《眉間に皺を寄せろ!》LTDのギターについて

[記事公開日]2016/12/30 [最終更新日]2022/4/5
[編集者]神崎聡

LTDのギター

LTDは、ESPが持つ海外向けギター/ベースのブランドです。日本国内の価格帯は10万円~20万円あたりですから、同社の企画する「E-II」に続き、日本国内で企画する「EDWARDS(エドワーズ)」に近いグレードのラインナップを展開しています。アーティストモデルは海外プレイヤーのもので統一されていますが、ヘヴィ系のサウンドを志向したギターが特に多いように見られています。今回はこのLTDに注目してみましょう。

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1: LTDギターの特徴 1.1: 1) 「黒さ」を追求する硬派な外観 1.2: 2) 意外にもオーソドックスなギター本体 1.3: 3) バリエーションに富むブリッジ 1.4: 4) 鋼鉄サウンドを生む各種ピックアップ 1.5: 5) エドワーズとの関係 2: LTDギターのラインナップ 2.1: オリジナルシリーズ 2.1.1: 1) スーパーストラトタイプ 2.1.2: 2) レスポールタイプ 2.1.3: 3) テレキャスタータイプ 2.1.4: 4) EVERTUNE搭載モデル 2.2: アーティストモデル 2.2.1: Stephen Carpenter / Deftones 2.2.2: Kirk Hammett / METALLICA 2.2.3: James Headfield / METALLICA 2.2.4: Jeff Hanneman / SLAYER 2.2.5: George Lynch 2.2.6: Brian "Head" Welch / Korn

LTDギターの特徴

1) 「黒さ」を追求する硬派な外観

LTD SC-608B 8弦ギター:LTD SC-608B

LTDのギターはヘヴィメタルに特化したものがほとんどであり、むしろ全てがヘヴィ志向であると言っても過言ではありません。特にブラックを基調としたシブくイカツいカラーリングに深くこだわることで、ヘヴィミュージックに特化したブランドイメージを主張しています。ボディカラーだけでなく、金属パーツやピックアップも全モデル黒、指板はローズかエボニーでメイプルは無く、絵的に明るい要素がどこにもありません。眉間に皺を寄せ、身もだえするほどの怒りを表現するためのギターだと言えるでしょう。

2) 意外にもオーソドックスなギター本体

ヘヴィ志向で7弦ギターのラインナップが充実しているとはいえ、日本で展開しているラインナップに変形ギターはほとんどなく、8弦など多弦ギターを積極的に打ち出しているわけでもありません。現在のラインナップはスーパーストラト、レスポール、テレキャスターを基調としたもので、スタイルとしてはオーソドックスなものにとどまっています。
そのかわり、

  • オリジナルモデルは全て、ボディにマホガニーを採用
  • テレキャスタータイプの本体に、セットネック構造を採用
  • むしろボルトオンジョイントのモデルが無い(一部のアーティストモデルには採用)
  • スルーネック仕様にはメイプル&ブビンガの5Pネックを採用

など、ギター本体の構造に対し、このブランドとしてのアイデンティティが多く反映されています。

3) バリエーションに富むブリッジ

日本で展開するエドワーズでは、ブリッジは日本を代表するパーツメーカー「GOTOH(ゴトー)」のものが多く採用されていました。これに対してLTDは海外仕様のためか

  • TonePros:スタッドにブリッジを固定できる
  • HIPSHOT:ドロップチューニングできるペグが有名だが、老舗のパーツメーカーで、なんでも作る
  • Evertune:2016年の大発明。チューニングを自動補正する高性能ブリッジ

といった海外ブランドのブリッジが多く採用されています。いっぽうFRT(フロイドローズ・トレモロシステム)ではエドワーズ同様、フロイドローズ1000シリーズが採用されています。

4) 鋼鉄サウンドを生む各種ピックアップ

エドワーズではセイモア・ダンカン製ピックアップがほとんどのギターに採用されていましたが、LTDではEMGとセイモア・ダンカンの二つがメインで、時にはディマジオも採用されます。
EMGは006P(9Vの四角い電池)を必要とするアクティブピックアップの草分け的存在ですが、ノイズの少ないキメの細かなトーンを特徴とし、ヘヴィ系サウンドの要(かなめ)として熱く支持されています。

5) エドワーズとの関係

グレード的に「エドワーズのやや上」と目されることの多いLTDですが、定価で10万円を下回る価格帯のものが無いことからこのように思われているようです。実際には同様の仕様のギターならば価格にそれほど差があるわけでもなく、両者にグレードの差は無いと考えるのが自然です。しかしながら、

LTD EDWARDS
カラーリング ブラックが基本 カラフル
多く用いられるボディ材 マホガニー アルダー
ホライゾンタイプ HORIZON-I/II HORIZON-III
レスポールタイプ 24フレット仕様 22フレット仕様
木目を見せるトップ材 ハワイアン・コアが主体 メイプルが主体

LTDとEDWARDSの特徴の違い

明るい色調の物もありカラフルなラインナップを持つエドワーズに対してブラックを基調とするLTD、
アルダーを良く使うエドワーズに対してマホガニーボディで統一しているLTD、
ホライゾンタイプの原形がHORIZON-IIIであるエドワーズに対してHORIZON-I/IIをベースとしているLTD、
レスポールタイプには22フレットを採用するエドワーズに対してこのタイプにすら24フレットを採用するLTD、
フレイムメイプルやキルテッドメイプルをトップに貼るエドワーズに対してハワイアンコアをメインに使用するLTD、

というように、二つのブランドはさまざまな面でキャラクターの違いを見せており、ラインナップはきちんと分化されています。

LTDのラインナップ

では、LTDのラインナップをチェックしていきましょう。LTDのラインナップは

  • オリジナルモデル:ESP参加ブランドのギターを継承したもの
  • アーティストモデル

に大別されます。オリジナルモデルには共通する仕様が多く統一感がありますが、アーティストモデルはアーティストそれぞれの志向を反映した設計が採用されています。

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