
イコライザーは特定の周波数レベルを「ブースト」、あるいは「カット」して音作りをするエフェクターです。設定によって様々な使い方ができますが、基本的には「音質調整・補正」のために使われます。レコーディングでは、ギターだけでなくあらゆる楽器の音質補正に使われます。
身近なのがギターアンプに搭載されているイコライザーです。 BASS、MIDDLE、TRABLE といったツマミでギターの音作りをした経験があるかと思います。イコライザーはギタリストにとって「最も基本的なエフェクター」と言えるでしょう。
- イコライザーの基礎知識
- イコライザーの使い方
- おすすめのイコライザー・ペダル
イコライザーの基礎知識
イコライザー(Equalizer:EQ)は、ギターやベースの音を周波数ごとに調整し、音質補正を行うための機材です。
低音・中音・高音など特定の帯域をブースト(持ち上げ)したり、カット(削る)したりして音のバランスを整えます。低音域を強調すれば厚みのあるサウンドに、高音域を持ち上げれば輪郭のはっきりした音になります。
イコライザーを使うことで、演奏する環境やバンド編成に合わせて音を調整し、楽曲にマッチした音に仕上げます。
ライブやレコーディング問わず、原音をより魅力的に引き出すための重要なツールです。
グラフィックEQとパラメトリックEQの違い
イコライザーエフェクターには主にグラフィックEQとパラメトリックEQ(パライコ)の2種類があります。
グラフィックイコライザー
YAMAHA 2系統31バンド・グラフィックイコライザー「Q2031B」
各周波数を視覚的に捉えて操作できるイコライザーです。周波数毎に上下にスライドするツマミがあり、上に持ち上げるとブースト、下げるとカット、という具合です。
左から右にかけて低域→高域という並びになっているので、使い続けるうちに各周波数帯域の役割を掴んでいくことができます。帯域数(例:6バンド、10バンド)が多いほど細かい調整が可能。
レコーディング機材のイコライザーの多くがグラフィックEQを採用しているので、まずはこのタイプの操作に慣れておくと良いでしょう。
パラメトリックイコライザー
Empress Effects ParaEQ
パラメトリックEQは、グラフィックEQで固定されていた周波数の幅(Q幅)とブースト/カット量を調整できるようにした上級者向けのイコライザーです。
狙ったポイントをピンポイントで補正できるので、音作りの自由度が高いのが特徴です。
一つのポイントで広範囲の周波数を調整できる他、通るフィルターが少ないので、音質劣化が少ないです。
グラフィックEQと比べて操作が難しいため、扱いには慣れが必要です。
周波数帯域とブースト/カットの基礎
MXR M108S 10 Band EQ
イコライザーは各周波数をブースト/カットすることで音質を調整していきます。周波数は製品によって異なりますが、 100Hz〜6.4kHz までのツマミが搭載されている物が多いです。
周波数を大きく分けて5つに分類した場合、
- 超低音域(〜80Hz):耳で直接聴くよりも“体で感じる”領域。ベースやバスドラムの基音、シンセベースの低音成分などが含まれる。
- 低音域(およそ80〜200Hz):厚みや迫力を調整。上げすぎるとモコモコした音に、下げるとタイトで抜けの良い音に。
- 中音域(およそ250Hz〜2kHz):音の芯や存在感を決める帯域。ブーストすると前に出る音に、カットすると引っ込んだ印象に。
- 高音域(およそ4kHz〜8kHz):音のきらびやかさ、倍音の豊かさを調整。上げればシャープで明るい音に、下げると柔らかい印象に。
- 超高音域(8kHz〜):空気感(エア感)の調節。上げすぎるとノイズも拾いやすくなる。
となります。
ライブでは会場の音響特性やバンドの編成に合わせ、不要な帯域をカットして抜けを良くすることが多く、レコーディングではミックス全体でのバランスを取るために細かくブースト/カットを行います。
イコライザーの使い方
アンプやギター本体にもトーンコントロールは備わっていますが、調整できる周波数帯は限定的です。イコライザー・エフェクターは、より細かく周波数を指定してブースト/カットできるため、アンプやギターだけでは出せない音作りが可能です。
またレコーディングでは、より緻密な音質補正が求められます。この場合、ブーストとカットを細かく組み合わせて、楽曲全体のミックスバランスに合わせた音作りを行います。
ジャンル別おすすめ設定例(ロック・ジャズ・メタルなど)
ジャンルごとに求められる音の質感は異なり、EQ設定も変わります。以下はあくまで基本の例ですが、初めて設定する際の参考になります。
- ロック:中音域(1〜2kHz)を軽くブーストしてギターの存在感を前に出す。高音域(4〜6kHz)をやや上げるとリードが抜けやすくなる。
- ジャズ:高音域を軽くカットし、中低域(200〜500Hz)をブーストして温かみを強調。ピックよりも指弾き向けの音作りに。
- メタル:低音域(80〜120Hz)と高音域(4〜8kHz)をブーストし、中域(500Hz〜1kHz)をカットするV字型設定。重厚かつ鋭い”ドンシャリサウンド”に。
これらはあくまで出発点であり、楽器やアンプ、ピックアップの種類、バンド編成に合わせて微調整することが重要です。
ブースターとしても使える!
ギターの場合、300Hz〜1.5kHz 付近をブーストすると音抜けの良いサウンドになります。この特性を活かしてイコライザーをブースターとして使うこともできます。
特定の周波数をカットすると「ハウリング対策」にもなり、多種多様な使い方ができるのもイコライザーの魅力です。
関連記事:
ブースター・エフェクターの使い方・特徴、おすすめモデル紹介
アンプのEQとエフェクターのEQはどう使い分ける?
アンプとイコライザーエフェクターはどちらも音質調整ができますが、基本的にはアンプ側でできるところまで音作りを行い、EQペダルで不足分や環境による変化を補正するのが理想です。
アンプのEQは、そのアンプの特性に合わせた調整が得意で、サウンドの土台を決めます。
一方、エフェクターのEQは、特定の周波数帯をピンポイントで補正したり、曲や場面に合わせた微調整を行うのに向いています。
イコライザーの接続順

イコライザーは基本的にどの位置に繋いでも良いですが、「歪み系ペダルの前後」によって出音が変わります。オーバードライブなどの前段に繋ぐと、「ギターサウンドそのもの」の周波数を調整することになり、後段に繋ぐと「歪んだサウンド」を調整することになります。イコライザーの接続順に正解は無いので、色々と試してみることをオススメします。
関連記事:
エフェクターのつなぎ方・接続の順番について – Supernice!エフェクター
おすすめのイコライザー・ペダル
はじめてのイコライザーに最適!コスパに優れたモデル
定番・人気モデル
ハイエンド・イコライザー・ペダル
以上、イコライザーについて見ていきました。
今回紹介したモデルや設定例を参考に、自分のプレイスタイルや機材構成に合った1台を見つけてみてください。わずかなEQの変化が、あなたの演奏を一段と魅力的に引き立ててくれるはずです。
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。