ギターケースの種類と選び方

[記事公開日]2018/2/1 [最終更新日]2025/9/7
[編集者]神崎聡

ギターケース
ギター博士が色んなギターケースを持ってみた

皆さんはギターケースというとどのようなものをお使いでしょうか。初心者の方だと、ギターにそのまま付いてきたものを利用することが多いでしょう。始めはそれでいいと思います。

ただ、安価なギターの付属品は長く使っていると袋の下部が破れてきたり、最悪肩ひもとの接合部のところが破れて切れてしまうこともあります。階段で肩ひも部分が切れて後ろを歩く人に当たったりしたら、とんでもない事態にもなりかねません。事故を防ぐためにも大切なギターを守るためにも、信頼の置ける良いケースを使うことは大事なことなのです。


  1. ギターケースの基本と種類を知ろう
  2. ギターケースの選び方
  3. 用途別:おすすめギターケース

ギターケースの基本と種類を知ろう

ここでは代表的なケースの種類を整理し、それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介していきます。


ハードケース

ハードケース

サムネイルをクリックして拡大
  • ハードケース
  • ハードケースを持っている様子
  • ハードケースを持っている様子2

木材や合板、強化樹脂で作られるハードケースは、ギターを最も安全に守れるケースです。外部からの強い衝撃や重量物にも耐えられるため、ツアーや飛行機での移動には欠かせません。内部はギターの形に合わせたクッションが施されており、楽器をしっかり固定できます。

反面、ケース自体が重くかさばり、ただでさえ重いエレキギターを入れると凄まじい重量になります。背負うためのひもは無く、基本的に手で持つことになります。長く歩いていると足に擦れて痛いということもありうるので、長時間の歩行運搬には向きません。
かさばるため電車での運搬にも気を遣い、バスは絶望的と言って良いでしょう。車で運ぶ事を前提としたケースと言えます。

ギグバッグ(ギグケース)

ギグケース

サムネイルをクリックして拡大
  • ギグケース
  • ギグケースからギターを取り出した様子
  • ギグケースを持っている様子
  • ギグケースを肩にかけている様子
  • ギグケースを肩にかけている様子2
  • ギグケース底面の保護用の樹脂

ギグバッグ(ギグケース)は通常のソフトケースに近い柔らかな作りながら、防護面が改良されたものを指します。ナイロンやポリエステルなど使われる布素材の強度は高く、防護のために緩衝材やしっかりとしたウレタンなどが配してあるつくりが一般的で、ちょっとぶつけた程度ではびくともしません。
リュックのように背負えるショルダーストラップ付きが主流で、さほど重すぎず、移動のしやすさは抜群。破れやすい肩ひもとの接合部については特に念入りに設計されているものが多く、ハードケースほどではなくとも信頼性は高くなります。

とはいえ保護性能はやや低く、衝撃や重い荷物に押されるとギターが傷つく恐れがあるため、移動が多い場合は注意が必要です。

セミハードケース

セミハードケースは内部に発泡素材や硬質フレームを備え、ギグバッグよりも高い保護性能を持ちながら、ハードケースよりも軽量で扱いやすいバランス型のケースです。重量はやや重いものの、ハードケースに比べると遙かに軽く、厚さは半分程度です。
電車やバスでの移動が多い人、日常的にスタジオやライブハウスへ通うギタリストに人気があります。収納ポケットやストラップを備えた実用的なモデルが多く、価格も中価格帯で手を出しやすいのが魅力です。

ソフトケース

ソフトケース

サムネイルをクリックして拡大
  • ソフトケース1
  • ソフトケース2
  • ソフトケース3
  • ソフトケース4

ギグバッグやセミハードに比べてさらに薄く軽いものをここではソフトケースとして扱います。これは安価なギターの付属品として付いてくるものが多いです。

利点としてはまず軽いこと。ほとんど袋状の布といえるシンプルな構造になっており、緩衝材的なものは入っていてもごくわずか。このような構造で重いわけがなく、単純に運ぶだけであれば魅力的です。その薄っぺらさからくしゃくしゃに丸めることもでき、部屋でもあまり場所を取りません。
その分、防護を期待することはできず、どこかに強くぶつけたりすると傷は免れないでしょう。元々が重いエレキギターを運び続けると、冒頭に記したように最悪肩ひもの接合部分が切れたりする可能性もあり、注意する必要があります。

ABS/モールドケース

ABSケースやモールドケースは、成型プラスチック素材で作られており、軽さと耐久性を兼ね備えています。ソフトケースの手軽さとハードケースの強度を両立させた存在で、防水性や耐候性も高いのが特徴です。比較的リーズナブルな価格で入手できることから、コストパフォーマンスを重視するギタリストに選ばれています。

特殊タイプ(フォームケース・カーボンケース)

フォームケースは軽量な発泡素材をベースに作られ、持ち運びやすさと保護力を兼ね備えています。さらに上位モデルとして、カーボン素材を使用した高級ケースもあり、極めて高い強度と軽量性を両立。プロギタリストやツアーミュージシャンに愛用されることが多く、価格は高めですが「最上級の安心感」を求める人に最適です。

ギターケースの選び方

ギターケースは種類が豊富なだけに、初心者はどれを選べばよいのかで迷いがちです。単に価格や見た目で決めてしまうと、後々「持ち運びが不便」「ギターが入らない」「保護力が足りない」といった後悔につながることもあります。ここでは選定の基準を整理して解説します。

※「重量」は軽いほど★が多い評価です。可搬性は重量・背負いやすさ・取り回しの総合評価。
ケース種類 防護性 可搬性 重量
ハードケース ★★★★
(最強。外部衝撃に強く飛行機輸送も安心)
★★☆☆
(重くかさばるため日常移動には不便)
★☆☆☆
(最も重い)
セミハードケース ★★★☆
(ある程度の衝撃に耐えられる)
★★★☆
(公共交通機関での移動に適する)
★★☆☆
(中程度の重さ)
ギグバッグ ★★☆☆
(軽い衝撃には対応できるが心許ない)
★★★★
(背負える・軽い・収納豊富)
★★★★
(軽い)
ソフトケース ★☆☆☆
(脆弱)
★★★★
(背負える・軽い)
★★★★
(最も軽い)
ABS/モールドケース ★★★☆
(プラスチック素材で防護性は十分)
★★★☆
(そこそこ軽量で扱いやすい)
★★☆☆
(ハードより軽いがやや重い)
フォーム/カーボンケース ★★★★
(カーボンは最高クラスの防護性)
★★★☆
(軽さと強度を両立するが価格高め)
★★★☆
(フォームは軽量、カーボンはさらに軽い)

ギターケース性能比較表

使用シーンで選ぶ

自宅での保管だけなら簡易なソフトケースでも十分ですが、通学・通勤で日常的に持ち歩く場合はギグバッグやセミハードケースが安心です。ライブやレコーディングに頻繁に通うギタリストには、セミハードケースやABSケースが適しています。
さらに車での運搬が伴うライブツアーや飛行機での移動が多い場合は、耐久性に優れたハードケースやカーボンケースが必須になります。

ギターの種類・形状に合うか

ケース選びで見落としがちなのがサイズ適合です。ストラトキャスター、レスポール、テレキャスターなどのソリッドタイプは対応ケースが豊富ですが、セミアコやフルアコ・Vシェイプや変形ギターは専用サイズでないと収まらないことが多いです。購入前に必ず「対応機種」や「内寸」を確認しましょう。

保護性能と安全性

ギターを守る上で重要なのがクッション性と構造です。内部の厚みやネックを固定するサポートがあるかどうか、防水加工の有無などがポイントになります。雨の日の移動や野外での使用を想定するなら、防水性や止水ファスナーを備えたケースが安心です。

持ち運びやすさと収納

重量は移動時の負担に直結します。軽量なソフトケースは背負いやすく、両手が自由になるメリットがあります。一方、ハードケースは片手持ちが基本で重さもあるため、短距離移動向きです。また、ポケット収納の多さも重要な要素で、シールドや譜面を一緒に持ち運べるかで利便性が変わります。

価格帯とコストパフォーマンス

5,000円以下のモデルは簡易的で初心者向き。1〜2万円帯はセミハードやABSケースなどバランスの取れたモデルが多く、最も売れ筋です。3万円以上の高級ケースはプロユースや海外ツアー向けで、軽量かつ高強度な素材を採用しているのが特徴です。予算と使用目的のバランスを意識して選びましょう。

用途別:おすすめギターケース

初心者・学生におすすめ(コスパ重視)

日常の移動や練習通いにおすすめ(セミハードケース)

ライブやレコーディングに通うギタリスト向け

2本同時に持ち運べる「ダブルバッグ」

ギターを保護しながら持ち運ぶのがケースの最低限の役割ですが、求められる条件はそれだけではなく、ポケットの収納力やおしゃれなルックスであったり、人によって違ってくるのが当たり前です。
自分に合った条件をまず考えた上で、値段を見ながら検討するのが正しい選び方と言えます。
数多い製品の中に、自分のニーズを満たすものは確実に存在するはずです。長く使えるケースを見つけてみてください。

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。