ノイズゲートペダルの使い方・おすすめモデル紹介

[記事公開日]2025/5/17 [最終更新日]2025/8/8
[編集者]神崎聡

ノイズゲート・エフェクター

ノイズゲートは、楽器の入力信号の中から不要なノイズを取り除くための機材です。仕組みとしては、設定した音量(しきい値)より小さい信号を自動的にカットします。これにより、弦を弾いていない時や音が減衰している間に発生する「ジーッ」「サーッ」といったノイズが抑えられます。

似た用語に「ノイズリダクション」がありますが、こちらは信号の中のノイズ成分だけを減衰させる方式で、ゲートのように完全に切るわけではありません。ノイズゲートはあくまで音がある時だけゲートを開き、ない時は閉じるという明確な動作をします。

そもそもなぜノイズが発生するのか?

エレキギターには付きものとなるノイズ。そもそも、どのようなことが原因でノイズが発生するのでしょうか。

電気系統のトラブル

ジャックジャック

中古のエレキギターによく見られますが、電気系統(ピックアップ/ポッド/配線など)が年数の経過により劣化している場合、いわゆる「ガリ」ノイズが発生することがあります。これは各パーツを新しいものに交換するなどのメンテナンスで改善できます。

また、ジャックの錆付きが原因でガリノイズが発生することも多いです。ジャックはシールドケーブルの差し込み口であり、ピックアップが拾った音声信号の出口でもあります。そこに汚れ(手垢など)が溜まると錆びてしまい、ガリノイズの原因となる接続不良を起こしてしまうのです。そのため、ジャックも定期的に交換した方が良いでしょう。

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外来ノイズを拾ってしまう

ギターケーブルシールドのグレードを上げることで
ノイズ対策になることも

ノイズの発生源がギター本体ではない場合、外部機器から発される外来ノイズを拾っている可能性があります。
一般的にノイズと呼ばれるものはこの「外来ノイズ」のことを指し、ギターのピックアップにパソコンなどの精密機器を近づけてみるとよく分かります。

対策としては、周囲にある電子機器を可能な限りオフにすることが挙げられます。上述で触れたパソコンはもちろん、テレビや蛍光灯なども含まれるので注意しましょう。
さらに高品位なギターケーブルを使用することで、より多くの外来ノイズを防ぐことができます。

ハイゲイン環境での必要性

ハイゲインサウンドでは、信号が増幅される過程で弦の振動以外の微細なノイズまで大きくなってしまうため、ノイズゲートの必要性が高まります。
特にメタルやハードロックなど、ディストーションを強くかけたリフやソロでは、演奏の合間に「ジジジ…」というノイズが目立ちやすくなります。

例えば、メタル系のブレイクダウンやリフの合間、音をピタッと止めたい場面でノイズゲートを使えば、曲全体が引き締まります。
逆に、クリーンなアルペジオやジャズのように繊細な余韻が必要な場面では、設定を緩めるか使用を控えたほうがよいでしょう。

ノイズゲートの仕組み

たとえば、ギターをアンプに繋ぎ、「ジャーン」とコードを鳴らした際の音量レベルの推移を見てみると、最大時が100だった場合

100 ⇒ 90 ⇒ 80 ⇒ 70 ⇒ … 30 ⇒ 20 ⇒ 10 ⇒ 0

という具合に衰退していきます。そしてギターの音量レベルが衰退すると、最終的にはノイズの方が目立つようになります。

ノイズゲートをオンにすると、

100 ⇒ 90 ⇒ 80 ⇒ 70 ⇒ … 30 ⇒ 0

という具合に30以降をバッサリとカットすることができます。エレキギターの構造上、どれだけ対策を施しても、ノイズを完全に除去することはできません。そのため、スイッチをオンにするだけで簡単にノイズを除去できるこのエフェクターは、シンプルかつ最強のノイズ対策機器と言えます。

ただし注意しなければならないのは、正しい設定を行わないと「必要な音までもカットされてしまう恐れ」があるということです。単純な仕組みゆえにコントロールを細かく調整しないと不自然な出音になるため、比較的扱いの難しいエフェクターでもあります。

ノイズゲートの基本的なコントロール

ノイズゲートにはいくつかの主要パラメーターがあり、それぞれの意味を理解することで使いこなしやすくなります。

THRESHOLD

THRESHOLD(スレッショルド)は「ゲートが開く音量レベルを設定」するコントロール。
最大音量レベルの0.0dBに対して、-100.0〜0.0dBの範囲で設定することができます。

仮に-10dBに設定した場合、「-10dB以上の信号だけを通し、それ以下の音は全てカット」されます。
数値を上げるほど対象範囲が広くなり、0.0dBでほぼ無音の状態になります。

DECAY(RELEASE)

DECAY(ディケイ。機種によってはRELEASEとも表記)は、ゲートが閉じるまでの時間、つまりノイズをカットし始めてから完全に音が遮断されるまでの減衰時間を調整するパラメーターです。

設定を短くすると、音の切れが非常にタイトになり、メタルやハードロックのブレイクでピタッと音を止めたい場面に適しています。ただし短すぎると、サステインが自然に減衰する前に音が途切れてしまい、不自然な印象になることもあります。逆に長く設定すると、音の余韻を活かしながらノイズを抑えられますが、ノイズ成分がわずかに残る場合があります。
演奏スタイルやジャンルに応じて、タイトさと自然さのバランスを取ることがポイントです。

ギター博士

エレキギター博士「設定のコツは、『ノイズは切るが演奏のニュアンスは残す』バランスを見極めることじゃ!極端な設定は演奏の自然さを損なうので、まずはスレッショルドを低めに設定して徐々に追い込んでいくといいと思うゾ☆」

オススメのノイズゲートペダル

TC Electronic IRON CURTAIN NOISE GATE

TC Electronic IRON CURTAIN NOISE GATE

TC Electronicの格安ペダルシリーズ「Smorgasbord of Tones」からリリースされた、クラシックなノイズゲート・ペダル。
THRESHOLD, DECAYのみのシンプルな構成で、ノイズゲートに求められる最小限の機能を搭載しています。

トゥルーバイパス方式によって、原音の劣化なくノイズを除去することが可能。
なんといってもリーズナブルなので、とりあえずノイズゲートを使ってみたいという人の入門機種としても最適なモデルです。

TC Electronic IRON CURTAIN NOISE GATE – Supernice!エフェクター

BOSS NS-2 Noise Suppressor

BOSS NS-2 Noise Suppressor

BOSS「NS-2」は、原音には影響を与えずノイズだけをキレイに除去する超定番のノイズゲートペダルです。リンプ・ビズキットのギタリストのウェス・ボーランドやエッジ(U2)をはじめ、多くの世界的ギタリストが愛用したことで知られています。

一般的なノイズゲートは全ての周波数にあるノイズをカットするシャットアウト方式が採用されていますが、本機はSEND/RETURN端子を用いた独自のノイズ検知方式を採用。
確実にノイズをカットしながらも、自然な音を鳴らせるのが魅力です。

実際に使用する場合、オーバードライブやディストーションなどの歪みペダルは、本体のSEND/RETURN端子に接続します。これにより、ギターそのもののノイズとエフェクターによるノイズを分けて検知することが可能となっています。ノイズゲートは各社から様々なモデルが販売されていますが、まずは本機から試してみることをオススメします。

BOSS NS-2 Noise Suppressor – Supernice!エフェクター

MXR M-135

BOSTONのトム・シュルツ率いるROCKMANのノイズゲートを参考にした、ハイゲイン・サウンドにもってこいのノイズゲートです。
基本的には「TRIGGER」の1ノブでスレッショルドを調節する直感的なコントロールで、レンジを拡張する「HI TRIGGER RANGE」スイッチ、カットする周波数帯域をHISS、MID、FULLの3種類から選択できる「NOISE BAND CUT」トグル・スイッチが搭載されています。

MXR M-135 SMART GATE – Supernice!エフェクター

Electro Harmonix Silencer

エレクトロ・ハーモニックス社の高性能ノイズ・ゲートです。コントロールはTHRESHOLD、REDUCTION、RELEASEの基本的な3コントロールとシンプルで、実売価格1万円前後とエレハモらしいコスト・パフォーマンスに優れたモデルです。

特筆すべきはセンド・リターンを備えている点で、エフェクト・ループ全体はもちろん、ノイズの原因となっているエフェクターにピンポイントでゲートをかけることができます。
通常のノイズゲートのように直列のエフェクト・チェーンに組み込むことも可能です。ノイズ・リダクションは-70dBから+4dB、リリース・タイムは8msから4secまでと、ノイズゲートに求める基礎的な性能もしっかり備わっています。

Electro Harmonix Silencer – Supernice!エフェクター

TC Electronic SENTRY NOISE GATE

TC Electronic SENTRY NOISE GATE

TC Electronic「SENTRY NOISE GATE」は、各帯域毎にゲートをかけることができるマルチバンド処理を採用した高性能ノイズゲート・ペダルです。
一般的なノイズゲートが全帯域を一括でカットするのに対し、本機は低域・中域・高域を独立して処理できるため、不要なノイズだけを狙い撃ちし、演奏のニュアンスや倍音を極力損なわずに保ちます。

ツマミはTHRESHOLD, DECAYに加えて、ゲートが閉じる量を設定するDampが追加されています。モード切替はGATE/Toneprint/HISSと3モード式で、ハイゲイン・ディストーション時でも静寂が訪れるハードゲイト・モードを搭載しています。
エフェクトループ入出力を備え、特定のペダルやアンプのプリ部だけにゲートをかける設定も可能。プロユースにも耐える多機能ノイズゲートです。

TC Electronic SENTRY NOISE GATE – Supernice!エフェクター

Free The Tone IG-1N

楽器の音を可能な限り損なわないことを目指した、日本発Free The Toneのノイズゲートです。
ノイズゲートは信号のノイズにあたる部分をカットするという特性上、どうしても楽器の信号に影響を与えてしまいます。このような音質の変化を抑えるべく、本機では音声信号が通る部分にはアナログ、信号の監視にはデジタル回路を採用することで、正確で素早いゲートと高い音質を両立させています。

動作モードは緩やかに減衰する「ノイズリダクション・モード」とピタッと音が止まる「ノイズゲート・モード」の2種類用意されており、シチュエーションに合わせて使い分けやすいのも魅力であるほか、MIDI信号によるON/OFFのコントロール、入力インピーダンスの切り替えにも対応しています。

Free The Tone IG-1N – Supernice!エフェクター

BOSS NS-1X

BOSS NS-1X

BOSS NS-1Xは、BOSSのデジタル技術「MDP」を採用した次世代ノイズサプレッサーです。
従来のノイズゲートのように音全体を一律にカットするのではなく、入力信号の特性をリアルタイムに解析し、不要なノイズだけを自然に抑制。これによって、ハイゲインサウンドでも演奏ニュアンスやサステインを損なわず、クリーントーンからハイゲイン・ディストーションまで幅広く対応可能です。

操作はTHRESHOLD、DECAY、DAMPの3ノブに加えて、ゲートのスタイルをREDUCTION/GATE/MUTEの3種類から選択可能。さらにSEND/RETURN端子を装備し、特定のペダルやアンプのプリ部にのみゲートを適用することも可能。プロユース仕様の高性能モデルです。

BOSS NS-1X – Supernice!エフェクター

以上、ノイズゲートについて見ていきました。
特にハイゲインサウンドやタイトなリフが多いプレイヤーにとっては、欠かせないツールと言えるでしょう。今回紹介した活用法、おすすめモデルを参考に、あなたのペダルボードにも最適なノイズゲートを組み込んでみてください。余計なノイズが消えた瞬間、音の輪郭と演奏のキレが見違えるはずです。

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