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ギブソン・レスポール・カスタム徹底分析!

ギブソン・レスポール・カスタム

「ギブソン・レスポール・カスタム(Les Paul Custom)」は、

  • 精悍なグロス(つやのある)ブラックのカラーリング(現在ではホワイト、サンバーストなども)
  • 高級感を演出する多層バインディング、ゴールドパーツ、白蝶貝(マザー・オブ・パール)のポジションマーク、ヘッドインレイ
  • 銘木であるエボニー(黒檀)を指板に採用
  • ワンピース・マホガニーから削りだしたボディ&ネック

というスタイルでレスポールをアレンジした高級仕様でした。
ルックス的には「タキシードに似合うギター」をコンセプトに、キリっとしたフォーマルな印象。エボニー指板は立ち上がりが鋭く硬質なサウンドになりがちなため、本来メイプル+マホガニーだったボディをワンピースのマホガニーに変更してバランスを取っています。

レスポール・カスタムの歴史

1952年に発表された「レス・ポール(Les Paul)」の高級仕様として、1954年に発表。「タキシードに似合う」というコンセプトにあるように、最初はジャズ向きのギターとして開発されました。ベースとなったレスポールに「スタンダード」の名前がつけられるようになったのは1958年からで、このカスタムや同じく1954年に発表されたエントリーモデル「レス・ポール・ジュニア(Les Paul Jr.)」との区別のためだと言われてます。また、レスポールタイプのブリッジをして定着している「チューン・O・マチック」はこのカスタムで初めて採用され、以後のレスポールに継承されていくようになりました。

レスポール・カスタムの特徴

「ブラック・ビューティー」

黒いレスポール・カスタムには「ブラック・ビューティー」という愛称があります。これは本来、トーン回路に搭載されていたコンデンサ(キャパシター)であるスプラグ社製の「160P 0.47μF/400v」、通称「ブラック・ビューティー」が由来です。しかし1954年に発表された当時のカラーリングは艶のあるブラックのみであり、漆黒のエボニー指板、深く滑らかなアーチを描くボディ・トップの美しさのもあいまって、今ではこの楽器自体に相応しいニックネームだとして定着しています。

このコンデンサ「ブラックビューティー」には中低域がブーミーにアウトプットされる特性があり、現代でも高価ながら新品が手に入ります。またこれを忠実に再現したコピーモデルも生産されています。カスタムに限らずギブソンギターのトーン回路はポット(可変抵抗)の前段にコンデンサが配置されていますが、ポットの後段にコンデンサが配置されているフェンダーよりも、コンデンサの影響がサウンドに反映されます。コンデンサに何をセレクトし、どう配置するのかは、エレキギターの開発/改造においてマニアックながら重要なポイントになっています。

「ブラック」へのこだわり

gibson-lespaul-custom

エレキギターにおけるボディトップの高級感というと「メイプルやアッシュなどの模様の美しい木目」や「スプルースなどの真っすぐで均一な木目」を連想するのが現代の感覚です。しかしながらピアノに代表される、全面「艶のあるブラック」もスタイリッシュな高級感を醸し出す要素であり、それゆえ当初のレスポール・カスタムは黒一色でした。もちろんマホガニーの木目に高級感を感じないというのも理由の一つではありますが、後から開発されたメイプルトップの仕様であっても、美しいフレイムメイプルを塗りつぶしてしまうことがありました。

1968年以降のモデルではブラックに対するホワイト、メイプルトップを活かしたサンバーストなどカラーリングが多様化します。ランディー・ローズがトレードマークにしたホワイトなど人気がありますが、今なおレスポール・カスタムといえばブラックという印象が強いようです。

エボニー(黒檀)からリッチライトへ

メイプルトップのモデルがある今、レスポール・カスタムとスタンダードの材質的な違いは指板材のみになっています。カスタムに採用されていたエボニーは「濃淡のはっきりした、鋭く澄んだ音色」と言われます。しかしながらこのエボニーは現在入手がとても困難であり、世界中にギターを供給する巨大メーカーとして十分な量を安定的に確保する事が出来なくなっています。エボニーの指板材は「L-5」や「Super 400」などアーチトップの高級モデルに優先的に回されており、現代のレスポール・カスタムでは「リッチライト」という人工木材が採用されることとなりました。

リッチライトはパルプ繊維とフェノール樹脂を圧縮して作りますが、カスタムに採用されているものは演奏性、サウンドともにエボニーと区別が全くつかない水準を実現しています。人工素材だからこそ個体差(いわゆるハズレ)のない、またオイルメンテをしなくても乾燥などで割れる事のない、しかも普通のエボニー同様にフレットの打ち替えやネック調整に耐えることができるという、現場でガンガン弾いていく楽器に相応しい性能があります。また価格が抑えられるということで利点だらけです。一方本物のエボニーを使用しているものも少数ながら生産されいていますが、かなり高値になっています。

現代の仕様

ギブソン・レスポール・カスタム

2004年以降、レスポール・カスタムは通常の生産ラインから外れ、カスタムショップでのみ生産されています。カスタムショップゆえのクラフツマンシップにより、アーティスト使用モデルを忠実に再現したものや、時代ごとの仕様を再現したものなど、カタログに掲載されないプレミアムなレスポール・カスタムが作られています。
ヴィンテージギターの再現というコンセプトで作る事もあり、新品である「グロス(つやつや)」から「V.O.S.(ちょっとくすんでいる)」、「エイジド(打痕やクラック、錆がある)」、「ヘビーエイジド(本物通りのサビやクラックを再現)」まで、フィニッシュやパーツを加工して経年変化と使い込んだかのような雰囲気を演出します。

使用ギタリスト

ランディ・ローズ(Randy Rhoads)

オジー・オズボーンの盟友だった美形のギタリスト。クラシックをバックボーンとしたプレイスタイルには今なおフォロアーが多くいて、事故により若くして亡くなったのが惜しまれます。トレードマークにしているのは70年代初頭(74年と言われています)に生産された白いレスポール・カスタムでした。この時代は良質な木材が無くなってきたことからネック及びトップのメイプルは3ピース(「川」の字)、マホガニーバックは「パンケーキ」と呼ばれる貼り合わせでしたが、ランディの奏でるサウンドから、貼り合わせて作った楽器でも1ピースのマテリアルに劣ることはない、ということがわかります。
ランディ・ローズ

マーク・ボラン(Marc Bolan)

「Get It On」、「20 Century Boy」など数々のヒットで知られるグラムロックの代表「T-REX」のマーク・ボランのレスポールは厳密にはカスタムではなく、スタンダードのボディにカスタムのネックを差した改造レスポールでした。しかしながら現在では同様の仕様がレスポール・カスタムとして生産されており、またカスタムショップからこのレスポールを忠実に再現したモデルが作られた事がありました。

鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ)

シーナ&ザ・ロケッツは1978年のバンド結成から一切のブランクもなく活動を続けている、日本の大御所ロックバンドです。このバンドのギタリスト鮎川誠氏のトレードマークとなっているのが69年製の黒いカスタムで、ボディについては2ピース・メイプルトップ、1ピース・マホガニーバックといったスタンダード同様の仕様です。エボニー指板により「タイトなロックサウンドに最適」と評される68年をベースとして、69年モデルはヘッドが若干大きくなり、3ピースネックになっています。