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ドロップDチューニング
ドロップDチューニングは、ノーマル・チューニングから6弦の音を1音下げた D の音に下げる(Drop)ことから名付けられたチューニング方法です。通常、オープンチューニング(変則的なチューニング)はボトルネック奏法などに対応するために用いられるのですが、ドロップDの場合は主に音をへヴィにする目的で用いられます。
ドロップDチューニングは90年代グランジ/オルタナティブ・ロックのバンドを中心に流行し、今日ではヘヴィさを演出するのに欠かせない方法としてロックシーンに広く浸透しています。
ドロップDチューニングで弾いてみよう!
ギター博士によるドロップDチューニングのやり方・プレイ解説
ドロップDチューニング、つまりレギュラーチューニングの状態から6弦だけ「D」の音にする方法としては、「チューナーで合わせる」「6弦7フレットの音と5弦開放弦の音を同じする」という2通りの方法で合わせるとよいでしょう。
レギュラーチューニングから6弦だけを下げるというケースが多いと思いますが、この時6弦の音程を1音も変えるという作業になりますから、チューニング後はピッチが不安定になりやすいので注意が必要です。チューニング後は6弦だけでなく1〜5弦のピッチも確認しておきましょう。
また、6弦のテンション感が弱くなって、ダルンダルンのサウンドになりやすいというのがドロップDの注意点です。チューニングを下げた状態でもタイトな演奏にしたい場合は、ロングスケール・ネックのギターを使う、5pなど強固なネック搭載ギターを使う、弦のゲージを太くする、などの対策をして解消します。
ドロップDにすると5-6弦のパワーコードが指1本のセーハで簡単に押さえられるため、レギュラーチューニングでは難しかった「パワーコードを使った素早い動き」や「複雑なフレージング」が比較的カンタンになります。
E|————————————–|
B|————————————–|
G|————————————–|
D|————————————–|
A|-0—0-0-10-0-0-10-0-0-10-0-6———|
E|-0—0-0-10-0-0-10-0-0-10-0-6———|
ドロップD時、パワーコードの素早いフレージング例
また、「パワーコードに add9 をプラス」した押さえ方が簡単になるのもポイントです。レギュラーチューニングと比べてみると、6弦開放でアドリブを弾く時のキーが E → D となりますから、いつもとは違ったフィーリングでアドリブ演奏を楽しむことができるでしょう。
E|————————————–|
B|————————————–|
G|————————————–|
D|-7–7–7——————————|
A|-5–5–5——————————|
E|-5–5–5——————————|
add9をプラスしたパワーコード例
ドロップチューニングは、1960年代後半のハードロックやヘヴィメタルの誕生期から、重厚なリフを生み出す手法としてギタリストに取り入れられてきました。そして、その活用が最も盛んになったのは1990年代で、オルタナティブやグランジをはじめとする新しいロックシーンで広く普及しました。
ニルヴァーナのカート・コバーン、サウンドガーデンのキム・セイル、スマッシングパンプキンズのビリー・コーガンなど、シーンを代表するギタリスト達がこれを多用。ドロップDチューニングによる荒々しく重厚なギターサウンドがこの時代のロックの象徴となります。
さらに90年代後半〜2000年代には、KORNやTOOLといったモダンメタル/プログレッシブ系バンドが低音志向を強める中で、ドロップ・チューニングは定番の選択肢となりました。
近年ではポストハードコアやメタルコアのギタリストたちが、より低いドロップCやドロップBへ発展させる過程でも基礎となっており、ジャンルを超えて現代の重厚サウンドを支える重要なチューニングの一つです。
ギター博士の練習曲「#4 閃光のハカセェイ」
ダブル・ドロップDチューニング
ダブル・ドロップDチューニングはドロップDチューニングの状態からからさらに1弦を1音下げて、1弦と6弦をダブルで「D音」にするというチューニング方法です。曲のキーがDの時には使い勝手がいいチューニングだと思います。初心者向けではないかもしれませんね。
また、通常のエレキギター弦(6弦が46のゲージ)だと、テンションがなくなってしまったり、弾く時にフレットと弦がぶつかって「ビビリ」が発生してしまう可能性があります。ダブル・ドロップDチューニングを試したい場合は、6弦が46のゲージよりも太いものを選ぶとよいでしょう。
普段からドロップDチューニングに慣れ親しんんでいる人に提案したいのが、
といった民族系の変則チューニングです。
これらの変則チューニングは、ノーマルチューニングに比べて簡単なフィンガリングでテンションコードを取り入れることができ、普段のギタープレイにアイリッシュ系/ケルト風のエッセンスを加えることができます。
上記4つのチューニングは6弦がDとなっているため、ドロップDチューニングに慣れている人だとフレージングのコツを掴みやすいでしょう。プレイの幅を広げたいと思っている人に是非チャレンジしてみて欲しい変則チューニングです。
「ドロップDの状態から全ての弦を半音下げ」もしくは「半音下げチューニングから6弦だけさらに1音下げ」にすることでドロップC#チューニングとなります。
ドロップC#は1990年後半〜2000年代のヘヴィメタル・ロックシーンで頻繁に見られたチューニング方法ですが、上述のように近年のメタルコアなどのジャンルではここからさらに拡張し、全弦3音下げやドロップAなどが採用されます。
ドロップDにする際の問題点を克服するべく、人類は色々な方法を考案してきました。
ノーマルチューニング、ドロップDチューニング、両方のチューニングが登場する楽曲を持っているバンドは、ライブでチューニングの変更に苦労していることでしょう。そこで登場するのが、弦に直接取り付けてチューニングを操作する器具「PITCH-KEY」です。PITCH-KEYを使えば、求めるチューニングをあらかじめ設定し、ツマミを回転させるだけで一瞬でチューニングを変更することができます。次のページでは実際にPITCH-KEYを取り付けてレビューしているので、きになる人はチェックしてみて下さい。
Digitech社がリリースする「Drop」は、フットスイッチを踏むだけでレギュラーチューニングから半音下げ、1音下げと、ペグを回さずにダウンチューニングしたようにピッチを下げることができるという画期的なペダルエフェクターです。ポスト・ハードコア/メタルコアといったジャンルでは2音下げ、3音半下げと極端なドロップチューニングが定番となっていますが、Dropがあればレギュラーチューニングのままこれらのチューニングに素早くアクセスすることができます。搭載されているノブの操作によって最大1オクターブ下まで半音ずつ下げていくことが可能です。
詳しく見る:
Digitech Drop – Supernice!エフェクター
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