《孤高のギタリスト》ジェフ・ベック(Jeff Beck)

[記事公開日]2019/10/28 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

ジェフ・ベック(Jeff Beck)

ジェフ・ベック氏はエリック・クラプトン氏、ジミー・ペイジ氏と共にUKロック3大ギタリストと呼ばれています

「ロックギタリストには2種類しかいない、ジェフベックとジェフベック以外だ。」 – ポール・ロジャース

という言葉が象徴するように、既存の枠にとらわれない、常に新しいギターサウンドを追求する姿勢が高く評価されている自由で個性的なギタリストです。
日本で言うところの「後期高齢者」となった現在でも過去の自己コピーに陥ることなく、音楽的な挑戦を止めようとしません。周囲に惑わされることなく、あくまで自分のやりたい音楽を追求する姿勢、他に類を見ない独特の存在感から「孤高のギタリスト」としばしば形容されています。今回は、このジェフ・ベック氏に注目していきましょう。

Biography

今なお衰えないジェフ・ベック氏の経歴を追ってみましょう。世界を席巻するほどの人は、最初から凄かったんだなと感じさせられます。

誕生~青年期(1944~)

ジェフ・ベック氏(本名:Geoffrey Arnold Beck)は、1944年6月24日イギリスのウォリントンに生まれます。6歳の時にラジオでレス・ポール氏の演奏を聴き、エレキギターに心を奪われました。18歳の頃からバンドを結成し、当時勢いのあったジーン・ヴィンセント氏やエディ・コクラン氏などの曲をカバーしていました。10代のうちにジミー・ペイジ氏と知り合い、親交を深めています。


63年にはオール・スターズというバンドに参加し、ニッキー・ホプキンス(key)らに混じって初レコーディングを体験します。その直後トライデンツというバンドを結成し、ジミー・ペイジ氏やロン・ウッド氏のバンドの前座を務めたこともあります。この頃はフィードバック奏法やレス・ポール氏から影響を受けたと思われるトリッキーなプレイで、かなり評判になっていました。

ヤードバーズ時代(1965~)

ベック氏はペイジ氏の手引きで1965年、大物ロックバンド「ヤードバーズ」に、エリック・クラプトン氏の後釜として正式加入しました。ビートルズとローリング・ストーンズがチャート上位を独占する時代にあって、ベック在籍時のヤードバーズは3回の米国ツアーを果たす活躍を見せ、ベック氏の名声も上がっていきます。この時がヤードバーズの黄金期だったと考えるファンもたくさんいます。しかし当時は病気がちでステージに立てないことがあり、また持ち前の完璧主義が災いしてメンバーと衝突し、ベック氏は「ツアー中に解雇」という憂き目にあいます。

この時すでに凄い人だったが

1966年の英国音楽誌の人気投票でベック氏は1位に輝いており、ジミ・ヘンドリックス氏が「クラプトンとベックに会わせてあげるから…」という誘いにのって渡英したという逸話があるほどの人気ぶりでした。ヘンドリックス氏が派手にプレイして有名になったフィード・バック奏法や大胆なアーム奏法、またピック・スクラッチなどはベック氏の奏法を取り入れたものです。いっぽうで当のベック氏は、ヘンドリックス氏を見たあまりの衝撃に「音楽辞めようかな…」と悩んだそうです。

ふたつの「ジェフ・ベック・グループ」(1967~)


Jeff Beck, Rod Stewart – People Get Ready

1967年には、ソロとしてベック氏自ら歌も唄っているシングル「ハイ・ホー・シルヴァー・ランニング」を発表。これが全英14位の大ヒットとなり、続けて「タリー・マン」「恋は水色」のシングルもスマッシュ・ヒットさせました。1968年になると、ソロ時代のバック・メンバーを中心に「ジェフ・ベック・グループ」を結成しますが、いろいろあって短命に終わります。

  • ボーカル:ロッド・スチュワート(vo)、(ハスキーボイスを持ち味とする大物ボーカリスト。このバンドでデビュー。サッカーがうまい)
  • ベース:ロン・ウッド(b)、(現、ローリング・ストーンズにギターで在籍)
  • ドラムス:エインズレー・ダンバー(dsフランク・ザッパ、ホワイトスネイク、ジャーニーなど)
  • キーボード:ニッキー・ホプキンス(key)らが在籍。(ビートルズ、ローリング・ストーンズらの録音に参加)

メンバーチェンジが幾度も繰り返されましたが、主要メンバーはこのようなそうそうたる顔ぶれでした。
1971年には第2期「ジェフ・ベック・グループ」を結成します。この時のメンバーにはドラムスにコージー・パウエル氏(レインボー、ホワイトスネイク、ブラック・サバスなど)、キーボードにマックス・ミドルトン氏(名盤「Blow by Blow」に参加)がおり、すばらしく進化を遂げたサウンドで周囲を驚かせました。このバンドでも2枚のアルバムをリリースし、セカンドの方は全米15位と、まずまずのセールスを記録しています。

フュージョン・サウンドの先駆者(1975~)


Jeff Beck – Big Block (Live in Tokyo)

再びソロになったベック氏は1975年、名盤「ブロウ・バイ・ブロウ(Blow by Blow)」を発表します。当時では珍しい「全曲ギターインストゥルメンタル」アルバムでしたが、ロックやファンクのグルーヴにジャズ的なアプローチで演奏を展開していくサウンドで、「ロックとジャズの融合(フュージョン)」という新しい音楽を完成させました。本作は全米4位という大ヒットとなり、内容的にもジミー・ペイジ氏をして「ギタリストの教科書だ」と言わしめるほどのものでした。

ものすごい「完璧主義」

ベック氏は極端な完璧主義者として知られており、いつも一辺の妥協もない作品を作ろうとします。この「ブロウ・バイ・ブロウ」の録音では、自身の演奏に納得がいくまでしつこく録り直したどころか、帰り道で「やっぱり録り直す」とスタジオに舞い戻ることが何度もあったようです。全ての録音が完了して数ヵ月後に「やっぱりあのソロを録り直したい」とプロデューサーに電話し、「すまん。それな、もう店に並んでる」と返されたことまでありました。

満を持して、孤高の存在へ


Jeff Beck – Hammerhead (Live in Tokyo)

1985年のアルバム収録曲でグラミー賞を受賞、旧友ロッド・スチュワート氏とのコラボがヒットするなどトピックはありましたが、積極的にアルバムをリリースしていた1970年代とは打って変わって、1980年代ではそのペースがガクンと落ちます。その理由については「やる気が無くなったから」とも「ビッグになりすぎたプレッシャーに葛藤していたから」とも「耳鳴りに悩まされていたから」とも言われています。1989年のアルバム「ギター・ショップ」で健在ぶりを発揮したものの、それ以降はいくつかセッションワークに参加するのみでした。

しかし、約10年もの沈黙を破った1999年のアルバム「フー・エルス!」以降、75歳を迎えた今なお積極的な活動を展開しています。ジェニファー・バトゥン女史(マイケル・ジャクソン氏のツアー参加で名高い)、タル・ウィルケンフェルド女史(チック・コリア氏やヴィニー・カリウタ氏らと共演した若き天才)という女性プレイヤーの起用、デジタルミュージックの採用、アンビエント・テクノやノイズ・ミュージックを意識したインダストリアル系サウンドの採用など、ギターと音楽の追及は、とどまるところを知らない勢いです。

ギタープレイの特徴

ジェフ・ベック氏はキャリア全体を通じて音楽的に冒険的であり、常に進化を続けています。若いころハマったロカビリーから始まって、ジャズ、ロック、ブルース、ファンク、テクノ、ドラムンベース、世界各地の民族音楽など、あらゆる音楽のエッセンスを次々と吸収しています。

超多忙な右手

ベック氏のプレイスタイルとして最も顕著なのは、「バリバリ弾きまくるのに、ピックを使わない」というところです。80年代中ごろからフィンガー・ピッキングに転向しており、速いオルタネイトピッキングでは人差し指をピックのように使います。これについてベック氏は「小さなプラスチック片の有無でギターが弾けたり弾けなかったりするのが嫌になった」とコメントしたそうです。頻繁なピックアップ切り替え、ボリューム操作、アーミングがあってのフィンガーピッキングは、常人ならば猫の手も借りたい忙しさです。

「一回弾いたらもう飽きる」

ベック氏は「何度も同じことをしない」ことを身上にしているらしく、「一度弾いたらもう飽きる」とコメントしたこともあります。これを最も端的に証明しているのが、名演と呼び声高い「悲しみの恋人たち」でしょう。「レードドー」のようなコンパクトなモチーフの連続でできているメロディですが、ベック氏はチョーキング、グリッサンド、ハンマリング/プリングなどの指技やリズムのアレンジを駆使し、全て違う弾き方で演奏しているのです。


‘Cause We’ve Ended As Lovers Performance | Jeff Beck Guitar Lessons Michael Casswell Licklibrary
名演をかなり忠実に再現しているレッスン用動画。ジェフ・ベックモデルを使用しているあたり徹底していますが、ベック氏ご本人は早世した友人、テレマスターのロイ・ブキャナン氏を偲んでテレキャスター(HH配列のいわゆるテレギブ)で演奏しています。

スムーズな運指の秘密

ベック氏は、指板潤滑剤がわりに「ジョンソン&ジョンソン社のベビーパウダー」を使用します。ご本人は真っ白になるほど両手にふりかけ、ローズ指板でもお構いなしにネックに撒きます。潤滑効果は抜群で驚くほどスルッスルになりますが、その代償としてピックが使えなくなります。同様のものは日本国内でも手に入りますが、熱心なファンはベック氏と同じものを使いたい一心で、ラベルに日本語が書いていない海外仕様を取り寄せて使用すると言います。


Jeff Beck – Pork Pie (From “Performing This Week Live at Ronnie Scotts”)

ジェフ・ベックの使用機材

長いキャリアの中で様々なギターを使ってきたジェフ・ベック氏ですが、1970年代まではテレキャスターレスポール、それ以降はストラトキャスターをメインに使用しています。「三大ギタリスト」と言われるベック氏ですが、エリック・クラプトン氏、ジミー・ペイジ氏と違い、人前でアコギを弾くことはまずありません。このことについては、最高の賞賛を込めて「ベックはエレキギターしか弾けない」と云われています。では、ベック氏が使用した象徴的なエレキギターを何本か見ていきましょう。

1954年製フェンダー・エスクワイア

1965年、ヤードバーズのツアー中に入手し、ベック氏の初期のキャリアを支えた伝説的なギターです。エルボー部分が大きく削られ、また全身キズだらけの貫禄ある逸品で、その細部まで再現したレプリカがフェンダー・カスタムショップからリリースされたことがあります。1974年、名盤「ブロウ・バイ・ブロウ」の録音作業中、セイモア・ダンカン氏が持参した「テレギブ」と交換しています。

1954年製レスポール改「オックスブラッド」

1973年にメンフィスの楽器店で見つけたという1954年製レスポールは、名盤「ブロウ・バイ・ブロウ」のジャケットにも登場しています。P-90ピックアップを普通サイズのハムバッカーに換装、ネックをスリムにリシェイプ、ペグ交換、ボディの塗り替えが施されており、ボディの深い茶色が角度によってはオックスブラッド(牛の血の色のような濃い赤)に見えることから「オックスブラッド・レスポール」と呼ばれています。

1959年製テレキャスター改「Tele-Gib(テレギブ)」

名演「哀しみの恋人たち」で使用されたことで名高いHH配列のテレキャスターいわゆる「テレギブ」は、セイモア・ダンカン氏が1959年製テレキャスターを改造したものです。ローズ指板のネックはメイプル1Pネックに交換され、2基のP.A.F.ピックアップが搭載されています。このP.A.F.はヴィンテージ・ピックアップのコイルをダンカン氏が巻きなおしたもので、のちの名ハムバッカー「SH-4(JB)」の原型だと言われています(「JB」は、「ジャズ&ブルース」、「ジェフ・ベック」両方の意味を持つ)。テレキャスターにギブソン式のピックアップ搭載で「テレギブ」と呼ばれますが、海外でも同じように呼ばれています。

ベック氏はサウンドが優れていることを認め、ダンカン氏の提案するエスクワイアとの交換を受け入れました。しかしすぐにその決断を後悔したそうです。

1960年代製フェンダー・ストラトキャスター

現在のベック氏のトレードマークになっている「ローズ指板、白いボディのフェンダー・ストラトキャスター」は、ジョン・マクラフリン氏からプレゼントされた1960年代のストラトが起源です。その前に受け取ったギターが盗難に遭ったため、このギターはアルバム「ワイアード」のジャケット撮影を受けて以後、ベック氏のスタジオで大切に保管されています。このギターが、1990年代に発表されたシグネイチャーモデルの土台になっています。

Fender / Fender CS Jeff Beck Signature Stratocaster

ジェフ・ベック:エレキギター Fender Stratocaster signature – Jeff Beck

現在のジェフ・ベック氏は、フェンダー・カスタムショップのマスタービルダーが作ったストラトキャスターを使用しています。ベック氏シグネイチャー・ストラトキャスターは、フェンダーUSA、フェンダー・カスタムショップの両方からリリースされており、両者は基本仕様のほとんどが共通しています。

  • アルダーボディ、メイプルネック(ウレタン塗装)、ローズ指板
  • ハイポジションの演奏性を高める「ヒールカット」採用
  • 22フレット仕様、ミディアムジャンボフレット採用
  • HOT Noiselessピックアップ(セラミック磁石を使用。高出力)
  • シュパーゼル社製ロック式ペグ「トリムロック」
  • LSRローラーナット
  • ステンレス製サドル&二点支持シンクロナイズド・トレモロユニット
  • カラーはホワイトとサーフグリーンの2色

ベーシックな現代版のストラトキャスターに高性能高出力のピックアップを備え、ペグ/ナット/ブリッジのセレクトでチューニングの安定度を最大限に高めた、ヴィンテージ・スタイルのヴィの字もない「現代仕様」のアレンジです。キャリアの長い大物ギタリストのシグネイチャーモデルで、これほど現代的な機能性を追求したものはなかなかありません。このギターを見るだけでも、ベック氏がどれほど前人未到の音楽を追求しているかがうかがわれます。

それでありながら、基本的な使い方は従来のストラトキャスターを逸脱しない範囲にとどまっており、ジェフ・ベック氏でなくても使いやすさを感じられる仕上がりです。

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アンプ/エフェクター

ベック氏はいろいろなアンプを使ってきており、「ベックならコレ!」とはなかなか断言できません。それを承知で大雑把に言うなら、ヤードバーズ時代は名機「VOX AC-30」、それ以後はマーシャルがメインでたまにフェンダーという具合で、最近ではマーシャルがメインでマグナトーン社のアンプを併用しています。ただし、エレキギターの低音はお好きではないらしく、どのアンプを使用するにしても必ず「Bassは全カット」で使用すると言われています。

エフェクターについてもさまざまなものを使っていますが、最近では

  • オーバードライヴJ.Rockett Audio Designs「Archer」(ながらくケンタウロスを使用していたが、そのケンタウロスを再現したこっちに乗り換えた)
  • フランジャー:MXR「Flanger」(「ベックのフランジャーはBOSS」という時代は長かったが、最近乗り換えた)
  • ワウペダル:SNARLING DOGS「WHINE-O-WAH」(ペダルが足の形をしている多機能ワウ。起動するとペダルに描かれた犬の両目が赤く光るものの、踏んでいるためそれを見ることができない)
  • レスリースピーカー・シミュレーター:Hughes & Kettner「Tube Rotosphere MK II」(スピーカーを物理的に回転させる「レスリースピーカー」の音を再現する)
  • リングモジュレーター:Maestro「Ring Modulator RM-1」(アルバム「ワイアード」以降愛用しているヴィンテージ・エフェクター。おかしな音になる)

こうしたものを使用しています。長く使用するものもありますが新しいものもあり、「よりよいものと出会ったら乗り換えて行く」というスタイルのようです。

Discography

Truth / Jeff Beck Gloup

Truth/Jeff Beck Gloup

ヴォーカルにロッド・ステュアート、ベースにロン・ウッド、ドラムにミック・ウォーラー、そしてゲストとしてピアノにニッキー・ホプキンスという豪華なメンバーを従え発表されたジェフ・ベック初のリーダー作です。前年にヤードバーズを脱退したジェフが、初めてやりたいことをぶちまけた作品で、既に全編で彼独特のエキセントリックなプレイを聴くことができます。

1968年リリース作品

Blow By Blow / Jeff Beck名盤

Blow By Blow/Jeff Beck

ベック・ボガート&アピスをアルバム一枚で終止符を打ったジェフ・ベックが、次に向かったのは自らのギター・プレイを最大限に生かしたインストゥルメンタル路線でした。当時流行だったクロス・オーバー・サウンド、いわゆるフュージョンに大々的にアプローチした最初のアルバムです。また現在に至るベックのアイデンティティを確立した最初の作品といえ、彼の諸作品中でも最重要作に位置づけられるでしょう。ベック自身もそれに応じてかハードなプレイを控えめにし、それまで以上にカラフルに、なおかつ艶やかな音色を響かせています。

1975年リリース作品

Wired / Jeff Beck名盤

Wired/Jeff Beck

前作『ブロウ・バイ・ブロウ』に続く、ジェフ・ベックのギター・インストゥルメンタル・アルバムの第2弾。オープニングの「レッド・ブーツ」は、印象的なメロディを持つリフ、変拍子のリズム、独特の“間”を感じさせる演奏が一体となった一曲です。「グッドパイ・ポーク・パイ・ハット」はシンプルで落ち着いたバックの演奏に、ベックが閃きたっぷり愛情たっぷりのフレーズを聴かせてくれます。サウンドは前作に比べ、よりフュージョンにアプローチしたものとなっています。

1976年リリース作品


Jeff Beck – Led Boots (Jeff Beck: Performing This Week…Live at Ronnie Scott’s)

Jeff Beck with the Jan Hammer Group Live / Jeff Beck

Jeff Beck with the Jan Hammer Group Live/Jeff Beck

絶対的名作『ブロウ・バイ・ブロウ』 『ワイアード』後、このアルバムは発売されました。紛れもなくジェフ壮年期の貴重な記録であり、短い収録時間ながらハイテンションで内容の濃いライヴアルバム。

1977年リリース作品

Jeff Beck’s Guitar Shop / Jeff Beck

Jeff Beck's Guitar Shop/Jeff Beck

 「Guitar Shop」とは言いえて妙で、ギターという楽器の限界に挑んだかのような、ジャケットのイメージ通り、誰もが期待する通りのギターインストアルバムに仕上がったアルバム。「With T・ボジオ&T・ハイマス」とのクレジット通り、3人だけの研究室での“宅録”のような雰囲気がある作品です。密閉された空間で、トリオ編成という研ぎ澄まされた緊張感の中、攻撃的なフレーズを突き刺しまくる様は爽快ですらあります。

1989年リリース作品

You Had It Coming / Jeff Beck

You Had It Coming/Jeff Beck

ハウス・インダストリアル路線の2作目。プロデュースはアンディ・ライト。因みに印象的なジャケットの写真は、クラッシック・カーの手入れをした後のジェフ・ベック自身の手を写したもの。前作でも使用されていたいわゆる、プログラミングやサンプリング、ループと言ったデジタル・ビートがより顕著なサウンドになっています。このあたりはまた好き嫌いの分かれるところだと思いますが、そういったサウンドに切り込んでくるベックのアグレッシヴなギター・プレイは、やはり痛快。

2000年リリース作品

Jeff / Jeff Beck

Jeff/Jeff Beck

基本的には『Who Else!/フー・エルス!』(99年)、『You Had It Coming/ユー・ハッド・イット・カミング』の延長線上にあるテクノ3部作の第3弾。デジタルビートにジェフ・ベックのギターが鋭く切れ込むサウンドですが、それが本作で完成をみたと言えるかもしれません。プロデュースは前作でも担当していたアンディ・ライトに加えて、アポロ・フォー・フォーティ、ディーン・ガルシア、デイヴィッド・トーンといった新鋭のアーティスト達を迎え、より強力で音圧の高いサウンドに仕上がっています。

2003年リリース作品

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