ディマジオ(DiMarzio)ピックアップの種類と特徴

[記事公開日]2023/9/17 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

テレキャスター用のラインナップ


The Winery Dogs – Breakthrough (Official Music Video)

テレキャスター用のラインナップは、ストラト用と同様に3種の基本構造で展開されています。どれもがトラッドなサウンドをリスペクトしながらも、ヴィンテージ・クローンにとどまらない、現代の音楽に使うピックアップとして仕上げられています。この3タイプで整理して見ていきましょう。

  • Standard Tele:伝統的なシングルコイルの構造。
  • Stacked Hum Canceling Tele:シングルコイルを縦に積んだ二層構造により、スタンダード・テレと同じルックスでノイズ除去を実現。
  • Rail Hum Canceling Tele:二つのシングルコイルを隣り合わせにし、ツインブレード型のポールピースを採用。

Standard Tele

「Standard Tele(スタンダード・テレ)」は、磁石でできた6本のポールピースと1巻きのコイルを基本に構成される、シンプルかつトラッドな構造のモデルです。この構造ゆえに宿命となっているハムノイズへの脆弱性については、シングルコイルとは本来そういうものだ、と好意的に解釈されます。

Pre B-1(DP112)

Dimarzio DP112

「Pre B-1」は一般的なモデルと比べて高音域特性を太く、中低域も持ち上げることで、過度に尖って聞こえたり、あるいはトーンを絞ると濁ってしまったりといったテレ特有の不具合を解消したブリッジ用モデルです。カントリーのプレイヤーが求める張りのある音色、またブルースプレイヤーの求めるのびやかな高域と力強い低域を兼ね備え、じゅうぶんな出力により分厚いいドライブサウンドも得られます。
リリース年:1978

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Twang King(DP172 / DP173)

ネック用とブリッジ用がそれぞれリリースされている「Twang King」は、ヴィンテージ・テレキャスターのサウンドを出発点にしながら現代的なアップデートによりコピーの範疇を逸脱したモデルです。耳に痛くない絶妙な高域が豊かに響く音色を持ち、ピッキングに対してソフトに弾けばクリーンに、ハードに弾けば硬く力強く響きます。ハウリング防止策としてワックスポッティングが2回行なわれており、大音量での演奏が可能です。
リリース年:1995

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True Velvet T(DP177 / DP178)

Dimarzio True Velvet T Pickup Color : Black Metal Cover / Pole Piece Color : Default

「True Velvet」は、Twang Kingの次世代モデルとして開発されました。高域を滑らかに整え、低域をクリアに響かせ、出力をアップさせています。鋭いアタックと滑らかなサスティーンが共存し、単音には重みと存在感が、和音には鮮明さと立体感があります。しっかりとした出力のあるリッチなヴィンテージトーンを求めている人に特にお勧めです。
Twang King同様に、ワイヤーの選定や巻き付けの張力、磁石の磁力を調整することによるヴィンテージサウンドが得られるほか、ワックスポッティングが2回行なわれており大音量での演奏に有利です。
リリース年:2009

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Stacked Hum Canceling Tele

「Stacked Hum Canceling Tele(スタック・ハムキャンセル・テレ)」は、二つのシングルコイルを縦に積んだ2層構造です。サウンドもルックスもシングルコイルのままで、二つのコイルがハムノイズを打ち消す効果が得られます。また、4芯仕様なので特殊配線への応用が可能です。現在こちらの使用では「Area」シリーズでラインナップが展開されています。Areaシリーズは磁力の弱いアルニコII磁石を基準に設計するのが特徴です。磁力が弱いと弦振動への干渉が低減され、素早く自然な反応と豊かなサスティンが得られやすくなります。

Area T(DP417 / DP418)、Area Hot T Bridge(DP421)

Dimarzio Area TArea T(DP417 / DP418)

「Area T」は、ストラト用のArea 58とArea 61の開発で得た成果をテレキャスターに応用したモデルです。ネック用はクリアかつウォームな音色を持ち、烈しく歪ませてもクリアさを残します。ブリッジ用は溢れるバイト感を持ち味とし、歌うような高域、うねりのある低域、パンチに富んだ中域のある音色です。
「Area Hot T BRIDGE」は、ヴィンテージPAFに近いニュアンスと出力を持った、ブリッジ用モデルです。粒立ちが細かく均整の取れたサウンドを持ち、テレキャスター特有の鋭さや躍動感も失わずに出力します。
Area Tリリース年: 2007
Area Hot T BRIDGEリリース年:2009

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Area T 615(DP424)

DP424

「Area T 615」は、現代のカントリー・ミュージックを意識した、唸るようなサウンドとロック志向のソリッドなサウンドの両方をカバーするモデルです。広いダイナミックレンジとピッキングに即応する反応の良さを持ちあわせ、ハードなピッキングや深いディストーションを使用しても音の解像度が保たれます。
リリース年:2012

Rail Hum Canceling Tele

「Rail Hum Canceling Tele(レール・ハムキャンセリング・テレ)」は、ブレード型のポールピースを持つシングルコイルを二つ並べた、シングルコイルサイズのハムバッカーです。ブレード型のポールピースは磁界が広く、ベンド時にも安定した音量が得られます。こちらでは「デュアル・レゾナンス」技術が活用され、仕様の異なる二つのコイルの相互関係によりサウンドが構成されています。Rail Hum Canceling Teleはブリッジ用のみ、4モデルがリリースされています。

Fast Track T(DP381)、The Chopper T(DP384)

Fast Track T Fast Track T(Pickup Color : White / Pole Piece Color : Black)

「Fast Track T」は高めの出力と唸るようなサウンドを持つ、テレキャスター用ツインブレードの基本モデルです。現代的な外観ながらサウンドはトラッドなところを狙っており、低目の磁力も相まって伸びの良い澄んだ高域とタイトな低域を持っています。
「Chopper T」はFast Track Tを出発点に、唸りより分厚さを重視した高出力モデルです。大音量のクランチサウンドに良く合う肉厚な中低域を持ち、ソリッドなブルースに最適です。
両機とも、ボリュームポットとの組み合わせに応じてキャラクターが変化します。一般的な250kオームではウォームなサウンドですが、抵抗値を上げていくに従いどんどん高域が開放的になり、低音弦さえブライトに響くようになります。
リリース年:1994

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Super Distortion T(DP318)、The Tone Zone T(DP389)

DP318 Super Distortion T (Pickup Color : Green / Pole Piece Color : Black)

「Super Distortion T」と「The Tone Zone T」の両機は、フルサイズ・ハムバッカーの名機をテレキャスターのブリッジ用ピックアップのサイズに再設計したモデルです。弦長25.5インチのギターに斜めにマウントされることを想定し、高域の応答を滑らかに、低域の応答をよりタイトに調整されています。
「Super Distortion T」は高出力なハムバッカーの世界基準になっているSuper Distortionを、「The Tone Zone T」は中低域が肉厚なThe Tone Zoneを、そのまま再現しています。
Super Distortion T リリース年:2005
The Tone Zone T リリース年:2003

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モデル名 DP ポジション 磁石 出力 低域 中域  高域
PRE B-1 112 bridge Alnico 5 170 6.0 6.5 6.5
TWANG KING (N) 172 neck Alnico 5 89 5.0 7.0 7.0
TWANG KING (B) 173 bridge Alnico 5 198 4.0 4.0 8.0
TRUE VELVET (N) 177 neck Alnico 5 95 5.0 7.0 6.0
TRUE VELVET T (B) 178 bridge Alnico 5 215 4.0 5.0 7.5
SUPER DISTORTION T 318 bridge Ceramic 325 8.0 7.5 5.0
FAST TRACK T 381 bridge Ceramic 191 5.0 5.0 8.0
THE CHOPPER T 384 bridge Ceramic 260 6.0 6.0 7.0
THE TONE ZONE T 389 bridge Ceramic 300 8.0 8.5 5.0
AREA T (N) 417 neck Alnico 2 95 6.0 5.5 7.0
AREA T (B) 418 bridge Alnico 2 175 6.0 6.5 7.5
AREA HOT T (B) 421 bridge Alnico 2 238 6.0 6.0 6.5
AREA T 615 424 bridge Alnico 2 200 5.5 5.5 7.5

テレキャスター用ピックアップの仕様比較表
各データは、日本向けディマジオ公式サイト(https://www.dimarzio-jp.com/)より引用。DPは型番、出力の単位はmv(ミリボルト)。低域/中域/高域については聴感上の目安であり、電気的な出力など具体的な数値を反映しているものではない。

ソープバー&ミニハムバッカーのラインナップ

大型のシングルコイル「P-90」タイプは、「ソープバー」としてラインナップを展開しています。ソープバーと寸法を同じくするミニハムバッカーもラインナップされていますが、ソープバーでもハムバッカーがリリースされており、両者の違いはあいまいになっています。明瞭な違いは、ソープバーにはプラスチック製のカバーが、ミニハムバッカーには金属製のカバーが掛けられる点です。

DLX Plus(DP162 / DP154)

「DLX Plus」は、オリジナルのソープバーが持つ明瞭で開放的なキャラクターをある程度維持しつつ、中域を少し抑え、低域のパンチを効かせ、高域を強くはっきりとさせた、ソープバーサイズのハムバッカーです。サウンドはフルサイズ・ハムバッカーの「Steve’s Special(DP161)に近く、クリアさと力強さを持っています。
ネック用(DP162)リリース年:1993
ブリッジ用(DP154)リリース年:1988

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DiMarzio Soapbar(DP167S / DP167D)

DiMarzio Soapbar DiMarzio Soapbar(DP167S & DP167D)
ドッグイヤー型(DP167D)のカラーは黒のみ。

「DiMarzio Soapbar」は、P-90の親しみやすいサウンドをディマジオ流に再現したモデルです。バイト感のある太い高域、存在感のある中域、引き締まった低域というバランスで、ソープバー(DP167S)とドッグイヤー(DP167D)の2タイプがあります。
伝統的な製法ではアルニコ磁石を使用するところですが、ディマジオではセラミック磁石を使用しています。セラミック磁石は状態が安定しており、長い年月を経ても磁力を維持できます。

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P90 Super Distortion(DP209) / The Tone Zone P90(DP210)


P90 Super Distortion(DP209) & The Tone Zone P90(DP210)

「P90 Super Distortion」と「The Tone Zone P90」の両機は、フルサイズ・ハムバッカーの名機をソープバーのサイズに収めたモデルです。ソープバーが収まっていたギターを加工することなく、ハイパワーなハムバッカーをマウントできます。
ソープバーはプラスチックのカバーに収められているぶんだけ、オープンタイプのハムバッカーと同じようには弦に接近できません。この課題に対し、出力のアップと磁界の拡張を行なう事で、オリジナル同様のサウンドを達成しています。いずれも中低域に存在感のあるサウンドですが、P90 Super Distortionはディマジオのソープバー内で最大の出力を持ち、The Tone Zone P90は最も肉厚な中低域を持っています。
P90 Super Distortion リリース年:2003
The Tone Zone P90リリース年:2004

Vintage P90 Soapbar(DP280S) / DOG Ear(DP280BKD)

Vintage P90 Soapbar Vintage P90 Soapbar(DP280S)& Vintage P90 Dog Ear(DP280BKD)

ソープバー(DP280S)とドッグイヤー(DP280BKD)の両面でリリースされている「Vintage P90」は、50年代後期のP-90サウンドを再現したモデルです。現代のアルニコV磁石を使いながら低磁力の環境を作り出し、またワックスポッティングを非採用とすることで、アルニコVの個性を活かしながら明瞭なヴィンテージサウンドを得ることができます。滑らかで温かい高域、存在感のある中域、明るく響く低域を持っており、コードはバランス良く響き、単音では透明感が得られます。
リリース年:2019

Virtual P90(DP169)

DP169 Pickup Color : Cream / Pole Piece Color : Gold

「Virtual P90」は、オリジナルP-90のアドバンテージと言える、太さと歯切れの良さを併せ持つ高域とソリッドで曇りのない低域をハムバッカー構造で再現したモデルです。ハムバッカー構造はハムノイズ除去のために採用されており、出力は標準的なP-90の範疇に収まっています。ヴァーチャル・ヴィンテージ技術の採用により、現代的な設計と外観がありながらヴィンテージ系のサウンドが得られます。
リリース年:1999

DiMarzio Vintage Minibucker(DP240 / DP241)

DiMarzio Vintage Minibucker

「DiMarzio Vintage Minibucker」は、ミニハムバッカーの持つ抜けの良さと上質なトーンを追求したモデルです。チャイムのような澄んだ響きを持っており、ネック用(DP240)はテレキャスターのフロントに良好な出力を持っています。ブリッジ用(DP241)はPAFを想起させる、曇りのない甘い音色です。いずれもワックス・ポッティングされており、ハウリングの心配が大幅に解消されています。
Vintage Minibucker Neck(DP240)リリース年:2011
Vintage Minibucker Bridge(DP241)リリース年:2010

PG-13(DP242 / 243 / 246)


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「PG-13」は、達人ポール・ギルバート氏のシグネイチャーモデルです。ギルバート氏はこのモデルのメリットを抜けの良さだとし、充分にパワフルだが耳を傷めない音色があり、アンプにつないだだけで良い音だと思えると語っています。低域が適量にあり、高域が滑らかに感じられます。ネック(DP242)、ミドル(DP246)、ブリッジ(DP243)それぞれのポジションにあわせた調整が施されており、どのポジションに於いても明瞭なサウンドが得られます。
リリース年:2017

モデル名 DP ポジション 磁石 出力 低域 中域  高域
DLX PLUS (B) 154 bridge Ceramic 400 7.0 4.5 6.5
DLX PLUS (N) 162 ALL Ceramic 380 6.0 2.0 6.5
Dimarzio SOAPBAR 167 ALL Ceramic 270 4.5 6.0 5.5
VIRTUAL P90 169 n & b Ceramic 280 5.0 5.5 6.0
P90 SUPER DISTORTION 209 ALL Ceramic 400 8.0 7.5 5.0
THE TONE ZONE P90 210 bridge Ceramic 385 8.5 8.5 5.0
VINTAGE MINIBUCKER (N) 240 ALL Ceramic 155 4.5 4.5 6.5
VINTAGE MINIBUCKER (B) 241 ALL Ceramic 180 5.0 5.5 5.0
PG-13 (N) 242 neck Ceramic 135 5.5 5.0 5.0
PG-13 (B) 243 bridge Ceramic 145 6.0 5.5 4.5
PG-13 (M) 246 ALL Alnico 5 & neodymium 200 5.0 5.5 5.0
VINTAGE P90 SOAPBAR 280 ALL Alnico 287 5.0 5.5 5.0

ソープバー&ミニハムバッカーの仕様比較表
各データは、日本向けディマジオ公式サイト(https://www.dimarzio-jp.com/)より引用。DPは型番、出力の単位はmv(ミリボルト)。低域/中域/高域については聴感上の目安であり、電気的な出力など具体的な数値を反映しているものではない。


以上、世界最大級のピックアップメーカー、ディマジオについてチェックしていきました。膨大という表現が良く似合うラインナップが全てパッシブだという点には、深い深いこだわりを感じさせられます。またヴィンテージモデルを作るのにも完全コピーという手段は取らず、必ずどこかに新しい構造や設計を取り入れ、性能を向上させているのも特徴的です。愛用するアーティストも多く、現代のサウンドを語るには無視できないブランドです。ぜひ実際にチェックしてみてください。

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