《特集》フリーダムCGR「Pepper シリーズ」の全貌に迫る!

[記事公開日]2018/4/25 [最終更新日]2024/3/5
[編集者]神崎聡

フリーダムCGR「Pepper シリーズ」 左から、レッド、ブラウン、ブラック、グリーンの各Pepper。とても良い眺めですが、グリーンはともかく左の3本は色しか違わないように見えますね。

FREEDOM CUSTOM GUITAR RESEARCH(フリーダム・カスタムギター・リサーチ、フリーダムCGR)」の「Pepper(ペッパー)シリーズ」は、一見するとフェンダーの「テレキャスター・シンライン」をほうふつさせるルックスを持ちながら、

  • ボディ&ネックともにアフリカンマホガニーを基調とする木材構成
  • 4タイプのボディ構造の違いによる、4タイプのサウンドキャラクター

この二つを特徴とする異色のラインナップです(木材については、ホンデュラスマホガニーもUPチャージにて選択可能です)。

4タイプは開発された順にレッド、ブラウン、ブラック、グリーンという名前が付けられ、名前通りのカラーリングを基本としています。これらはどういう経緯で誕生し、どんな違いがあり、ボディの違いがどのようにサウンドへ反映されているのでしょうか。今回はフリーダムCGR代表の深野真(ふかの・まこと)さんの解説を交えながら、Pepperシリーズの全貌に迫ります!

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1: 《第一章》Pepperシリーズってどんなギター? 1.1: 1) ボルトオン・スタイルのギターにマホガニーネック採用 1.2: 2) ボディ構造でサウンドキャラクターを作る 1.3: 3) とにかくやたら軽い 1.4: 4) 選べる二つのハムバッカー 2: 《第二章》Green Pepperをチェック! 2.1: 1) ゼブラウッドを用いたボディ・トップ/バック 2.2: 2) ステンレスフレットは指板エッジ部分がなめらか処理 2.3: 3) オリジナルデザインのヘッド 2.4: 4) オリジナルのブリッジPUとP-90タイプのマッチング 3: 《第三章》「Pepper シリーズ」のラインナップ 3.1: Red Pepper(レッド・ペッパー) 3.2: Brown Pepper(ブラウン・ペッパー) 3.2.1: 「レッド」と「ブラウン」は何が違うのか 3.3: Black Pepper(ブラック・ペッパー) 3.4: Green Pepper(グリーン・ペッパー) 3.4.1: 「ブラック」と「グリーン」の違い 3.5: 4機種の違いまとめ 4: 《第四章》深野さんが語る「Pepperシリーズ」

FREEDOM CGRショウルーム FREEDOM CGRのショウルームにて、熱心にかつ丁寧に解説してくださった深野さん。同業者の支持も厚いギター業界の重鎮ですが、ギターの話をするときは無邪気で嬉しそうな笑顔が絶えません。
究極の一本を作るアプローチを常に探求していく:Freedom CGR訪問インタビュー

《第一章》Pepperシリーズってどんなギター?

それぞれについてみていく前に、シリーズ内で共通しているだいたいの特徴を見ていきましょう。

1) ボルトオン・スタイルのギターにマホガニーネック採用

Pepperシリーズは一見するボルトオンスタイル(フェンダー・スタイル)のギターですが、ネック材にはこの種のギターで一般的なメイプルではなく、アフリカンマホガニーが採用されています。このシリーズは「マホガニーのネックもあるよ」ではなく、「マホガニーネックのみ!」と決まっており、このネックだけピックアップしてもPepperシリーズ独得の世界観を感じることができます。

良質なマホガニー・ネック 均一な木目の美しい、良質なマホガニーがネックに使用されています。

2) ボディ構造でサウンドキャラクターを作る

4機種の最も大きなポイントは「ボディ構造」にあり、基本的にボディ構造以外のパーツ類はすべて共通しています。「ボディの構造を変えて、生音の鳴らし方を変化させ、アンプからの出音を変える、というアプローチ(深野氏談)」で生まれる各機種のサウンドにはそれぞれに個性があり、まさに「キャラが立っている」と言えます。

自分の音楽に必要な音を求めている人ならば、4本の中から確実に一本を選び出すことができるでしょう。また、いろいろなジャンルを知っている人ならば、それぞれのギターがどんな場面で活きるかが容易に想像できることでしょう。

ペッパーシリーズの内部構造 左から、「グリーン・ペッパー」、「ブラウン・ペッパー」、「レッド・ペッパー」のボディ。くりぬき方や内部構造に違いがあります。

3) とにかくやたら軽い

Pepperシリーズのもう一つの特徴は、ほぼ3kgを下回るという「極めて軽い本体重量」で、手に取った瞬間「とにかくやたら軽い」と感じる、恐ろしい軽さです。ボディ内を大胆にくり抜いていることに加え、ネック材に採用しているマホガニーはメイプルより軽いことが、この超軽量化を可能にしています。そしてモデルによりペグノブの材質までも考慮されており重量バランスも良好で、演奏にストレスを感じさせません。ハウリングにも強いので、巨大なステージで大音量で鳴らしても大丈夫です。

4) 選べる二つのハムバッカー

レッド、ブラウン、ブラック各ペッパーに搭載されるハムバッカーは

  • フリーダムCGRオリジナル「Hybrid Humbucker(ハイブリッド・ハムバッカー)」
  • VooDoo製HB’59 Alnico III

の二種類から選択でき、「ハイブリッド・ハムバッカー」には「タップコントロール」が備わります。

タップコントロール」は、ハムバッカーとシングルコイルの音の間を無段階に切り替え調整できる回路です。トーンポットに起動スイッチが仕込まれており、トーンのつまみを引くと「タップコントロールON(トーン回路は使われなくなる)」となります。このときトーンつまみはタップコントロールつまみに切り替わり、「全開」でハムバッカー、「絞り切る」とシングルコイル、その途中の音をつまみの具合で設定することができます。タップコントロールつまみが中央位の地点では、P-90を思わせる音色になります。

《第二章》Green Pepperをチェック!

では、4機種のうち「Green Pepper(グリーン・ペッパー)」をじろじろ見ながら、どんなギターなのかをチェックしていきます。以前「サウンドメッセ2017」でお話をうかがった時には「4機種の人気に目立った差はありません(深野氏談)」とのことでしたが、最近ではこのグリーン・ペッパーに人気が集まっているようです。

1) ゼブラウッドを用いたボディ・トップ/バック

Green Pepper外観

Green Pepperボディバック

ボディのトップ/バック両面にゼブラウッドを用いている以外には、割とふつうのシンラインに見えなくもないルックス。しかし裏返すとネックの色調と木目から、マホガニーネックであることがわかります。それでありながら「4点止めボルトオンジョイント」を採用しているのも、珍しいポイントです。

2) ステンレスフレットは指板エッジ部分がなめらか処理

ステンレスフレットと指板エッジ仕上げ フリーダムのお家芸「ステンレスフレットと指板エッジ仕上げ」

演奏性を突き詰めたフレットと指板は、フリーダム製のギターすべてに共通する特徴です。ステンレスフレットは両端がなめらかに整えられ、いつまでも錆びることなく常に美しい輝きを放ちます。指板のエッジ部分もなめらかに処理されており、スムーズなフィンガリングをそれとなく、かつうまい具合にサポートします。

Pepperシリーズ:ネック なんともなじみやすいネックグリップは、最高にちょうどいい。

ネックグリップはペッパー専用のシェイプでどのモデルも一緒という事ですが、耐久性も考慮したやや厚みがある形状に、非常に握り心地が滑らかな仕上げが施され、「演奏中にネックグリップのことが気になることはない」というくらい自然な弾き心地です。

3) オリジナルデザインのヘッド

Pepperシリーズ:ヘッド

Pepperシリーズ:ペグ

ヘッド形状はオリジナルデザインで、裏をどこまで削るかなど細かい寸法は、演奏性と音響性の両面から検討されます。ペグは標準的なクルーソンタイプですが、ボディが軽いギターなので、ツマミには軽量なプラスチック製のものが採用されています。

4) オリジナルのブリッジPUとP-90タイプのマッチング

Pepperシリーズ:ピックアップ 使い勝手の良い自社製ピックアップとモダン・スタイルのブリッジ。

自社製ピックアップは、ややパワーがあり太目なPepperシリーズ専用のオリジナルのブリッジPUとP-90タイプ(FCGRではF-90という品番)のマッチングは出音のバランスが良く、扱いやすい印象です。両サイドに「壁」のないモダン・スタイルのブリッジプレート、6連のブロックサドルは音の伸びとオクターブ・ピッチの正確性にすぐれ、現代的なテレキャスター・タイプでは定番となっている仕様です。


ではいよいよ、Pepperシリーズそれぞれについてチェックしていきましょう。ボディ構造の違いは、どのようにサウンドに影響するのでしょうか。

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