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ストラトキャスターは1ボリューム2トーン(1V2T)、レスポールは2ボリューム2トーン(2V2T)、テレキャスターはじめ多くのギターは1V1Tというように、エレキギターにはそれぞれの設計にあわせたコントロールノブが備わっています。突然ですが、コレ、使いますか?そんなわけで、今回はボリュームとトーンを使ってみよう、というお話です。「ココのツマミ、弾くときに邪魔だなぁ」と思っている人や、コントロールノブに無頓着だったという人はぜひぜひ、頻繁に使用するという人はまあまあ確認程度に、参考にしてみてくださいね。
ギターのコントロールノブ(VOLUME, TONE)って使うことあるの?
ギター博士がギターのボリューム、トーンのレゾンデートル(存在意義)について、ボディランゲージ大盛りでレクチャーしています。ちなみに博士の「ギター星から来た妖精」という設定、この動画で初めて知った人が多かったようです。博士がどんな人物なのか、「ギター博士とは?」を参照してください。
「VOLIME(ボリューム)」ノブはその名の通り、ギターから送られる音量を操作するツマミです。エフェクターのボリュームペダルやアンプのボリュームがあるのに、ギター側から音量を操作する必要はあるのでしょうか?
歪んでいるかいないかで、ボリュームを回した効果に違いがあります。クリーントーンのとき、歪んでいるとき、それぞれについて見ていきましょう。
クリーントーンでボリュームノブを絞っていくと、だいたいそのままの音色で音量が落ちていきます(高音域が削れて聞こえるかもしれません)。ジャズなどで歪みを使わないギタリストは、ギターのボリューム操作だけで十分ライブができるわけです。
歪んでいる音色でボリュームを絞っていくと、クリーンとはちょっとちがう効果が得られます。初めは音量よりも歪みの量(ゲイン)が落ちていき、「あるところ」まで絞るとクリーントーンになり、そこから音量が落ちていきます。これをうまく利用すれば、ボリューム10で最大限に歪んだ状態から、音量をやや絞ってゲインを落とした音、クリーン的な音まで、ボリュームノブひとつで作ることができるわけです。
歪みとクリーンの境界線は、アンプやエフェクターの設計やセッティングによりさまざまです。あまり歪まないセッティングだと大きめの音量でも歪みは発生せず、反対によく歪むセッティングでは、ギターの音量をどれだけ絞っても歪みます。
など、絞っていっても高音域は残されるボリューム回路もあります。音量を絞っていくと細くカリカリとしたサウンドになっていきますが、抜けが良く使いやすいことから、こだわりのあるギタリストに特に好まれます。非搭載のギターにも後から取り付けられますから、興味のわいた人はチェックしてみてください。
ギターのボリュームは、「演奏の直前に上げ、終わったら切る」のがスマートなギタリスト像です。たとえばライブのMC中、ギター側から「ジーーー」っとセミの鳴くようなノイズが出っぱなし。これでは興ざめというものです。弾かないときにはボリュームを「0」まで絞って、余計なノイズを出さないようにしましょう。その代わり、演奏が始まるときには忘れずにボリュームを上げてくださいね。
ボリュームノブを利用した特殊奏法についても、知っておきましょう。効果が面白いので、知っておけばいつか使いどころが見つかります。
ストラトキャスターのように、弦のすぐ近くにボリュームノブがあるギターで特に使いやすい特殊奏法です。ボリューム0でピッキング、すぐに音量を上げる、という動作により、バイオリンのようなサウンドを得ます。また、細かく上げ下げすることで、ビブラートのような効果も得られます。なお、ボリュームペダルや「スローギア」などを利用し、足元の操作で同じ効果を得ることもできます。
こちらはレスポールなど、ボリュームノブを二つ備えているギターで有効な特殊奏法です。フロントピックアップの音量を0、リアピックアップの音量を10にして、ジャーンと鳴らしている間にピックアップセレクターを前後させると、ギターの音を途切れ途切れにさせることができます。こちらはボリュームとは別に「キルスイッチ」を利用したり、「トレモロ」や「スライサー」などエフェクターを利用しても近い効果が得られます。
ボリュームを回した時にどのような効果が得られるかは、使用しているアンプやエフェクターによっても左右されます。オーバードライブやディストーションでは、高音域のチリチリ具合が変化することがありますし、ファズではあるところから一気にブーミーになる、ということもあります。こうした効果を楽しみながら、ヴォリューム操作を試してみてください。
なお、コントロールノブを回転させるのに必要な力の大きさを「トルク」と呼んでいます。トルクが弱ければボリュームノブはクルクルと軽快に回り、強ければ回転にそれなりの力を要します。また、ギター博士は「カーブ」という言葉を使いましたね(6:28)。「カーブ」は「ボリュームの効き具合」を図示したもので、ほとんどのエレキギターにはAカーブのポットが、特定のこだわりを持つギターにはBカーブのポットが稀に使用されます。
Aカーブは一見すると極端な変化を起こすように見えますが、ギターの音を聞く分には自然な音量変化が得られます。いっぽうBカーブは均一に上下するように見えますが、ギターの音を聞くと、回してもしばらく変化がなく、あるところで一気に変化するように聞こえます。
一般的なトーン回路は「ハイカット・フィルター」になっており、「10」が何も起きていない状態です。そこからノブを回して高音域を抑えていき、丸みのあるサウンドを作ります。
こちらもやはり、クリーンと歪みでトーンがどのような効果を生むのかをチェックしてみましょう。
トーン全開の時に広がりのあった高音域が、軽く絞るとやや抑えられてまとまり感を生みます。そこからさらに絞っていくと、丸みのある太い感じのクリーントーンになります。ギター博士はトーンを絞ったクリーンの甘く丸いサウンドを「ベリー・セクシー」と評しています。
スマホのスピーカーなどでは変化が分かりにくいかもしれませんが、トーンを軽く絞ると若干の粘り感が生まれ、もっと絞っていくとブーミーな太いサウンドになります。ギター博士はこうしたサウンドを「ブロウ感のある力強い音」と評し、しばしば使用するそうです(ブロウ:ジャズなどで管楽器を派手に吹くこと)。
ドライブサウンドをトーン「0」で使用する太く甘いサウンドは、女声ヴォーカルの声質に似ていると評されたことから「ウーマントーン」と言われ、特に1960年代のエリック・クラプトン氏の演奏で顕著に見られます。
たとえばピアノの煌びやかなサウンドに対し、
といった操作をすることで、バンドアンサンブルを微調整できる、とギター博士は説明しています。ギターの聞こえ方を操作することで、他のパートの聞こえ方に影響できるわけです。
トーン回路は、その存在だけで高音域が若干削られます。特にメタル/ハードロック志向のギターではそれを嫌って、トーン回路を持たないものが多く見られます。しかしフレドリック・トーデンダル、マルテン・ハグストローム両氏(メシュガー所属)ら、生粋のメタルミュージシャンのギターにトーン回路が備わっている例もあり、やはりこだわりは人それぞれだと思わされます。
ボリュームを利用した「バイオリン奏法」と異なり、トーンを使用した特殊奏法は「超」のつく特殊なものです。使いどころはなかなか難しいですが、先人たちの発想の豊かさを学ぶためにも、ぜひ試してみてください。
トーンノブを回しながら演奏することで、あたかもワウペダルを操作しているかのような効果を生じさせます。この奏法は、不遇の名手ロイ・ブキャナン氏が有名です。ブキャナン氏はストラトよりトーンが遠いテレキャスターでコレをやっているわけで、技巧と手のサイズ両方の超絶ぶりがうかがえます。
またストラトキャスターやレスポールなど、トーン回路が二つあるギターでのみ有効な「第二の手動ワウ」があります。
にしておき、音が鳴っている間にセレクタースイッチを上下させるわけです。
「ツマミ」と言うくらいですから、各ノブは摘んで回したくなるものです。しかし右手はピックを持っているので、ノブを摘むのは困難です。さてどうすりゃいいのか。そんなわけで、手動ワウにトライするギター博士の手つき(10:16~)が参考になります。小指を伸ばし、あるいはノブに巻きつけ気味にして、手全体を前後させるわけです。
ボリュームペダル「KORG XVP-20」
それはわかった。しかし音量が落ちるじゃないか。ごもっともです。コントロールノブを駆使する人は、そういうところも承知で操作しています。しかし、曲によっては最大限に歪んだ音でバッキングしたかったり、ほとんど歪んでいない丸く甘い音を大音量で使いたかったり、そんな無茶もしたくなることがありますよね。こうした想いを遂げるためには、「ドライブペダルの後段にボリュームペダルを配置する」のが一般的な対処法です。ギターの操作で音色を作ることができる一方で、ボリュームペダルはドライブペダルの影響から逃れ、純粋に音量だけを操作できます。
以上、ボリュームノブとトーンノブの存在意義について紹介しました。ボリュームやトーンを絞った音が「使える」というわかりましたね。ギター側でいろいろな音色が出せれば、そのぶんエフェクターの設定をシンプルにまとめることもできます。ぜひコントロールノブをぐりぐり回して、その効果を確かめてみてください。
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