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エレキギターの持つポテンシャルを最大限に引き出し、エレキギターの概念を永久に変えた人物、「神」と呼ばれる全てのギタリストにとってすら神であるギタリスト、それがジミ・ヘンドリックス氏です。早世して半世紀を経た今なお、ロック専門誌は毎年欠かさず特集を組み、天才的なロックギタリストはおしなべて「ジミヘンの再来」と評されます。直接にしろそうでないにしろ、全てのロックギタリストは氏の影響下にあるのです。
活動期間は約4年間、公式アルバムは僅か4枚と短いキャリアにもかかわらず現在、彼に関連するアルバムは100枚を超え、ブートレッグを含めればその数は把握できません。
当時の録音のクオリティはさておき、彼の弾くフレーズ、表現している世界観ともに微塵もさびれることがなく、新しいファンを獲得しています。今回は、半世紀を経てなお志向の存在、ジミ・ヘンドリックス氏に注目していきましょう。
The Jimi Hendrix Experience – Purple Haze (Live at the Atlanta Pop Festival)
かつてなかったファズサウンドとジミヘンコード「E7(#9)」を世に知らしめた、ジミヘンの代表曲。
1942年11月27日 生 米ワシントン州シアトル
父のアル・ヘンドリックスは陸軍に在住していたため、母のルシールの手で育てられますが、ルシールもジミを放り出して外へ遊びに出かけることが多かったらしく、7歳の頃には弟レオンと一緒に親戚に預けられ、その後、両親は離婚。ルシールはジミが15歳の頃にアルコール中毒で死亡、その葬式にはアルもジミも参列しなかったというから、決して幸せな家庭環境に恵まれたとは言えません。しだいに不良グループの仲間入りをするようになり、窃盗などの罪で警察に逮捕されてしまいます。しかし、そこで彼は刑務所行きの代わりに軍隊への入隊を志願。そこでエレキギターを本格的にマスターすることになりました。
訓練で負傷し、1962年に軍隊を除隊。同じ部隊にいたことで知り合ったビリー・コックス(b)と、ナッシュヴィルを拠点にバンド活動を再開。そしてニューヨークに移り、ウィルソン・ピケット、リトル・リチャードなど40以上のバック・バンドに参加します。
アイズレー・ブラザースのバック・バンドでは、ギタリストとして注目を集めるようになりましたが、彼の目立ちすぎるパフォーマンスは、多くのミュージシャンたちに煙たがられるようになります。1966年、ジミは自分のバンド、ジミー・ジェイムズ&ザ・ブルー・フレームスを結成。この頃のジミのプレイの噂を聞きつけた元アニマルズのチャス・チャンドラーがジミをイギリスへと誘い、ロンドンに降り立った彼は1ヵ月後、ノエル・レディング(b)、ミッチ・ミッチェル(ds)と共にジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスを結成します。
The Jimi Hendrix Experience – Foxey Lady (Miami Pop 1968)
1966年12月にシングル「ヘイ・ジョー」でデビュー(最高位全英6位)。ライヴの評判とともにたちまちスターへの道を歩み始めます。
『アー・ユー・エクスペリエンスト ?』(67年5月)『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』(67年11月) 『エレクトリック・レディランド』(68年10月)の3作をリリース。1969年8月の『ウッドストック・フェスティヴァル』でヘッドライナーを務め、「星条旗よ永遠なれ」の伝説的なライヴを残した。1970年6月、ライヴ・アルバム『バンド・オブ・ジプシーズ』をキャピトルから発売(全米5位記録)。1970年8月末、 4枚目のアルバムのレコーディングを終え、トラックダウンを開始する前にヨーロッパへ。
ワイト島フェスティヴァル(8月30日)、ラヴ・アンド・ピース・フェスティヴァル(9月6日)に出演した直後の9月18日、ロンドンのサマルカンド・ホテルで昏睡状態に陥り急死。
享年27才。
Top 10 Riffs: Jimi Hendrix
「おお、かっこええ」と思わせる珠玉のリフ。現代のプレイヤーもジミヘンをコピーし、また研究し、自分のプレイを磨くヒントを得ているのです。
ファズやワウペダルなどエフェクターを効果的に使った音作り、恐ろしく奔放なアドリブでありながら見る者の胸を打つリードプレイ、ジミヘンコードと言われる特徴的な「E7(#9)」の響き、コードを分解させたバッキングなど、プレイの特徴は枚挙にいとまがありません。
演奏の基本はあくまでブルースやR&Bに根差していましたが、これにジャズのコードやスケールを加えた独自の音楽を構築しました。音の選び方やフレーズの展開は強烈に非凡であり、従来からのブルースやR&Bの枠に収まらない画期的なフレーズの連続でした。
ヘンドリックス氏のピッキングは、伸ばした親指を大きく反らせた「逆アングル」です。指の伸縮ではなく、手首のスナップを使って弦をヒットします。このピッキング法は芯の通った力強い音が得られ、ジミヘンサウンドの重要な要素となっています。
The Jimi Hendrix Experience – Foxey Lady (Live In Maui, 1970)
ステージのアクションは大きく、ギターソロでは歯弾きを披露し、エンディングでは弦をマイクスタンドこすりつけ、歌いながらだと言うのに終始神がかった演奏。あなたが神か。
ヘンドリックス氏と言えば、大胆なステージングも忘れてはいけません。背面弾き、歯弾き、ギターやアンプの破壊、ギターを挟んだ脚でのアーミングなど、ステージ上ではその暴れん坊ぶりを大いに発揮しました。しかし出している音はしっかりしており、左手をブン回しているときはフィンガリングだけで演奏するなど、そのすべてが音楽表現でした。
Jimi Hendrix – Lover Man
またファッションも重要です。日本の着物にヒントを得たかのようなゆったりとした衣装は、鮮やかな色合いもあって同時代の多くのミュージシャンが採り入れました。ヘンドリックス氏のファッションは今や、60年代のミュージシャンっぽいファッションとして広く認知されています。
ヘンドリックス氏は主に、右用のフェンダー・ストラトキャスターの弦を左用に張り替えて演奏しました。リバースヘッドになることとピックアップの左右が逆転したことから、他のギタリストの手からは放つことのできない独自のトーンが得られました。
他にもギブソン・フライングVを持った映像は数多く残っている他、ギブソンSG、ギブソン・レスポールやビザールと呼ばれる国産の変形ギターを使用することも稀にありました。
フェンダー・メキシコ工場で生産される、ヴィンテージトーンとクラシックスタイルが融合されたシグネイチャー・モデル「Jimi Hendrix Stratocaster」は、完全に右利きギタリストのために設計されながらもリバースヘッドを採用し、ジミのフィーリングまで再現したモデルです。
カラーラインナップはオリンピックホワイト、ブラックの2種類。アルダーボディ、メイプルネックはミディアムジャンボの”C” Shape、ピックアップは American Vintage ’65 Gray-Bottom Single-Coil Strat を3基というスペックとなっています。
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1967年モンタレー・ポップ・フェスティバルでの、ハンドペイントのストラトキャスターをステージで燃やした驚愕のパフォーマンス(記事冒頭の写真がまさにこの瞬間のものです)。ライブ中に火をつけ破壊させられたため、写真と映像の中でしか見ることのできなかったこのストラトキャスターが、モンタレー・ポップ・フェスティバルのライブ50周年を記念して2017年8月から発売されています。
アルダーボディにCシェイプのメイプルネック、6点支持シンクロナイズド・トレモロ、ビンテージスタイルの7.25インチ・ラディウスのメイプル指板(21フレット)/チューニングマシン/ストラップ・ボタン/トレモロアームと、ヴィンテージの雰囲気をプンプン漂わせており、当時のスタイルを忠実に再現しています。もちろんクラシックなフェンダー・ストラトキャスターのサウンドが得られます。ネックプレートには Hendrix の特製ロゴが刻印されています。
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1969年、テレビ番組「ディック・カヴェット・ショー」に出演した時に使用した、1967年製SGカスタムを忠実に再現したモデルです。カスタムショップの粋を集めた妥協ない作りに、自然なエイジド処理が施されます。数々の付属品の他、専用ハードケースの内側には、出演当時の衣装をイメージした生地が一部使われています。全世界150本の限定生産です。
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Jimi Hendrix – The Dick Cavett Show (Trailer) (In Stores Now)
「私達は自分達の音が聴く人の心に触れて、それによって何かを呼び覚ますことができると信じている」と、番組のインタビューでヘンドリックス氏は語りました。ジミヘンのサウンドは、耳で聴くのではありません。心で聴くのです。
ご本人が使用した1968年製ストラトには、セイモア・ダンカン氏自身がヘンドリックス氏のために巻いた特別なピックアップが載せられていました。「Jimi Hendrix Signature Strat set」は、これを当時のレシピに従いつつ復刻したモデルです。独特の荒々しい音色に加え、ポールピースが左利き用に並べ替えられており、右用のストラトでご本人のサウンドに迫ることができます。
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Seymour Duncan, Jimi Hendrix Signature Strat Set
ご本人が使っていた弦はフェンダー「150」シリーズで、ゲージは010、013、015、026、032、038という変則的なものでした。ピックはフェンダー「351(ティアドロップ)」、セルロイド製で厚さはミディアムです。
主に使用していたエフェクターは、ファズ、ワウペダル、ユニヴァイブです。非常にシンプルなセットにもかかわらず、繰り出される音は変幻自在でした。それもそのはずで、ファズはギターの音量調整で歪み加減を、ユニヴァイヴはフットコントローラーで揺れ加減を、ワウペダルでは強調する音域を、という具合に全てのエフェクターがその場で利き具合をコントロールできたのです。サウンドの幅広さから、ジミ・ヘンドリックス氏のギタープレイは”宇宙”と表現されることもあります。
左から、JHW1、JHW2、JHW3、JHW4。
ジム・ダンロップ「Authentic Hendrix ’69 Psych Series」は、ヘンドリックス氏の愛用したファズとユニヴァイブをコンパクトな筐体に収め、現役のエフェクターとして使いやすくなるようアップデートを施したエフェクター群です。
このほか、ジミヘン愛用機の再現や復刻、ジミヘンサウンドを意識したものなど、さまざまなエフェクターがリリースされています。
ジミ・ヘンドリックス エフェクター – Supernicre!エフェクター
ギターアンプは、いわゆる「プレキシ・マーシャル」の3段積みです。ステージ上でぶっ壊すこともあり、プレキシマーシャルだけで百台近く使ったと伝えられます。
《今振り返る》マーシャルアンプの系譜 – Supernice!ギターアンプ
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、衝撃のデビュー・アルバム。Foxey LadyやManic Depression 、Fire、Hey Joeなど代表的な楽曲が盛りだくさん。
1967年リリース作品
1967年5月&10月にチャス・チャンドラーのプロデュースのもとレコーディングされたザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのセカンド・アルバム。サイケデリック色の強いアルバムです。
1967年リリース作品
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスとしての最高傑作、そしてロック史上にもその名が燦然と輝く名盤中の名盤。アメリカ盤のジャケットがオフィシャル版となりましたが、発売当初のイギリス盤のジャケットでも有名。多くのギタリストがこぞって演奏するVoodoo Childはこのアルバムに収録。
1968年リリース作品
ジミ・ヘンドリックスが1969年に結成したバンド『バンド・オブ・ジプシーズ』によるライヴ・アルバム。
ニューヨーク/フィルモア・イーストで行われた69-70ニュー・イヤーズ・イヴ・フェスティヴァルの模様を収録。圧倒的な爆発力・グルーブを感じることができるほぼジャムセッションに近いライブ演奏。通な人はこのアルバムをジミヘンのベストアルバムに位置付けるほど。
1970年リリース作品
ロックギター名盤アルバム:JIMI HENDRIX「Band of Gypsys」
以上、ジミ・ヘンドリックス氏について見ていきました。氏についてはさまざまな伝説や伝承があり、掘れば掘るほどいろいろな情報が手に入ります。ぜひいろいろ調べてみてください。
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