アンガス・ヤング(Angus Young)

[記事公開日]2013/9/1 [最終更新日]2021/10/25
[編集者]神崎聡

アンガス・ヤングはオーストラリアを代表する世界的ロックバンドAC/DCのリードギタリストです。
デビューから現在に至るまで硬質かつ武骨にしてシンプルなロックンロールを中心に演奏し続けてきました。ハードロックバンドには珍しく、極めてタイトなミッド~スロー・テンポの楽曲が非常に多いのも特徴です。作品の曲調は昔も今もほとんど変わっていませんが、スタジアム級の会場で世界ツアーを行うほど、現在も人気があります。

ミュージシャンにもファンが多く、キース・リチャーズ、ピート・タウンゼント、スティーヴン・タイラー、オジー・オズボーン、ニッキー・シックス、リッチー・サンボラスラッシュカート・コバーンブライアン・メイ、山下達郎、奥田民生など、世界中のアーティストがファンを公言しています。


AC/DC – Highway to Hell

Biography

1955年3月31日 生 スコットランド・グラスゴー出身

1959年、アンガス・ヤングはスコットランドのグラスゴーで生まれました。そして、1963年にヤング一家はオーストラリアのシドニーへ移住し、シドニーで育ちました。
兄弟は上からジョージ・ヤング、マルコム・ヤング、アンガス・ヤングの三人兄弟で、最初に長男のジョージ・ヤングがイージー・ビーツというバンドを結成し、当時ミュージック・シーンが確立されていなかったオーストラリアで一大旋風を巻き起こします。長男ジョージの影響で次男マルコムと三男アンガスもごく自然にギターに接することとなります。ジョージによってマルコムがギターを習い、さらにマルコムはアンガスにギターの手ほどきをしていました。アンガスは1~2年も経つとマルコムを超えてしまう程の実力になっていました。当時からアドリブが得意で独自のコードを次々に作り出し自らのスクール・バンドの演奏に活用したそうです。

バンド結成

アンガス・ヤング(Angus Young)有名なCD「Highway To Hell」ジャケットの写真。アンガスは右から2番目、見事な悪童っぷり

1973年、アンガスの中学校卒業と同時に、兄のマルコムはそれまで活動していたブギー・バンドを脱退し、12月31日アンガスと共にAC/DCを結成します。
当時から爆音で演奏していた彼等を、姉のマーガレット・ヤングが掃除機の裏側のAC/DC(交流・直流兼用)表示から、掃除機のように騒々しいバンドだと例えたことがバンド名の由来だとされています。

1974年9月、バンドの機材車のドライバーだったボン・スコットをボーカリストに迎え、翌年1月、わずか10日間で録音したデビュー・アルバム『High Voltage』をリリースします。また、同年12月のセカンド・アルバム『TNT』はオーストラリアのアルバム・チャートNo.1を獲得します。1976年には米アトランティックと契約し、アメリカでも大成功を収めます。

ボン・スコットの死とブライアン・ジョンソンの加入以降

80年2月19日にボン・スコットが友人の車中で死亡しているのが発見されました。原因は睡眠中、嘔吐物を喉に詰まらせての窒息死でした。バンドは解散する事も考えたようですが、バンドを続ける事を決意し、新たなボーカリスト、ブライアン・ジョンソンを加入させます。ブライアンをヴォーカルに向かえ、1980年7月25日に『Back In Black』をリリースします。『Back In Black』はバンドにとって最大のヒット作となり、売り上げはこれまでに世界で4900万枚を超え、マイケルジャクソンの『スリラー』に次ぎ、全世界で歴代2番目に売れたアルバムとして知られています。


AC/DC – Back in Black

その後、バンドの低迷やメンバーの交代等がありましたが、2008年10月、ニューアルバム『Black Ice』をリリースしました。同時に先行シングルとして『Rock’n Roll Train』がリリースされています。アルバムは本国オーストラリアを始め米英日本(洋楽チャート)などの29ヶ国で1位を獲得しました。

2010年3月には、埼玉・大阪での来日公演を行いました。
現在も精力的に活動しております。

ギタープレイの特徴

アンガス・ヤング(Angus Young)の使用エレキギター

アンガス・ヤングはデビュー時から一貫して、ギブソンSG+マーシャルのオーヴァードライブサウンドで、シンプルなチャック・ベリー・スタイルを軸にブルース・スケールのペンタトニック・ノート(ルート、♭3rd、4th、5th、♭7th)以外の2nd/9th、♭5th、6thも活用したフレージングが特徴的です。ものすごくテクニカルなギタリストではないですが、ペンタトニックを使ったブルージーで感情的なギタープレイが得意で、ツボを押さえた速弾きが素晴らしいです。アンガスはB.B.キング等のブルース系のギタリストからも影響を受けているようで、ブルージーで感情的なギタープレイはブルースからきているのかも知れません。

また、ライブパフォーマンスも特徴的で、ブレザー、半ズボン、ハイソックスにランドセルを背負ったスクールボーイスタイルがトレードマークで、ギブソンSGを抱えて、ステージを動き回り、天然パーマの頭を振り乱したり、仰向けに倒れてクルクル回転したりと、激しいパフォーマンスで有名です。ちなみに、兄のマルコムはアンガスとは対照的に、控えめにリズムギターを弾いています。

使用エレキギター

※基本的にはアンプに直でギターを繋いで音作りをするので、あまりエフェクターは使用しないそうです。


AC/DC – Shoot to Thrill

Discography

Highway To Hell

Highway To Hell

世界レベルを目指したサウンドという事もあって、アメリカではプラチナ・ディスクを獲得するほどの好セールスをあげました。タイトルナンバーでもある名曲『Highway To Hell』が収録されています。AC/DCの荒々しさも残しつつ、音質や楽曲のクオリティが高い作品です。この作品が世界進出へのきっかけにもなりました。

1979年リリース作品

Back In Black

Back In Black

2代目ヴォーカリスト、ブライアン・ジョンソン加入後初のアルバムで、バンドの作品の中でも最大のヒットを記録した作品です。ヴォーカルの交代がありましたが、バンドの勢いは衰えず、さらにスケールアップした作品となっています。名曲『Back In Black』やライブの定番曲の『You Shook Me All Night Long』が収録されています。ロックンロールの歴史においても重要なアルバムとされています。初めてAC/DCを聞く方はこのアルバムから聞いてみると良いと思います。とにかくリフが最高です!

1980年リリース作品

Black Ice

Black Ice

21世紀初のアルバムとなる15作目の作品です。アルバム1曲目の『Rock ‘n Roll Train』からAC/DCらしいナンバーが多く収録されています。21世紀になっても彼らの音楽のスタイルやサウンドは昔のままで、60歳を過ぎているとは思えないほどアグレッシブサウンドになっています。

2008年リリース作品

If You Want Blood You’ve Got It

If You Want Blood You've Got It

1978年発表のアルバム『パワー・エイジ』のリリース後に行われたワールド・ツアーの模様を収録したライヴ作品です。邦題が『ギター殺人事件AC/DC流血ライヴ』となっています。この時点までにリリースされていたオリジナル・アルバムから満遍なくベスト・ナンバーが選曲され、タイトル負けしないテンションの高い演奏が収録されています。ガンズアンドローゼズがカヴァーした『Whole Lotta Rosie』や1曲目の『Riff Raff』は非常にカッコいいです。AC/DCは他にもライブアルバムをリリースしていますが、最もAC/DCの魅力が出ているアルバムだと思います。

1978年リリース作品

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