エレキギターの総合情報サイト
引き続き、岡田さんの案内で工場を見学させていただきました。
──まさに「工場」の名にふさわしい巨大な施設群ですね!
Dyna(岡田) ボディの木工専用の加工や塗装、組み込みなど、工程ごとに施設を分けています。ここではボディのNCが稼働していますね。NCでかなり追い込んだところまで切削し、仕上げに回します。
ボディを抜くためのNCルーター。4台同時に作ることができる
自動機ばかりでなく、手で操作する機械もあります。バックコンターやエルボーカットの加工では、刃を固定した軸を回転させ、それに職人がボディを押し付けます。別の棟には同じ要領で指板Rを削る機械があり、Rの付いた刃が回転軸に固定されています。こうした機械は使用中に刃が取れてしまうと一大事ですから、各部のチェックは慎重に行なっています。
ネックの木工もボディと同様、仕上げの一歩手前まではNCでまとめて施工します。他社ではなかなか見られない、フレットの溝を切るための「のこ刃」のNCもあります。これを導入する以前は25.5インチや24.75インチなどスケールの間隔がある程度固定されていたんですが、現在ではたとえば24.8インチとか、任意のスケールが実現できるようになりました。ファンフレットも余裕で施工できます。
これはトラスロッドを挿入した溝にウォルナットの埋木を打ち込んで塞いでいるところですが、接着剤にはニカワを使用して隙間なく埋めています。ここ以外の貼付けには専用のタイトボンドが使われます。
ネックの工程はひとつやっては休み、またひとつというようにインターバルを取っています。
インレイを埋め込む穴も機械で精密に空けています。
──穴にインレイをはめ込む場合、内部に空洞ができることはあるんですか?
Dyna(岡田) 接着剤の層が薄くできますが、隙間はできませんよ。
コンターなど大きな面はベルトサンダーと使いますが、細かいところはこのようにエコノミーサンダーを使用したり手でヤスリがけをしたりします。ここの工程を経てから、木地研磨に回します。
工場内の工作機械にはここ4、5年の比較的新しいものもありますが、創業当時のものもあれば、平成になった直後の頃のものなどもあります。機械本体はそのままでも、これを制御するプログラムや扱うデータの内容が変化しています。いまだにフロッピーディスクを使用しているものもありますが、新しい機械ではUSBやメモリーカードが使われています。この分野ではフロッピーディスクもまだ新しい方で、木工の会社さんでは「テープ」を使用するものがいまだに現役だったりします。点字のような穴を空けた紙のテープを読み込むというものなのですが、これはさすがに私もまだ見たことがありません。
塗装ブース
──それぞれのセクションに空間的なゆとりがあって、作業がしやすそうですね。
これはPLEK(プレック:画像左の機械)です。フレットの計測もできるメカですが、量産の工場でそこまでやると計測だけで終わってしまいます。それならということで、弊社ではナットを切るのに絞って使用しています。
ネックを枠にはめていますが、この枠に治めた時点で弦が張ってあるのと同じ張力がかかっています。張力がかかっている状態のネックに対して、その個体ごとの個性も計測した上でベストな溝を刻むわけです。世界的なメーカーには、このPLEKがずらりと並んでいるところもあるそうですよ。PLEKには2種類ありまして、弊社にあるのは量産用のPLEKです。もう一つは弦を張ったまま計測できるという、リペアショップ向けのものです。
──セットアップ待ちの製品がずらり!まさに「壮観」というべき光景ですね!
Dyna(岡田) 国内では見かけないものもありますが、海外メーカーさんからのOEMも受注しています。
こちらが木材倉庫です。ボディを抜いた端材をまとめていますが、寒い時期にはこれをストーブで燃やして暖をとります。ですから暖冬だとなかなか減っていきません(笑)。
コラルウォルナットです。最近このような杢のあるウォルナットが流通しはじめました。
これはフレイムチークです。杢が出る原理は木の病気だとか色々いわれていますが、正確なところはまだハッキリとは分かっていません。今のところは偶発的に出るものだと思っています。
コレはくすのきのバール(根元付近)です。根元は瘤(こぶ)が出やすいんですが、そういうところを切るとこのような面白い模様になります。
これはローステッドメイプルです。こんがりローストした状態で入荷しています
これはカメルーンエボニーです。真っ黒ではないんですが、味が出ていますね。昔なら「白玉立っている」として捨てられていたものなんですが、現在では「表情があって面白い」と評価するお客さんも多くいます。
──奥にはネックの原型と思われる木材もありますね。この状態で仕入れるんでしょうか?
Dyna(岡田) 自社で全て加工することももちろんあるんですが、木材屋さんに寸法を伝えたりテンプレートをお渡ししたりして、切ってもらったものを仕入れることもあります。角度付きヘッドの両耳に貼付ける木材も、それ用に入荷しています。
──ここにあるものは、だいたいどれくらいの期間で消費するんですか?
この量で、だいたい1月以上は保ちますね。アルダーとアッシュで、ボディ材については2枚、また3枚を貼り合わせた状態でも入荷しています。今までは新しい木材のさわやかな香りが充満していた空間だったんですが、アメリカンバスウッドを大量に仕入れた時に違う臭いで満たされてしまいました(笑)。
工場の前の道路が小学校の通学路になっているんですが、通学する子たちが「ココはギター作っているんだ」みたいなことを話しているのを聞くことがあります。しかし弊社はOEM生産が主体であり、どこのブランドのものを製造しているかは契約上公表できません。だから地域のみなさんに「こういうギターを作っています」と宣伝するわけにもいかないんですが、こういうところにも自社ブランドの存在意義があると思います。
──工場を一巡するだけで、一時間近くかかりました。本当に大規模な工場ですね!しかもこの規模でありながら、一台一台にかなりの手間がかかっているということが分かりました。今日はありがとうございました。
以上、長野県茅野市、株式会社ダイナ楽器でした。「社員と業界のために」というブランドコンセプトにロマンを感じます。今後のブランド展開が楽しみですね。ダイナ楽器で作られたギターは、日本中の楽器店で触れることができます。量産なのにていねいに作られた、メイドイン・ジャパンの品質を感じることができますよ。
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