トーカイ(Tokai)のエレキギターについて

[記事公開日]2015/1/25 [最終更新日]2021/5/31
[編集者]神崎聡

トーカイ・ギターのヘッド

「トーカイ」は、静岡県に本社を構える楽器メーカー東海楽器製造株式会社(東海楽器)の自社ブランドです。東海楽器が戦後から培ってきた高水準の製造技術は海外でも評価が高く、シェクターなど有名ブランドのギターをOEM生産しています。フェルナンデスやフェンダージャパンのエレキギター、マーチンのアコギを生産していた時期もありました。エレキギターではレスポールタイプの評価が特に高く、ニューモデルの発表は話題になります。

トーカイのギターにはスタンダードなモデルが多くありますが、タルボやSEB構造などのように老舗メーカーの開発力にものを言わせた、極めて独自性の高いモデルが異彩を放っています。

トーカイの歴史

Tokai LS200Tokai LS200

東海楽器は戦後間もない1947年、ピアノとハーモニカの研究開発をする「東海楽器研究所」として歴史を開始します。1965年からはクラシックギターの生産を開始、1968年にはエレキギターの生産を開始します。「Tokai」ブランド設立は1977年で、ストラトタイプ、レスポールタイプなどコピーモデルが生産されました。トーカイの独自性を象徴する「タルボ」は1983年に開発されています。タルボは一時期生産中止になりましたが、GLAYのブレイクにより1966年に生産を再開、現在ではトーカイの代表モデルになっています。

トーカイ・ギターの特徴

他の追随を許さない、圧倒的な独自性

コピーモデルを造らせたら日本一本家を凌ぐほどのクオリティと評されるなど、質の高いコピーモデルの生産が多いトーカイですが、オリジナルモデルの独特さは群を抜いており、伝説となっているモデルも数多く存在します。ただし伝説となっているのは余りにも独特すぎてセールスがふるわず、現在では生産が終了しているからでもあり、時代を先取りしすぎていた事の裏返しでもあります。

Tokai Talbo 独自性の強いTalbo

トーカイのオリジナルモデルで現在最も有名なのは「タルボ」ですが、金属(メタル)のボディだからタルボ、というネーミングで、アルミ合金の鋳造でボディを成型します。タルボの登場は「伝統的にエレキギターのマテリアルは木でなければならなかった」事へのアンチテーゼとして大きなインパクトがありましたが、単に奇をてらった楽器ではありませんでした。ボディの材料がアルミなので回路にノイズ対策をしなくてもローノイズで、ボディ材のサウンド特性も相まって素直でクリアなサウンドが得られる優秀な楽器でした。

しかしセールスはそれほど振るわず生産コストも高いので、一旦生産が止まります。このタルボが再評価されたのは、90年代に入ってGLAYのHSASHI氏が自身のトレードマークとして使用してからです。ここからタルボは復活、現在ではトーカイの定番機種になっています。

talbo-woody タルボ・ウッディ

2000年代にはこのタルボのデザインを丸くかわいらしくアレンジして、ボディを木で作った「タルボ・ウッディ」も開発されました。くりぬかれたボディ内部が波状に掘られるなど、やはり他にない設計で特徴的でした。

1985年に開発された、カーボンファイバーでボディとネックを作ったストラトモデル(MAT)も伝説となっています。

精度の高い加工が求められる「SEB構造」

SEB構造 引用元:東海楽器

「Sound Effect Body」の意味を持つ「SEB構造」は、2004年に開発されたトーカイ独自のボディ構造で、特許を取得しています。これはピアノの設計にヒントを得たもので、木材の繊維方向と振動の伝達速度との関係を利用しています。振動は繊維方向に従った向きに速く伝わります。この特性に注目し、ボディのトップとバックに挟まれる材の繊維方向がボディ面に対して垂直になるように成形することで、ボディ内の振動伝達速度をアップさせサウンドの立ち上がりを飛躍的に向上させることに成功しています。またこの影響でサウンドがクリアになり、サスティンも向上します。

貼り合わせの多いこのSEB構造は、一枚板こそ至上とするいわゆる「単板信仰」を真っ向から否定しており、トーカイの「攻め」の姿勢を強く感じられる設計です。製造には高精度の技術が要求されますが、そのぶん価格が高額になりすぎるということがないためコストパフォーマンスが高く、スタジオミュージシャンなどサウンドにこだわるプレイヤーに愛用されています。

新しいものをどんどん取り入れる姿勢

東海楽器の技術者は時間外に自分の楽器を作ることが許されているどころか推奨されているといいます(国も時代も違いますが、セミー・モズライトがこっそり自分のギターを作ってリッケンバッカーを解雇された事と比べると興味深い話です)。

トーカイの特約店にはこうして作られたギターが破格で置かれることもありますが、このように従業員の創造性を刺激しやすい環境を作ることで、独創性のある製品を開発する体制ができているようです。

トーカイ・ギターのラインナップ

タルボシリーズ

Tokai Talbo Series

GLAYのHISASHI氏の功績により生産が再開された伝説的なアルミボディのエレキギター。アルミボディの特性により立ち上がりが早く、また長いサスティンを得る事ができます。現在ではカラーバリエーションのあるA-148SHと、同仕様ながらニッケルメッキ塗装で精悍なシルバーのA-165SHの2種類がリリースされています。

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SEBモデル

Tokai SEB モデル

木材の繊維方向に着目した独自構造のボディによって素早いレスポンスとクリアな響きを実現した、音のよさを追求したモデルです。カタログモデルではジェームス・タイラー風の外観を持つストラトタイプGSシリーズと、3種類のレスポールタイプ(LS:レスポールスタンダードタイプ、LSS:レスポールジュニアタイプ、LC:レスポールカスタムタイプ)がありますが、ボディ材を変更するなど仕様を変更したモデルも多く作られています。

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プレミアムシリーズ

Tokai Premium Series

レスポールやセミアコ、フルアコなど、ギブソン系のコピーモデルでありながら本家よりも高額なものもある、トーカイの粋を結集した最高級モデルです。トーカイのレスポールはサウンドとクオリティにおいて海外からの評価も高く、「トーカイといえばレスポール」とまで言われる程。一本一本日本国内でハンドメイドされています。

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ヴィンテージシリーズ

Tokai Vintage Series

ストラトやテレキャス、レスポールやES-335など、フェンダーとギブソンのコピーモデルを中心としたシリーズで、国内の工場でハンドメイドされていながら価格は10万円近辺といいう低価格が魅力です。

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コンテンポラリーシリーズ

Tokai Contemporary Series

伝統的なスタイルのギターを現代の感覚でアレンジしたモデルで、パーツやカラーリングなどが変更され、華やかな印象のあるシリーズです。

トラディショナルシリーズ

Tokai Traditional Series

中国の工場で生産される廉価版のシリーズで、やはりフェンダーとギブソンのコピーモデルで構成されていますが、ギブソン系のバリエーションが大多数を占めています。

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トーカイ・ギターの主な愛用者

HISASHI(GLAY、1972-、北海道出身)


GLAY STUDIO SESSIONダイジェスト

GLAYのリードギターとして活動するかたわら、いろいろなサイドプロジェクトも行っています。珍しいギターのコレクターとしても知られており、トーカイ的にはタルボ復活のきっかけを作った功労者。

ロバート・フリップ(Robert Fripp、ex:King Crimson、1946-、イギリス出身)


King Crimson Live In Offenbach, 7 June 2000

イギリスを代表するプログレッシブ・ロックバンド「キング・クリムゾン」の中心人物。改造レスポールを主に使用します。両足でエフェクタを踏み替えたりオルガンを弾いたりすることから、ロックでは珍しい常に椅子に座って演奏するスタイルでも知られています。

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