《PCがギターアンプに!?》アンプシミュレーター・プラグイン特集[記事公開日]2021年10月1日
[最終更新日]2021年10月1日

最近のマルチエフェクターギタープロセッサーには、必ずと言って良いほどアンプシミュレーターが組み込まれています。アンプで爆音を鳴らさなくてもライン録りで充分なクオリティでの録音ができ、また指先の操作でいくつものアンプのサウンドをとっかえひっかえ使い分けられます。これをパソコン上のDAWでやってしまおう、というのがアンプシミュレーター・プラグインです。そんなわけで今回は、「アンプシミュレーター・プラグイン」に注目していきましょう。


IK Multimedia AmpliTube 3 Free – 無料ギターアンプ・エフェクター・プラグイン
アンプシミュレーター・プラグインは、アンプの設定やエフェクターの配置、録音時のマイクの向け方にいたるまで、ギターのサウンドを作り込むことができます。しかもこのように無料で手に入っちゃうものもあるんです。

「アンプシミュレーター・プラグイン」って何?メリットは?

「プラグイン」とは、「アプリに機能を追加するソフトウェア」のことです。アンプシミュレーター・プラグインとは、もともと打ち込みや録音をするためのDAWアプリケーションに、ギターアンプの機能を追加するソフトウェアのことです。レコーディング作業において、そのメリットは絶大です。そのうち二つを考えてみましょう。

超コンパクトな機材で、本格レコーディングが可能

アンプシミュレーター・プラグインを使えば、ギターをオーディオインターフェイスに直接挿しこむだけで、本格的なギターサウンドを録音することができてしまいます。

ライン録りですから、深夜に自宅でギターの録音を始めても誰の迷惑にもなりません。アンプシミュレーターが誕生するまで、ギターの録音と言えば近隣との騒音問題に気を付けなければなりませんでした。また真空管アンプは性能を発揮するためにある程度以上の音量を出す必要がありますから、録音スタジオにアンプとギターを持ちこみ、機材を設営して、マイクを立て、レコーダーにつなぎ、といったいろいろな肉体労働が必要でした。アンプシミュレーター・プラグインを導入することで、これらの厄介事がキレイサッパリ片付いてしまうわけです。

録音した後からでも、違うアンプを試すことができる

「アンプから音を出してこそ、エレキギターだ」「爆音を鳴らしてこそ、真空管アンプだ」「エフェクターで作った音を録音しても、同じでしょ」まさにそのとおりです。しかし、録音の可能性にフォーカスした場合、こちらのメリットはどうでしょうか。

アンプシミュレーター・プラグインを利用すると、録音した後からでもアンプの設定を変更したり、アンプ自体を変更したりできてしまうんです。演奏時にアンプを通ったギターサウンドでモニターしていても、PCに保存されるのはケーブルを通っただけのギターの音です。この音をアンプシミュレーターに通す形で、ギターサウンドは再生されます。ですから録音した後からでもアンプの設定を調節したり、いっそのことアンプを取り換えたりもできてしまうんです。

後からイコライジングで補正するなんていうものではなく、最初から全体のバランスを見据えたバッチリなセッティングで録音したかのような、神業的なサウンドメイキングが可能です。

「アンプシミュレーター・プラグイン」には、どんな機能があるの?

「アンプシミュレーター・プラグイン」にはさまざまな機能がありますが、一般的には機能ごとに別々のプラグインを作り、「アンプシミュレーター・プラグイン」というパッケージを構成しています。また機能ごとに単体のプラグインとして公開されているものもあります。「アンプシミュレーター・プラグイン」にどんな機能があるのか、代表的なものを見てみましょう。

アンプシミュレーター

IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。ジョー・サトリアーニ師匠の機材を思う存分いじることができる。

単体の機能としてのアンプシミュレーターは、「プリアンプ」もしくは「アンプヘッド」のシミュレーションです。ギターから受けた信号をキャビネット(スピーカー)に送る寸前までを担当し、有名メーカーの著名なアンプを再現するものが多く作られています

キャビネットシミュレーター/マイクシミュレーター

IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。

キャビネットシミュレーターとマイクシミュレーターはセットになっていることが多く、どんなキャビネットを使い、どんなマイクをどこに配置して録音しているのかをシミュレートします。写真の例のように実際の機材を操作するものもありますが、現在では「IRデータ」を読み込んでリアルなサウンドを作りだすものが主流です。

IR(IRデータ)とは?

「IR(インパルス・レスポンス)」とは、スピーカーから短い音(インパルス)を発した時の反応(レスポンス)のデータです。このデータには、実際に出た音に反応したキャビネットや部屋の響き具合、マイクの個性などさまざまな要素が含まれています。実際に発せられた音から作ったIRを読み込むことで、実際にスタジオでキャビネットを鳴らしてマイクで拾ったような、非常にリアルなサウンドを作ることができる、というわけです。


LePou Plugins Le456 – Free VST/AU Guitar Amp Simulator 無料ギターアンプ・プラグイン
「キャビネットシミュレーターを使わなかったら、こうなる」という言わば失敗例です。いかついルックスの割に、なんだか物足りない音に聞こえますよね。やはり、スピーカーで空気を振動させてこそのギターサウンドなのです。

エフェクター

IK Multimedia「AmpliTube Joe Satriani」より。

ギター用からスタジオ用まで、さまざまなエフェクターも含まれます。これらを自由に配置し、設定も自由に決めて、イメージ通りのギターサウンドを作ることができます。

「スタンドアロン」機能があれば、ライブでも使える

「プラグイン」はDAWに組み込まれる「部品」ですから、本来DAWなくしては使うことができません。これに対し「スタンドアロン(stand-alone、自立)」機能があれば、DAWに頼らず単体のソフトウェアとしても使用できます。PCをギタープロセッサーのように使えて、ライブで使用することもできるわけです。MIDI対応ならば、フットスイッチでコントロールすることもできます。

おすすめのアンプシミュレーター・プラグイン

ここからいろいろなアンプシミュレーター・プラグインをチェックしていきますが、自分のDAWに組み込まれているプラグインがあれば、まずはそれを試しに使ってみましょう。インストールや設定などの作業なく使えます。これに物足りなくなってしまったら、いよいよアンプシミュレーター探しの旅が始まります。安いものや無料のものはポイントを絞った作りに、高額なものは包括的にサウンドメイキングが完了できる作りになっています。

完全無料プラグイン

まずはお試し期間があるわけでも有償アップグレードがあるわけでもない、完全に無料プラグインとして公開されているアンプシミュレーターを見てみましょう。

Plugins by LePou

フリーアンプシミュレーターのひとつLePou「Le456」

自身のサイトやSNSを持たない謎の人物LePouは、無料ダウンロードサイト「Plugins4Free.com」にて自作のアンプシミュレーターを公開しています。ENGLやSOLDANOなど単体のアンプヘッドを再現したシミュレーターは、無料でありながら高い再限度に人気があります。先に紹介した失敗例の動画では、このLePouの「Le456」が使われています。しかし最大6つのIRデータを扱えるキャビネットシミュレーターも公開されていますから、合わせて使えば失敗はありません。

Plugins by LePou(PLUGINS4FREE.COM)

Blue Cat Audio「Blue Cat’s Free Amp」

Blue Cat Audio「フリーアンプ」は、製品版を簡略化させた「クラシッククリーン(Fender系)」、「クラシックドライブ(Marshall系)」、「モダンドライブ(Peavey系)」の3つが使えるプラグインです。IRデータが読み込めてCPUへの負担が軽いこともあり厚く支持されますが、登録やログインすら不要でサイト右側のメニューからいきなりダウンロードできる、という思い切りの良さも凄いところです。

Blue Cat Audio「Blue Cat’s Free Amp」

STLTONES「Emissary Plug-In Bundle」

STLTONES「エミッサリー・プラグイン・バンドル」は、アンプシミュレーター「Emissary2.0」とキャビネットシミュレーター「NadIR」のセットです。アンプシミュレーター「Emissary2.0」は、キラッキラのクリーンからズムズムのメタルトーンまで幅広くカバーします。古いPCのユーザーにとっては、Windows7でも駆動できるのが嬉しいポイントです。

キャビネットシミュレーター「NadIR」は、2台のキャビネットで2つのIRを個別または同時に使用できます。CPUへの負担が軽くレイテンシーも無いことからフリーのキャビネットシミュレーターとして人気が高く、キャビネットのないアンプだけのシミュレーター・プラグインを使う時にも便利です。

STLTONES「Emissary Plug-In Bundle」

Waves Audio「GTR3 Amps」

Waves Audio「GTR3アンプ」は、同社の「GTR3」や「Gold」のようにいくつかのプラグインをパッケージした「バンドル」品に無償で提供されるアンプシミュレーターです。歴史あるアンプのシミュレーションが並ぶ中でなぜかPRS製アンプのバリエーションが厚いのが特徴で、エフェクターは基本的なものが一通り収まっている補助的な扱いです。各アンプは他の楽器の音に馴染むよう味付けされており、特にレコーディングで使いやすくなっています。

頼れるプラグイン・バンドル!WAVESのプラグインってどんなの? – DTM博士

Line 6「POD Farm 2」

Line 6「POD Farm 2」は、同社の人気機種「POD」をPC上で再現するプラグインです。アンプ、エフェクター、キャビネットを自由に組み合わせてギターサウンドを完成できるほか、2系統のシグナルチェーンを同時に使用する「デュアルトーン」が利用できます。MacならばOSX以降ですが、WindowsではなんとXPから利用できる、古PCユーザーの救世主的存在です。

Line 6無償ソフトウェア・ダウンロード

無料でお試しできる有力プラグイン

こちらは、プロの要求にも耐えうる性能を無料で体験できちゃうプラグインです。ただし、試用期間が設けられていたり機能に制限が加えられていたりしています。製品版はなかなかの高額ですから、不本意な買い物にならないよう、自分のDAW環境でちゃんと走るのか、自分がしっかり使い込む道具として使いやすいのか、無料版で確認できるというわけです。

IK Multimedia「AmpliTube」

IKマルチメディア「アンプリチューブ」の最新版は第5世代で、機能や音質がますます向上しています。何百というアンプやエフェクターを自由につないで使用できるほか、特にキャビネットシミュレーターの機能が厚くなっています。

この最新版から2世代前のモデル「AmpliTube 3」が、無料版として公開されています。エフェクターとアンプが24種類とかなり絞られていますが、ここから同社のカスタムショップで好きなプラグインを買い足し、システムを育てていくことができます。

IK Multimedia AmpliTube 5 – Supernice!DTM機材

Native Instruments「GUITAR RIG 6 PLAYER」

Native Instrumentsの最新版「GUITAR RIG 6」は、AIの機械学習を駆使した最先端のアンプモデリング21台と68機種のエフェクターを武器に、使い勝手の良さとサウンドバリエーションを大幅に増強しています。数あるキャビネットから最良のものを選んでくれる「マッチド・キャビネット」機能は、他にはないうれしいポイントです。

無料で公開されている「GUITAR RIG 6 PLAYER」は、使える機材をアンプ1台とマッチさせたキャビネット、そしてエフェクター13機種に絞って、最新版の使い勝手と音質を体験できます。

《作編曲のための素材が全て揃うバンドル》Native Instruments Komplete 13 – DTM博士

Positive Grid「BIAS FX 2」

BIAS FX 2

ポジティブ・グリッド「バイアスFX2」は、ギターサウンドの包括的なコントロールを目指したシミュレーターです。セレッション社との公式パートナーシップによる強力なキャビネットシミュレーター、ヴィンテージギターをシミュレートする「ギターマッチ」機能の二つが特に大きな特徴で、このほか「Tone Cloud」にアクセスすれば5万件以上のプリセットが無償で利用できます。これらの機能を全て備えた「BIAS FX 2 Elite」は、アカウント作成やユーザー登録なく、無償で14日間使うことができます。

Positive Grid BIAS FX 2 – Supernice!DTM機材

Line6「Helix Native」

Line6「Helix Native」は、同社ギタープロセッサーのフラッグシップ「Helix」をPC上で再現したプラグインです。ギターの音作りがこれだけで完了できるほか、Helixとのデータ交換ができますから、スタジオやライブ会場で使ったそのままの音でレコーディングに入ることができます。

15日間のトライアル版が利用できるほか、HelixシリーズやHXシリーズを新品購入すると特別価格で手に入れることができます。

Line6「Helix Native」

無料で試すまでもない、強力なプラグイン

こちらは有料版のみリリースされている、アンプシミュレーター・プラグインです。クオリティに釣り合うかのように価格も高めなので、初心者の最初の1本としてではなく、ある程度の経験を積んだ段階で次のレベルに行くために導入するのがお勧めです。

Universal Audio「UADプラグイン」

ユニヴァーサル・オーディオは最先端のデジタル技術を武器に、古き良きアナログの温かみあるサウンドを再現することに長けたブランドです。オーディオインターフェイス「Apollo」シリーズやDSPアクセラレーター「UAD-2」 シリーズといった外付けハードウェア内のDSPでプラグインを走らせるため、PCにほとんど負担をかけないのが大きな特徴です。プラグイン自体は「Marshall Plexi Super Lead 1959」や「「Fender ’55 Tweed Deluxe」というように、必要なアンプを一台ずつ購入するようになっています。

高い信頼性、孤高の地位を築く録音機材メーカー「Universal Audio」 – DTM博士

Softube「Amp Room」ほか

ソフチューブ「アンプルーム」はギター&ベース用の総合的なプラットフォームとなるプラグインで、アンプ&キャビネット、エフェクター、マイク、コンソールまでが収録されています。同社のプラグインはギターアンプ名門Marshallの正式な協力を受けており、ツマミを操作した時の音の変化など操作感が実物そのものだと言われます。またエフェクターに「Guv’nor」が含まれるほか、有料プラグインにはMarshall所蔵のヴィンテージアンプをジム・マーシャル氏ご本人がマイキングした貴重なものまであります。

無料プラグイン「サチュレーション・ノブ」は、ちょっと歪みを加えることで音を太くすることができます。

Softube Saturation Knob – Download for free


以上、アンプシミュレーター・プラグインについて注目していきました。DTMを強力にサポートする便利なアイテムなので、いろいろ試してみてください。