フィードバック奏法

[記事公開日]2013/8/21 [最終更新日]2024/6/23
[編集者]神崎聡

フィードバックとは、エレキギターの音をかなり歪ませた上でギターアンプに近づけるとアンプとギターとの共鳴によって生み出されるノイズのことです。エレキギターのフィードバック音は一種の効果音でありこれを積極的に楽曲やライブに取り入れるギタリストが登場し、ハードロックやヘヴィメタルといったジャンルでは奏法としてかなりの頻度で利用されています。

カラオケでマイクをモニターに向けると「キイーン」というハウリング音が発生します。これは非常に不快なものですが、エレキギターのフィードバックの音色そのものは多くの人間にとっては不快とは感じられず、ロック音楽には好んで用いられる手法です。

エレキギターにおけるフィードバックの種類

エレキギターやエレクトリックベースなどの電気弦楽器は、楽器単体で弦振動を演奏音へ増幅する機構を持たず、ピックアップにて弦振動を電気信号に変え、シールド線で接続されたアンプで増幅後、アンプに内蔵されたスピーカーから演奏音を発音します。フィードバックの発生原理は次の2種類があります。

音(空気振動)を介するフィードバック

原理はマイクで起きるハウリングと似ていますが、エレキギターのピックアップは空気の振動を拾うものではないので、実際はスピーカーから出力された演奏音が弦を共振させることにより起こります。その結果、弦振動の持続音の状態となり、ロングサスティンが得られます。このことからソリッド・ギターよりも、胴に共鳴用の空間を持つセミアコなどのギターのほうがフィードバックが生じやすいことがわかります。

磁気を介するフィードバック

ピックアップおよびスピーカーは磁気を利用して、互いを近付けることで電磁誘導の一種である電磁結合が起こり、フィードバックが発生します。

マイクで起きるハウリングと違い、弦や空気などの物理的な振動を介さないため、弦を張っていない楽器でも発生します。奏法への用法は「ピックアップをスピーカーに正対させる」などがあります。ハムノイズを防ぐために正相信号の励起を抑止したハムバッキング・ピックアップでは、この原理によるフィードバックも起きにくいです。

いずれの発生原理も奏法への用法は明確に区別されておらず、実際のフィードバックも二つの発生原理の複合によって生じますが、磁気によるフィードバック音は弦振動を止めても持続するため、奏法によってはフィードバック途中にその音質を変えることができます。

なおエレクトリックベースでも原理的には発生しますが、奏法として用いられることはあまり見られません。

フィードバックの演奏例

「奏法」といいますが、初期のエレキギターには元来、演奏の一部として音をフィードバックさせる意図も大出力の機材もなかったために、偶然性が大きかったようでした。

難しいのは、ただエレキギターをアンプのスピーカーに向ければいいというものではないことです。一番共鳴しやすい角度や距離がエレキギターごとに、アンプごとに、またその日のセッティングなどにもかかわってきます。もっとも歪みを最大限にしてギターをアンプにかなり近づければ簡単にフィードバック音は得られますが。。。
ともかく自分でコントロールできるフィードバック音を手に入れるには、フィードバックさせたい音によって違いますが、ちょっとしたコツがいるのです。スタジオなどで実践してみるのが早いと思います。

フィードバック奏法の名手と言われるジミ・ヘンドリックスは、母国アメリカでの下積み時代からフィードバックを使用していたと言われています。一番早く開発したのは「ザ・フー」のギタリスト、ピート・タウンゼントと一部で言われていますが、当時ザ・フーはまだレコード・デビューしておらず、ヘンドリックスがザ・フーのサウンドを聞いてパクッた、、、という可能性は低そうです。
タウンゼントやヘンドリックスの他、ジェフ・ベックもフィードバック奏法を早くから多用したギタリストの一人です。その後、ギター・アンプが大出力になるにつれ、多くのギタリストに取り入れられました。クイーンのギタリスト、ブライアン・メイは、ギター・オーケストレーションにおいてフィードバック音をサウンド中の倍音の要素として取り入れ、ヴァイオリン属の楽器のシミュレーションにも使用しました。

フィードバックに似たような音は、フェルナンデスのサスティナー・ピックアップが搭載されたエレキギターを使うことでも得られます。


Jimi Hendrix guitar feedback

フィードバックをコントロールするコツ

アンプで歪ませてからギターをアンプのほうに向けることでフィードバックは発生しますが、フィードバックをより自由にコントロールしたい時のコツを紹介します。

ワウペダルを使う

ギターアンプで十分に歪ませ、ワウペダルを繋いで目一杯踏み込むことでフィードバックを発生させる方法です。ワウを開くとフィードバックが発生・閉じると収束するという特性を利用することで、足元で自在にフィードバックを操ることができます。
ワウペダル

ファズ + アーミングでコントロールする

ジミ・ヘンドリックスのような爆撃機のようなフィードバックを生み出すにはファズ・エフェクターを繋いで深く歪ませ、フィードバックの量をアーミングでコントロールします。
ファズ・エフェクター

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