ギター・ソロ以外の部分でもアドリブしてみたい《アドリブ・バッキング》

[記事公開日]2016/9/16 [最終更新日]2017/2/2
[編集者]神崎聡

フェンダーのストラトキャスターを購入して3年目です。ギター・ソロのアドリブはできるようになったのですが、それ以外の部分でもアドリブしてみたいのです。どのような練習方法がいいのか教えてください。 – (2011/1/29)20~29歳 女性

ギター・ソロでアドリブがとれるということは、ある程度ペンタトニックを理解しているということですね。
ペンタトニックが理解できていれば曲の芯となるリフを構築することもできるかと思います。

ギターソロでのアドリブはバックのコード進行やキーに合ったスケールなどを使って演奏しますので、ペンタトニックの理解さえある程度できて、それなりの経験があれば大抵何となくできます。
メジャーペンタトニックスケール
マイナーペンタトニックスケール

曲には、その曲のキー(調)というものが存在しています。
例えばキーがFの曲だった場合、その曲のどの部分・どのコードの時でもFの構成音は曲にフィットします(曲中で転調する場合はまた話がややこしくなりますが)。もちろん音の選び方は重要ですが、このことが完全に体で理解できていれば、自然とどんな曲調でも反射神経でアドリブできるようになると思います。

ですが、コード進行が多い曲・コードワークでアドリブしたい場合、コードの構成についての知識がないとできないかもしれません。
バッキングに対してはアドリブという言葉自体をあまり使いませんが、それが何を指しているのかによって少し勝手が違います。ジャズでよくある、複雑なコードの展開を含めたバッキングはもちろんアドリブでしょうし、単純にコード弾きのリズムパターンを自分なりに適当に弾いているだけでもアドリブとは言えるわけです。

ここでは、バッキングの中にオブリガードを含めるもの、コードのポジショニングを工夫して伴奏を即興で作るものを「アドリブ・バッキング」として3種類解説してみます。

スケールでのオブリガード

スケールでのオブリガードTab譜 スケールでのオブリガード一例

オブリガードとは歌の隙間などに入るカウンターメロディーのことを指します。バッキングの際、これをスケールでアドリブして随所に入れていく感覚で、ソロがアドリブで出来る人なら、ほとんどその延長で演奏して構わないでしょう。曲調に合った、2拍程度の短いソロを、歌が一息ついている瞬間を狙って繰り出すという感じです。注意点としては、歌とかぶりすぎると邪魔になるので、あまりだらだらやらないってとこでしょうか。シュッと出てきてシュッと引いていくイメージです。

ただ、曲調によっては、歌とギターソロが完全に同時に鳴って盛り上がっているような曲もあります(バラードなどに多い)。こういう場合はほとんど普通のソロと同じです。

コードトーンでのオブリガード

こちらは同じオブリでも、コードトーンを使ったもの。キーで弾くスケールと違ってコードは素早く変わっていくので、難易度もこちらの方が高いです。単音で攻めるスケールよりも、フレーズそのものがコード感を醸し出すので、スムーズに曲中になじむのが特徴です。コード進行の凝ったおしゃれな曲には合うことが多いですが、逆にコードが2つや3つ程度しかないような、簡単な響きの曲ではあまり効果がありません。

これをアドリブで繰り出すには、コードトーンをひとつずつ覚えるよりも、同じコードをいくつかのポジションで常に弾けるようにしておくことと、そのコードの響きに応じたフレーズを蓄えておくのがポイントになります。
音が鳴る!ギターコード表

コードトーンでのオブリガードTab譜 コードトーンでのオブリガード一例

これはオブリの達人、デヴィッドTウォーカーがメジャー7th、マイナー7th上でよく使うフレーズですが、こういうものをフレーズ単位で暗記して、いろんなキーで弾けるようにしておくと、自然に出せるようになります。

コードバッキングそのものをアドリブする

こちらは歌やメロディの隙間に入るオブリの話ではなく、コード伴奏そのものを変えてしまうアドリブ。

たとえば C – Am7 – Dm7 – G7 という簡単なコードでも、下のように、色んな場所でコードを弾くことで、凝った伴奏に出来ます。

コードバッキングのアドリブTab譜 コードバッキングのアドリブ一例

これは上の「コードトーンでのオブリガード」以上に、コードフォームに習熟している必要があります。一つのコードで3つ程度の場所が即座に分かるようにすると、それだけでアドリブして遊んでいけるでしょう。これを突き詰めると、最終的にジャズのソロギターなどの分野に入っていきますので、この辺りに本当に強くなりたい人は、一度ジャズの勉強をしてみるのをおすすめします。


アドリブは即興演奏という言葉通り、即興でフレーズを作り出すのですが、実際にはその人の演奏経験による引き出しに左右されることが多い分野です。引き出しにしまってあるフレーズを選んで出してくるという印象から言うと、完全な即興とは言いがたい側面があります。バッキングでのアドリブはコードの習熟が不可欠なので、それを勉強しないと中々難しいかもしれませんが、コードに強くなると、色々な新しい世界が広がっていますよ。

ソロ、バッキング、どちらにおいても、即興、アドリブに強くなるために必要なことは

最低この3つです。がんばりましょう!

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