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「クリップチューナー」は、ギターのヘッドに取り付けるタイプのチューナーです。現在では安いものも多くなってきましたから、エレキギター初心者セットに組み込まれることも多く、初めて手にするチューナーがこのタイプだったという人も多いことでしょう。
シールドでつながなくてもよいこともあって、日常的な練習には最も理想的なチューナーだと言えます。今回は、そんなクリップチューナーに注目してみましょう。
KORG AW-OT Series Tuners – The first ever tuner with OLED technology
クリップチューナーの歴史は、2004年に発表されたKORG(コルグ)の「AW-1」に始まります。AW-1は当時「チューナーとして世界最小」でもありました。それから10年以上を経た現在、クリップチューナーの性能はかなりのところまで来ており、低価格化も進んでいます。
クリップチューナーは、楽器の振動を直接拾うことで音程を判別します。一般的な取り付け位置はギターやベースのヘッド部分です。ペグの近くに挟み込むと、弦の振動が効率よく伝わり、チューニングの反応が安定します。
コツとしては「しっかり固定すること」と「ディスプレイが見やすい角度に調整すること」。演奏姿勢のままチューナーの表示が確認できるように配置することで、ストレスなくチューニングできます。
クリップチューナーのメリットは、
など、良いことずくめです。
ギターのヘッドに付けっぱなしでも良いので、シールドをつなぎかえる必要がなく、気が付いたらすぐにチューニングすることができます。かさばらないし、仮に何かがあっても買い直すのは比較的簡単です。
他の音が鳴っていてもチューニングできるというのは、大きなメリットになります。「チューニングにはスマホのアプリを使う」という人も、現在では多く見られます。
しかしその場合、スマホにギターの音を聞かせるために周りが静かでなければなりません。「となりで誰かが話しかけてきても、平気でチューニングできる」というクリップチューナーの大きなメリットは、自宅練習でもバンドのリハーサルでも実感することができるでしょう。
メリットの多いクリップチューナーですが、その逆も考えてみましょう。
クリップ部分はプラスチックでできているのが普通なので、使っているうちに関節が破損することが、また荷物の中で圧力がかかって割れてしまうことがあります。小さいものなので、おっちょこちょいな人は失くさないように保管場所を決めておくといいでしょう。
ライブ会場などあまりに音が大きい現場では、周りの音が楽器に伝わってしまって使えないことがあります。その時は楽屋に逃げ込むなど、静かな所に行けば問題ありません。
楽器の振動にクリップチューナー自身が共振して、「ビビビッ」と音がすることがあります。また、取りつけたところがたまたま響きの伝わりにくいポイントだった場合に、検出が鈍くなることがあります。しかしいずれの場合でも、取り付けるポイントをずらせばだいたい大丈夫です。
クリップチューナーを付けっぱなしでライブ演奏するギタリストも、最近多く見られるようになりました。しかしステージで暴れるならば、外しておいた方が良いでしょう。ギターのヘッドには遠心力がかかりますから、何かの拍子に床やお客さんに向かって飛んで行ってしまうこともあります。
ヘッドレスギターでも.strandberg*(ストランドバーグ)のギターでは、ヘッド部にクリップチューナーのしがみつく余地が残されています。しかしSTEINBERGER(スタインバーガー)のギターにその余地はなく、ストラップピンやコントロールノブといった部分に取り付けるなど、苦しい使い方になります。
クリップ・チューナーを選ぶポイントを「初級」「中級」「上級」に分類して紹介していきます。
今やクリップチューナー市場には数多くのブランドが参入しており、群雄割拠の様相を呈しています。いろいろ特徴的な製品も多くリリースされていますが、特にこの製品はだめだ、というものはなく、「ギターチューナー」と書いてあったらギターのチューニングができます。
細かいことにこだわらない人は、「現代の三大チューナーメーカー」
に絞って、フィーリングで決めてしまってもいいでしょう。「せっかく買うんだから、ある程度の吟味はしたい」という人は、以下のポイントでチェックしてみましょう。
プロの現場でも使われることがある標準的なクリップチューナーは、だいたい売値で2,000円~3,000円あたりです。この価格帯のものは「チューニングモード」の切り替えや変則チューニング/ダウンチューニングへの対応、「キャリブレーション」変更など機能が充実しており、反応速度も充分です。
これより安いものは、使える機能を絞ったベーシックなものが多くなります。しかし機能が絞られているだけで性能が劣るわけではありません。
たとえば1,000円近辺の定番チューナー「Pitchclip(コルグ)」はたいへんシンプルなクロマチックチューナーですが、そのぶん反応が速いのでストレスなく使えます。逆に安くても多機能なものはメーカーがかなり頑張っていますが、引き換えに反応速度は許せる範囲くらいにとどまります。
高額なものは機能や精度、スピード共に優れたものになります。高額なクリップチューナーの定番「polytune clip(TCエレクトロニック)」は、弦6本を一度にチューニングできる「ポリフォニック・チューニング」と「ストロボ・モード」による超シビアな高精度チューニングの両方ができる高性能ぶりで、反応もクイックです。
「チューニングモード」は、チューナーがどのように振動を検出するかを表します。クリップチューナーでは、
の二つが標準で、両方を切り替えられるものも、どちらかのみのモデルもあります。
チューナーを始めて使うという人は、まずこのモードのどちらかを使えるようにするといいでしょう。
高機能なものでは、
これらのモードを使用できるモデルが、クリップチューナーという分野でも出現しています。こちらは超スピードでチューニングを終わらせたい、または超精度でビシっとチューニングしたい人向けです。
チューニングモードについては下記リンクを参照してください。
チューニングモード(チューニングの仕方) – ペダルチューナーおすすめモデル
左:CR2032(KORG Pitchclip 2)、右:単4電池(KORG AW-OTG)
クリップチューナーを選ぶ際に意外と見落とされがちなのが電池タイプと持続時間です。一般的に、クリップチューナーは「コイン型リチウム電池(CR2032など)」か「単4電池」で動作します。
コイン型リチウム電池は単4電池と比較して電池寿命が短く、交換のために予備を常備しておく必要があります。
また最近はUSB充電式のモデルも登場しており、環境負荷が少なく経済的です。
普通にロックやポップスを演奏するぶんには気にしなくて良い「キャリブレーション」ですが、活動の幅が広がっていくと、そういうわけにもいかなくなります。
キャリブレーションについて詳しく – ペダルチューナーおすすめモデル
キャリブレーション変更ができるクリップチューナーの多くは「CALIB」と書かれたボタンを押して操作します。
このボタンはたいがい見えにくいところにあるんですが、コルグの「Sledgehammer」シリーズや「AW-LT100G」は右手側のシャトル・スイッチで操作するので、ロックバンドと吹奏楽部を行き来するなど、頻繁にキャリブレーションを変更する人にとっては大変使いやすくなっています。
標準的なクリップチューナーのチューニング精度は「±1セント」で、ライブの時に重宝するペダルチューナーと同じです。高品位モデルでは「±0.5セント」や、「±0.02セント」といった、超高精度のチューニングを可能にしたものもあります。
シビアなチューニングに慣れると耳が育ちますし、耳コピもはかどります。しかしそれだけチューニングの作業に時間がかかりますから、ライブ中などでは標準的な精度のチューニングが使えた方が便利なことがあります。
セントについて詳しく(チューニングの仕方) – ペダルチューナーおすすめモデル
技術の進歩というものは今なおすさまじく、現代ではどんな価格帯のクリップチューナーでも反応速度にストレスを感じさせません。たいがい弦を弾いた瞬間に反応するのが普通です。
チューナー業界に革命を起こした世界初のクリップチューナー「AW-1(コルグ。2004年)」は名機でしたが、現代の感覚ではストレスを感じることでしょう。
現代のクリップチューナーにおいて、スピードの決め手は「低音弦への反応」です。特に弦が古くなってくると、6弦への反応が鈍ることがあります。この場合「12フレットのハーモニクスでチューニング」という技が使えますが、日常的なチューニングではそれでも面倒に感じてしまいます。
7弦以上の多弦ギターやベースを弾くことがある、またはダウンチューニングするという人は、ちょっと頑張って最新かつ高品位のクリップチューナーを選ぶと良いでしょう。
この反応速度に対して、各メーカーは表示しないのが一般的です。低音弦への反応が良いチューナーを検討するには、ショップなどで検証するか、口コミを聞きあさるか、といった手法に頼ることになります。
では、山のようにリリースされているクリップチューナーからおすすめモデルをピックアップしていきましょう。
便宜上「初級向け」から「上級向け」までランク付けしていますが、始めたばかりの人が「中級向け」や「上級向け」のクリップチューナーを手にしてもまったく問題ありません。
初級向けのクリップチューナーは、「低価格」「シンプルな操作や機能」という基準でセレクトしています。
クリップチューナーは壊したり失くしたりする可能性を否定できないものですから、低価格モデルを起用する意義はじゅうぶんにあります。メイン機に何かがあった時の備えとしても、頼もしい存在です。
中級向けのクリップチューナーは、「標準的な価格」「キャリブレーション変更ができるクロマチックチューナー」という基準でセレクトしています。
クロマチックチューナーはカポタストを使用したり変則チューニングを試したりする時には欠かせないし、チョーキングの音程をチェックするのにも有効です。
上級向けのクリップチューナーは、「売価が5,000円以上」「スタンダードな『針式クロマチック』以外のチューニングができる」という基準でセレクトしています。高価格なモデルは設計の自由度が高く、画面の見やすさはもちろんさまざまな機能が充実しています。
「自分の使い方」を心得ている人に向け、目的に合わせて機能を選べる多機能モデルばかりでなく、高精度チューニング一本に絞ったこだわりのモデルもあります。
以上、「クリップチューナー」をテーマに様々なことをチェックしていきました。日常的な練習からリハーサル、レコーディングまで、また暴れないならライブステージでも活躍する頼もしいアイテムです。一軍のチューナーとしても、控え選手としても、ぜひ一個持っておいてください。
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