《遂に登場!》Ibanezヘッドレスギター「Q Series」[記事公開日]2021年9月22日
[最終更新日]2021年9月23日

Ibanez Qシリーズ

多くのブランドから続々とヘッドレスギターがリリースされている中、遂にアイバニーズからもヘッドレスモデルが誕生しました。それも、既存モデルのヘッドレス化や既存パーツの寄せ集めではなく、シングルコイル用パーツから新たに自社開発した全く新しいギターです。この分野におけるギター開発やここから生まれる演奏技術など、さまざまな可能性を探求(Quest)するという想いを込めて、ニューモデルは「Q」シリーズと命名されました。今回は、このアイバニーズ「Qシリーズ」に注目していきましょう。


Ibanez QX52 featuring Jack Gardiner
めっちゃ弾きやすそう!ナナメのフレットがどういう感触なのかも気になります。

Ibanez「Qシリーズ」の特徴

Ibanez QX54QM Ibanez「QX54QM」

ではさっそく、「Qシリーズ」の特徴をチェックしていきましょう。

自社開発した、ヘッドレス専用部品

ヘッド側「Custom string lock」

Custom string lock 7弦(左)と6弦(右)のヘッド部。ネックから広がりを設けているので1フレットの位置感覚が掴みやすいほか、ギターハンガーに掛けることができる。

ヘッド部には弦を固定する「カスタム・ストリングロック(Custom string lock)」が、裏側からネジ留めされます。7弦用と6弦用はそれぞれ一体構造で、耐久性と音響性能に優れます。好きな弦を使用できて、表側のネジの空け締めによりカンタンに弦交換できます。

ブリッジ側「Mono-Tune bridges」

Mono-Tune bridges

6弦のふつうの配列(左)と7弦スラントフレットの配列(右)。このタイプのブリッジは、配置に自由度が高い。ボディから飛び出ているツマミを回してチューニングする。

各弦独立した「モノチューン・ブリッジ(Mono-Tune bridges)」は、シンプルな構造ながらオクターブ調整と弦高調整ができます。限界まで緩めると弦が外れる仕組みですが、1音下げなどダウンチューニングができる奥行きはしっかり確保されています。

軽くて弾きやすいギター本体

Ibanez Q52 Ibanez「Q52」の表と裏。トップ側は滑らかな曲面を描き、バックはしっかり彫り込まれているのが分かる。

テクニカルなプレイを特に意識したネック部

Qシリーズのネック 6弦の3Pネック(左)と7弦の5Pネック(右)

ネックはローステッドメイプルとブビンガの3層または5層で、きわめて頑強な構造です。「パラレル・ウィザード(Parallel Wizard)」ネックシェイプは全長に渡ってネック厚を19mmに統一しており、「ハイポジションに行けばいくほど弾きやすくなる」と言われます。

Qシリーズの指板 ボッコボコの玉杢と金色のフレットの組み合わせが美しい。

ローステッド・バーズアイ・メイプルの指板に、ジャンボサイズのジェスカー社製「EVO Gold」フレットが打ち込まれます。指板材はローストされることで余分な水分や油分が抜かれ、強度を増します。美しい「EVO Gold」フレットは銅、錫、鉄、チタンの合金で作られ、通常のフレットと比べて明るい音色と高い耐久性が持ち味です。

斬新かつ的を得た「スラントフレット」

スラントフレット Ibanez「Q52」(上)と同「QX52」(下)。全フレットが均一にナナメになっているのが分かる。末広がりの「ファンフレット」とはまた違った理念に基づいている。

新たに採用された「スラントフレット」は、全フレット均等に8度の傾斜を設けています。これは高い位置に構えて演奏する際に押弦する指が自然と内側に傾いていくのに合わせた、人間工学に基づいた設計です。指を広げるような押さえ方にも有利で、高度で複雑なテクニックに対し、より自然なフィーリングで挑戦できます。


Love you Ibanez
ドイツ在住のギタリスト、マニュエル・ガードナー・フェルナンデス氏。自らのバンド「Unprocessed」では、この演奏スタイルのままボーカルも務めます。動画のQX54はおそらくプロトタイプ。

演奏性と音響性能を兼ね備えたボディ

Qシリーズ:ボディ Ibanez「Q52」
バックコンターがかなり広く取られており、高く構えた時に特に良好。

ボディ材のナトーは、ふくよかな中低音域特性に優れるマホガニー系の音響特性を持っています。さまざまな演奏スタイルに合わせるべくいたるところにカットが施されていますが、ブリッジ下部の木部がしっかり確保されているなど、音響性能も考慮した設計になっています。軽量コンパクトでありながら、ふくよかで温かみのあるウッディなトーンがしっかり確保されています。

Qシリーズ:ボディ底 低音弦側は表も裏もがっつりカットされおり、驚くほどのフィット感が得られます。ボディ加工には重量バランスも考慮されており、ヘッドが無いぶんボディ側が重すぎるということもありません。

新開発の専用ピックアップ

ハムバッカー「Q58」/シングルコイル「R1」 専用ハムバッカー「Q58」と専用シングルコイル「R1」の組み合わせ。

「Qシリーズ」用に新しく開発されたハムバッカー「Q58」とシングルコイル「R1」はいすれも、エフェクターを駆使した柔軟なサウンドメイクのため全帯域がバランスよく聴こえるように、またノイズが抑えられるように設計されています。

6弦用と7弦用のあるハムバッカー「Q58」は、歪ませても明瞭さを失わない力強い低域、まろやかさのある澄んだ高域を持っています。いっぽうシングルコイル「R1」は、濁りのない引き締まった低域、明るくクリアでも耳に痛くない高域を持っています。

シンプルな操作系で、幅広いサウンドバリエーションが得られる

Qシリーズ:コントロール 5WAYセレクタースイッチとAlterスイッチの組み合わせ。名付けて「dyna-MIX」スイッチングシステム。

各ピックアップ配列に共通して、「ダイナミックス(dyna-MIX)」スイッチングシステムが搭載されます。これはピックアップを切り替える5WAYセレクタースイッチと、サウンドバリエーションを倍化させるオルター(Alter)スイッチの組み合わせです。

各配列で得られるオーソドックスなサウンドに加え、一般的なコイルタップはもちろん、低域が強調されたパワータップ、シングルコイルによる疑似ハムバッカーなど、一人で何役もこなせるようなさまざまな音色が得られます。

Ibanez「Qシリーズ」のラインナップ

では、「Q」シリーズのラインナップを見ていきましょう。カラーバリエーションこそ控え目ですが、ピックアップ配列はHH、SSH、SSSと3種類しっかり確保されています。

HH配列「Q52」「QX52」

Ibanez Q52, QX52 上:Ibanez「Q52」、下:Ibanez「QX52」

HH配列は、鮮やかなブルーのボディカラーとノーマルフレットの「Q52」、シックなブラックでスラントフレットの「QX52」の2モデルあります。ハムバッカー・ピックアップは、リア/フロントともにボディに直接マウントされています。

Q52, QX52:ピックアップ配列

HH配列のサウンドバリエーションはコイルタップとパワータップをからめた10種類で、オルタースイッチOFFで通常のハムバッカーがメイン、同ONでパワータップがメインとなる構成です。いずれの状態でも、5WAYセレクタースイッチがネック/ミドル/ブリッジの時に太い音が得られ、その間のポジションでは細い音が得られるようになっています。

SSH配列「Q54」「QX54QM」

Ibanez Q54, QX54QM 上:Ibanez「Q54(Sea Foam Green Matte)」、中:Ibanez「Q54(Black Flat)」、下:Ibanez「QX54QM」

SSH配列モデルは、ノーマルフレットで2色を展開する「Q54」、スラントフレットの「QX54」の3タイプがあります。シングルコイルはピックガードマウントで、ハムバッカーはボディに直接マウントされます。

Q54, QX54QM:ピックアップ配列

オルタースイッチOFFで通常のSSH配列機として機能し、同ONでフロントとセンターを直列(series)につないだ疑似ハムバッカーが利用できます。オルタースイッチの設定に関わらず、ブリッジポジションではハムバッカーです。


Ibanez Q54 Abigail Zachko Demo &Interview
この動画で使われているギターは、ピックアップカバーの仕様からプロトタイプと見られます。若干18歳というAbigail Zachko女史はストラップを高音弦側のピンに留めていますが、こうすることで高いポジションで構えてもストラップを長く使うことができ、肩に掛けるのがちょっとラクになります。

HH配列7弦「QX527PB」

Ibanez QX527PB

「QX527PB」は、今のところQシリーズ唯一の7弦仕様です。HH配列、スラントフレットで、ボディトップはボッコボコのポプラバール材がジェントな雰囲気を演出します。サウンドバリエーションは、上記「Q52」と同様です。

SSS配列「ICHI10」

Ibaenz ICHI10

SSS配列機「ICHI10」は、達人ギタリストIchika氏のシグネイチャーモデルです。全く新しいギターでありながら、やや焼けた感じのヴィンテージホワイトカラーとプラスチックのハットノブが、どこか懐かしい雰囲気も演出しています。

オルタースイッチOFFで通常のSSS配列として使用でき、同ONでフロント+センター、リア+センターの二つの疑似ハムバッカーが使用できます。またオルタースイッチのON/OFFに関わらず、フロント+センター及びリア+センターのハーフトーンが得られます。


Dios – 裏切りについて (Dios – “Betrayal” Official Music Video)
Ichika氏は、驚くほどテクニカルでありながらソフトで透明感のあるプレイで急速に支持を集めました。氏はこのギターについて、軽くて弾きやすく、気軽に手に取れる身近な存在であり、これ一本で闘えるサウンドバリエーションがある(要約)、とコメントしています。


以上、アイバニーズ初のヘッドレスギター「Qシリーズ」をチェックしていきました。守備範囲の広いモダンなピックアップ、ローステッドメイプル製ネックや金色のフレット、スラントフレットといったスペックが目を引きますが、随所に「高く構えること」をかなり意識した設計になっているのが面白いところです。

また、売価で10万円近辺からという高すぎない価格設定もポイントです。手に取りやすく、現場でしっかり使えるギターです。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。