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SCHECTER AD-KM-6
「スーパーストラト」はストラトキャスターを出発点に、ハムバッカー搭載などサウンドバリエーション増強、音域の拡大、カッタウェイの拡大やヒールカットなどによる演奏性の向上、といった改良を加えた強化型のギターです。ハードロックやメタル、フュージョンなど高い演奏技術や多彩な音色が要求される現代的なジャンルで特に支持されるほか、スタジオミュージシャンの商売道具としても定番視されています。今回はスーパーストラトの基本的な特徴から、その魅力、選び方のポイントまで、また歴史や代表的なモデルについても触れていきます。
Van Halen – Jump (Official Music Video)
ロックが激しさを増していく中、「ストラトの演奏性でハムバッカーのパワーが欲しい」と考えたギタリストは多く、かのリッチー・ブラックモア氏も1974年のマンチェスター公演でHHストラトを使用していることが確認されています。とはいえエドワード・ヴァン・ヘイレン氏のトレードマーク「フランケンストラト」が最も影響力のあるスーパーストラトであることに間違いはありません。なお70年代は、ストラトにハムバッカーが乗っている時点でスーパーなストラトと目されていました。
Night Ranger – Don’t Tell Me You Love Me (Live)
1977年に発明され1982年に量産体制に入ったフロイドローズ・トレモロシステム(FRT)が普及し、スーパーストラトに採用されていきます。小さめボディ&スルーネック構造のJackson「Soloist(1984~)」、同じく小さめボディ&ボルトオンジョイント構造のJackson「Dinky(1986~)」は、ハードロックシーンに欠かせないギターとなりました。
またこの頃、James TylerやTom Anderson、Sadowsky やValley Artsら、スタジオミュージシャンに訴求するハイブランドも台頭しており、ロック界隈とスタジオ界隈の両面でスーパーストラトが発展していきます。
[Official MV] Unlucky Morpheus「世界輪廻 (Sekai-Rinne) 」
90年代以降、高性能なブリッジやペグの登場により、スーパーストラトにFRTが必須ではなくなっていきます。また2000年代以降、特にロックを意識したモデルでトレモロレス仕様機が支持を伸ばしていきます。
現在では各社からさまざまなスーパーストラトがリリースされる様相を呈していますが、大胆に分けると
と分類することができます。
Jackson Pro Dinky DK2Q
「ディンキー」がスーパーストラトの代名詞として使われることもありますが、厳密には間違いです。語源となったJackson「Dinky」最大の特徴は8分の7にダウンサイズしたボディにあり、「ボディが小さめのスーパーストラト」が正しいディンキーの定義です。この意味でフェンダーサイズのボディを使っている「フランケンストラト」はディンキーではありませんし、例えばIbanezの代表機種「RG」シリーズはむしろストラトキャスターより若干デカく、やはりディンキーと呼ばれるべきではありません。
Ratt – Round And Round (Official Video)
伝説的なハードロックバンド「RATT」のリードギター、ウォーレン・デマルティーニ氏は、甘いマスクと高度な演奏技術の両方を兼ね備えたギターヒーローです。氏の構えるディンキーが証明するように、ディンキーは「ウマいギタリストが持つもの」です。
ではここから、スーパーストラトの特徴を見ながら頼れる一本を選びぬくポイントを合わせて考えてみましょう。選び方については予算やネックグリップなど一般的な観点はさておき、スーパーストラトに特化したところを重点的に見ていきます。注目するところは、ボディサイズ、音域とハイポジション、サウンドバリエーション、ブリッジ仕様、以上の4点です。
同じ縮尺の画像で比較する、Jackson「Dinky」とFender「Stratocaster」
スーパーストラトのボディは多くの場合、軽量化と抱えやすさのため小型化します。小型化したボディは「ディンキーサイズ」と、またフェンダーと同程度のボディは「フルサイズ」と呼ばれます。どちらが弾きやすいかについては完全に好みの問題ですが、我々日本人よりも平均身長の高い欧米人から「小さい方が弾きやすい」という意見がでているあたり、ディンキーサイズは決して無視できません。
スーパーストラトの中には、美しいトップ材を覆ってまでピックガードを備えるモデルも多くあります。大きなピックガードによってストラトっぽさが演出できるほか、その厚みによる底上げ効果で、ボディからの弦高が下がります。ボディ表面に指を置いてピッキングするスタイルのプレイヤーにとっては、ストラトのピックガードの有無は演奏性を分かつ重要な要素です。
Ibanez「RG」の、オールアクセス・ネックジョイント。
ストラトキャスターの音域はヴィンテージ・スタイルで21フレット、現代的なモデルで22フレットです。一方、スーパーストラトでは22フレットと24フレットが普通です。またこの音域をフルに活用できるようカッタウェイを拡大したり、ジョイントヒールを丸く整えたりして、フィンガリングにかかるストレスを少しでも軽減させようとしています。高い音域でのプレイが多い人にとって、カッタウェイやヒール部の形状は非常に重要なポイントです。
スル―ネックのモデルなどではキレイサッパリ切除してしまうこともあるヒール部ですが、ネックからボディへの振動伝達に関わる、音響性能上たいへん重要なポイントでもあります。昔ながらの四角いヒールにプレートを当てるジョイント法を、いまだに採用するスーパーストラトがあるのもそのためです。しかし、逆にロックに特化したモデルなどでは、むしろヒールをバッサリとカットしたギターの音が良いという考えもあります。
22フレットと24フレットでは、フロントピックアップのサウンドに大きな違いが生まれます。22フレットでは多くの人が聞きなれている、丸くて太い昔ながらのフロントピックアップの音が出せる位置です。これに対して24フレットとなるとそこから2~3センチほどブリッジ寄りに設置されることになり、若干引き締まった音色になります。ストラト本来の音色とは異なりますが、現代的なロックやポップスではむしろこっちの方が使いやすいという考えもあります。
SCHECTER 「SD-2-24-AL」
ミニスイッチで両ハムをコイルタップできる。
スーパーストラトのピックアップ配列は、HSSやHH、HSHなどリアにハムバッカーを擁する配列が基本です。ところがストラトキャスターの持ち味であるハーフトーンを得ようと思ったら、リアはシングルコイルでなければなりません。そこで、幅広いジャンルをカバーしたければ、コイルタップなどの特殊配線が必須となるわけです。逆にロックに特化したスーパーストラトでは、特殊配線が非採用のシンプルな操作系のモデルも多く開発されています。
特に万能型のスーパーストラトは、サウンドバリエーションが多く確保されています。しかしプレイヤーは最低限ギターの操作系について把握していて好きな設定が1つか2つあればもうそれで十分で、豊かなサウンドバリエーションの全てを使い切る必要はありません。使わないサウンドバリエーションにもこの先使うかもしれない可能性が残されているわけですし、本当に使うことが無いのならいっそのこと配線を改造して、好きな音しか出ないようにしてしまえばいいのです。
James Tyler「CLASSIC」
アームアップのできないシンクロトレモロだが、フローティングセッティングすることで表現に幅ができる。
ストラトキャスターには本来、シンクロナイズド・トレモロユニットが備わっています。それもあってスーパーストラトにも、特別なこだわりがなければトレモロの装備が必須だと言って良いでしょう。シンクロナイズド・トレモロユニットとFRTが主に採用されますが、そのセッティングもチェックしておきたいポイントです。
ストラトキャスター同様のセッティングであれば、ボディトップに密着させる「ベタ付け」と、ちょっと浮かせる「フローティング」のどちらかを選択できます。ベタ付けはアームダウンしかできなくなりますが、チョーキングでブリッジが動揺しないようにでき、ユニゾンチョーキングやハーモナイズドチョーキングなど、チョーキング系のピッチが安定します。一方でストラトのフローティングでは、アームアップの幅はごくわずかですが、クリケット奏法や自然なビブラートができます。
FRTは主にフローティング前提でセットアップされ、ベタ付けはできません。また一部のWilkinsonトレモロなども同様です。ボディにザグリが施されるギターでは大胆なアームアップができるなど、アームの表現力を最大に発揮できます。その一方でブリッジ位置が弦張力に追随しますから、チョーキング技のピッチに注意を要するほか、演奏中に弦が切れたら一巻の終わりというリスクがあります。
ではおすすめのスーパーストラトを見ていきましょう。現代のスーパーストラトは、ロックに特化したモデルと現代的なサウンドの全てをカバーする万能型に大別できます。このロック特化型と万能型の2タイプを、海外ブランドと日本ブランドそれぞれに分けて見ていきます。なお、海外ブランドからも日本製のギターが多くリリースされています。また、万能型は現代のストラトキャスター・タイプとの区別がかなり曖昧になっているので、ストラトの記事もチェックしてみてください。
ジャクソン(Jackson)のディンキーこそが、このタイプの強化型ストラトの通称の起源となった、由緒正しいギターです。「JS32Q DKA」は高級ブランドJacksonのギターを価格圧縮させた最も手に入れやすいJSシリーズのモデルですが、コンコルドヘッド、シャークフィン・インレイといった外観上の特徴のほか、テクニカルなプレイに有利なジャンボフレット&コニカル・フィンガーボードの組み合わせ、弦張力を整えるスカーフ・ジョイントなど、Jacksonを象徴する設計で仕上がっています。
弦長、ナット幅 | 25.5″” (64.77 cm) 42.86 mm(.009-.042 Gauges) |
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ボディ材 | Poplar(Dinky Shape、Gloss Finish) |
ネック材&接続法 | Maple(Satin Finish) Bolt-On with Graphite Reinforcement and Scarf Joint |
指板&フレット数 | Amaranth(12″”-16″” Compound Radius)、24F (Jumbo) |
ピックアップ | Jackson High-Output Humbucking(HH) |
コントロール | Volume、Tone、3-Position Blade SW |
ハードウェア | Jackson Sealed Die-Cast Tuning Machines Floyd Rose Licensed Jackson Double-Locking Tremolo |
Jackson「Soloist(ソロイスト)」のハムバッカー&FRT&24フレット&スルーネックという仕様は、スーパーストラトの一つの完成形と言われ、スルーネックのスーパーストラトが「ソロイストタイプ」と呼ばれることもあります。
「MJ Series Soloist™ SL2」は、高級機「アメリカン・シリーズ」に次ぐ日本製上位モデルです。ソロイストの存在意義であるスルーネック・コンストラクションは、ヒール部をゴッソリとえぐり取った現代的なスタイルで、ハイポジションの演奏において左手を妨げるものが何もありません。
弦長、ナット幅 | 25.5″” (64.77 cm) 42.86 mm(.009-.042 Gauges) |
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ボディ材 | Alder(Soloist Shape、Gloss Finish) |
ネック材&接続法 | 3-Piece Maple Neck-Through-Body with Graphite Reinforcement |
指板&フレット数 | Ebony(12″”-16″” Compound Radius)、Jumbo 24 Frets |
ピックアップ | Bridge:Seymour Duncan JB TB-4 Neck:Seymour Duncan Jazz SH-2N |
コントロール | Volume、Tone、3-Position Toggle SW |
ハードウェア | Gotoh Sealed Die-Cast Tuning Machines Gotoh GE1996T Series Double-Locking Tremolo (Recessed) |
メタルとハードロックが一時代を築いた80年代後半、スーパーストラトの老舗Charvel(シャーベル)の量産機は日本で作られていました。そんなシャーベルにとって、日本製上位機種「MJシリーズ」はとても意義深いラインナップです。「MJ So-Cal Style 1 HSS FR M」はストラトキャスターを出発点に、HSS配列、フロイドローズ搭載、エッジを快適にロールオフ処理した12~16インチコンパウンドラジアス指板、24本のジャンボフレット、ハイポジションでのアクセスが良いシュレッダーズヒールカットなど特にロック方向へ演奏性が強化されたモデルです。
5wayセレクタースイッチの設定にこだわりがあり、フロントのシングルコイル、リアのハムバッカーの単体のほか、リア内側&ミドル、リア外側&ネック、ミドル&ネックという3タイプのハーフトーンが得られます。
弦長、ナット幅 | 25.5″” 42.86 mm(.009-.042 Gauges) |
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ボディ材 | Alder(So-Cal Style 1 Shape、Gloss Finish) |
ネック材&接続法 | Maple(Speed Neck with Rolled Fingerboard Edges) Bolt-On (Shredder’s Heel Cut)with Graphite Reinforcement |
指板&フレット数 | Maple(12″”-16″” Compound Radius、Rolled Fingerboard Edges)、Jumbo 24 Frets |
ピックアップ | Bridge:Seymour Duncan JB TB-4 Neck & Middle:Custom Seymour Duncan Flat Strat SSL-6 Single-Coil |
コントロール | Volume、Tone(No-Load)、5-Position Blade SW 5-Position Blade: Position 1. Bridge Pickup, Position 2: Bridge Inner Coil and Middle, Position 3: Bridge Outer Coil and Neck Pickups, Position 4: Middle and Neck Pickups, Position 5: Neck Pickup |
ハードウェア | Gotoh GE1996T Series Double-Locking Tremolo (Recessed) Gotoh Die-Cast Tuning Machines |
エドワード・ヴァン・ヘイレン氏ご愛用のスーパーストラト「フランケンシュタイン」は、フェンダー ストラトキャスターにハムバッカーのサウンド、トレモロユニットの機能性をミックスさせるべく数々の実験を繰り返した、エディ自身の歩みでもあります。EVH「フランケンシュタイン レリック 」シリーズはそれに敬意を込めたモデルで、ダミーのフロントピックアップとセレクタースイッチが、在りし日のエディの遊び心を偲ばせます。
ダイレクトマウントのWolfgangハムバッカーは堅い中域が持ち味で、しっかり歪ませることでブラウンサウンドがしっかり得られます。スリムな柾目メイプル製ネックとコンパウンドラジアス指板の組み合わせは、特に速弾きに有利です。ボディに密着したFRTはエディ仕様で、特徴的なトレモロワークをしっかりコピーできます。D-Tuna搭載により、瞬時にドロップDチューニングに切り替えることも可能です。
弦長、ナット幅 | 25.5″” (64.77 cm) 43 mm(.009-.042 Gauges) |
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ボディ材 | Basswood (Stratocaster Shape、Lacquer Finish) |
ネック材&接続法 | Quartersawn Maple (Heavy Relic Lacquer、EVH Modified “”C”” Backshape) 4-Bolt Standard Neck Construction |
指板&フレット数 | Maple (12″”-16″” Compound Radius)、22 Jumbo Frets |
ピックアップ | EVH Wolfgang Humbucking |
コントロール | Master Volume |
ハードウェア | EVH-Branded Floyd Rose Locking Tremolo with EVH D-Tuna EVH-Branded Gotoh Tuning Machines |
カスタムパーツからキャリアを積み上げたロック系ギターの名門「SCHECTER(シェクター)」は、ブラスナットやブラックパーツなどを発明した実績があり、また「ビビッドなカラーや印象的なボディ材で主張するタイプのスーパーストラト」という分野を開拓した第一人者でもあります。
「SD-2-24-AL」は、キルテッドメイプルトップのアルダーボディに24フレットのメイプル製ネックをボルトオンジョイントしたFRT搭載モデルです。HSH配列の自社製ピックアップはレンジの広さと鋭い立ち上がりが持ち味で、ミニスイッチによりセンターのシングルコイルまでもコイルタップできます。また「Split Tone Control」と名付けられたトーン回路は通常のハイカットに加え、トーンノブを引き上げた状態でローカットとしても機能します。
弦長、ナット幅 | 25 1/2″” |
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ボディ材 | Laminated Quilted Maple Top、 Maple Top & Alder Back(Three-layer structure) |
ネック材&接続法 | Maple Ultra Access 4-Bolt |
指板&フレット数 | Rosewood or Maple、24 Frets |
ピックアップ | SCHECTER SUPER ROCK J SCHECTER MONSTER TONE J SCHECTER SUPER ROCK J |
コントロール | Volume / Tone (Split Tone Control) / CRL 5Way / Mini Switch(Coil Split Switch) |
ハードウェア | SGR Locking Tremolo |
Aria Pro II「RS-CUSTOM」は、スリムでスタイリッシュなRSシリーズ最高峰のプロフェッショナルモデルです。スルーネックのスーパーストラトで22フレットという音域のモデルは極めて珍しく、唯一といって良い個性になっています。ヒールレスジョイントと表示されているもののヒールカットは出っ張りを丸めるにとどめ、ネック接続部分にはしっかりと厚みが残されています。そのためこの部分の剛性が確保されて音響性能が向上、24フレットよりネック本体が短い分だけネックが頑丈という特性も相まって、豊かなサスティンが得られます。
ピックアップはSSH配列ですが、フロントとミドルに採用されているセイモアダンカンSSL-4 「クウォーター・パウンド」はハムバッカーに比肩する大出力が持ち味で、リアのTB-4「JB」ピックアップとの組み合わせは特にロック系のサウンドでのリードパートにおすすめです。
弦長、ナット幅 | 648mm |
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ボディ材 | Maple Carved Top, Mahogany Back |
ネック材&接続法 | Maple Neck thru body, Heel-less Cutaway |
指板&フレット数 | Ebony Fingerboard、22F |
ピックアップ | Seymour Duncan SSL-4 x 2 & TB-4 |
コントロール | 1 Volume, 1 Tone, 5-way PU Selector SW |
ハードウェア | Original Floyd Rose Tremolo |
アイバニーズ(Ibanez)「RG」シリーズは1987年の発表から現在に至るまで、メタルを中心にあらゆるジャンルをカバーできる「ロック寄りの万能ギター」として支持されています。
「RG6HSHMTR」は、80年代のテイストを現代版RGにブレンドさせた日本製モデルです。肉厚なジョイントプレートを介したたボルトオンジョイントがまさに80年代仕様ですが、逆に現代のロック系スーパーストラトでは見られない、この設計だからこその音響性能が得られます。メイプル&ウォルナット5Pの極薄ネックはまさに現代仕様で、指板インレイを排したシンプルないでたちもクールです。
弦長、ナット幅 | Scale : 648mm/25.5″” Width : 43mm at NUT (.009/.011/.016/.024/.032/.042) |
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ボディ材 | Basswood body |
ネック材&接続法 | Super Wizard5pc Maple/Walnut neck ダイキャスト・プレートによるティルト・ネック・ジョイント |
指板&フレット数 | Maple (430mmR)、Jumbo 24 frets |
ピックアップ | Quantum (H) neck pickupPassive/Ceramic Quantum (S) middle pickupPassive/Alnico Quantum (H) bridge |
コントロール | Volume / Tone/ 5Way Switch |
ハードウェア | Edge tremolo bridge Gotoh machine heads |
キャパリソン(Caparison)の「TAT Special FM」は、フレイムメイプルトップ&オーストラリアン・ブラックウッドバックのボディをメイプル/ウォルナット5Pネックが貫通するスル―ネック構造を特徴とする、同社のフラッグシップモデルです。オーストラリアン・ブラックウッドは音域のレンジが広く、バランスが良く音の立ち上がりが優れ、また品質が安定しており、マホガニー材よりも優れているという考えです。ボディトップのフレイムメイプルは、音響性能のために18ミリもの厚さで使用されています。「TATカーブ・トップ」を施した立体構造によりネックの仕込み角が付いているような感触が得られ、特にハイポジションでの演奏に有利です。
27フレットという音域も特徴で、27フレット・モデル専用ピックアップは27フレットの取り付け位置でもネック・ピックアップらしいサウンドが得られます。4WAYロータリースイッチを使用した特殊配線はピックアップセレクターのセンター時に作動し、フロントタップ、リアタップ、両タップミックス、両ハムミックスの4つが選べます。
弦長、ナット幅 | 648mm (25 1/2″”) 42mm RotoSound R9 (.009-.042) Strings |
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ボディ材 | Top:Master Grade Flame Maple Back:Australian Blackwood |
ネック材&接続法 | 5-Piece Maple/Walnut(Natural Urethane Matt Sinish) Neck-Through (Slant Heel) |
指板&フレット数 | Ebony with White Binding(350mmR to 400mmR)、27(Jumbo, Jescar Stainless) |
ピックアップ | Neck Pickup:Caparison SH-27FC Bridge Pickup:Caparison PH-Rm |
コントロール | CTS Master Volume、Schaller 3-Way Mega Switch、4-Way Rotary Switch |
ハードウェア | Gotoh SG381-07 H.A.P. Schaller S-FRT II |
「E-II」は、ESP USAが企画&開発、生産は株式会社ESP所属の職人が日本国内で行うという日米共同プロデュースによってラインナップを展開する、ESP傘下のブランドです。
「M-I THRU NT」は見ての通り、1ハムバッカー&1ボリューム、TOMブリッジというシンプルを極めたスルーネックモデルです。このような思い切った仕様はロック以外ではなかなか見られませんが、フロントピックアップを備えないことで、「ネック接続部に穴を開けない」ことによる唯一無二の音響性能を持っているのが大きな強みです。ノントレ仕様でもありブリッジ部も強固ですから、そんじょそこらの機能に溺れた軟弱なギターなんかより、遥かにタイトでゴリゴリのサウンドを奏でることができます。
弦長、ナット幅 | 648mm Scale 42mm Bone Nut |
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ボディ材 | Alder |
ネック材&接続法 | Hard Maple 3P(Thin U) Neck-thru-body |
指板&フレット数 | Ebony(305R)、XJ, 24frets |
ピックアップ | EMG 81 |
コントロール | Volume |
ハードウェア | TUNER:GOTOH SG360-07 MG-T BRIDGE:GOTOH GE103B-T & String-thru-body |
ESP「HORIZON-III」は、同社の象徴ともいうべき代表機種HORIZON(ホライゾン)の進化版です。ステージ上で必要とされる可能性のすべてを盛り込んだ万能ギターを目指し、流麗なオフセットデザインのボディ形状はステージでの演奏性が最大化されています。
ホライゾン・シリーズの特徴はスルーネック構造の音響性能や演奏性もありますが、セイモア・ダンカン・カスタムショップ製の特性ピックアップが使われているのも大きなポイントです。HORIZON-IIIに搭載される「59/Jazz Hybrid neck」は59ModelをベースにJazz Modelのグラッシーなトレブルをブレンドした、太さと明るさを兼ね備えたモデルです。「JB/Custom Hybrid bridge」はJB Modelの存在感にCustom Modelの持ち味である肉厚な低域をブレンドしてゲインを持ち上げ、FRTとのベストなマッチングに設計されています。
弦長、ナット幅 | 648mm LockNut (42mm/R2) .009-.042 Gauge |
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ボディ材 | Alder (Thickness 47mm) |
ネック材&接続法 | Hard Maple 3P (Thin U) Neck-thru-body Construction |
指板&フレット数 | Ebony w/White Binding (305R)、EXJ-SS, 24frets |
ピックアップ | (Neck) Seymour Duncan CS 59/Jazz Hybrid (Bridge) Seymour Duncan CS JB/Custom Hybrid TB |
コントロール | Master Volume (w/Coil Split SW), Master Tone, Mini Toggle PU Selector |
ハードウェア | GOTOH SG360-07 MG-T Floyd Rose Original |
Suhr「Standard Plus」は、スリムなネックと抱えやすいボディからなる無上の弾きやすさが持ち味の進化したスタンダードモデルです。Suhrでは定番のボディ構造、フレイムメイプルトップ&バスウッドバックボディのコンビネーションは、メイプルの明るさと重厚感にバスウッドの太さが加わる「Holy Grail of Tone(音の聖杯)」だと表現されます。ここに軽快な響きを持つローステッドメイプルネックを新たに採用し、完璧なトーンバランスを生み出しています。
ボディに施されるThin Skin(極薄)ポリ塗装は、塗膜厚を可能な限り薄くすることで、鳴りとサステインを最大限に活かします。トーンポットにPush/ Push式コイルタップ起動スイッチが仕込まれ、サウンドバリエーションも充分です。
弦長、ナット幅 | 25.75″” 1.650″、Tusq、White |
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ボディ材 | Basswood、2-Piece & Flame Maple、2-Piece、3/16″(Standard Shape) |
ネック材&接続法 | Roasted Maple (Even C Slim .800″-.880″) 4点留めプレートジョイント |
指板&フレット数 | Roasted Maple or Pau Ferro (10″-14″ Standard Roll)、22、Stainless Steel、Heavy |
ピックアップ | Bridge:SSH Plus、Bridge、White Neck & Middle:V60、Neck、White |
コントロール | Volume、Tone(Push /Push to Coil Split)、5WAY Selector SW |
ハードウェア | Suhr Locking Peg Gotoh 510 Bridge 2 Post、Solid Saddles、Steel Block、Chrome |
James Tyler(ジェームス・タイラー)は1980年代のLAシーンにおいて多くの名手を虜にした、万能系ギターの頂点と言われるブランドです。ネックのシェイピングやボディーの独特なコンター加工などにいる演奏性能の高さは「Maximum Playability(最っ高に弾きやすい)」と表現され、伝統に準拠しながら気持ち良い音を徹底的に追求するピックアップと使い勝手の良い操作系は、音楽を奏でる道具としての利便性と信頼度を最大化させています。
本家USAモデルは非現実的な価格が付いていますが、同じ3D CADデータ、同じ部品を使った日本製モデルが現実的な価格で手に入れられます。日本製モデルのクオリティはブランドを率いるジェームス・タイラー氏もベタ褒めするほどだと言われ、USAモデルへのリスペクトを秘めつつもそれを上回ろうとする野心まで感じさせるといわれます。
STUDIO ELITE HDの操作系にはブースト量を無段階に操作できるミッドブースターと、Push/ Push式の起動スイッチが備えらえます。
弦長、ナット幅 | 25.5 inch (64.77 cm) 1.625 inch (41.275mm) |
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ボディ材 | Solid alder or mamywo Optional: Swamp ash, mahogany, quilted or flamed maple top, natural wood binding, single binding, multi-layer binding |
ネック材&接続法 | Quartersawn maple 4点留めプレートジョイント |
指板&フレット数 | maple, East Indian rosewood, ebony or pau ferro (11″”R)、Nickel silver 22F (2.8 mm x 1.45 mm) |
ピックアップ | Slanted or straight SSH configuration Tyler electric true single coils and humbucker |
コントロール | 5-way blade switch, master volume, master tone, midboost preamp with bypass button |
ハードウェア | Locking Hipshot TUNERS、2-post tremolo or 6-screw tremolo with bent or solid steel saddles |
Tom Anderson(トム・アンダーソン)は強烈なインパクトを伴うルックスの美しさを第一に、ナロー・ネックと呼ばれる細身のネックや独自のネック接続、自社製ピックアップと特殊配線を基本とした良好なサウンドに定評あるブランドです。いち早くステンレス製フレットを取り入れたり、シングルコイル/ハムバッカーの切り替え時にトーンとボリュームポットの抵抗値が自動的に適切な値に切り替わる「ヴィンテージ・ボイシング」を標準装備に設定したりするなど、音楽や演奏の道具としてのエレキギターを真剣に追及しています。
モデル名に使われている「Drop Top(ドロップトップ)」工法は、このトムアンが発祥です。3/16インチ(4.76mm)厚のトップ材をアームカットに添わせて湾曲させることで、湾曲したボディトップの全面を美しくかつ適切な厚さのメイプルがカバーすることで、美観とサウンドを両立させることができるわけです。この画期的な発明は、今ではさまざまなメーカーが取り入れています。
弦長、ナット幅 | Traditional (25 1/2-inch) 1 5/8-inch (41.2mm、.009-.042 Elixir ) |
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ボディ材 | Flame or Quilt Maple TOP Alder or Mahogany or Swamp Ash or Basswood Back |
ネック材&接続法 | Maple, Larger V Shape ,Natural Satin Finish A-Wedgie Neck Joint |
指板&フレット数 | Madagascar Rosewood Fingerboard、22F (Buzz Feiten Tunig System) |
ピックアップ | NECK PICKUP:SA1R MIDDLE PICKUP:SA1 BRIDGE PICKUP:H2+ |
コントロール | Switchroo or VA Boost |
ハードウェア | Vintage Tremolo Locking Tuner |
Freedom.C.G.R.「Hydra(ハイドラ)」は、同社の技術力を結集して完成させた究極の万能ギターです。音量に頼らずともマスキングに埋もれない、クリアで伸びやかなミッド・ハイを得るための木材構成、ストレスフリーで快適な演奏性が得られる25インチスケール、HSH配列とSSS配列を切り替えるミニスイッチ、ハムバッカーのキャラクターを無段階に変化させるタップコントロールといった数々の特徴を持ち、根本的な弾きやすさと音の良さを持ちながら守備範囲の広いサウンドバリエーションを確保しています。
特許取得のネック接続法「Arimizo & One Point Joint」は日本古来の建築技法「蟻溝(アリミゾ)」を取り入れたボルトオンジョイントで、差し込むだけでネック接続に必要な強度がすでに得られており、ネジは締め付け具合で楽器の鳴り方を変化させる「トルクマネジメント」に使用するという、全く新しい構造です。締めこめば引き締まったモダン系の鳴りに、逆に緩めると倍音豊かなヴィンテージ系の鳴りに変化します。使うネジが1本なので締めるか緩めるかしかなく、リペアマンに依頼するまでもなくプレイヤーが自分で扱えるのも画期的です。
弦長、ナット幅 | 25in Tusq /42mm (D’Addario 09-46) |
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ボディ材 | TOP: Standard Grade Figured Maple 2pc BACK: Alder 2pc |
ネック材&接続法 | Maple/ U-Shape Arimizo & One Point Joint |
指板&フレット数 | Rosewood / Maple 280R、22 Eternal Fret / EI-W-015WARM |
ピックアップ | (2) Hybrid HB TypeⅡ (1) WTA-ST02 |
コントロール | 1Vol./ 1Tone/ 1Tap Ctr.(Push Down:Neck P.U./ Push Up:Bridge P.U.)/ Mini Switch (SSS⇔HSH)/ 5way Selector |
ハードウェア | GOTOH SGS510-MGT Wilkinson by GOTOH VG-300 (10.8mm Pitch) |
SAITO GUITARS(サイトー・ギターズ)の「S」シリーズは、機能美で構成された合理的かつ斬新なギター本体と、性能を突き詰めたからこそ行き着いた「手巻き」工法による自社製ピックアップが厚く支持されています。6弦22フレット仕様のスーパーストラト「S-622」はシリーズ基本モデルにして圧倒的な支持を受ける象徴的なモデルでもあります。
緩やかな曲面を描くボディトップは光を当てた時の美観と、演奏時のフィット感が持ち味です。「カジュアルなルックス」を重視しており、マットなボディ塗装、ナチュラルに統一されたサイド&バック、ブラックのバックプレートが、既存の価値観に囚われない、シンプル且つカジュアルなスタイルを演出しています。また出荷時の調整がシビアで、10-46ゲージ弦で快適な演奏が可能です。
弦長、ナット幅 | 25.5inch(648mm) 42mm(EXL110 10-46) |
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ボディ材 | Body: Alder 2P(Modern Archtop、45mm Thickness) |
ネック材&接続法 | Shape: Standard Grip(1F-21mm 12F-24mm Thickness) 4点留めプレートジョイント(厚さ5mm) |
指板&フレット数 | Indian Rosewood or Hard Maple(10-12inch Compound Radius)、22F Jescar FW-51100Nickel Silver |
ピックアップ | SAYTONE Hand Winding Pickups |
コントロール | 1Volume-1Tone(Tap) 5way or 3way Switch |
ハードウェア | GOTOH SD91 MG-T Tuners GOTOH 510T-FE1 Bridge |
「T’s Guitars(ティーズギター)」は加工精度の高さと音の良さ、外観の美しさで支持される、カスタムメイド・ギターのブランドです。特にネックの精度へのこだわりが深く、「寝かせれば寝かせるほど良い」という考えのもとであらかじめ途中まで作っておいて何ヶ月も寝かせ、その中からオーダーの内容に合うものを選別して使っています。日本初の公認ショップになったというBFTS(バジーフェイトン・チューニングシステム)の効果も手伝い、どのポジションでも美しい響きが得られます。
「ディンキータイプのストラト」を意味するDSTシリーズはフレット数やピックガードの有無などでバリエーションを展開、「DST-Classic24 Droptop」はピックガードあり、24フレット、ボディ形状に沿ってトップ材を貼りつけるドロップトップ仕様のDSTです。木材構成や指板R、フレットサイズやネックグリップ、各種金属部品など、ギタリストがこだわりたいポイントの多くを選べるようになっています。
弦長、ナット幅 | 648mm 42mm (09-46) |
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ボディ材 | DST Shape, Solid or Hollow BODY: Alder 2P, Ash 2P, African or Hondulas Mahogany TOP: Alder, Ash, 3-5A Flame or Quilt Maple, Master Grade Quilt, Spalted Maple |
ネック材&接続法 | Roasted or Normal Hard Maple, Hondulas Mahogany, 3-4A/5A Roasted Flame Maple(Soft V, U, V, Fat U Shape) 4 point Plate joint /w Heel Cut or Not, Bush Joint /w Round Shape |
指板&フレット数 | Hard Maple, Indian Rosewood, Pau Ferro, Ebony, 3-4A Birdseye Maple, Roasted Hard Maple, Roasted Flame Maple、(180R, 250R, 300R, 350R, 400R, 9.5″”-12″” compound)、24F(Jescar FW9665, FW9662, FW9685, FW9665) |
ピックアップ | Single Coil: DS-592 Humbucker: DH-250, DH-450, DH-605, DH-560, DH-610n, DH-611b |
コントロール | 1Vol, 1Tone(TAP), 5way |
ハードウェア | Peg: GOTOH SD91-05M, SD91-05N,HAPM, SG381-P7, SG381-P7,HAPM, SG381-P7,MG-T, SGS510Z-S5,MG-T Bridge: GOTOH or Wilkinson Vintage Type, FRT, Hard Tale |
長野県塩尻市に居を構える新興のハイブランド、Kino FACTORY(キノ・ファクトリー)は、正確なピッチ感が得られてしっかり前に飛ぶ現代的なサウンドが持ち味です。今までにないものを作りたいという一念から、「ネック鳴り」で弦振動を消費しない硬いネック、トレモロのスタッドをがっちりと受け止める金属部品「アンカーブロック」など、輪郭のクッキリとしたクリアなサウンドを生みだすための設計が多く採用されています。顔つきの良さにもこだわりがあり、定番系をなぞらない個性的なカラーリングを多く採用するほか、ヘッドのブランドロゴとポジションマーク、コントロールノブの色調を揃えています。
treebud(トゥリーバッド)はKino FACTORYの記念すべき1号機で、一般的なディンキーよりさらに一回り小さめのボディを基本としています。音域は22フレットと24フレットの2タイプがあり、電気系はHHやSSS、HSSなどさまざまです。ネックから滑らかにつながるヒールはヒール形状に合わせたジョイントプレートを使用、トラッドな設計に敬意を払いながら高い演奏性を達成しています。
弦長、ナット幅 | 648S Neck scale Nut : FGR-2C |
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ボディ材 | Body top : FiguredMaple & Body back : Ash Chamber (Body thickness : 45mm) |
ネック材&接続法 | FlameMaple(U Shape) Bolt-On With JointBlock Neck joint |
指板&フレット数 | MadagascarRose(350R)、24 #55090 Frets |
ピックアップ | BareKnuckle BlackDog、Suitans |
コントロール | 1V 1T 1Minisw(CoilTap) 5WayLeverSW |
ハードウェア | Machine head : SG381-07C MG-T Bridge : 1996T-C with AnchorBlock |
以上、スーパーストラトをテーマに歴史や特徴、おすすめモデルなどをチェックしていきました。原点であるストラトキャスターも現代の要求に応じて変化していますが、スーパーストラトはストラトの殻を破る勢いでさまざまな姿を見せてくれます。ロックにしっかりフィットする感じや一本で何でもできそうな万能感が得られますから、ぜひ実際にチェックしてみてください。
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