《力強く、ストレート》EDWARDS「E-VIPER-1H」

[記事公開日]2021/7/28 [最終更新日]2021/7/29
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

EDWARDS E-VIPER-1H

ESP「VIPER(ヴァイパー)」は、ヘヴィ/ラウド系に振りきった設計で支持を集めるギターです。EDWARDS(エドワーズ)版となる「E-VIPER-1H」は、そのヘヴィ/ラウド志向のコンセプトを強化しながら、より幅広いジャンルで使用できるよう守備範囲も強化したギターです。今回は、ただの廉価版に終わることのないアイデンティティを持っている、このEDWARDS「E-VIPER-1H」に注目していきましょう。

EDWARDS「E-VIPER-1H」の特徴

明瞭な響きを生みだすギター本体

E-VIPER-1Hは、このルックスのギターとしてはなかな珍しい、40mm厚のアッシュボディ、メイプル3Pネック、ローズウッド指板という木材構成に、ボルトオンジョイントという仕様です。アッシュは木目の美しさで支持されますが、特に明瞭なアタック感が得られると考えられています。ボルトオンジョイントについても同様に、特にアタックが立つ設計です。3層のメイプルネックはひじょうに頑強で、弦振動を吸収しにくくなるため豊かなサスティンが得られます。

「ジョイント部の剛性」を特に重視

ギター本体の設計で特に注目すべきは、「ジョイント部の剛性」が特に重視されていることです。ヒール部は直線的にカドを落とす「スターカット」が施されてこそいますが、1)ヒール自体の厚みには手を付けず、しっかり残されています。また、トラスロッドがネックエンド部に開口しており、2)ネックの末端に鉄芯が届いています。加えて1ハムバッカー仕様なので、フロントピックアップのキャビティ(孔)が空けられておらず、3)ジョイント部近辺の木材量がしっかり残されています。これら3つの特徴はいずれもESP「VIPER」では採用されていない、E-VIPER-1Hの独自構造です。

頑強なジョイント部は弦振動を吸収しにくく、ボディが鳴るより弦が鳴る状態となり、サウンドはよりクッキリ明瞭に、またサスティンが豊かに得られます。TOMブリッジ&ストップテールピースという振動伝達を重視したブリッジ仕様も相まって、明瞭かつストレートな弦振動が得られます。

絶妙なボディ厚

「40mm」というボディ厚は、一般的なエレキギターでは数ミリ薄めで、伝統的なGibosn SGギブソン・フライングVより数ミリ肉厚です。ちょっと薄めなのでギター本体は軽量になりますが、SGなどよりはちょっと厚めなので、こちら側のギターとしてはサウンドの「張り」が強化される、絶妙な厚みに設定されています。

敢えて標準的な弦長を採用

E-VIPER-1H:ヘッド

近年ヘヴィ志向とされるギターは、ダウンチューニングを見越して弦長を延長する仕様が多く見られます。しかしこのE-VIPER-1Hはそこに参入せず、ロングスケールですらなく、ミディアムスケール(628mm)を採用しています。そのため普通のエレキギターとして馴染みやすく、また持ち替えもスムーズです。弦長に頼らずとも張りと明瞭さのある弦振動が得られるため、あまり極端でなければダウンチューニングも問題なく対応できます。

シンプルかつ高性能な金属部品

ペグ、ブリッジ、テールピース共にGOTOH製です。ペグは背面のサムホイールで弦を固定するサムロック式で、弦交換の時短が果たせるとともに、チューニングが安定します。またサムホイールの分だけペグ自体の重量がアップすることで、サスティンも増強されます。

ブリッジとテールピースには、重厚なジンク(亜鉛合金)が使われています。特にテールピースについては、「アルミの音が良い」と言われることもありますが、これはヴィンテージ志向の考え方です。アルミテールピースの広がりのある柔らかな音に対し、ジンクのテールピースは低域の存在感と音の引き締まりが強化された、現代的なロック志向のサウンドになる傾向があります。

潔いにもほどがある「1H1V」仕様

E-VIPER-1Hの電気系は、エスカッションマウントのハムバッカー1基&ボリュームノブ1基で、コイルタップもありません。まさに、「この音しかいらぬわ!」という非常に強い心意気を感じさせる設計です。これは、普通のギターでリアハムしか使わないのとは全く異なります。このギターは、言わば己の道を一本に定め、退路を断ち、手の内をさらけ出した状態です。小細工に頼らない、ストレートな演奏で勝負するギタリストに相応しいギターなのです。

王道ハムバッカー装備で、多ジャンル対応可能

採用されているピックアップは、セイモア・ダンカンの定番機種「SH-4(JB)」です。定番ゆえに、およそハムバッカー・ピックアップを使用するあらゆる音楽ジャンルで使用することができます。ピッキングへの追従が良く、エフェクターの使用も良好です。配線が4本あるため、コイルタップなどの機能を追加することも可能です。

E-VIPER-1Hは本来、ヘヴィ/ラウド志向のギターとして開発されました。しかし王道ハムバッカーの採用により、1H仕様だからこその明瞭かつストレートなサウンドを持って、いろいろなジャンルに挑戦する可能性が得られたわけです。

機能追加など改造しやすい

操作系はボリュームノブしか持たないギターですが、回路を収めるコントロール・キャビティは通常のVIPERを継承しています。その結果、コントロール・キャビティは唯一のツマミに対してあまりある、広大な空間を確保しています。貴重品や大事な思い出の品を隠しておくことすらできそうです。またここを利用すれば、トーンノブやミニスイッチの追加、アクティブ化に伴う電池の格納など、目的に合わせた改造を施すことが比較的容易です。

シースルーカラーの2色でラインナップを展開

E-VIPER-1H:Satin Natural Satin Natural

E-VIPER-1H:Alternative Black Alternative Black

E-VIPER-1Hは、ローズ指板とマッチし、かつアッシュの木目が活きる、オルタナティブ・ブラック(シースルー・ブラック)、サテン・ナチュラルの2色でラインナップを展開しています。いずれもパーツカラーはブラックで、指板にはドットインレイ、装飾と言えばヘッドのブランドロゴとネック&ヘッドのバインディングのみ、という潔い仕上がりとなっています。


以上、EDWARDS「E-VIPER-1H」をチェックしていきました。ヘヴィ/ラウド志向のギターという触れ込みでしたが、その内容は、張りのある明瞭な弦振動と豊かなサスティンを、とことん追求したギターです。そのためにフロントピックアップを手放してまで、ジョイント部の剛性を高めていたわけです。

このタイプのギターを探していた人には強烈にお勧めですが、ヘヴィリフやバッキングのレコーディング用などサブギターとしても、同様に強烈にお勧めです。フロントピックアップを持ってるようなヌルいギターでは絶対出せない、力強くストレートな音、ぜひチェックしてみてください。

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。