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指板(フィンガーボード)の材質・形状について

指板について

指板(フィンガーボード)はフレットを安定させるという役目があるため頑丈な木材が選ばれます。弦振動を直接受け止めるパーツになるのでサウンドに影響しますが、色調にも違いがあり、ギタリストのこだわるポイントになっています。このページでは指板の種類や特徴、R(アール)について、そして指板のお手入れについて見ていきましょう。

指板材の種類と特徴

エレキギターで使われる指板材のほとんどが、以下の3種類です。ひとまずこの3つを心得ておけば、だいたい大丈夫です。

ローズウッド(紫檀)

ローズウッド指板

ローズウッドは多くのエレキギターに採用されている、赤茶色・焦げ茶色をした最もスタンダードな指板材です。マメ科の植物ですが、加工する際にバラの香を放つところから、ローズウッドと名付けられています。アタックがややマイルドになるサウンド特性があると言われ、また木材自体に粘りがあるためフレットの交換がしやすいというメリットがあります。一般的に使われているのが「インディアン・ローズウッド」ですが、希少価値の高い「マダカスカル・ローズウッド」や「ホンジュラス・ローズウッド」などはハイエンド・ギターの指板に採用されることがあります。

ローズウッド材 加工される前の指板用ローズウッド

ローズウッドの中でも最高級クラスと言われるのが「ハカランダ(=ブラジリアン・ローズウッド)」ですが、1992年に定められたワシントン条約によって(マダカスカル、ホンジュラス共に)輸出規制がかけられ、今やかなりの高級機でもなかなか見られない材となりました。

ハカランダ材 ハカランダ材

メイプル

メイプル指板

メイプルは硬度の高い白色の材木で、立ち上がるアタック感と透き通った響きがあると言われます。フェンダーがギターのネックに採用したことから定着した指板材で、ネック材に直接フレットを打ち込む「1ピースネック」と、メイプルネックにメイプル指板を貼りつける「貼りメイプル」があります。ツヤの有無や塗膜の厚みなどさまざまですが、指板面は塗装されるのが普通です。無塗装やオイルフィニッシュのメイプル指板は、使っていくうちにどんどん汚れが付着し、味わいを増していきます。また硬質な分だけ若干の脆さもあり、フレット交換には慎重な作業が必要で、工賃が高くなります。

石橋さん Red House 石橋社長

貼りメイプルと1Pメイプルではどう違うんでしょうか?

貼りメイプル指板と1Pメイプルではロッドの入り方に違いがあり、力のかかり方には違いがあると考えています。しかし適切に製作されていれば、圧倒的に違うわけでもないと考えています。「ネック裏にスカンクストライプが欲しいかどうか」で決めてしまって良いですよ。
《愛機復活!!》Red Houseにネック交換を依頼してみた!

エボニー(黒檀)

ローズウッドとエボニー比較 上:ローズウッド指板
下:エボニー指板

ヴァイオリン属の指板材で使用される真っ黒の銘木です。真っ黒のエボニー材はエボニーの木の芯からしか採れない貴重な材木です(芯以外の部分は普通の木と同じ色合いです)。水に浮かない事もあるなど重さがあり、極めて硬質で、アタックが立ちメリハリのある、また独特の「コンプ感」のある特性を持っています。

ギブソン・ギターの指板に多く採用されてきたエボニー材ですが、資源保護の観点から近年では「マグロ」と呼ばれる真っ黒のエボニー材の採取が難しくなり、色ムラがあるものや、中には黒く染めて流通しているものもあります。

脆さがあるため、フレット交換においてはメイプル以上の工賃になります。

エボニー材 加工される前の指板用エボニー

その他の木材や、人工素材

メイプルは今のところ将来的にも安定的に入手できると見込まれていますが、ローズウッドとエボニーはどんどん入手困難になり、価格が高騰しているのが現状です。そのため、マカッサル・エボニー(縞黒檀)、パーフェロー、ウェンジなどの頑丈な木材が代わりに使われる例が多くあります。
このほか、リッチライト(ギブソン「レスポール・カスタム」など)、フェノール樹脂(かつてのスタインバーガー)、テックウッド(バッカスのいくつかのモデル)などの人工素材が使用されることもあります。こうした指板はおそろしく頑丈で個体差も無く、温度湿度など環境変化に強く、オイルやワックスを塗るなどのメンテナンスを必要としないメリットがあります。

指板によって音はどう変わるの?

指板にどんな種類があるのかはわかった。じゃあ音はどう違うの?
と疑問を抱く人もいるかもしれません。指板の樹種によって、聞いてわかるほどサウンドに違いが出るのでしょうか。「指板材だけが違うギターを弾き比べても、音だけでは判別できなかった」という話もあるようですが・・・?

ローズ指板の音は甘く、メイプル指板の音は硬い、というイメージが一般的ですが、やはり木材の個体差でサウンドは変わりますし、音だけで指板材を判別できる人はそうそういないのではないかと思います。メイプルかローズかは、ルックスのお好みで選んでください。弊社にオーダーくださる際には、求めるサウンドに合わせて木材を選びます。
―Red House 社長 石橋良一
→《愛機復活!!》Red Houseにネック交換を依頼してみた!より要約

木材の個体差が大きく関係するから、指板の樹種だけではサウンドの傾向を語ることができない、というお話でした。

指板の形状・R(アール)について

エレキギターの指板の表面は平坦ではなく、よくみると緩やかなカーブを描いています。このカーブは「半径何ミリ(インチ)の円を切り取ったものか」という意味で184R、305Rといったミリ表記、もしくは”9R、”12Rというようなインチ表記で表します。R(アール)は「radius:半径」の頭文字で、R(アール)の数字が小さいほどカーブはきつく、逆に数字が大きければカーブは緩やかになります。

丸みのある指板(184R~250R)

184Rの指板

184R(”7.25R)は古くからフェンダーのに採用されている規格で、握り込みやすくコード弾きを特にサポートしてくれます。しかしあまり弦高を下げてセッティングすると、チョーキングの音が詰まってしまうことがあります。そこを考慮し、現代のフェンダーでは250Rが標準仕様になっています。

平たい指板(300R~)

305Rの指板

「305R(”12R)」はギブソンのギターに多く採用されています。このほか300R以上の平たい指板は、現代的な設計のエレキギターで常識的な仕様になっています。Rの数値が高い指板はチョーキングが特に良好で、弦高を目一杯まで下げることができ、テクニカル系の楽器などで多く採用されています。

真っ平らな指板(Flat)

丸みの全くない、真っ平らな指板は、クラシックギターやウクレレなど、アコースティックの分野では一般的です。エレキギターでもごくごく稀に採用されますが、採用例を探し出すのは不可能レベルで困難です。

コンパウンド・ラディアスとは?

伝統的な指板は「円筒指板」と言い、ナット側からブリッジ側までRが一定です。この設計には成形がしやすく精度が上げられるというメリットがある反面、1弦や6弦がフレットに当たりやすいのがデメリットで、したがってある程度の弦高を維持する必要がありました。
この不具合に注目し、丸みのあるナット側から平らなブリッジ側へと徐々にRが変化するのが「円錐指板(コンパウンド・ラディアス)」で、弦高の低さにこだわるギタリストを強力にサポートします。

ジャクソンではかねてから「コニカル・フィンガーボード」の名でコンパウンド・ラディアスを採用しており、現在ではそれ以外にもフェンダー、ギブソン、フジゲンなどで採用されています。

R(アール)によって、弾きやすさはどう変わる?

指板のRによって、弦を押さえる感触がちがいます。またRの違いが弦高にも影響します。指板のRと弾きやすさには、どんな関係があるのでしょうか。

Rがゆるい方が弦高が下げられる

左手の力が軽減できることから、現代では低い弦高が好まれるようです。テクニカル指向のギターで見られる400R以上の平坦な指板やギブソンに見られる305Rの場合、かなり力を抜いても押さえられるほどに弦高を下げることができ、コンパウンド・ラジアス指板は、そこからもう一歩下げることができます。

古典的な184RなどRのきつい指板ではチョーキングで音が詰まってしまうので、あまり弦高を下げることができません。「弦高を下げられる」という意味では、Rのゆるい指板の方が弾きやすいと言えるでしょう。フェンダーでも「アメリカン・スタンダード」シリーズのような現代版のギターでは、184Rと305Rの中間に近い「241(9.5″)R」を採用しています。


Steve Vai – Juice
「縦横無尽」という言葉がこれほど似合うギタリストもなかなかいませんね。スティーヴ・ヴァイ氏の愛用するJEMの指板は430Rです。

Rがきつい方がコードプレイに適しているかもしれない

しかし、だからといって、弦高は下げれば下げるほどいいのか、184Rなんて必要ないじゃないか、ということにはなりません。スライドバーを使用した「スライド奏法」、またキレのいいカッティングを行なう場合、弦高が充分あった方が弾きやすくなります。またこの方が音に張りが出て抜けの良いサウンドになりますから、あえて弦高を上げるというプレイヤーは何人もいます。王者イングヴェイ・マルムスティーン氏やスティーヴィー・レイ・ヴォーン氏はソロをバリバリ演奏する名手ですが、ギターの弦高が高いことでも知られています。

またRがきつい指板は、6弦側から親指を出してネックを握るプレイに特にフィットします。カッティングなどで「2,3,4弦を押さえ、残りはミュート」といった押さえ方をするのにも大変有利です。こうしたことから、コードプレイにおいてはRのきつい指板が弾きやすいと言えるでしょう。


culture / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
アベフトシ氏(1966-2009)はロック系カッティングの名手として知られ、多くのフォロアーを擁しました。動画で氏が弾いているテレキャスター・カスタムは、指板のRがかなりきついのが分かりますね。


Joe Satriani – Summer Song
輝かしい実績に加え、上記ヴァイ氏及びカーク・ハメット氏の師匠として知られるジョー・サトリアーニ氏のギター「JS」は250Rとなっており、平坦な指板の多いアイバニーズのラインナップにおいて異彩を放っています。これだと「チョーキングが感じやすい」そうです。

指板のお手入れはどうするの?

指板のお手入れ法は、「塗装されているかどうか」で分けられます。メイプル指板など塗装が施されている場合は、クリーナーなどで汚れを除去するだけで完了、もしくはボディと同じワックスやポリッシュを塗って、ピカピカにします。
ローズやエボニーなど塗装が施されていない指板の場合、クリーニングに加え専用のオイルやワックスを塗り込んで「保湿」する必要があります。保湿された指板はしっとりと指に馴染み、演奏に喜びをもたらします。反対に指板が乾燥しすぎると、指板の体積が減少します。さすがに割れてしまうことはほとんどありませんが、ネックの順ぞりやフレット浮き、ネック痩せなど厄介な症状を起こしてしまうことがあります。
塗装されていない木材のクリーニングには、オレンジオイルやレモンオイルを使うのが一般的です。保湿用のワックスやオイルについては、各社からさまざまリリースされています。

HOWARD「FEEDNWAX」

HOWARD「FEEDNWAX」

蜜蝋入りの、甘い香りのする指板用ワックス。薄く塗って20分ほど置いてから磨きあげると、そこにはしっとりとしたつややかな指板が。T’s Guitars高橋社長が推す一本です。

FEEDNWAXを…
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ギター博士はどうしているのか?

ギターのお手入れについては、ハカセもしっかりこだわっています。こちらの記事をチェックしてみてください。

ポリッシュを使ってボディや指板をお手入れしよう

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