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ウォーレン・ヘインズ(Warren Haynes)氏はアメリカ合衆国ノースカロライナ州の出身で、ギタリスト、ヴォーカリスト、ソングライターとして活躍するかたわら、自身のレーベル「Evil Teen Records」を立ち上げて運営しています。
「オールマン・ブラザーズ・バンド」所属ギタリストとしてのキャリアが有名ですが、
など、還暦を間近に控えた今なおたくさんのプロジェクトに関わり、衰えるどころか尚いっそう精力的な活動を展開しています。行く先々で、ギターに専念するサイドマンとしても、ヴォーカルをとるフロントマンとしても、骨太のサウンドを聞かせてくれます。
Warren Haynes with Joe Bonamassa — Guitar Center’s King of the Blues 2011
ジョー・ボナマッサ氏とのギターバトル。二人ともピックを使ったり指で弾いたりと、右手の技が冴えています。ヘインズ氏は「アンチピックガード派」のようで、レスポールのピックガードが外されています。ヴィンテージライクな「カリ」っとした音色が心地よいですね。
ヘインズ氏はオールマン・ブラザーズ・バンド、ガバメント・ミュール、そしてザ・デッドという3バンドを掛け持ちするなど、たいへん活発に活動しました。ソロでもアルバムをリリースしており、まだまだやりたいことがあると意気盛んです。その生い立ちから、氏の経歴をざっと見てみましょう。
1960年生まれのヘインズ氏は、12歳でギターを弾き始めました。ジミ・ヘンドリックス氏、エリック・クラプトン氏(CREAM時代)、ジョニー・ウィンター氏のプレイに夢中になり、そこからさまざまなことを学んでいきました。彼らに関するものはあらゆるものを読みふけったと言いますが、やがて全員がルーツとしているB.B.キング氏、フレディ・キング氏、アルバート・キング氏(以上、3大キング)、ハウリン・ウルフ氏、マディ・ウォーターズ氏、エルモア・ジェイムズ氏を聴くようになっていきました。
20歳のとき(1980年)からロック/カントリーのミュージシャン、デイヴィッド・アラン・コー氏のバンドに参加、ヘインズ氏はプロミュージシャンのキャリアをスタートさせます。
The Allman Brothers Band – Good Clean Fun
ディッキー・ベッツ氏との、二本のレスポールによるツインギター。二人ともピックガードを外しているのが印象的ですね。ザック・ワイルド氏しかり、サザンロック系のギタリストはレスポールのピックガードを外すもののようです。
オールマン・ブラザーズ・バンドが二度目の解散をしていた1980年代終盤、メンバーだったディッキー・ベッツ氏のバンドに、ヘインズ氏は迎えられます。ディッキー・ベッツ・バンドは1988年にアルバム「Pattern Disruptive」をリリースしますが、その一方で同年ヘインズ氏はグレッグ・オールマン氏(オールマン・ブラザーズ・バンドのヴォーカル/オルガン)のアルバム制作にも作曲で参加しています。
1989年の再々結成に際し、ヘインズ氏はオールマン・ブラザーズ・バンドに招かれ、ディッキー・ベッツ氏とのツインギターで活躍します。ヘインズ氏は自身のプロジェクト「ガバメント・ミュール」に専念すべく1997年に一旦はバンドを去りますが、オリジナルメンバーだったディッキー・ベッツ氏が離脱した2000年に復帰、今度は同時に合流した若き天才デレク・トラックス氏とのツインギターで活躍します。しかし2014年の「バンド誕生45周年記念式典」を最後にヘインズ氏はバンドを離脱、自身の活動に専念することになります。
Gov’t Mule – “Just Got Paid”
ZZトップのカバー。デュアン・オールマン氏に心酔していただけあり、もちろんスライド奏法も達人です。スライドは「薬指にはめる派」で、ガラス製のスライドバーを使用します。
オールマン・ブラザーズ・バンドに所属していたアレン・ウッディ氏(ベース)とヘインズ氏は、クリーム、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、マウンテンのような1960年代のパワー・トリオがカッコイイと言う思いで意気投合し、ディッキー・ベッツ・バンドで一緒だったドラマー、マット・アブツ氏を迎えます。こうして1994年、ロック・ジャム・バンド「Gov’t Mule(ガバメント・ミュール)」は、オールマン・ブラザーズ・バンド所属メンバーによるサイドプロジェクトとして結成されました。
1995年にデビューアルバムをリリースして以来、毎年のようにアルバムをリリースしています。2000年に発表したアルバム「Life Before Insanity」は好評を博しましたが、この年にウッディ氏が亡くなります。氏を偲びさまざまなベーシストを招いたセッションアルバム「The Deep End、Volume 1(2001)」、「The Deep End、Volume 2(2002)」がリリースされました。
サザンロックの枠にとどまらない、ファンクやブルース、時にはレゲエなどさまざまなテイストの演奏の魅力、加えて著名なミュージシャンが頻繁にゲスト出演することもあり、ガバメント・ミュールは本国アメリカのフェスに欠かせないバンドになっています。
ジャムセッションをベースとした演奏でマニアックな人気を博していた「ザ・グレイトフル・デッド」でしたが、中心人物ジェリー・ガルシア氏が亡くなり「ザ・デッド(The Dead)」として再スタートを切ります。ヘインズ氏はこのザ・デッドに2004年から2009年まで参加していました。ザ・デッド在籍時には、バラク・オバマ候補の選挙運動や大統領就任セレモニーでも演奏しています。
Taj Mahal Trio Live at 18th Annual Christmas Jam
故郷に錦を飾ったヘインズ氏。アッシュビルには「ヘインズ通り」まであるとのこと。「ジャム」というイベント名ながら、フェスと称しても遜色ない大規模なイベントですね。
ヘインズ氏主催の「クリスマスジャム(Warren Haynes Presents:The Christmas Jam )」は、氏の故郷アッシュビルで1988年以来、毎年開催されています。多くのミュージシャンを招待した大規模なセッションですが、チャリティーショーとして運営しており、収益は恵まれない人々の家を建てる慈善団体「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」に寄付されています。
ヘインズ氏はレスポール・スタンダード’58リイシューをメインに、ノンリバースのファイアーバードとES-335を好んで演奏します。使用するエレキギターがギブソンばかりであることから、自身を「ギブソン野郎(Gibson Man)」と呼んでいるようです。
Warren Haynes – One (U2 Cover) | Unplugged | Classic Rock Magazine
ワッシュバーンのアコギでU2のカバーを弾き語るヘインズ氏。アコギについては、ギブソンへのこだわりも薄いようですね。
レスポールの中でも最も高人気といわれる「’59」はジェフ・ベック氏やジミー・ペイジ氏が愛用したことでも知られますが、ヘインズ氏が「’58」を愛用しているのは、氏が敬愛するデュアン・オールマン氏が愛用していたからだと考えられています。
2002年にはギブソン・カスタムショップから「The Warren Haynes Les Paul Standard ’58」が、2014年にはギブソン・メンフィスから「Warren Haynes Celebrity Series 1961 ES-335」が、それぞれリリースされています。
ウォーレン・ヘインズ氏のシグネイチャー・レスポールは、1958年式のレスポール・スタンダードを再現しつつ、やはりピックガードは無く、ピックアップにはバーストバッカーをセレクト、ブリッジにはスタッドに固定できるToneProsを採用し、ストラップの落下を食い止めるためにシャーラー製の「ストラップロック」を備えています。
Warren Haynes “River’s Gonna Rise” – Guitar Center’s King of the Blues 2011
ES-335を使用するときも、やはりピックガードを外しています。レスポールを弾いている時の音と比べると、やはり太さと甘さに特徴がありますね。
ヘインズ氏のシグネイチャーES-335は、本人が所有する1961年製を再現し、
などが外見上の特徴で、ピックアップには前述のレスポール同様バーストバッカーを2基備えています。本人はピックガードを使用していないようですが、やはり一般のユーザー向けには付けておきたいものなのです。
シグネイチャー・ワウペダルもリリースされています。
感圧センサーによるスイッチレスのスムーズな操作性はそのままに、ヘインズ氏の求める強めのかかり具合を実現したモデルになっています。 本体に備えられた「Q ファクター」スイッチにより、かかり具合を選択することができます。倍音の出方に特徴があって歪みとの相性が良く、音が太いのが特徴です。
Bad Man Walking | Gov’t Mule | Tail of 2 Cities 10.15.04
ヘインズ氏の演奏するノンリバースのファイアーバードによる、強烈なワウを使用した演奏。ピックアップはオープンタイプのハムバッカーに換装されています。ヘインズ氏率いる「ガバメント・ミュール」はビシっと合ったキメのフレーズと、ジャムセッション的な要素をふんだんに取り入れた演奏が持ち味です。
ヘインズ氏は長いキャリアの中で数多くの作品をリリースしていますが、ここではそのいくつかをピックアップして紹介します。
ニューヨークで亡くなったベーシスト、アレン・ウッディ氏を偲び、ウッディ氏が大好きだったというベーシストを招いて制作されたアルバム。Vol.1にはジャック・ブルース氏(CREAMなど)、フリー氏(Red Hot Chili Peppers)、ラリー・グラハム氏(Sly and the Family Stoneなど)らが、またVol.2にはレス・クレイプール氏(Primus)、トニー・レヴィン氏(King Crimsonなど)、ミシェル・ンデゲオチェロ氏、クリス・スクワイア氏(Yesなど)らが参加しています。現在では1と2を合わせての販売もされていますが、このようなアルバムはたくさんの有名プレイヤーの演奏を一度にチェックできるという大きなメリットがあります。
The Deep Endを…
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ヘインズ氏とデレク・トラックス氏のツインギターが存分に楽しめるアルバムであり、またオールマン・ブラザーズ・バンドの長い歴史の中で唯一、ディッキー・ベッツ氏が参加していないアルバムでもあります。ヘインズ氏はこの作品で多くの作曲に携わり、ソングライターとしてもイイ仕事をしています。10曲目の「Instrumental Illness」はグラミー賞2部門でノミネートされました。
Hittin’ the Noteを…
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ヘインズ氏のソロ第二作。ローリング・ストーン誌にて「ベテランのソングライターかつ伝説的なギタリストが、新たな方向性を示した」と好意的に評し、アメリカのビルボードで最高6位に上り詰めた傑作です。
Man in Motionを…
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