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コレで、「F#分のD」と読みます。「D/F#」はそのまま「F#分のD」とも、「DオンF#」とも読みます。
やたら長いコード名とか、意味のわからないコード名って、困りますよね。今回はそんなコードの代表格「分数コード(オンコード)」に注目していきましょう。ざっくりルート音とは別のベース音を使用するコードのことです。上の画像にあるように、コードとベース音を分数のように書いたことから「分数コード」と呼ばれます。現在ではPCやスマホで分数が表記しにくいことから「D/F#」とスラッシュを使ったり、「オンコード」と称して「D on F#」と英語表記したりするのが多数派です。
たとえばピアニストが右手でコードを鳴らしていて、左手で違うベース音を弾きたくなっちゃった時、あるいはいろいろ探っているうちに新しい響きを発明してしまった時、その響きを表記するため分数コードが使われます。どんな使われ方があるのか、代表的な用例をちょっと見てみましょう。
「クリシェ」は、コード進行の中で構成音を滑らかに下降/上昇させる、アレンジのテクニックです。分数コードは、ベース音でこのクリシェを作るのにとても便利です。
例)G、D on F#、Em、Em on D、C、G on B、Am
古くから特にバラードで使われることの多いベースラインクリシェです。ベース音がG、F#、E、D、C、B、A(ドシラソファミレ)と音階に従って滑らかに下降しています。
例)C on E、F、D on F#、G、E7 on G#、Am
ロック系などでじわじわと盛り上げたい時に使われるベースラインクリシェで、ベース音がEから半音ずつ上昇しています。
「ペダル」はコードが進行しても同じ音を鳴らし続ける、アレンジのテクニックです。名前はピアノのサスティンペダルに由来します。
例)C、D onC、Bm7、Em
特にポップスで多用される使われ方で、コードはCからDに上がっているのにベースがCを維持することで、ふわっと浮き上がったかのような響きが得られます。「いったいどこにドミナント進行があるのだ?」と言いたくなりますが、D onCはD7(V7)の並べ替え、Bm7はG(I)の代理で、立派にドミナント進行が成立します。
例)Em、D onE、C onE、Bm onE
コードが変わっていくのにベースはずっとEを連打することで、独特の緊張感が生まれます。6弦開放をズバズバ連打しながら4弦5弦のパワーコードを弾くなど、メタルリフでも活用される進行です。
例)Am7 onD、C onD、C onBなど
これらはコード進行の中で使われることもありますが、特にAm7 onDやC onDなど「sus4」系のサウンドを持つ分数コードは、ソウルやファンク、R&Bなどで単体のコードとして4小節またはそれ以上続けて使用されることもあります。Am7 onD(構成音はDACEG)を無理やり単体のコード名に直すと「D7sus4(9)」となり、C onD(構成音はDCEG)では「D7susa(9)omit 5th」、またC onB(構成音はBCEG)では「B(b9,11,b13)omit 3rd,5th」となって、読みたくなくなっちゃいます。
楽譜に押さえ方が書いてあればラクチンですが、いつでもそうだとは限りませんね。では分数コードに対して自力で対処する方法を考えていきましょう。究極的には「必要な構成音が鳴るようにどうにか工夫する」ことになるのですが、基本的なコードのフォームを加工すれば、比較的ラクチンに分数コードを押さえることができます。なおバンドアンサンブルでは、ベース音をベーシストやピアニストに任せ、自分はその上に乗るコードを弾く、あるいは上のコードをキーボードなどに任せ、自分はベース音だけ弾く、という逃げ道もあります。
指一本しか使っていないが、「C onD」の構成音(D,C,E,G)がしっかり入っている。
分数コードの作り方は、基本となるコードの押さえ方を出発点に押さえ方を改変します。ベース音を追加するだけではなく、目的のベース音が一番低くなるように、鳴らす弦を減らすこともあります。
1弦と5弦は人間の骨格上押さえることができない。しかし、これで必要な構成音はすべてカバーしている。
ベース音との組み合わせによっては、何本か弦を鳴らなくした「省略形」を利用する必要があります。ギターは6本の弦を4本の指で押さえる楽器なので、コードの押さえ方は各弦のチューニングや人間の骨格に縛られます。無理に指を開いて関節を痛めないよう注意しましょうね。
分数コードのパワーコードはBb on AbならAbだけ、C onDならDだけのように、ベース音だけ弾くのが王道です。しかしD onF#やG onBのような「3rdベース」と呼ばれる分数コードの場合は、ベース音の上にコードのルートを乗せてパワーコードを作ります。
いろいろな分数コードのダイアグラムを参考に、実際に分数コードを鳴らしてみましょう。ダイアグラムの画像をタップすると、正しく鳴らした時のサウンドを確認することができます。
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