ギブソン・レスポール・トラディショナル徹底分析!

[記事公開日]2017/12/30 [最終更新日]2021/6/1
[編集者]神崎聡

年代別レスポール・トラディショナルの歩み

2013年モデル

この年のレスポール・トラディショナルはボディの重量調整が廃止され、完全ソリッドなボディになります。50年代の寸法を再現したというネックグリップは、1フレット地点で0.9インチという厚みがあり、現代のものよりも太めでした。

2014年モデル

Gibson Les Paul Traditional 2014 Les Paul Traditional 2014

Les Paul Traditional 120 Flame Top Les Paul Traditional 120 Flame Top
トップのグレードが上から順に、AA/AAA/AAA+となっている

この年はギブソン120周年ということで、2014年モデルには全機種で12フレットにそれを記念するインレイが埋め込まれています。この年に生産された「レスポール・トラディショナル120フレイムトップ」は、ボディトップのフレイムメイプルに3種類のグレードがあり、価格差が付けられていました。この年のレスポール・トラディショナルに限っては、レスポール・スタンダードよりも上位のメイプルを使用したものまでありました。

ピックアップは「’59トリビュート」という1959年のハムバッカーを再現したものに変更され、以前よりトレブルが立つようになりました。ネックは一気にスリムになり、現代の「スリムテーパー(細身。1フレット地点で0.800インチ厚)」グリップとほぼ同じになっています。

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2015年モデル

Gibson Les Paul Traditional 2015

この年はレス・ポール氏生誕100周年ということで、全機種のヘッドにそれを記念する文字が記されました。古き良きレスポールを体現するはずのレスポール・トラディショナルでしたが、この年は全機種で自動チューニングシステム「G-Force」とブラス製の「ゼロフレット・ナット」、着脱自在のピックガードが採用され、「トラディショナル」の名がほぼ名前だけになってしまいました(変わり種として、トップもマホガニーの「マホガニートップ」も生産されています)。

重量調整を施さない重量感のあるボディと’59トリビュートピックアップはそのまま、ネックは再び太さを取り戻し、「ラウンデッドXL」と呼ばれる1フレット地点で0.9インチの厚みになりました。

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2016年モデル

Gibson Les Paul Traditional 2016 T Les Paul Traditional 2016 T

Gibson Les Paul Traditional 2016 HP Les Paul Traditional 2016 HP

この年はギブソンの多くのモデルで

  • T(トラディショナル):伝統的なシンプル設計
  • HP(ハイ・パフォーマンス):自動チューニングシステムなど最新装備

という2タイプがリリースされました。レスポール・トラディショナルもこの例にもれず、HPとTの2タイプがリリースされています。HPでは自動チューニングシステム「G-Force」、「ゼロフレット・ナット」が採用されているほか、ハイポジションの演奏に有利なヒールカットまで施されていますが、レスポール・スタンダードに見られるようなコイルタップは装備されていません。

両機とも2008年モデルで採用されていた「9ホール」が施され、若干軽量化されています。ネックグリップは「トラディショナル」と呼ばれるものが採用され、1フレット地点で0.828インチ厚という、スリムテーパーほどではないにせよスリム化が施されました。地味なところではトグルスイッチのプラスチックプレートが廃止され、スッキリとしたルックスになっています。

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2017年モデル

Gibson Les Paul Traditional 2017 T Les Paul Traditional 2017 T

Gibson Les Paul Traditional 2017 HP Les Paul Traditional 2017 HP

この年は2016年同様にHPとTの2タイプでラインナップを展開していますが、再び重量調整が廃止され、完全にソリッドなボディとなりました。ネックは「スタンダード」と呼ばれるシェイプとなり、1フレット地点で0.818インチ厚とスリムテーパーに迫る厚みになっています。Tではナットの素材にナイロンが選択されています。意外に思われるかもしれませんが、1958年~1960年に製造されたいわゆる「バースト」では、ナイロン製のナットが採用されていたのです。
ピックアップは「バーストバッカーType1/Type2」に変更され、翌年2018年モデルに引き継がれます。

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以上、レスポール・トラディショナルに注目していきました。このギターは現代のモデルにあって、旧式の設計をしっかりと受け継いでいます。確かに毎年モデルチェンジされますが、年々進化していくというより、年ごとにさまざまなヴィンテージレスポールを再現しているように見えます。ギブソン社はレスポール・トラディショナルに対して「何年のモデルに近い」というようなコメントは出していませんが、やはり1958年~1960年のレスポール・スタンダードを意識していると見て、まず間違いありません。ネックの太さにこだわっているあたり、その中でも1958年と1959年の二つを意識していると考えられます。そういう意味ではフェンダー社が「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズにて、現代の楽器として歴史上の人気モデルを再現しているのに近い考え方だと思われます。

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