《トラッドの誇り》Navigatorのギターについて

[記事公開日]2016/12/13 [最終更新日]2024/8/22
[編集者]神崎聡

ナビゲーターのギターラインナップ

トラディショナルな外観をもつナビゲーターのギターですが、コピーモデルにとどまることない、深くこだわった作りが魅力です。量産機とは一味もふた味も違う仕上がりは、その原型となっているギブソンやフェンダーのクオリティを越えていると言われることまであります。それでは、シンプルかつ高品位で知られるナビゲーターのラインナップ、チェックしていきましょう。

ギブソンスタイルのギター

ギブソン系のギターはマホガニーに対する深いこだわりがあり、レスポールタイプ、SGタイプともにボディにもネックにも、最も価値の高いとされているホンジュラスマホガニーが使用されます(FVとEXはマホガニー)。弾き心地はベースとなっているギターを踏まえたものとなっていますが、鳴りを重視しているためネックは太めになっています。指板Rは305mm(ほぼ12インチ)と共通していますが、弦長とナット幅にニュアンス程度の違いが設けられています。

モデル名 弦長 ナット幅
LP-STD、LP-STD/P 624mm(ほぼ24.5インチ) 43mm
LP-STM 624mm 42mm
SG-LTD 624mm 43mm
FV-LTD 628mm(ほぼ24.75インチ) 40mm
EX-LTD 628mm 43mm

ギブソンスタイルのネック寸法

LPとSGはギブソンよりも約1%、弦長が短くなっています。またFV-LTDはナット幅40mmと飛びぬけて細い「ナローネック」となっており、手のサイズに自信がないプレイヤーにも弾きやすくなっています。

これらのモデルに共通し、ブリッジ周りは「アルミテールピース」で統一されています。テールピースは弦に直接触れるパーツなのでサウンドへの影響が大変大きいと考えられており、鉄(スチール)やブラス(真鍮)また木製などさまざまなものが出回っています。アルミテールピースはヴィンテージギターにおける標準的な仕様で、軽量であることも手伝って煌びやかな高域を得ることができます。

レスポールタイプN-LP-STD、N-LP-STD/P、N-LP-CTM

Navgator:N-LPシリーズ 上から:N-LP-STD、N-LP-STD/P、N-LP-CTM

高級なレスポールはキルトやフレイムなど「ソフトメイプル」をトップにあしらって豪華な杢(もく)を誇るものが多いですが、ナビゲーターのレスポールタイプは、ボディ構造が3機種共通して「ハードメイプルトップ、ホンジュラスマホガニーバック」となっているのが特徴です。ハードメイプルは1958年~1960年のいわゆる「オリジナル・レスポール」に使われていたもので、派手な杢は期待できないですが、トレブルに主張のあるくっきりとした音になります。

レスポール・スタンダードを模した「N-LP-STD」は木目が確認できるシースルーカラーですが、美しい色味を実現させるためトップのメイプルを一旦脱色して着色し直すという手の込んだ処理まで施しています。

「N-LP-STD/P」にマウントされているP-90タイプのピックアップ「SP90-1」は、1950年代当時の製法で作られるヴィンテージタイプで、フェンダー系のシングルコイルよりも中域が強調された太く甘いサウンドが持ち味です。

レスポール・カスタムを模した「N-LP-CTM」の指板材は、オリジナル同様にエボニーが採用されています。現在では良質なエボニーが入手しにくくなっており、本家ギブソンのレスポール・カスタムですら一時期エボニーの代わりに「リッチライト」という人工素材を使っていたほどです。

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SGタイプ「N-SG-LTD」

Navigator N-SG-LTD

ハイポジションが弾きやすく、そして太く甘い、そして軽やかな暖かいサウンドを持ち味とするSGは、ロックのアーティストに特に愛用されることから「ロックの象徴」と云われることもあります。ナビゲーターのSGタイプは、ホンジュラスマホガニー単板をボディ材に採用、またホンジュラスマホガニー材を使用したネックは音響特性を向上させるため太めに設計し、軽量ボディにありがちな低音不足を解消した迫力あるサウンドを実現させています。

「Alnico II Pro」の異名をとるピックアップ「APH-1」は、ヴィンテージ系サウンド御用達のアルニコIIマグネットを絶妙なコイルの組み合わせによって、甘く暖かみのある、伸びのあるサウンドを持っています。

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変形タイプ「N-FV-LTD」&「N-EX-LTD」

Navigator N-FV-LTD N-FV-LTD

N-EX-LTD(Vintage White)

フライングVタイプ「N-FV-LTD」、エクスプローラータイプ「N-EX-LTD」ともに、

  • マホガニー単板ボディ&ネック、ローズウッド指板
  • フロントに「’59(SH-1)」、リアに「JB(SH-4)」を採用

という組み合わせで、マホガニー特有の音の甘さと太さにきらびやかさが加わった、ジャンルを選ばないオールマイティーなサウンドを持っています。

ナット幅40mmという細いネックを特徴とするN-FV-LTDは速いフレーズを多用するプレイヤーにうってつけですが、その握りやすさから手のサイズに自信がないという人のためのグレードの高い楽器としても魅力があります。N-EX-LTDはラインナップ中もっともボディが大きく、そのぶんサスティンが豊かに得られます。

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フェンダースタイルのギター

現在のナビゲーターにおけるフェンダー系のラインナップは、
ストラトキャスター・タイプ:N-STシリーズ
テレキャスター・タイプ:N-TEシリーズ
の二つで、

  • スワンプアッシュ(AS)かアルダー(AL)のボディ材
  • メイプル(M)かホンジュラスローズウッド(R)の指板材

の組み合わせで型番が決められます。型番はウッドマテリアルに依存していますが、楽器本体は50年代モデルおよび60年代モデルの特徴をそれぞれ持っています。

全モデルやや太めのハードメイプルネック、弦長648mm(ほぼ25.5インチ)、ナット幅42mm、21フレット仕様というところが共通しており、伝統を重んじたスタイルとなっています。しかし指板Rはやや平滑な240Rとなっており、指板サイドまでていねいに処理されていることも相まって現代的なプレイスタイルにフィットするよう作られています。

ストラトキャスタータイプN-ST-ALR、N-ST-ALM、N-ST-ASM

Navigator N-ST-ALR N-ST-ALR(3 Tone Sunburst、Vintage White、Surf Green)

ナビゲーターのストラトタイプはボディ材と指板材の組み合わせに3タイプありますが、楽器的な方向性としては

  • N-ST-ALR:60年代風
  • N-ST-ALM、N-ST-ASM:50年代風

の2タイプに大別されます。トレモロシステムに仕込まれるイナーシャブロックは伝統的な鉄製で、重量があり豊かなサスティンに貢献しています。

60年代の特徴を帯びた「N-ST-ALR」は11本のネジで固定される3層のピックガードとエイジド感を帯びたプラスチックパーツが外観上の特徴で、やや太めのUシェイプネックが採用されています。セイモア・ダンカン「ANTIQUITY TT Surfer」ピックアップを3基搭載し、鋭く立ち上がるコシのある音を持っています。

50年代の特徴を帯びた「N-ST-ALM」及び「N-ST-ASM」は、8本のネジで固定される単層ピックガードと純白のプラスチックパーツが外観上の特徴で、さらに「ASM」はストリングガイドを丸型にしており、最も古いスタイルのストラトキャスターの雰囲気を再現しています。いずれもこの年代の特徴であるVシェイプグリップのネックを採用しており、セイモア・ダンカン「ANTIQUITY Texas Hot」ピックアップによる張りのある太いサウンドを持っています。

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テレキャスタータイプN-TE-ASR、N-TE-ASM、N-TE-CTM

Navigator N-TE-CTM N-TE-CTM

テレキャスタータイプの3機種にはボディ材や指板材以外に細かな違いが設けられており、サウンド面またニュアンスに個性が付けられています。テレキャスタータイプは構造がシンプルであることもあって、ナビゲーターのラインナップの中でも最も選りすぐったボディ材がセレクトされます。

「材を選ぶ手間が本物のヴィンテージ・トーンへのこだわりであり、丹念に製品化し、皆さんの手元に届けることがNavigatorの永遠の使命であると考えています。(公式サイトより引用)」

ボディ/指板 ピックアップ グリップ サドル
N-TE-ASR アッシュ/ローズ ANTIQUITY “TE” V ブラス
N-TE-ASM アッシュ/メイプル ANTIQUITY II “Twang” U スチール
(スパイラル)
N-TE-CTM アルダー/ローズ ANTIQUITY “TE” U スチール
(スパイラル)

テレキャスタータイプの仕様の違い

採用されているピックアップ「ANTIQUITY」シリーズはヴィンテージの再現にこだわった高品位な手巻きピックアップで、当時の製法や構造を追及した結果、ヴィンテージのサウンドを可能な限り再現することに成功しています。

長年の仕様に耐え抜いた風貌で50年代モデルを意識した「ANTIQUITY TE」は、現代では常識となっている含浸処理をあえて施さないところまでこの時代の製法にこだわった、ヴィンテージスタイルを追求したピックアップです。そのためハウリングに弱いところまで再現されており、プレイヤーを50年代にタイムスリップさせてしまいます。

60年代モデルを意識した「ANTIQUITY II Twang」は、セイモア・ダンカン氏が愛用する60年代のテレキャスターのためにワインディングしたピックアップを再現しています。これには含浸処理が施されており、大音量での演奏に耐えられるようになっています。

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以上、トラディショナルであることを追求した高品位なギターをリリースしている、ナビゲーターをチェックしました。フェンダーやギブソンのカスタムショップと異なり年代の完全再現ではなく、トラッドな雰囲気を大事にしながら楽器としての品質と音を最重要視していることがわかりますね。

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