フランジャー・エフェクターについて

[記事公開日]2019/6/6 [最終更新日]2025/8/9
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

フランジャー・エフェクター

フランジャーは、音に「ジェット機が飛び去るようなうねり」や「金属的な渦巻き感」を加えるモジュレーション系エフェクターです。音の仕組みはコーラスと殆ど同じで、原音に極めて短い遅延した音を混ぜ、その遅延時間を周期的に変化させます。これにより位相の干渉が発生し、特有のウネるようなサウンドを作り出しています。


はじめてのフランジャー・エフェクター – ギター博士

フランジャーの基礎知識

フランジャーの代表的なパラメーターは以下の通りです。

  • RATE、SPEED:揺れの速さを調整するツマミ
  • DEPTH:揺れの深さを調整するツマミ
  • MANUAL(DELAY TIME):エフェクト音の高さを調整するツマミ
  • FEEDBACK、PEAK:揺れ方を調整するツマミ
  • LEVEL:エフェクト音を混ぜる量を決めるツマミ

ツマミを調整することで、激しいジェットサウンドはそのままに「飽和感のある柔らかい音」を作ったり「金属的な堅い音」を作ることもできます。

コーラスやフェイザーとの違い

フランジャーと同じモジュレーション系エフェクトのカテゴリにコーラスとフェイザーがあります。どちらも音に揺れを与えるエフェクトですが、仕組みや音の質感が異なります。

  • コーラス:原音と遅延音を混ぜ、音程差を生じさせることで「複数人で演奏しているような厚み」を出す。遅延時間は長めで、フランジャーよりも自然で柔らかい。
  • フェイザー:位相をシフトさせた音を混ぜることで「シュワシュワ」とフィルター感のある揺れを作る。遅延はほぼゼロで、フランジャーよりも滑らかな印象。
  • フランジャー:極短い遅延で強い位相干渉を起こし、「金属的で立体感のあるうねり」を生む。

この違いを理解しておくと、曲ごとに最適なエフェクトを選びやすくなります。

フランジャーを使った有名なギタリスト


Van Halen – Unchained (Official Music Video)

エドワード・ヴァン・ヘイレンは、ハードロック史においてフランジャーサウンドを象徴する存在です。彼が愛用したのはMXR M-117R FLANGER で、数あるフランジャーペダルの中で最も有名な製品です。非常にエグいサウンドが特徴で、ヴァン・ヘイレンの楽曲には無くてはならないペダルです。


The Police – Walking On The Moon (Official Music Video)
アンディのセッティングは、Rateを遅く、Depthを浅めに設定し、ほのかに揺れを感じる程度に留めるのがポイント。これにより、コードの分離感を保ちつつ、耳に心地よい揺れを生み出します。レコーディングではコーラスとの併用やディレイとの組み合わせも多く、広がりと残響を効果的にコントロールしていました。

The Policeのギタリスト、アンディ・サマーズは、フランジャーを非常に繊細かつ音楽的に使う名手です。彼のスタイルはエディのような派手なジェットサウンドではなく、クリーントーンに薄く揺れを加えて透明感と奥行きを演出する方向性に特徴があります。
代表曲「Walking on the Moon」では、アルペジオやコードストロークに軽やかなフランジャーが加わり、浮遊感のあるサウンドスケープを作り出しています。

フランジャーの接続順と他のエフェクターとの組み合わせ

エフェクターの接続順

モジュレーション系エフェクターは接続順によって音のキャラクターが大きく変わります。一般的には歪み系エフェクター(オーバードライブやディストーション)の後、空間系エフェクター(ディレイやリバーブ)の前、に配置するのが定番です。これにより、歪んだ音全体に揺れがかかり、立体感や広がりが強調されます。

逆に、歪みの前にフランジャーを置くと、揺れ成分が歪みによってつぶれ、より荒々しい質感になります。これは80〜90年代のハードロックで好まれる手法で、エッジの効いたサウンドが欲しい場合に有効です。

よくある組み合わせ例
ワウペダル → 歪み系 → フランジャー → ディレイ/リバーブ(定番)
フランジャー → 歪み系 → コーラス/ディレイ(ビンテージ感のある揺れ)
マルチエフェクター内でパラレル配置(原音と揺れをミックスしやすい)

アナログフランジャーとデジタルフランジャーの違い

フランジャーには「アナログフランジャー」と「デジタルフランジャー」の2タイプがあります。
アナログフランジャーはBBD(Bucket Brigade Device)素子を使って遅延を作り出す方式で、温かみのある自然な揺れが特徴です。音の角が取れた柔らかい質感になるため、ビンテージ系サウンドを求める人に好まれます。

一方、デジタルフランジャーはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)で遅延処理を行い、クリアで再現性の高い音が得られます。アナログの質感をモデリングするものも多く、さらに極端な設定や複雑なモジュレーションも可能です。

ビンテージ感や温かみ重視 → アナログ
幅広い音作りや高精度再現 → デジタル

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