Gretsch G6136 ホワイトファルコン

[記事公開日]2018/7/18 [最終更新日]2025/8/3
[編集者]神崎聡

ホワイトファルコン G6136T-59 Vintage Select Edition ’59 Falcon

Gretsch G6136 White Falcon(ホワイトファルコン)は、世界一美しいギターとも称される、グレッチ・ギターの中でも最も高価な最上位グレードのギターです。白一色・ホワイトカラーのボディとゴールドパーツという豪華絢爛なヴィジュアルだけでなく、その独特のサウンドに多くのギタリストが魅せられました。

ゴージャスなゴールドパーツ、眩いばかりのホワイト・フィニッシュ、Vシェイプのファルコン・ヘッドなど、細部にまで芸術的なこだわりを持って作られたパーツには神々しさすら感じられます。美しい純白から適度にあせて味のあるクリーム色まで、ゴールドパーツはくすんでしまったりメッキがはげてしまったりすることもありますが、それもまた渋く、わざとエイジングする人もいるほどです。

ホワイトファルコンの特徴

美観への強いこだわり

ホワイトファルコンのヘッド G6136T-59 Vintage Select Edition ’59 Falcon:ヘッド部分

グレッチ・ギターの中でもとりわけフルアコのホワイトファルコン(及びセミアコのホワイトペンギン)が「最も美しい」と言われるのは、古き良きアメリカの高級車キャデラックを思わせる、意匠を凝らした外観によります。このシリーズだけの「Vシェイプヘッド」によって、シルエットだけでもホワイトファルコンだと判別できます。

金属パーツはピックアップからネジに至るまで徹底してゴールドで、ペグはボディやネックのバインディング、トラスロッドカバー、ヘッドのブランドロゴにはゴールドのラメがちりばめられており、ゴージャスな雰囲気が演出されています。コントロールノブには設定の目安になる赤いドットが打ってあり、可愛らしさも感じさせます。

キャデラックテールピースを搭載した G6136-55 Vintage Select Edition ’55 Falcon

ゴールドのビグスビーが搭載されるのが標準ですが、トレモロレスモデルのテールピースは「キャデラックテールピース」と呼ばれる、アメリカの高級車キャデラックで使われていたエンブレムをかたどった、このシリーズ専用のデザインのものが採用されています。

17インチボディが力強く主張する、グレッチの「あの音」

ホワイトファルコン・ボディ G6136T-59 Vintage Select Edition ’59 Falcon

グレッチのフルアコモデルは共通してメイプルボディ/ネック、エボニー指板という仕様です。ボディ形状とピックアップのバリエーションによって、モデルごとのサウンドキャラクターが付けられていますが、その全てがきれいに減衰するサスティンによってコードが美しく響くよう方向づけられており、カントリー、ウェスタン、ロカビリーに特化しています。

ホワイトファルコンは、6122カントリージェントルマンと同じ17インチ(432mm)サイズでありながら、さらに厚みも2.75インチ(70mm)あり、グレッチのラインナップ内では最大のボディサイズです。それだけ力強い鳴りと甘いトーンが得られますが、そのぶん弾きこなすのにはなかなか大変だと言われます。
現在ではややサイズダウンしたモデルもリリースされており、バリエーションが豊富になっています。

ホワイトペンギンとの違い

ホワイトファルコンとホワイトペンギン 上:ホワイトファルコン G6136T、下:ホワイトペンギン G6134

ホワイトファルコンと並んで「最も美しいギター」と称されるホワイトペンギンはデザイン的に多くの共通点がありますが、ホワイトペンギンはジェットシリーズと同様の小振りなボディサイズで、マホガニーのセミホロウボディとなっており、タイトかつファットなトーンになっています。

関連記事:
Gretsch G6134 ペンギン・シリーズについて

ホワイトファルコンの主な使用ギタリスト

ニール・ヤング


Neil Young – Ohio (Live at Farm Aid 25)

ニール・ヤング氏は1960年製など数本のホワイト・ファルコンを所有し、バッファロー・スプリングフィールド時代後期の1968年頃から使い始めていました。その後、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュ、デヴィッド・クロスビーらと組んだCSN&Yにおいてもそのサウンドを聴かせており、名盤『デジャ・ヴ』などで体験できます。

スティーヴン・スティルス

ヤング氏と同じく、スティーヴン・スティルス氏もホワイトファルコンの愛用者です。 CSN&Y 『デジャ・ヴ』のほか、同バンド解散後に組んだマナサスでも使用され、特に1st、2ndでそのサウンドが聴ける。近年発売されたマナサスのライブDVD 『ベスト・オブ・ミュージック・ラーデン』でも、フェンダーのアンプ群を背に、ホワイト・ファルコンを抱えてカントリー・フレーバー溢れるリックを披露しています。

ブライアン・セッツァー

グレッチ・ギターの愛用者として、またネオ・ロカビリー・ブームの火付け役としても有名なブライアン・セッツァー氏もホワイトファルコンを使っています。 アルバムで使われたかどうかの確証はありませんが、1992年に発売されたストレイキャッツの『CHOO CHOO HOT FISH』のジャケットで、1956年製のホワイトファルコンを持つセッツァーを見ることができます。

ジョン・フルシアンテ


Red Hot Chili Peppers – Californication – Live at Slane Castle [HD]

Red Hot Chili Peppersの元ギタリストであるジョン・フルシアンテ氏が演奏するホワトファルコンは、彼の腰よりも低く構えられ、ブライアン・セッツァー氏のグレッチとは全く違う楽器のような印象すら受けます。やはりコードの美しい響きを印象づけたい曲に使用されることが多いですが、フルシアンテ氏はこのホワイトファルコンでギシャギシャに歪ませることもあります。

ホワイトファルコンのラインナップ

G6136ホワイトファルコンはその名の通りホワイトのフィニッシュが特徴ですが、モデルごとに

  • 真新しさを感じさせる純粋な「ホワイト」ウレタンフィニッシュ
  • 経年変化を思わせる「ヴィンテージ・ホワイト」ラッカーフィニッシュ

の二つが決められています。またブラックのフィニッシュでゴールドパーツの「ブラックファルコン」、シルバーパーツの「シルバーファルコン」といった派生モデルもあります。

関連記事:
「Falcon(ファルコン)」シリーズのギター

トレモロレスモデルには特徴的な「キャデラックテールピース」が、ビグスビー搭載モデルにもテールピースのデザインにはバリエーションがあります。またブリッジにはシビアなオクターブ調整を道具を使わずにできる「シンクロソニック・ブリッジ」と、弦の間隔を調整して弦をピックアップのポールピース上に合わせたりプレイヤビリティを自分に合わせたりできる「スペースコントロール・ブリッジ」の二つがあります。

サウンドの要となるピックアップには、

  • シングルコイルの「ダイナソニック」
  • グレッチの代表的ハムバッカー「フィルタートロン」
  • 高級ハムバッカー「TVジョーンズ」

の3種があります。

特徴である大きなボディサイズを縮小したモデル、ダブルカッタウェイモデルもラインナップされています。

トレモロレスモデル

ホワイトフィニッシュ

ヴィンテージ・ホワイトフィニッシュ

ラッカーのヴィンテージ・ホワイトフィニッシュのモデルには細かな仕様の違いがあります。

ダブルカッタウェイ・モデル

ボディをサイズダウンしたもの

現行ラインナップとは異なるスペックのFSR(ファクトリースペシャルラン=限定版)モデルとして、ボディサイズを抑えて弾きやすくしたホワイトファルコンがリリースされています。

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