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バンドでの本格的なスタジオレコーディングのやり方

「バンドで曲が溜まってきたから、何曲かレコーディングして音源をリリースしたい!」
そうなったらスタジオでの本格的なレコーディング、してみたいですよね。
だけどレコーディングって実際にはどんな機材を使ってどんな順番で録音するものなのか、はじめての人はわからないと思います。

そこで今回、とあるレコーディングスタジオで行われた本格的なバンドレコーディングにギター博士が参加した時の模様を元に、バンドレコーディングではどんなことが行われていくのか、レコーディングのやり方や順序について紹介していきます。バンドレコーディングのコツや方法、今回使用した機材についても紹介しているので、(自分達で)セルフレコーディングしてみたいという人も参考にしてみて下さい!!

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レコーディング前の準備 ・・良い作品を作るための準備 ・・スムーズな進行のための準備 ・・エンジニアとの打ち合わせレコーディング開始 ・・音作り ・・レコーディングの心構え ・・レコーディングの順番 ・・各機材のレコーディング方法ミックスダウンマスタリングまとめ ・・Credit〜ギター博士から一言

レコーディング前の準備

レコーディングの現場ではいろいろなことが行われますから、未経験の人にはなかなか予想できないくらい時間がかかります。そのため現場の進行がスムーズでないと、あっという間に予定時間をオーバーしてしまいます。多くのレコーディングスタジオが「使用時間で料金を設定」しているため、時間の延長は追加料金の発生を意味するほか、予定通りに収録を終えてしまわないと、後に控えるスケジュール全てに影響してしまいます。残り時間を気にしなくてもいい進行状況だからこそ、良いレコーディングができます。しっかり準備して本番に臨みましょう。

また完成した音源がいつ欲しいかによって、レコーディングスタジオをどんな日程で押さえるべきかも決まってきます。レコ発(レコード発売)イベントを想定しているなら、レコーディング、ミックス、マスタリングに加えてプレスまでがそのイベントの前に完了している必要があります。そして録音の日程が決まったら、いよいよ当日までの準備期間が決まります。準備万端でレコーディングに臨むことができる、無理のないスケジューリングをしましょう。

良い作品を作るための準備

「仕上がりのイメージ」を作っておく

どんな音源を作りたいか、バンドの中で話し合っておきましょう。たとえば音量バランスひとつをとっても、ロックならギターが大きめ、ポップスならヴォーカルが大きめ、メタルならバスドラムが大きめなどというように、ざっくりしたジャンルによって良好なバランスがいろいろとあります。またギュッとひきしまったソリッドなサウンド、広がりと奥行きを感じさせるサウンド、というように「音像感」もさまざまです。

どんな感じのサウンドの音源にしたいのか、メンバー間で「仕上がりのイメージ」を共有しておくといいでしょう。コンセプトでもいいし、具体的な参考音源があってもいいです。特に参考音源があると、レコーディングエンジニアさんに対して仕上がりのイメージを伝えやすく、大変便利です。

演奏内容を把握しておく

仕上がりのイメージをもとにどんなパートがいるか、検討する必要があります。ライブでいつも演奏している通りの音源を作るなら、各メンバーが自分のパートを一本ずつ録音して完了します。オーバーダビング(多重録音。重ね録り)にトライするなら、ギターのリード/サイドやキーボードの音色、コーラスなどの「パート分け」が必要です。現場でバッチリのOKテイクがちゃんと出せるように、バンドのリハーサルや個人練習をしっかりしておきましょう。

体調管理

風邪を引いていると、リズムが悪くなったりプレイの感覚が鈍ったりします。それでもギターやドラムなど手足を使う楽器ならかろうじて録音できますが、ヴォーカルやサックスなどでは決してそうはいきません。レコーディング当日を万全の体調で迎えられるように、身体のケアをしっかりしておきましょう。

またヴォーカリストは空腹で歌った方が、良いパフォーマンスを発揮できることが多いようです。楽器隊がご飯を食べているときにヴォーカリストはお水で我慢する、という光景が良く見られますが、これも良い作品のためです。楽器隊の人もコーラスで参加するのなら、ヴォーカリストと一緒になってご飯を我慢するのもいいかもしれませんね。

rec-food ご飯はもちろん、おやつも用意しておくと楽しい

スムーズな進行のための準備

録音のシミュレーションができればベスト

自分たちで録音ができるようなら、事前にデモ音源を作ってみるといいでしょう。なにより録音の練習になりますし、バンドアレンジを見直すきっかけにもなります。また録音して初めて分かる、歌詞が歌えていないところや演奏が不十分なところを発見できるかもしれません。

現代のレコーディングでは、プレイヤーはヘッドホンでバンドの音や自分の音、そしてクリック(メトロノーム)を聞きながら演奏するのが普通です。このヘッドホンとクリックには、じゅうぶんに慣れておくといいでしょう。

特にヴォーカリストは、ヘッドホンから直接自分の声が聞こえてくる状況に慣れておくことが重要です。これを想定していないヴォーカリストがレコーディングに臨むと、「え?何これ歌いにくい」から始まって、歌いやすいモニタリングがなかなか決まらないまま時間を浪費してしまうことがあります。ヘッドホンで歌うのはいつものフィーリングと全くちがうので、慣れていないと違和感が抜けないまま録音しなければなりません。

イントロからエンディングまで、一定のテンポをキープしたり打ち込みと同期したりするためにはクリックが頼りになります。指定したテンポのクリックにキッチリ合わせる練習をしておきましょう。反対に「ライブ感」を出すため敢えてクリックに頼らずないことも珍しくありませんが、この場合でもテンポをキープする練習はしっかりしておきましょう。

歌詞や譜面を用意しておく

譜面今回用意された譜面

バンドの練習に使用していなくても、レコーディング用に歌詞カードや譜面を用意しておき、どこがAメロでどこがBメロかなど楽曲の場面の呼び方をメンバーと共有しておきましょう。特に「歌モノ」ならば歌詞カードが頼りになります。これをレコーディングエンジニアさんにも渡しておくと、「”○○”って歌ってるところ」や「Aメロの〜」など、曲中のどこについて語るかをお互いに伝えやすいという非常に大きなメリットがあり、レコーディングの進行をかなりスムーズにできます。

音を作っておく

エレキギターやシンセサイザーは、自分の機材であらかじめ音色を準備することができます。ギターならアンプやエフェクターのセッティング、どのパートでどのギターを使うか、またリアやフロントなど、どのピックアップで演奏するか、キーボードならどの音色を使うか、決められるものはあらかじめ決めてしまいましょう。

ギターやエフェクターの電池、各機材の接点の調子など、機材のコンディションもしっかりチェックしておきましょう。ギターの弦は全て新品に取り換え、オクターブチューニングもキッチリ合わせておきましょう。

エンジニアとの打ち合わせ

スタジオを予約する時にでも、スタジオの担当エンジニアさんと打ち合わせの時間がとれるのが理想的です。スタジオ入りの時間、またセッティングや撤収、それぞれの作業などにだいたいどれくらいの時間がかかるのか、どの順番で楽器を録音するかなどを相談し、当日のスケジュールを検討しましょう。納得のいくレコーディングをするのなら、一曲録り終えるだけでも半日かかるのも珍しくありません。何曲レコーディングするのか、そのために何日予約するのか、じっくり検討してください。

スタジオが保有している機材をレンタルできるところもあり、サウンドの幅を広げたりグレードを上げたりできる可能性があります。運搬や搬入が大変なドラムセット、ピアノ、ギターアンプなどが用意されていることは多いですが、キーボード/打ち込み用の音源やヴィンテージギターまで使わせてもらえるスタジオもあります。

プリプロができればよりGood!

プリプロ(プリプロダクション)は本番レコーディングのために行う前準備のことで、本番に近い環境で演奏→録音→プレイバックして確認といった作業を行います。レコーディングを楽しく円滑に行うためのコードチェック/メロディチェック/歌詞チェック/演奏チェックが主な目的です。 特に渾身のアルバム音源を作成したいと考えているバンドにとって、プリプロを行うことでエンジニアとの意思疎通がよりスムーズになったり、バンド側のやりたいことやコンセプトがより明確になったりと、本番のレコーディングに向けて大きなメリットがあります。 レコーディング前にプリプロダクションをプロの方とする事は大変オススメです。

レコーディング開始

いよいよレコーディング当日を迎えました。練習も準備もバッチリ、楽器も体調も万全なら、良い音源ができるに違いありません。本番の緊張感や高揚感を楽しみながら、思いっきり演奏しましょう!

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挨拶をしっかりしよう!

スタジオに入ったら、担当のエンジニアさんをはじめ、現場のスタッフさんに「おはようございます!宜しくお願いします!」と元気にあいさつをしましょう。「おはようございます」は「お早くから、ご苦労様でございます」という意味だと解釈され、その日の最初のあいさつとして昼でも夜でも使います。

お金を払っている以上バンドは「お客様」ですが、現場のスタッフさんは最高の音源を一緒に作り上げる「仲間」でもあります。一緒に楽しく作業ができる、それでいて自分の意見をしっかり伝えることができる、クリエイティブな雰囲気を作っていきましょう。

音作り

あいさつが済んだら、さっそく機材のセッティングです。ドラムのセッティングとマイキング(マイクのセッティング)、サウンドチェックには思いのほか時間がかかりますから、その間にギターもベースも運び込んでセッティングし、音作りとチューニングも済ませておきましょう。

レコーディングの心構え

いい雰囲気の中でスムーズに進行する良いレコーディングのためには、リハーサルやライブの時とはちょっと違ったことを気にしておく必要があります。レコーディングに慣れていないと習慣化していないことが多いので、この機会にそうしたことも知っておきましょう。

1)ヘッドホンを常時着用する

スタジオとミキシングルームは防音壁で隔たれているので、いくら大声を上げても面白いくらい気づいてもらえません。会話はヘッドホンを介して交わされるので、スタジオ内では常にヘッドホンを着用してください。

2)チューニングにこだわる

ミスをしないようにとか、ミスを恐れず思い切り弾くとか、本番の緊張に勝つとか、緊張感を楽しむとか、気持ち的なことは皆さんそれぞれにいろいろあることでしょう。しかし、どんなギタリストにも共通する重要な心構えがあります。それは、
「いちいちチューニングをすること」です。
リハーサルはさておき、録音のときには弾く前に必ずチューニングをチェックしましょう。厳密にいえば、必ずずれています。せっかくいい演奏ができたという手ごたえがあったのに、チューニングがずれていたら録り直しになってしまいます。

recodrding-retake録り直しはレコーディングにつきもの。でもチューニングはしっかり!

レコーディングの順番

スムーズなレコーディングには、パートごとに録音する順番がだいたい決まっています。
たとえば今回ギター博士が参加したレコーディングでは、

  • 1)ドラム + ベース + キーボード + アコギのベーシックトラックを「せーの」で一発録り(同時にボーカルの仮歌録り)
  • 2)エレキギターのバッキング
  • 3)ギター博士によるギターソロ
  • 4)メインボーカル
  • 5)コーラス
  • 6)パーカッション

という順番で録音しました。

「ベーシックトラック」はイントロからエンディングまで演奏するパート群で構成され、リードギターやヴォーカルなど「上モノ(うわもの)」を支える土台になりますから、最初に録音するのが普通です。今回は4リズム(ドラム、ギター、ベース、キーボード)を一気に録音しましたが、同時に録音すると一体感のあるプレイになり、躍動感のあるサウンドが録れます。この他にも敢えてばらばらに録音したり、「リズム体(ドラムとベース)」のみで録音し、後からギターやキーボードを被せたり、ということがあります。

一発録り、仮歌

「一発録り」は「複数のメンバーと一緒に同時録音する」という意味です。抑揚やグルーヴ感、また曲の流れが自然な、生きたサウンドを録ることができます。またこの言葉は「一回しか録音しない」、「タイミング修正などのエディットをしない」という意味で使われることもあります。 ライブ感を持ち味とするロックバンドなどでは、ベーシックトラックの録音にヴォーカリストが加わることもあります。しかし納得がいくまで何度も録り直すことが多いため、最初に「仮歌(かりうた)」を録音するのが普通です。楽器隊はこの仮歌を聞きながらプレイすることになるので、仮とはいえしっかり歌っておくと良いでしょう。

ベーシックトラックを録り終えたら、次は上モノの番です。上モノはイントロだけ、サビだけなど楽曲の一部分に挿入されることが多く、ベーシックトラックとは別で録音した方が合理的です。これを録音する順番には自由度がありますが、バッキングを先に録って土台を強化し、リードパートやヴォーカルを迎えるのが普通です。コーラスはメインヴォーカルに追随するので、メインヴォーカルの後になります。

パーカッションは極めて自由度の高いパートで、楽器を増やすことも減らすことも、何ならやらなくてもいいくらいの自由さがあります。今回はベーシックトラックと上モノを完了させた上で、全体のバランスを見ながらうっすらと入れています。

各機材のレコーディング方法

レコーディングスタジオにはメインのスタジオの他にブース(個室)がいくつかあり、それぞれの部屋にいるプレイヤーが同時に録音できるようになっています。それぞれの部屋にはレコーディング用のマイクの他にコミュニケーション用のマイクが設置され、ヘッドホンを介して会話ができるようになっています。

今回の例では、ベーシックトラックの録音ではアコギがブースに入り、ドラムとベース、キーボードが同じ部屋に入り、4人が仮歌を聞きながら同時に録音しています(もう一本のアコギは後から重ねています)。



ドラム

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  • バスドラム(フロント側)マイク
  • バスドラム(打面側)マイク
  • スネアマイク
  • タイムマイク
  • ライドマイク
  • ドラム・トップマイク
  • ドラム・エアーマイク

写真は今回のレコーディングでのドラム・マイキングの様子(今回レコーディングした「Goodbye」とは異なる楽曲でのドラムセットです)。

今回のレコーディングでは、

  • バスドラム打面側 + フロント側:ダイナミックマイク
  • スネアに上下2本:ダイナミックマイク
  • タムに1本ずつ::ダイナミックマイク
  • ハイハットに1本:コンデンサーマイク
  • ライドに1本:コンデンサーマイク
  • オーバーヘッド(演奏者の頭上)に2本:コンデンサーマイク
  • オフマイク(ドラムセットから離れた正面)に1本:コンデンサーマイク

というマイキングを行っています。
エンジニアによっては「バスドラム打面側にマイクを立てない」「ライドにマイクを立てない」など、ドラムのマイク録りの方法が異なる場合があります。

ドラムの生の音はチューニングで決まりますが、そこにさまざまなマイクが向けられ、それぞれのマイクで拾った音にコンプレッサーやイコライザーなどの処理が加わり、音量を整えてようやくドラムのサウンドができます。ドラムのサウンドにはこのようにさまざまな要素がからんできますが、バンドサウンド全体の印象を左右するといわれるほど重要なので、どんな音源を作りたいか、エンジニアさんとの打ち合わせが重要です。

今回使用したドラムマイク

バスドラム打面側:audio technica ATM25 バスドラムフロント側:AKG D112 スネア上下2本:SHURE SM57 x2 ハイタム、フロアタムx2:SENNHEISER MD421-II x3 ハイハット:AKG C-451 EB ライド:AKG C-451 EB オーバーヘッド:AKG 414 TL II オフマイク:NEUMANN U87i

ベース

ベースプリアンプTDC-YOU Bass Driver Barry Sparks

ベースの録音では、ライン(DI)のくっきりした音とアンプからの太く熱い音の2トラックを録り、ミックスでバランスをとるというのが気合いの入った録音の定石です。またベースにはアンプに頼らないというプレイヤーも多く、アクティブのベースからDIに直接送るということも一般的です。

今回使用したベースプリアンプ:TDC-YOU Bass Driver Barry Sparks

ちなみに今回はドラムと同じ部屋で収録したので、一緒に演奏するドラムのマイクに入り込んでしまわないよう、ベースアンプは使用せずプリアンプで音作りをした上で、ラインで送っています。

キーボード

キーボードはサウンドの良しあしをアンプに頼ることがほぼないので、レコーディングはラインのみで行われます。ピアノやオルガンなどの音色は、プレイヤーのタッチによって生まれるグルーヴ感が魅力です。このようなパートを録音する場合は、今回のように一発録りに参加するのが理想です。

いっぽうパッドやアンビエントといった「白玉系」のパートが、人間が演奏することでクオリティが上下することはほぼありません。また機械的なシーケンスフレーズなどの場合には、人間がわざわざ機械的に演奏する意味が薄いことから、こうしたパートの録音には打ち込んだMIDIデータやオーディオデータを持ってきて録音完了とすることも多く行われます。特にキーボードのパート数が多い場合には、タッチの機微を重視しないパートを打ち込みで済ませることで、大幅な時間短縮を実現させることができます。

アコースティックギター

アコースティックギターのマイキング

アコースティックギターのレコーディングでは、基本的にコンデンサーマイクが使用されます。コンデンサーマイクはレンジが広く(録音できる強弱や周波数帯が広く)、奥行きが豊かに表現されたアコースティックギターらしい空気感を含む「柔らかい音」が録音できる、というメリットがあります。マイクの感度がありすぎることから、録音に際してはサウンドホールをやや外した位置にマイクを向けます。今回はブリッジ側を狙っていますが、ネック側を狙うこともあります。

コンデンサーマイクは非常に感度が良く、ナットからペグまでの弦が共振する「キーン」という甲高い音まで拾ってしまうことがあります。今回は二人ともヘッドに布を巻きつけ、ヘッド側の共振を止めています。

高感度なコンデンサーマイクの代わりにSM-58などダイナミックマイクで収録するとくっきりとした硬質な音が録れるので、ロック系のバンドで敢えてダイナミックマイクを使用することもあります。またエレアコを使用する際にはコンデンサーマイクで収録する「生音」とDIに送る「ライン」を同時に収録し、柔らかい音と硬い音との混ぜ加減で音を作ります。

異なるプレイヤー、異なるギターで弾くことでサウンドに深み・広がりを

今回はベーシックトラックでアコギを際立たせるため、アコギを2人で録音しています。1人のプレイヤーが同じギターで2回収録するよりも、バンドの一体感とグルーヴを出すために2人のプレイヤーが違ったギター(今回はマーチンヤマハのアコギ)を使って収録する、こだわりのある録音になっています。1人で2回録るときでも、わざわざギターを変えることで2本のトラックに微妙な違いが生まれ、サウンドの深みと広がりが生まれます。 今回使用したアコギ用マイク NEUMANN U87 AKG 451 EB AKG 414 ULS

エレキギター

ギターアンプのマイキング ギター博士のギターソロでも使用されたコンボアンプ:Fender Blues Deville

エレキギターのレコーディングでは、ギターアンプに何本か違ったアプローチでマイクを向けます。今回は柔らかく倍音豊かなサウンドが録れるコンデンサーマイクと、引き締まったパンチのあるサウンドが録れるダイナミックマイクの二本を使用しています。スピーカの中心部分ではなく、二本ともコーン(振動板)にマイクを向けています。

私たちがアンプから出る音を聞く場合、スピーカから送られる直接音だけを聞いているわけではありません。アンプの裏から回り込んでくる音や、壁などに跳ね返った反射音もミックスさせて聞いています。収録したギターサウンドに深くこだわる場合には、アンプの裏側や多少離れたところにもマイクを追加する必要があります。

ライブでは曲中にエフェクターやピックアップを切り替えることが多いですが、レコーディングではその通りでも、また音色ごとに違うトラックで録ることも、音色ごとに違ったギターやアンプで録音することもできます。

今回ギター博士が使用したギターアンプ、録音用マイク

Fender Blues Deville SHURE SM57 AKG 414 ULS

ボーカル/コーラス

ポップガードポップガードを立てる

楽器隊のバッキングが完了したところで、いよいよヴォーカル/コーラスの録音になります。ふつうは高感度なコンデンサーマイクを使用するので、ライブでダイナミックマイクを使用するときのように、マイクと口との距離を細かく操作する必要はありません。ただしあまりの高感度ゆえに、そのままだと発声時の息がノイズとして鳴ってしまう「吹かれ」が発生するため、「ポップガード」を立てて風圧を遮ります。

ヴォーカルのレコーディングは、一曲をなるべく短時間で、最長でもその日のうちに仕上げてしまうのが大切です。しっかりトレーニングを積んだヴォーカリストはかなりの長時間にわたって声のトーンを均一に維持できますが、それでも歌い続けていると声の立ち上がりや太さが変化します。何度も録り直しをしているうちに声が変わってきてしまい、最初に録ったテイクと今の声が違ってしまうなんてことは珍しくないのです。声のトーンが変わってしまわないうちに、録りきってしまいましょう。別の日にはまたちょっと違うトーンになっていることがほとんどなので、やはり短期決戦でいくのが無難です。

ボーカル用コンデンサーマイク AKG C12 VR

今回使用したボーカルマイク

「AKG C12 VR」:真空管を搭載したコンデンサーマイク

キューボックスキューボックス

またヴォーカリストにとっては「歌いやすい」という安心感が大切です。ヘッドホンでモニターするバッキングトラックと自分の声が、歌いやすい最適なバランスになるようエンジニアさんとしっかりコミュニケーションをとりましょう。今回の録音では「キューボックス」を使うことで、ヘッドホンに送られる各パートのバランスを自分で操作できるようになっています。


全ての録音が終わったら、ミックス&マスタリングを経ていよいよ音源が完成します。

ミックスダウン

収録した各パートの音量やパン(左右)のバランスを整えて2トラック音源(トラックダウン音源、または2ミックス音源。ステレオは左右の2トラックあるため。)にまとめる作業を「ミックスダウン」と言います。バランス調整のほかにも各パートがうまく混ざり合うためにうっすらリヴァーブをかける、イコライザで音色を整えるなど、さまざまなエフェクトが使用される場合があります。

収録した音はPCにデータとして保存されるので、ミックスダウンに合わせてタイミングのずれや音程が不安定なところなどに修正をかけることもできます。しかしこうしたエディットに頼りすぎてしまうと、人間っぽくない音楽になってしまうので注意が必要です。

ヘッドホンではちゃんと整っていたのに、ラジカセで聞いたら全く違ったバランスで聞こえる、なんてことが起きます。こうした不具合がないように、プロのミックスダウンでは、音源を再生する装置によって聞こえ方が変化することまで想定して行われます。

ssl-aws-900plus SSL AWS 900+

ちなみに今回ギター博士が参加したレコーディングでは、

  • DAW:Pro Tools 1o
  • コンソール:SSL AWS 900+
  • ヘッドフォン:SONY MDR-CD900ST
  • モニタースピーカー:YAMAHA NS-10M
  • マイクプリアンプ:NEVE 1272、NEVE 1073、NEVE V3

といった業界標準の機材、ビンテージ・プリアンプなどが使用されました。

マスタリング

ミックスダウンした2トラック音源をCDなどに焼いて「マスター(原版)」を作成する作業を「マスタリング」といいます。ここで最終的に音量や音質、音圧が調整され、レコーディングが完了します。レコーディングスタジオのミキシングルーム内で聞く音は、ビット数、サンプリング周波数ともにCDなど及ばないとんでもない高音質ですから、これをCDに落とし込むと若干音質が落ちることになります。名残惜しいですが、スタジオで聞く最高音質の音源はしっかり耳に残しておきましょう。

この工程でもイコライザやコンプレッサが使用されることから、ミックスダウンした2トラックの状態からもう少しサウンドが変化します。このマスタリングでの変わり方まで想定してミックスダウンを行うのがプロの技です。

メンバーも立ち会う

ミックスダウン/マスタリングはなかなか時間のかかる大仕事ですが、できるだけバンドメンバーも立ち会い、音源が完成する過程を確認しましょう。とくにミックスによって音楽の印象は大きく左右されますから、仕上がりのイメージに近くなるように、各パートの音量バランスなど確認しておく必要があります。プロのエンジニアさんはきちんとしたクオリティの音源を作ってくれますが、音楽のジャンルによっておいしい音量バランスが違うように、エンジニアさんが向かおうとしている結果とメンバーの意向に違いがあるかもしれません。「ここはこうして欲しい」と思うようなことがあれば、作業中なら意見を言うことができます。しかしミックス/マスタリングが完了してからでは作業やり直しになってしまい、追加料金が発生するなど面倒なことになりがちです。

現在では機材やソフトが手に入りやすくなったため、アマチュアでも高音質なレコーディングができるようになってきました。デモを制作した延長でレコーディングを自分達で済ませ、ミックスダウンとマスタリングをプロに任せるというのも一つの手段として一般化しています。

まとめ

以上、レコーディングの準備から完成までを、注意点を含めてざっと紹介しました。演奏する楽曲は同じでも、練習やライブとは全く違っていることがわかりますね。スタジオのスタッフさんたちと一致団結して一つの音源を作り上げるので、とてもクリエイティブです。ものを作る良い雰囲気の作用で、リハーサルの時には思いつかなかったアイディアがこの時初めて思いつき、そのまま採用されるということも少なくありません。みなさんも、ぜひレコーディングにトライしてみてください!!


ギター博士が本格的なスタジオレコーディングに参加してみた!:Credit

misaki-hakase

  • ボーカル:Misaki
  • エレキギター:新子 卓
  • ギターソロ:ギター博士
  • アコースティックギター:新子 卓 &照屋 慎裕
  • キーボード:原田 真吾
  • ベース:良太郎
  • ドラム: 由本”茶太郎”浩次
  • レコーディング エンジニア:平井 葉介(STUDIO YOU)
  • ディレクター:ヒエダ ススム(ftw music factory)
  • プロデューサー:山本 達也(STUDIO YOU)
  • マスタリングエンジニア:湯原 大地(STUDIO YOU)
  • レコーディングスタジオ: STUDIO YOU (Cスタジオ)

レコーディングした楽曲

Goodbye
作詞:Misaki
作曲:Misaki

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ギター博士から一言

自分たちの演奏が録音されて形になっていくのはとても楽しく興奮するわぃ!
個人のプレイだけでなく、他の楽器とのアンサンブルやアレンジもとても大切になるので、是非積極的に自分の楽器以外にも耳を傾けて欲しいのぅ!
もし、レコーディングして自分のプレイはこんなはずじゃない!普段はもっとイケてる!と思うようなことがあるなら、個人練習の時も録音して聞くことをオススメするぞぃ!
簡易的な録音機器もあるしスマホでも録音できるので、ワシは上達の近道だとも思っておるんぢゃ!
自分のプレイに余裕が出来れば、例えばボーカルとのバランスをより良くしようとコードボイシングを変えてみたり、ベースとのアンサンブルでフレーズをもっと色々試してみよう、などのバンドサウンドとしてのチャレンジもして欲しいのぅ!
バンドメンバーとああでもないこうでもないと作っていくのは大変な部分もあるかもしらんが、他の楽器の人の一言が自分のギタープレイにいい影響を与えてくれることも少なくないので、是非一度チャレンジしてみてくれぃ!
今回取材協力してくれた皆さんにもSuper感謝ぢゃ!!!!

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