
フェンダー・テレキャスターは、1948年に誕生した「ブロードキャスター」の末裔です。フェンダー・ストラトキャスターやギブソン・レスポールよりも長い歴史を持つ古いスタイルのエレキギターでありながら、移り変わる音楽シーンの中で常に定番ギターの一つとして、強力な存在感を発揮しています。今回はこのテレキャスターに注目し、その魅力に迫っていきましょう。
備考:「テレキャスター」という名称はフェンダーの登録商標で、フェンダーかスクワイアの製品でなければ使用できません。他のものは全て「テレキャスタータイプのギター」や「テレキャスターのコピーモデル」などと言わなければなりませんが、それでは余りにも不便です。よって慣例として、本家もコピーモデルもひっくるめて便宜上「テレキャスター」と呼びます。「テレ」と略したり、「テリー」と愛称で呼んだりすることもあります。
フェンダー・メイドインジャパン・テレキャスターを弾いてみた!
- テレキャスター4つの特徴
- テレキャスター・タイプのギターを選ぶポイント
- おすすめのテレキャスター・ラインナップ
テレキャスターの特徴

Fender Custom Shop Andy Hicks Masterbuilt 1952 Telecaster Heavy Relic, Butterscotsch Blonde
ベーシックなスタイルのテレキャスターには、「シングルカッタウェイ&ボルトオンジョイントの基本設計」「大小2基のの異なるピックアップ」「特徴的なブリッジ」といった特徴があり、コードプレイに特に良好なサウンドを持っています。
シンプルな基本設計で素直な弦振動が得られ、ピックアップ切替でキャラクターの大きく異なるサウンドバリエーションが得られます。独特な設計のブリッジにより得られる、時として凶暴なサウンドは、英語圏では「Twangy」と表現されます。
立ち上がりの鋭い明瞭な音色はコードを鳴らすのに特に良好で、ギターボーカルやサイドギターなど、伴奏をメインとするギタリストに特に愛用されます。またその一方で、テレキャスターでテクニカルな演奏ができるプレイヤーは注目を集め、尊敬される傾向にあります。
凛として時雨 『SOSOS』
3ピースロックバンド「凛として時雨」を率いるTK氏は、デビュー以来テレキャスターを愛用しています。そのテレキャスター愛は、凛として時雨の1stシングルとなる曲に「Telecastic fake show」とタイトルを付けたほどです(”Telecastic”は造語)。氏の演奏は高速ストロークを基調としながら、随所に技が光る独特のものです。高い演奏技術を大前提とした、それでいてリズムとコードを常に第一に据えた演奏は、現代における「ギターヴォーカルが持つテレキャスター」の最たるものだと言えるでしょう。
テレキャスター・タイプのギターを選ぶポイント
フェンダーUSAテレキャスターの一部カラーラインナップ
最初のギターは、思い切ってルックスで選んでしまいましょう。音や機能/弾きやすさなどは、後からでも好みに合わせることができます。とはいえ、安からざる買い物をインスピレーションだけで決めるわけにもいきません。そこで、テレキャスター・タイプを選ぶ時の分かりやすいポイントを、いくつか追ってみましょう。
ピックアップを見て、出したいサウンドをイメージする

「テレキャスターの演奏を見たり聞いたりして気になった」という人は特に、そのテレキャスターにどんなピックアップが付いているのかを確認してみましょう。ピックアップの配列は、ギターのサウンドを大きく左右する重要な要素です。テレキャスターのピックアップ配列は大きく3つに分類できます。「よくわかんないけど、とにかくテレキャスター!」という人には、王道のSS配列がおすすめです。
- SS配列:小さめのフロントピックアップと大きめのリアピックアップという、テレキャスター永遠のスタンダードであり王道の配列。
- フロントがハムバッカーやP-90:フロントを出力の大きなピックアップに交換した配列。テレキャスター本来のトゥワンギーなリアを残しつつ、太く丸い音色でメロディやアルペジオを演奏できる。
- HH配列:フロント、リアともにハムバッカーという配列。ハードにドライヴさせたロック系のサウンドが得意分野になる。高機能モデルだとコイルタップが利用でき、シングルコイルの音も出せる。
木材や設計についても、いちおう確認しよう

Fender Japan Exclusive 60s Tele Custom(Candy Apple Red)のシンプルなボディバック。
バックコンターもヒールカットも非採用。人間工学に媚びない。これぞ元祖テレキャスターの姿。
テレキャスターのボディ材はアッシュとアルダーがスタンダードで、このほか開発コンセプトによってさまざまな木材が使用されます。ネック材はメイプルが大多数で、指板はメイプルとローズウッドが主流です。木材それぞれの音響特性は、ギターサウンドを左右します。とはいえ音だけで木材を判別するのは極めて難しいため、今のところは「自分のギターがどんな木材で作られているかは知っておいた方がいいよ」、というくらいにとどめておきましょう。なおアッシュ製ボディのテレキャスターは、その他のモデルよりちょっと高額になる傾向があります。
一方で、本体の設計は演奏性やサウンドに比較的分かりやすく影響します。これらはすべて最も人気の高い50年代式のテレキャスターにはなかったものですが、現代のテレキャスター事情を語るうえでは無視できない仕様です。
- バックコンター:ボディ背面を滑らかにカットすることで、抱え心地が良くなる。
- アームカット:ボディ正面の肘が当たる部分をカットすることで、ピッキングがラクになる。
- ヒールカット:ジョイント部分をカットすることで、ハイポジションの演奏性が向上する。
- 音域22フレット:本来の音域は21フレットたが、現代仕様では22フレットが主流。
- ボディバインディング:ボディの輪郭が浮き出てカッコいい。鳴りをタイトに引き締める効果がある。
- シンライン(セミホロウ):Fホールがとにかくカッコいい。ボディ空洞が弦振動にエアー感を付加する。
《厳選!》おすすめのテレキャスター・ラインナップ
ではここから、おすすめのテレキャスター・タイプを部門ごとに紹介していきます。やはり本家のフェンダーが強い印象ですが、他のブランドもそれぞれの個性で存在感を発揮しています。
最初の1本におすすめ!!上達を支える入門機
楽器経験のない人にとって、ギターはびっくりするほど高いと感じるかもしれません。しかしギターは製造工程が自動化しにくく、木材の品質は家具や建物より厳しい基準が設けられます。そんな中で本体価格数万円近辺というコストパフォーマンスを達成し、さらには仕様や機能で個性を発揮させるのは、なみなみならぬ企業努力の成果です。
この価格帯のものはプロフェショナルが求める性能にはさすがに及びませんが、チューニングを合わせて音を出す、トラスロッドやサドルのネジを回して調整をする、エフェクターと組み合わせて自分のトーンを作る、またパーツを交換してグレードアップさせるなど、これからギタリストとしてのキャリアを積み上げていく方には充分と言えるスペックです。
2本目以降におすすめ!一生ものにもなりえる中級モデル
こちらに並べるのは、本体価格10万円近辺からの中級モデルです。このくらいからサウンドや機能など、各モデルのこだわるポイントが目立ってきます。品質も高いため、人によってはずっと不満なく使用できるポテンシャルを秘めています。
可能性への挑戦!他とは違う個性派モデル
ここでは、ほとばしるほど強い個性を持つテレキャスターを見ていきましょう。更なる演奏性やサウンドバリエーションを求めて、人類は様々なテレキャスターを開発してきました。テレと呼ぶには若干の抵抗感を覚えるモデルもありますが、こうした何かを乗り越えていく姿勢が、新しい音楽を生み出す原動力になるのです。
テレキャスター探しの旅が終わるかもしれない上位モデル
こちらは、品質とサウンドを深く追求した、格の高いモデル。テレキャスター本来のシンプルさを第一に据えた、極めて高い基本性能が強みです。上位モデルとはいえ現実的な価格帯に収まっているのも魅力で、これでテレキャスター探しの旅が終わりを迎えるかもしれません。
以上、テレキャスター・タイプのおすすめモデルをチェックしていきました。シンプルかつストレートな設計とサウンドには、プレイヤーの音楽への姿勢や生き様さえ連想させます。他には無い個性や強みを持っているギターですから、ぜひ実際にチェックしてみてください。
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。