ジョー・ペリー(Joe Perry)

[記事公開日]2022/9/10 [最終更新日]2023/10/1
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

ジョー・ペリー(Joe Perry)

ジョー・ペリー(Joseph Anthony Pereira)氏は、ロックバンド「エアロスミス(Aerosmith)」の創設メンバーとして特に知られるアーティストです。ソロ活動や他のプロジェクトも積極的に展開しており、いわゆる「ヤードバースの3大ギタリスト(エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ)」の次世代にあたるギターヒーローとして厚く支持されています。なお、嘉永6年(1853年)に来航して日本に開国を迫ったペリー提督(1794-1858)とは無関係で、先祖はポルトガルの海賊だったそうです。
エアロスミスではボーカルであるスティーヴン・タイラー氏とたびたび衝突を起こし活動休止・脱退劇を繰り広げています。タイラー氏の脱退騒動(2009年)で一時は新ヴォーカルの募集まで行なっていたエアロスミスですが、彼はタイラーの復帰を確信していたといいます。


Aerosmith – I Don’t Want to Miss a Thing (Official HD Video)
スティーヴン・タイラー氏の愛娘、リヴ・タイラー女史も主演した映画「アルマゲドン(1998)」主題歌。エアロスミスのシングルチャートとしては、初の1位を獲得した。

ジョー・ペリーのBiography

ロックへの目覚め

ジョー・ペリー氏は1950年9月10日、会計士(ポルトガル系)の父と高校の体育教師(イタリア系)の母のもと、マサチューセッツ州ローレンスに生まれます。幼きころの夢は海洋生物学者でしたが、学校の成績は振るいませんでした。そこで地元の公立校を中退し、勉学に集中すべく私立全寮制のバーモント・アカデミーに編入します。
田舎育ちだったペリー氏はここでロサンゼルスやニューヨーク出身のクラスメイトと交流し、自身にとって全く新しい「ロックミュージック」に出会います。のちに氏はこの学校生活について、「自分にとって本当の教育だった」と回想しました。

二つのバンドが合流することで、ロックバンド「エアロスミス」結成

1970年、スティーヴン・タイラー氏は対バンだったペリー氏らのサウンドを気に入り、2つのバンドを合併したいと考えました。その想いが実り、ロックバンド「エアロスミス」が結成されます。メンバーはボストンで共同生活しながらバンドの演目を温めていき、同年11月に初ライブを行ないます。
ブルース由来のハードロックに根ざしたスタイルにはポップロック、メタル、リズム・アンド・ブルースの要素もあり、ライブを重ねるたびに支持を集めます。エアロスミスは 1972年半ばにコロンビアと125,000ドルで契約し、デビューアルバム「Aerosmith(1973)」をリリースします。
続く「Get Your Wings(1974)」、「Toys in the Attic(1975)」、「Rocks(1976)」と相次いで成功させ、レッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズらレジェンド級のバンドと競合できる、国際的なスターとしての地位を確立しました。


アルバム「GET A GRIP」収録:Cryin’

1980年、スティーヴン・タイラー氏との確執などを原因にエアロスミスを脱退。「ジョー・ペリー・プロジェクト」を結成し、1983年までに3枚のアルバムを発表。1984年に、同じく脱退したオリジナルメンバーのブラッド・ウィットフォード氏とともに、エアロスミスに復帰します。


Let The Music Do The Talking (Live) – Joe Perry
「ジョー・ペリー・プロジェクト」は、エアロスミスを離れている間のソロ活動として始めた。しかしエアロ復帰後も、バンドの閑散期を利用して活動している。ペリー氏は、透明ボディを特徴とするアンペグ「ダン・アームストロング」の使用頻度も高い。前髪をたっぷり伸ばしておいて、演奏中の顔を見えにくくしているのもペリー氏のスタイル。

ジョー・ペリーの演奏スタイル

ブルース/ロック/ハードロックからの音楽的影響

ペリー氏は10歳(1960年)から、習い事的にギターは弾いていました。ご自身は左利きでしたが、右利きで演奏します。しかし、エド・サリバン・ショーにビートルズが出演(1964年)したのを観て、自身に変化が起きたと回想しています。編入したバーモント・アカデミーでブルースやロックに触れた影響はさらに大きく、ブルースロックの分野ではピーター・グリーン氏、ジョニー・ウィンター氏から大きな影響を受けているようです。


Rattlesnake Shake
「Rattlesnake Shake」は、ペリー氏が敬愛するピーター・グリーン氏の所属した、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)の演目。スティーヴン・タイラー氏は、ペリー氏がこの曲を演奏するのを観たことで二人が結ばれたと回想している。

ロック系ではジェフ・ベック氏の大ファンであり、自身に影響した一人として見ていました。ベック氏は1976年、ペリー氏への誕プレとして、エアロスミスのステージで演奏したことがあります。またジミー・ペイジ氏の大ファンでもあり、レッド・ツェッペリンなくしでは、エアロスミスは現在の形で存在しなかっただろうとコメントしています。なお、ペリー氏もペイジ氏同様、ギターを非常に低く構えます。

ファンキーなリフワーク


Aerosmith – Eat The Rich (Official Music Video)
完全コピーが極めて難しい、ちょっとナマりのある独特なタイム感のギターリフ。ドラムだけかたくなに8ビートを打つアレンジも特徴的。

エアロスミスの名曲を彩る数々のギターリフは、ペリー氏の発案によるものです。「Walk this Way(1975)」「Eat the Rich(1993)」といった演目では、シンプルなコード進行のファンキーなリフが特に印象的で、スティーヴン・タイラー氏の畳みかけるような歌唱とのマッチングがエアロスミスの様式美になっています。

ロックの正統派を思わせるリードプレイ


Aerosmith Walk This Way
チャート10位を記録した、エアロスミスの代表曲。印象的なリフは、やはりペリー氏の作。終盤のロングソロも、この演目では定番の演出。

ペリー氏のリードプレイではメロディを歌うより、ブルース由来の王道フレーズを即興的に次々と放つような演奏が主体となります。音階としてはブルース/ロックで定番となるペンタトニックやミクソリディアンを基本とし、オープンコードを分解するように開放弦を利用するフレーズやダブルストップ、オープンチューニングを使用したスライドプレイなど、ロックの王道ど真ん中の演奏です。

ジョー・ペリー氏の使用機材


Hollywood Vampires – The Boogieman Surprise Live (Official Video)
ジミ・ヘンドリクス氏を思わせるリバースタイプのストラトも、使用頻度が高い。ペリー氏の背後にそびえるアンプの壁は、全てペリー氏のリグ。
「ハリウッド ヴァンパイアズ」は、アリス・クーパー氏、ジョニー・デップ氏、ジョー・ペリー氏らによって2012年に結成されたスーパー グループ。ポール・マッカートニー氏、デイヴ・グロール氏、ジョー・ウォルシュ氏らそうそうたるゲストを迎えたアルバムをリリースしている。

ギブソンを中心に600本を超えるという膨大な数のギターコレクションを所有しているということです。基本的にはギブソン・レスポールにマーシャルのスタック・アンプという王道のロック・スタイルに、エフェクターはかなり数多く使用しています。1997年にはギブソンからシグネイチャーモデルのレスポール「Gibson Joe Perry Boneyard Les Paul」がリリースされているほか、自分の妻の絵がボディにプリントされたGibson “Billie” LucilleなどESシリーズも数多く所有しています。

スライドバーJim Dunlop「Joe Perry “Boneyard” Slide」

Boneyardスライドバー

ソウルフルでブルージーなサウンドを生みだす、陶磁器製のスライドバー。内壁は素焼きなので、手に馴染みやすいのもメリットです。普通の厚みのロング(255)とショート(256)、肉厚のロング(257)とショート(258)の4タイプがあります。

Boneyardを…
AAmazonで探す R楽天で探す Sサウンドハウスで探す


アンプ/エフェクター

ペリー氏の背後には、Supro、Friedman、Marshallといった各社のアンプが壁を構成します。中には「フィードバック発生用」キャビネットもあり、フットスイッチで操作します。
エフェクターについては、数々のデバイスをブラッドショウ・スイッチングシステムで一括管理していますが、足元にはそのスイッチボードのほか、Digitech「Whammy5」、MXR「MC401 Boost/Line Driver」、そしてREAL McCOY CUSTOM製ワウペダルが並びます。

《今振り返る》マーシャルアンプの系譜、種類と選び方

Discography

エアロ・スミスのキャリアの中でも特筆すべきアルバムを3枚紹介します。

Rocks / AEROSMITH

前作「Toys in the Attic」でブレイクしたAEROSMITHが一気に頂点へと昇りつめた大傑作アルバム。デビュー当初のエアロにとってのピークであり、ハードロック史に残る金字塔。商業的にも大成功を収めており、アルバムは米国ビルボードで3位、シングル「Back in the Saddle」と「Last Child」はトップ40にランクインしました。この後からバンド内にいろいろな問題がおこり、エアロはしばらく低迷します。
1976年リリース作品


Aerosmith – Back in the Saddle

Get a Grip / AEROSMITH

いろいろなゴタゴタを解消し、見事に復活を果たしたエアロスミスの快作。通算11枚目にして全米で1位を獲得した最初のアルバムとなり、全世界で2,000 万枚以上の売り上げを達成しました。
エアロは「Rocks」だという旧ファンにも、アルマゲドンしか知らないという新ファンにも届くであろう捨て極一切ナシの大傑作アルバム。このアルバムあたりから次第にエアロスミスは今に見られるゴージャスなスタイルになっていきます。
痛快すぎるロックンロールがここにあります。
1993年リリース作品


Aerosmith – Livin’ On The Edge

Just Push Play

4年ぶり通算13作目通算13作目のオリジナルアルバム。。最新のテクノロジーを駆使して作り上げた、更に進化するエアロを示したアルバムで、リリースから1か月でプラチナディスクとなったヒット作。世界的大ヒット曲「JADED」 「ミス・ア・シング 」(日本版のみ)収録。
ジャケットのイラストは、SONYのロボット犬「AIBO」のデザインでも知られる空山基(そらやまはじめ)氏。
2001年リリース作品


Aerosmith – Jaded

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。