と比べてきつめの傾きになっているのがわかります。ニュートラル・ポイントが7フレットになっているのも独特です。
オーストラリアの「Ormsby(オームスビー)」は、ラインナップのほとんどすべてがファンフレット仕様という、たいへん尖ったブランドです。29フレットもの音域を誇るモデルもあり、急角度のファンフレットが強烈なルックスに彩りを加えています。ステンレス製ジャンボフレットが採用されているのもポイントです。
全体的に角度のきつい配置が採用されていますが、7弦と8弦の角度が同じ、というのが他社にはなかなかない特徴となっています。
今や「ファンフレット仕様機タンダード」の感すらある「stranbberg(ストランドバーグ)」は、人気機種「Boden」に多くのバリエーションを展開しつつ、スウェーデンカスタムの「Verberg」も人気を集めています。ダダリオから専用弦もリリースされており、定番機としての地位を不動のものとしている様相です。世のほとんどのファンフレット機が固定式ブリッジとなっているなか、ストランドバーグはいち早くトレモロ搭載機もリリースしています。
各弦数に応じて、ファンの角度とニュートラル・ポイントに違いが設けられているのが分かりますね。
以上、「各社各様」という言葉がこれほどフィットするテーマは無いのではなかろうかと思わせるファンフレットのギターを見てきました。この記事の最後に、それぞれでチェックした「各弦の伸び率」と「ニュートラル・ポイント」を一枚の表にまとめてみました。一言でファンフレットといってもこれだけさまざまなものがある、ということが分かります。各弦の伸び率の高さはフレット角度のきつさを意味しますが、低音弦がそれだけ延長されていることを意味しますから、ダウンチューニングに特に有利であることが分かります。
ファンフレット機を検討している人は、参考にしてみてください。
ブランド | モデル名 | 弦数 | 各弦の伸び率 | ニュートラル・ポイント |
Ibanez | RGDIM6FM-CLF | 6 | 0.94 | 12 |
Ibanez | RGIM7MH | 7 | 0.98 | 12 |
banez | RGIM8MH | 8 | 0.99 | 12 |
Jackson | SLAT7 MS | 7 | 0.96 | 9 |
Legator | NRFA MS 6 | 6 | 1.18 | 9 |
Legator | NRFA MS 7 | 7 | 0.98 | 9 |
Legator | NRFA MS 8 | 8 | 0.80 | 9 |
Mayones | Regius VF6 | 6 | 2.04 | 7 |
Mayones | Regius VF7 | 7 | 1.04 | 7 |
Mayones | Regius VF8 | 8 | 0.89 | 7 |
Ormsby | HYPE GTR6 MS | 6 | 1.7 | 9 |
Ormsby | HYPE GTR7 MS | 7 | 1.5 | 9 |
Ormsby | HYPE GTR8 MS | 8 | 1.5 | 9 |
SAITO | S-624MS | 6 | 0.78 | 12 |
SAITO | S-724MS | 7 | 0.78 | 12 |
SAITO | S-HL7 | 7 | 0.78 | 12 |
strandberg | Boden‘Original’6 | 6 | 0.4 | 0 |
strandberg | Boden‘Original’7 | 7 | 0.49 | 9 |
strandberg | Boden‘Original’8 | 8 | 0.80 | 7 |
表:各メーカーのファンフレット事情
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