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《ジャンルを超越したギター》Ibanez 「AZ」シリーズ特集

アイバニーズ「AZ」のラインナップ

AZは各シリーズで

  • HH配列&24フレット
  • SSH配列&22フレット

の2タイプあり、Prestige(日本製)、シグネイチャーモデル(日本製)、Premium(外国製)からリリースされています。

Prestige(日本製)

日本製の高級ライン「Prestige」からは、4タイプのAZがリリースされています。Prestige版は、

  • ネック&指板材に「S-TECH WOOD」を使用
  • 滑りが良く、音質が良好なオイル漬け牛骨ナット
  • ボディ材はアルダーをメインに、トップ材を使用するものもあり
  • ブリッジはGOTOH「T1802」で、チタンサドルを採用
  • 「Prestige」のロゴはヘッド裏に記載

という仕様で、Premium(外国製)より上位のグレードになります。後述するシグネイチャーモデルと合わせて、日本製モデルはブラウン系とブルー系をテーマカラーとしているようです。

HH配列&24フレット「AZ2402」「AZ2402Q」

Ibanez AZ2402 AZ2402:ブルーメタリックとサンバーストの2色

Ibanez AZ2402Q AZ2402Q:サンバーストカラー、キルテッドメイプルトップ

HH配列&24フレットでは、アルダーボディのレギュラーモデル、トップにキルテッドメイプルをあしらったカスタムモデルの2タイプがリリースされています。

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SSH配列&22フレット「AZ2204」「AZ2204F」

Ibanez AZ2204 AZ2204:ブルーメタリック

Ibanez AZ2204F AZ2204F:トランスパレント・ブルー、フレイムメイプルトップ

SSH配列&22フレットモデルでは、カスタムモデルにフレイムメイプルを使用、青を基調としたカラーリングを特徴としています。

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シグネイチャーモデル(日本製)

AZを基にしたシグネイチャーモデルは

  • MM1(マーティン・ミラー):HH配列&24フレット
  • TQM1(トム・クウェイル):SSH配列&22フレット

の2機種です。名を冠するマーティン・ミラー、トム・クウェイル両氏ともAZ開発にかかわっているだけに、ほとんどの仕様をPrestige版から受け継いでいます。


Martin Miller & Tom Quayle – Mana (Janek Gwizdala) – Live in Studio
マーティン・ミラー氏とトム・クウェイル氏によるスタジオライブ。スウィートなジャズトーン、チャリチャリのカッティングサウンド、太いドライブサウンドと、AZはプレイヤーのさまざまな無茶振りに平気で応じています。

MM1(Martin Miller)

Ibanez MM1

マーティン・ミラー氏のシグネイチャーモデル「MM1」はAZで唯一、アフリカンマホガニーバック&フレイムメイプルトップというボディ構造が採用されています。「トランスパレント・アクアブルー」というカラーリングは「AZ2204」と同じですが、ピックガードがないこと、コントロールノブが金属製のものに交換されていることによって、違った雰囲気に感じられます。

TQM1(Tom Quale)

Ibanez TQM1

トム・クウェイルのシグネチュアモデル「TQM1」は、トップにモンキーポッドをあしらったものですが、模様の走り方に個体差が大きく、一本ずつさまざまな顔つきを持っています。「木目の面白さを活かしたい」というトム氏の意向によってピックガードは使用していませんが、それによりピックアップのマウント法がボディに直付けとなり、他のSSHモデルと若干異なったサウンドになります。ちなみにモンキーポッドは、日立グループのCMソング「この木なんの木」のイメージとなっている、あの大きな木です。

Premium(外国製)

外国製の「Premium」からは、3タイプのAZがリリースされています。Premium版は、

  • ネック&指板材にローステッドメイプルを使用
  • 「人工象牙」と言われるタスク製ナット
  • ボディ材はアメリカンバスウッドとトップ材のコンビネーション
  • ブリッジはGOTOH「T1502」で、鉄製サドルを採用
  • 「Premium」のロゴはヘッド裏に記載

という仕様になっています。特に「フレイムメイプルトップ&バスウッドバック」という仕様は昨今のハイエンドモデルで支持を集めていますから、Prestigeよりむしろこちらのほうに魅力を感じる、というギタリストも多いと予想されます。

HH配列&24フレット「AZ242BC」「AZ242F」

Ibanez AZ242BC AZ242BC:ボコーテトップ、暗めのサンバースト

Ibanez AZ242F AZ242F:フレイムメイプルトップ、褐色系

PremiumのHHモデルでは、ボコーテの落ち着いた木目を活かしたシックな雰囲気のものと、フレイムメイプルを鮮やかに彩るグラデーションが目を引くものがリリースされています。

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SSH配列&22フレット「AZ224F」

Ibanez AZ224F AZ224F:フレイムメイプルトップ、青系とサンバーストの2色

SSHモデルはフレイムメイプルトップのみで、落ち着いたサンバーストとグラデーションが鮮やかなものがリリースされています。

AZ224Fを…
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補足:「S-TECH WOOD」について

「S-TECH WOOD(エステックウッド)」は、宮城県で生まれた特許技術「窒素加熱処理」で加工された熱処理木材です。耐朽性・耐水性・保温・形状安定性などに優れ、天然の埋木(うもれぎ)のような気品と風格を帯びています。

  • 1)含水率を10%程度にまで下げた木材を
  • 2)装置に収め、中の空気を窒素に置き換え
  • 3)徐々に加熱&加圧し、所定の温度(180~220℃程度)を数時間キープし
  • 4)冷却する

というプロセスで生産されるS-TECH WOODにはさまざまな特徴がありますが、特に形状が安定し、湿気を吸いにくいという特徴はギターの原料としては理想的です。まだ新しい技術であるということもあり、ギターに使用されるのはアイバニーズAZが世界初です。

「アイバニーズAZ」について、開発者にメールインタビュー!

AZについてアイバニーズさんにメールインタビューを依頼したところ、このAZを開発する上で「主幹的役割を果たした」という星野楽器株式会社、Ibanez DINISION、マーチャンダイジング第一部、企画開発室の金原聖貴(かねはら・きよたか)さんからご回答をいただきました!他では見られない深い内容になっているので、ぜひ読んでみてください!

新しいネック材「S-TECH WOOD」について

──AZでは全モデルでローステッドメイプル・ワンピースネックが採用されています。中でもPrestige版とシグネイチャーモデルでギターとしては世界初の「S-TECH WOOD」が使われていますが、通常のローステッド・メイプルよりこれを採用することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

金原聖貴さん(以下、敬称略):窒素充填して無酸素の気体を高温状態にして木材を焼くというところが他のローステッド処理との大きな違いである「エステック加工」そのものが、木材の剛性や曲げ強度の向上、寸法安定性において利点がある特許技術です。それだけ取っても、ギターネック材の加工方法として優れていることが分かります。

ギターに置き換えると反りに対する耐久性がメリットであると言えますし、何よりもこのエステック処理をギターに用いたのは、アイバニーズのAZが初であるというところもポイントであると考えています。楽器に使用する材として考えられるメリットは、飽くまで聴感上ということではありますが「腰高なサウンドと豊かなサスティーン」であると言えます。ネックの厚みがあるので、低音成分もタイトに出やすくなります。

音響面とは少し異なりますが、エステック処理に限らずローストされた木材は質量が軽くなりますので、ヘッド落ちは解消される傾向です。

今回AZをリリースするにあたってシグネチャ-・アーティストとなったTom QuayleやMartin Millerなどの様に、ギターバックと機材とスーツケースだけを持って世界中をクリニックやセッション、そしてライブに飛び回るギタープレイヤーにとって、ギターのメンテナンス性の高さというのは本当に大きなポイントです。

ボディの工夫について

──AZのボディバック面は、かなり思い切った加工が施されています。ジョイント部は一段掘り下げられ、バックコンターも深いように見えますが、質量や音響性能が不足しないように計算されている、というミュージシャンのコメントもお見受けしました。
ここまでグラマラスな加工をしながらもしっかり役割を果たすボディの設計について、どのような工夫が凝らされているのでしょうか。

金原「AZ」のボディの厚みは「RG」と同様です。このAZのボディは、如何に演奏者の身体にギターのボディをフィットさせられるか、如何に抱え込みやすい形状かというところに重点を置いてデザインされたボディ形状です。
アイバニーズには「AZ」よりさらに極限までボディを薄くした「Sシリーズ」がありますが、「S」のボディデザインはモダンとトラッドの両立を目指す「AZ」においては些(いささ)かモダンよりなデザインでありスペックです。それでも、この「RG」や「S」というモデルやそこに込められた思想は、「AZ」のボディデザインを進めていく中で最も参考としましたし、そういう事実を取ってもアイバニーズがこれまで培ってきた思想が随所に活かされています。

ボディデザインに関してもうひとつ、この手のギターのボディ・デザインは、外観上でそうそう大きな冒険ができません。60年以上も前にソリッドボディギターの基本形が出来上がっていますし、その後も様々なブランドから少しづつ特徴を持たせた数多くの形状が開発されてきていますので、今ぱっと見の外観形状に個性を持たせたデザインを開発するというのは実はとても難しいんです。かと言って、新しい商品を企画していく段階で、ただ単に「RG」のシャープな形状に丸みを持たせたという単純なプロセスはあり得ません。

どうやってオリジナリティを持たせるか、というのは要素要素の総合点によって成し得ることですが、実はAZのデザインを考えていたときにヒントを与えてくれたのはセットネックジョイントのギターでした。AZでは「セットネックのギター並みにネックとボディの一体化が図れるボディ形状をボルトオン構造で実現させる」、ということも追求してきました。これは基礎研究の段階でとあるアーティストから「セットネックのギターは、ボディバランスは好き嫌いあるけど、弾きやすい」という何気無い言葉がきっかけになっているのですが、ボディのみならず、弦間ピッチや指板Rを決めていく際にも大きなヒントを与えてくれました。

電気系(5Wayセレクタスイッチ)について

──AZのサウンドバリエーションは、ジャズにもメタルにもロックにもポップスにも順応できる柔軟性があると思います。内部はかなり複雑な配線になっていると思うのですが、ここで採用されている5Wayセレクタスイッチはどのようなものでしょうか。また、将来的に故障などで交換が必要になった場合、どうすればいいでしょうか。

金原AZ専用に設計され、製造されているオリジナルのセレクター・スイッチです。分解されてしまえばその内部構造はすぐに見られますし、少し電気に詳しい方であれば何をやっているかはすぐに分かっていただける様なものです。ただ、従来のセレクター・スイッチを用いてこのAZの配線をするにはものすごく手間が掛かります。

アーティストに試作段階で支給したギターの配線は実際に私が施したのですが、配線作業はそれこそ1日に数本をこなすのが限度でした。量産工場で同じことをさせるには生産性が低すぎて、とても現実的ではありません。新規スイッチをオリジナルで作る事は、新規設計の難しさはもちろん、数量のコミットメントが必要であったりと実現が難しい要素の一つなのですが、この配線とそこから生まれるサウンドはとても面白く、AZの大きなフィーチャーになるものだと確信していましたので、量産モデルでの実現を目指して独自のスイッチ を設計開発、量産まで漕ぎ着けました。スイッチ単体もパーツメーカーから出荷される際に厳しく検査されていますが、もし故障が起きた際は楽器店さん経由でご依頼頂ければ星野楽器販売にて修理と交換をさせていただきます

電気系(パワータップ)について

──AZのHHモデルとSRベースで使える「パワー・タップ」は、Ibanezでは初採用と存じます。ハムバッカーの片方にキャパシターをつなぐものかと予想しましたが、この「パワータップ」とは実際にはどのような原理のものでしょうか。

金原:仰る通りのものですし、これも電気に少し詳しい方が見られれば何をやっているかすぐに分かっていただけるものと思いますが、これはメーカー側のノウハウのひとつですので、秘密とさせてください。

ミーハーな質問

──マーティン・ミラー氏が使用しているMM1やトム・クウェイル氏が使用しているTQM1は、受け渡し時点では製品版と同じでしょうか。また、ほかのアーティストに対してはいかがでしょうか。

金原:時期的に言えば、マーティン・ミラーとトム・クウェイルのシグネチャー・ギターのプロトタイプとして彼らに支給したギターは、量産されるAZで使用されるパーツや材料の手配を全て終えた段階で製作されたものですので、製品版と何ら変わりはありません。それ以前にアーティストに対して支給したギターは若干事情が異なります。前述のスイッチやボディ形状について最終仕様が固まる一歩手前のギターを支給しており、スイッチ以外でその違いに気付くことができるのは世界でも設計に関わった数少ない人間のみ、というくらいの差しかない程度のものです。そしてそれらは量産テストも兼ねていたので、アイバニーズのカスタムショップで作られたものではなく、量産ラインで作られたギターであるということは強調させていただきたいポイントです。

どうでもいい話

──AZのトレモロシステムはGOTOHの「510」をベースにしていますね。この「510」は「ゴ(5)トー(10)」という社名を忍ばせた、とんちの効いたモデル名だと思っています。そんなことからPrestige版に搭載されているトレモロシステム「T1802」の名称は、やはり「アイ(1)バ(8)ニ(2)-ズ」が由来だと思うのですが、如何でしょうか。

金原:お答えしにくい質問ですね(笑)「アイ(1)バ(8)ニ(2)-ズ」というのは目から鱗でした。そういう意味にしておけばよかったです(笑)

パーツ品番は、一度商品をリリースすると市場では何かしらの意味を持つ、意味を知りたがられるということも自覚しながら、一方でギター・メーカーとしてAZの企画をきっかけにして製品管理業務の効率化を図るために、ノンロッキング・タイプのトレモロを使ったギターやハードウェアの設計の見直しを同時進行で進めてきました。ちなみに一桁目の「2」は2点支持トレモロの意味です。

「8」にももちろん意味があり、世界で3〜4人しかその理由を知らないのですが、これも秘密とさせてください。

例えばバンドの名前の由来だったり好きな女の子のことは全てを知るより、少しだけミステリアスな部分がある方が魅力的に見えたりしませんか?(笑)

星野楽器株式会社
Ibanez DINISION
マーチャンダイジング第一部 企画開発室
金原 聖貴


以上、深いところからどうでもいいことまで、金原さんにしっかり語っていただきました!アイバニーズAZは、開発に数年をかけて細かいパーツまで新規開発に踏み込んだ、気合の入ったギターです。ショップでぜひ手に取ってみてください。