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フェンダー・テレキャスター・シンライン

フェンダー・テレキャスターシンライン

Fender Telecaster Thinline(フェンダー・テレキャスター・シンライン)は、エレキギターの更なる軽量化を目指し、1969年にリリースされました。ボディ材をバック側からくりぬき板で蓋をするという構造とトップのFホール以外、形状やピックアップなどは普通のテレキャスターとあまりかわらない楽器でしたが、フェンダー史上初めてマホガニーがボディ材に採用された機種です。

1972年には、アッシュボディでギブソンから移籍したピックアップ設計者の開発した2基のハムバッカーを搭載したモデルに仕様変更し、同時期に発表されたテレキャスター・カスタムと共に、1981年まで生産されました。

現在リリースされているテレキャスター・シンラインは、この69年式と72年式のリイシュー(=再生産)を基調としています。

テレキャスターシンラインの特徴

今やこのテレキャスターの固有名詞となっている「シンライン」ですが、言葉自体葉はギブソンが起源です。
「シンライン」という言葉は「薄い(=Thin)ボディのラインナップ」という意味で、ES-175を代表とするボディの厚いフルアコ(=フルアコースティックギター)とは違う、ES-335を代表とするボディが薄く中央は空洞になっていないセミアコ(=セミアコースティックギター)に使われていました。フェンダーはこれを「セミアコのことをシンラインというのだ」と誤解した、というのが有力な説です。シンラインが実際に普通のテレキャスターより薄いボディだというわけではありません。

ボディ構造

テレキャスターシンラインのボディ構造

テレキャスターのボディを裏側からくりぬき、板を貼って塞いでいます。ピックアップを収めるボディ中心は残し、1弦側と6弦側をくりぬいているのでセミアコと同じ構造だということができます。また6弦側にはFホールが空けられており、ルックス上の大きなポイントになっています。

ギブソンのセミアコよりもボディサイズが小さいことから、他のセミアコよりもハウリングが起こりにくいのがアドバンテージですが、普通のテレキャスターよりはハウリングしやすくなっていますので、油断は禁物です。

重量的には木材の個体差がありますが、普通のテレキャスターがだいたい3.7キロ程度であるのに対して、だいたい3.4キロほどになるようです。3キロを下回る個体もあるようですが、あまり軽いと立って弾く際にヘッド落ちすることがあります。また一方で、比重の重いアッシュ材ボディのシンラインよりも軽量なバスウッドのテレキャスターの方が軽い場合もあります。

ピックアップ

テレキャスターシンラインのピックアップ 左から:69年式、72年式、USA AMERICAN DELUXE

69年式は一見普通のテレキャスターと変らないピックアップが搭載されていますが、フロントピックアップのマウント方法に違いがあります。通常のテレキャスターでは、フロントピックアップはボディに直接マウントされていますが、シンラインではハウリングを懸念してピックガードから吊り下げる方式を取っています。ピックガードマウントによって、より甘いニュアンスのサウンドになります。

一方、72年式には「ワイドレンジ・ハムバッカー」と言われるピックアップが二つ搭載されています。これはギブソンから移籍したハムバッカーピックアップの開発者、セス・ラバー氏がフェンダー用に新たに開発したものです。氏は、「フェンダーギターのサウンドはナチュラルでブライトなサウンドが特徴だ」と考えており、通常のハムバッカーよりも高音域が豊かにアウトプットされる、ギブソンとは一線を画すハムバッカーを考案したのだと言われています。

72年式のモデルでもこのワイドレンジハムバッカーではない、普通のハムバッカーがマウントされていることがあります。購入を検討する際には、仕様の確認がお勧めです。

但し、フロントもリアも同じピックアップが使われているので、ポールピースが弦から外れるのはごく普通の仕様です(フェンダージャパンのギターでもこの仕様を踏襲しています)。こういう大雑把なところが俗に言う「アメリカ人の仕事」というやつで、メイドインUSAの魅力として捕らえるべきだと考えられています。

サウンド

thinline-head

69年式、72年式ともに、テレキャスター特有のソリッドなアタックとコシの強い弦振動に、ホロウボディが生み出すエアー感が加わった独特のサウンドになります。複雑な倍音を含んだ、ふくよかで甘いトーンと称されますが、他のセミアコよりもボディが小さい分、得られるエアー感はそれほど際立ったものではありません。若干甘い、また丸いニュアンスが加わるくらいに思っておくのがいいでしょう。

リアで歪ませるとパワフルなドライブ感が得られ、太くても重過ぎない印象、フロントではマウント方法の違いも手伝い、甘く澄んだ印象のサウンドです。楽器本体の音(いわゆる生音)は大きくなりますので、アンプにつながない練習がやりやすくなります。


Fender Select 2013 Telecaster Thinline Demo

テレキャスターシンラインのラインナップ

現代版:Fender USA AMERICAN DELUXE TELECASTER THINLINE

Fender USA AMERICAN DELUXE TELECASTER THINLINE

アメリカン・デラックス・シリーズはフェンダーUSAの上位シリーズで、現在のフェンダー社が提供しうる究極の「サウンド・クオリティ・スペック」を追求する最新アップグレード版です。

  • アッシュボディ、モダンCシェイプのメイプル1ピースネック&指板、現代的なミディアムジャンボフレット
  • コンパウンド・ラディアス指板(円錐指板)

ローポジションは丸くてコードを押さえやすい、ハイポジションになるにつれて徐々に平らになっていきチョーキングがやりやすくなる、高機能な指板です。フェンダーの伝統的な丸い指板よりも弦高を下げることができます。
ノイズレス・テクノロジーの第3世代を意味する「NEW N3 Noiseless Pickup」を採用。伝統的なトーンを、ノイズに怯えることなくアウトプットできます。

  • ボリュームポットに仕込まれているスイッチ(S-1 Switchingシステム)により、フロント+リアの直列(シリーズ)サウンドが可能に
  • ロック機能の付いたペグは、1~3弦のストリングポストを低くすることで、絶妙なテンションバランスを実現。

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69年モデル:Fender USA CLASSIC SERIES ’69 TELECASTER THINLINE

Fender USA CLASSIC SERIES '69 TELECASTER THINLINE Fender USA CLASSIC SERIES ’69 TELECASTER THINLINE

  • Uシェイプ・メイプルネック&指板
  • ヴィンテージスタイルの細いフレット(21フレット)
  • マホガニーのセミホロウボディ

など、当時のスペックを忠実に再現したモデルが、USA、ジャパンからは「Fender Japan TN70/MAHO」、Squireからは「Squire Classic Vibe Telecaster Thinline」としてそれぞれリリースされています。

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72年モデル:Fender USA CLASSIC SERIES ’72 TELECASTER THINLINE

72-thinline Fender USA CLASSIC SERIES ’72 TELECASTER THINLINE

  • Uシェイプ・メイプルネック&指板
  • ヴィンテージスタイルの細いフレット(21フレット)
  • アッシュのセミホロウボディ
  • ハムバッカー2基搭載

という当時のスペックを再現したモデルはUSAとジャパンからは「Fender Japan TN72」としてリリースされています。USA版のピックアップはワイドレンジ・ピックアップとなっています。

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テレキャスターシンラインの愛用者

カーティス・リー・メイフィールド(Curtis Lee Mayfield、1942-1999)

アメリカのソウル、R&Bシーンに多大な影響を残したほか、ボブ・マーリーなどにも強い影響を与えたソウルシンガー。晩年はフェンダー・ストラトキャスターを使用する事が多かったようですが、69年モデルのシンラインを知らしめたのはこの人と言って間違いはありません。

フレディ・ストーン(Sly & The Family Stone、1946-)

スライ&ザ・ファミリーストーンは60年代後半から70年代にかけて活動したファンクロックバンドです。スラップ(=チョッパー)奏法の開祖ラリー・グラハムが在籍していた事でも有名です。このバンドのギターボーカル、フレディー・ストーンは、サイケなペイントの69年式シンラインを使用、ワウペダルを駆使し、ピックを使わず親指で味のあるプレイをしています。

スガシカオ(1966-)

SMAP初のミリオンセラーとなった「夜空ノムコウ」の作詞作曲をしたことで余りにも有名なシンガーソングライター&音楽プロデューサー。動画では72年モデルを弾いています。ファンクをバックボーンにするギターボーカルにはテレキャスターがよく似合いますね。
スガシカオ氏がシンラインを演奏している動画はコチラ