LACCO TOWER細川大介氏インタビュー《レフティギタリストへの転身、そしてベストアルバム「絶好」の発売》

[記事公開日]2022/12/10 [最終更新日]2022/12/10
[ライター]林慶一郎 [撮影者]益若賢人 [編集者]神崎聡

群馬を代表するバンドの1つである「LACCO TOWER(ラッコタワー)」のギタリスト「細川大介」氏は今年の7月にジストニア(身体が意思とは関係なしに動いてしまう不随意運動)を発症していたことを告白し、レフティギタリストへの転身も各方面の音楽シーンに衝撃を与えました。そして今年12/7(水)にオールタイムベストアルバム「絶好」をリリース。今回、細川氏のご協力のもとレフティギター、ベストアルバムを中心にインタビューを行わせていただきました。

PROFILE

中学生の時にLUNA SEA、GLAY、L’Arc-en-Cielなどのロックバンドに憧れギターを始める。
20代の頃からギター講師や、サポートミュージシャンとして活動。
2013年に「LACCO TOWER」に加入して以来、バンドになくてはならない存在として現在も活躍中。
2022年7月にジストニアの発症、レフティギタリストへの転身を発表。

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ギターを始めたきっかけやLACCO TOWER加入の経緯は前回の記事でご確認ください。
「LACCO TOWER」ギタリスト細川大介インタビュー

毎日のルーチン練習とギターを長く続けるコツ

──本日はどうぞ宜しくお願い致します!

細川大介氏(以下、敬称略) こちらこそよろしくお願いします!初めてギタリストとして大きく特集を組んでもらったのがギター博士で、とても思い入れがあるサイトさんだったので今日はめちゃくちゃ嬉しいです!

──こちらこそ嬉しいお言葉、ありがとうございます!では、早速ですがインタビュー始めさせていただきます。

──ジストニアを発症してから現在までの経緯は私も「告白」を読ませていただき、非常に感動しました。そこで1つ気になったのが今現在、右手では全くギターは弾いていないのでしょうか?

現在、細川氏が抱えているジストニアについては本人による「告白」をお読みください。
猟虎塔~LACCO TOWERオフィシャルファンクラブ~

細川 右手でも弾いていますよ。ライブなどバンド活動は続けないといけないので、まだ歴で言えば1~2年程の左手ではLACCO TOWERの全ての曲を弾くのは難しいんです。例えばワンマンライブで20曲演奏するとしたら15〜6曲ほどは右手で、残りの4〜5曲は左手で演奏しています。段々と右手から左手に移行している感じですね。

──なるほど。レフティギタリストとしてどんな練習をしていますか?毎日のルーチンなどあればお聞かせください。

細川 レフティを始めた当初はひたすらコードを弾いてましたね、アコースティックギターで。闇雲にコードを弾くというよりも、目的を絞ってまずはキーがCのダイアトニックコードを弾ける様になろうと思って、Cが難しかったらCmaj7にしたりとか、音が出るようになるまでは毎日コードを弾いていました。練習っていうよりかは日々の暮らしの中で触ってるっていうような感覚が大きいかもしれないですね。例えばアニメ見ながら弾いてたりとか。でもその代わり時間はすごく取ってて、それこそコード弾きだけで6時間とかやってましたね。

──それは相当長くやってますね!

細川 当初からそのぐらいやってましたね。少し弾けてきたらコード弾きをやりつつ、基礎練習もやっています。時間は1時間くらい取って、それぞれの指が独立して動かせる様になるための練習です。運指練習とスケール練習とかをメトロノームをつけてやっています。例えば運指練習だったら基本は人差し指、中指、薬指、小指と順に押さえてくんですけど、薬指と小指の順番を変えて、とか。それと、、結構マニアックな話なのですが、メジャースケールのスリーノートパーストリングっていうスケールを使いながら、6連譜の練習をオルタネイトでやったりとか、あとは1弦だけダウンピッキングしながらメジャースケール弾いてみるとか、逆にアップピッキングだけで弾くとかみたいなのをウォーミングアップとして1時間程やっています。

──特に初心者の方だとコード弾き練習から運指練習に行くまでは時間がかかりそうですが、細川さんはいかがでしたか?

細川 最初はコードを弾く時間が長いんですが、運指練習を全くやらない訳ではなくて、ちょっとずつ時間を増やしていきました。練習内容もすごいゆっくりなテンポでダウンピッキングだけとか、僕の場合、左手のストロークも難しかったので単音だけ押さえてひたすら弾くっていうのもやっていました。特にギターを始めたての頃は練習しようと思うと練習できないというか、、気持ちの問題なのですが、やっぱり辛くなっていっちゃうんですよね。練習ってどんなにギターが好きでも大変なんです。それをいかに辛くさせない様にやるのかっていうのは、「ながら」で弾くってことなんですよ。さっきも言いましたが、例えばアニメを見ながらとか、6時間見ると決めたらずっと見てるんですけど、その代わりギターも弾いてるっていう。

──それで練習が嫌にならない、逃げ道を作っておくっていうことですね。

細川 そうですそうです。あと、僕はフィジカルの練習とメンタルの練習を思いっきり分けて考えていて、例えばスケールをしっかり覚えるっていう時はやっぱり他の情報が入ってきて欲しくないんですね。だからその時はアニメは消してこの時間まではスケール練習するっていうのはやるんですけど、指の練習とかコードとかをどれだけ綺麗に鳴らせるかとかはフィジカルの話になってくるので、そこまで集中しなくて良いと判断してます。曲をコピーするにしても、まずイントロをコピーしたらアニメ見ながらずっとイントロだけ弾いてるんです。反復練習ですね。できたら次はAメロ、Bメロ、サビ、という感じで。ある程度できたらアニメを止めて集中して1曲通して練習します。で、またアニメを見ながら同じことをやっていきます。こうすると長時間でも練習できますね。

──ちなみに集中する時間はどのくらいですか?

細川 続けては1時間くらいですね。僕は今、1日で大体8時間くらい練習しているんですけど、その中で集中している時間は合計2時間くらい?多分残りの6時間はダラダラやっているっていうか、、それが長く続けるコツなんじゃないかなと思うんですね。だんだん上手くなっていくと集中する時間って増えていくと思うんですよ。なんでかって言うとフィジカルの練習しなくて良くなるからで、その時間でCDを聴いたりとか、休憩時間に使うこともできると思います。ただ、僕は今、初心者と同じ状態で、簡単に言うと力をつける作業が必要なのでそっちに長い時間をかけているということですね。

──今はフィジカルの方が大事ということですね。

細川 ギターをやる時は集中して「ながら」はダメとかって言う方もいると思うんですけど、初心者には優しくないなっていうか。もっともっとラフな感じで、常にギターを抱えているのが嫌にならない状態を作った方が圧倒的に上達すると僕は思っています。だから僕はご飯食べたり、お風呂入る時以外はずっとギターを触っている状態です。元々ギター講師をしていたので、やっぱり練習が辛いと言う声を良く聞いていて、何で辛いのかな?とかどうやったら辛くないのかな?とか考えたんですよね。で、僕は元々練習を辛いと感じなかったタイプなので、明確な解決策を出すのが難しかったんですけど、一つの答えとしては「ご褒美」かなって。アニメ見ながらギター弾いていいよってなったらアニメ好きな人には、それはご褒美じゃないですか?親とかにもアニメばっかり見て!って言われてもギターも練習してるからって言えるし、そしたら続けられる人が増えたんですよね。

──指導者としてもさすがですね!

細川 今は逆に自分が自分の指導者になっている様な感覚です笑 右手の時は練習が辛い感覚が無かったから余計感じるんですが、レフティになった最初はめちゃめちゃ辛くて、、これだけ弾けなかったら嫌になるよなーって。いつまでも弾けないし、ストレスも溜まるし、才能無いんじゃないかって思っちゃいましたね。それで練習方法が違うんじゃないかって思って、このやり方に変えたら圧倒的に良くなったんですよ。

──生徒さんに行っていた指導方法がご自身にもマッチしたと言うことですね。ちなみにご自身のバンド以外の曲をコピーして演奏したりはしますか?

細川 めちゃめちゃやりますよ!ぶっちゃけラッコの曲より多いかもしれない笑 弾いていて面白いのはやっぱりGLAYさんとか。GLAY、LUNA SEAは僕の原点だから右手だったらほとんどの曲を弾けるので、左手でも思い出しながら弾けるのでたくさんコピーしています。コピーって基礎練習とかより楽しいからこれも一種のご褒美みたいなものなので、あと他には今までやってこなかったやつとか。Maroon 5、The Policeとか、邦楽だったら「THE BACK HORN」もめちゃめちゃ弾いています。幅広くやろうと思って家は譜面だらけです笑 僕はコピーする時はYoutubeの動画を見てコピーするよりバンドスコアの方が好きですね。

──モチベーションにも繋がる話ですね!

細川 モチベーションって大事ですよね!変な話、レッスン行くのってモチベーション上げるためなんですよ。だからおすすめはレッスンに通うなら週1で。レッスンに通って上手くなるというよりも、1週間ギターのことを考えなきゃいけない状況に持っていくことが大事で、これが月1だとモチベーション保てないですよね。定期的にモチベーションを上げる何かを持っておくのが大事ですね。僕の場合、好きなギタリストの映像とか好きなアーティストのライブビデオとか、とにかくモチベーションを維持出来るスイッチをたくさん用意しています。一時期やっていたことなんですけど、NHKのドキュメンタリーでB’zの松本さんがツアー合間の休日にホテルに1人で篭ってカップラーメン食べながら8時間くらい練習している映像があって、それをいつでも見られる状態にしていました笑 めちゃめちゃマニアックですけど自分のモチベーションにすごい繋がったんですよね。ちょっとでも怠けたいなと思ったらそれを見て松本さんに怒られてっていう笑 他にはトイレにエドワード・ヴァン・ヘイレンのインタビュー記事置いてたりとか、自分が甘えちゃう性格って分かってるから常に色んなところに用意していました。僕は自分のことを天才とは思っていなくて、凡人の僕がどうやって天才達に対抗できるかっていうのを本気で考えてみたんですよね。僕と同じタイプの人もいると思うので、みんなにも実践して欲しいです。

──先ほどレッスン受けるなら週1でというお話がありましたが、週や月でのルーチンなどはありますか?

細川 昔は結構細かく決めていて、月曜日はこのメニュー、火曜日はこのメニュー、、筋トレみたいな感じです笑 でも今はそのやり方はやめて自分自身に今日は何をしたいかを問いかけて、そこから始めています。もちろん基礎練習はやるんですが、例えばその日、何かしらの曲をコピーしたとして、ダウンピッキングの音が良くないなと思ったら、その日はダウンピッキングを中心に練習するメニューを作って実践します。それでもダウンピッキングが納得いかなかったらそれを1週間メインの練習として続けたりとか。テーマを決めて出来る様になるまで練習します。それで必ず寝る前に手帳に今日練習したこととかを記録していますね。そこでまだ駄目だなという結論に至ったらまた明日もやろうと。1ヶ月経った時に見返すと自分がどれくらいギターに費やしたかというのが確認できるし、例えば今月はカッティングの時間が少なかったなと思ったら来月はカッティング強化するとか。なので週というよりかは月単位が多いですね。頭の中が整理できるのも良い事ですし、自分ってこんなに練習してるじゃん!って自己肯定感を高めることにも繋がります。

細川さんに練習方法を1つ教えていただきました!


自分でモチーフを作って発展させていく練習方法の紹介です。是非、皆様も練習方法に組み込んで毎日やってみてください。

ギターのフレーズは自由にバンドアンサンブルを楽しむ

──では次にバンドアンサンブルで意識していることをお聞きかせください。

細川 最初に思ったのは家で練習している時とは圧倒的に違うということでした。バンドでスタジオに入った時の方が機材が良いので音は絶対良いんですけど、逆にミスとかが目立ってしまうので演奏に集中するのが難しいですね。他にもエフェクターの踏み替えも全然違いました。右手で弾いている時と全く同じ機材でも、左手に持ち替えた時に感覚が全然違うので、イチからやり直しています。なので、自分のプレイに集中するというよりかは、踏み替えだったり、ケーブル捌きだったり、ライブを想定した練習に集中しています。それでバンドで一番大事なことって、メンバーの音を聞くことなので、自宅で1人で練習している時と違ってギターの音よりもドラムやベースの音を集中して聞いています。自分のプレイを良くする事ではなくて、バンド全体の音をよくしていくという部分に頭を使っています。

──確かにバンド練習なのに個人練習になっちゃうケースもありますよね。

細川 せっかくみんなで集まってるんだから楽しみたいなと思っているし、場合によってはギターソロをアドリブで弾くっていうのもその場での楽しみ方として結構やっていますね。バンドやライブを長くやっているとどうしてもマンネリ化してしまうので、特に右手で弾く時はアドリブを入れてバンドのサウンドに新しい変化が生まれるんじゃないかって思ってやっています。もっとカッコ良いフレーズあるんじゃないかとか、もっと生っぽい感じを出した方が良いなとか。だから外す時も結構ありますよ笑 リハだからできる事ですね。

──アンサンブルにマッチするかが大事ということですね。

細川 CDの再現性ってもちろん大事だと思うんですけど、正しいとは思っていないんですよ。というのもCDの音ってギターが2本、3本ギターを重ねて録音していたりするので、同期を流さなければそもそも再現は難しいですよね。ライブでの完成系は全然違うフレーズがハマる時もあるし、そういうのをリハで試していって、一番この曲がライブで映える演奏はどれだろうっていつも試しています。

──ありがとうございます!バンド初心者の方も参考になるポイントでした!

細川 バンド初心者の方に言いたいのは、バンドスコアの通りにやらなくて良いよって事です。例えばボーカルがメインで歌っている時にギターで細かいフレーズを入れてもあまり効果的ではないからコードにしちゃっても良いし、難しい部分を省いて簡単にしちゃっても良くて、バンドスコアが正解じゃ無いよって。自分がカッコ良いと思う方向に進んで行ったほうが絶対良いです。バンドスコア通りやってるけどなんか違うな?って思うことあると思うんですよね。でも何か変だなって分かる耳の方が大事なので、良い感じに自分たちでアレンジしちゃった方が良いんじゃ無いかって思いますね。実際僕も今レフティでコピーしてて、こっちのリズムの方が良いよなって思ったら変えちゃってますし、譜面とも音源とも違うけどこっちの方がカッコ良いならそれで良いし、そのくらい自由で良いのかなって思います。

レフティギターは困ることも多いけど、特大のメリットがある

──レフティギターになって困ったことはありますか?

細川 困ることだらけですが、笑 1番はモノ、ギターの本体の数が市場に少ない事です。あとすぐに売り切れになっちゃいますね。もう日課になっちゃってるんですが、4、5つのサイトを毎日寝る前に見てるんですね。で、このギター良いな!って思っても翌日の夜には売れちゃってたりとか、よくあります。モノが少ないけど欲しい人が多いっていう争奪戦みたいになってますね。良いギターが欲しいなって探す時は20万〜50万くらいのを探すんですけど、ほとんど掲載も無いんですよね。だから出てきても、多分みんな探してるみたいで、すぐ売れちゃって。レフティは受注生産も多いし、でもオーダーよりかは実際にギターを見て弾き比べしてみたいじゃないですか。そういう意味では圧倒的にギター選びは大変だなと思っています。

──選ぶのが大変というのはよく聞きますよね。他に困った事はありますか?

細川 あとは、、いっぱいあるんですけど笑 これはレフティになったからこそだと思うんですけど、タブ譜が読みにくくなりました。バンドスコアとかも全て逆にして考えなければいけないので、読みにくかったですね。その点、オタマジャクシは偉大だと思いました。僕は普段からタブ譜だけじゃなくて音符で読むということをよくやっているんですが、音符の偉大さを改めて感じました。特にタブ譜は右利きの方目線で作られているので、音符を読める様にしておくと良いとは思いますね。ちょっと面倒くさいけどね。ただ、音符って見るだけでメロディが分かるんですよ。何となく音階が分かるし、3つ同じだから同じフレーズだなとか。音符を読めて損することは無いですし、1日10分でも良いから音符を読む時間を作ったら、ちょっと何か変わるんじゃ無いかなと思います。

──バンドスコアの音符を読んだりするのでも良いんですか?

細川 いや、最初の内は音楽の授業で使うような教科書みたいなので良いですね。いきなりバンドスコアは難しいので。もしバンドスコアでやるならボーカルのメロディを追うのがおすすめです。

──なるほど、これも簡単なところから徐々にですね。ちなみに細川さんはピアノとかやっていたんですか?

細川 全くやったこと無いです。30歳くらいの時にギターを習いに行ってたんですが、その時の先生が音符でレッスンする方で最初は全然分かんなかったです。2年くらいはめちゃくちゃ勉強しましたね。その経験があったからすごくメロディックに弾ける様になったというか、頭の中に音符が出てくるんでそれは結構デカいですね。でもこれはレフティあるあるじゃ無いですね笑

──レフティになって改めて気付けた部分ですね!

細川 他にもレフティになって困ったことなんですけど、グリスが全然出来なかったです。左手につられて右手が動いてしまって。でもこれも僕だけですね笑 あーもう1個ありました!これもレフティギタリストが少ないゆえなんですが、友達とかと貸し借りできないのが大きいです。だから情報共有ができない辛さみたいなのはありますね。僕は右でやってたからまだ良いけど、最初からレフティの方はそこがネックだと思います。あとは、ライブの飛び入りができない。たまにあるんですけど、ライブの時に最後の曲でちょっと飛び入りして演奏するっていうことがあって。でも誰もレフティ持ってないし、みたいな笑 仲良いバンドからちょっと今日ギター弾いてよみたいな、サプライズ演出ができない。

──プレイヤーも少ないけど、ギターも少ないからこそ生じてしまっている部分ですね。それでは逆にレフティになって良かったことはありますか?

細川 良かったこと、、1個言えるのはちょっと目立つっていう笑 あとは怒られちゃうかもしれないけど、僕がこのギタリスト凄いなって思えるレフティの人が日本にはあまりいないということですね。海外を見ても右手の人が多いじゃないですか。でもギタリストで1番って言ったらジミヘン(ジミー・ヘンドリックス)は絶対出てくるけど、レフティですよね。だから今までは超天才みたいなギタリストしかいないと思っていて。それ以外は右に全部制覇されてるから、そんな中でレフティだったら大介だよねって言われるチャンスは多いんじゃないかって思って。ブルーオーシャンじゃないけど、レフティの方が自分の居場所を作ることができて、いずれ世界一になれるんじゃないのかなと思っています。今はまず日本一っていうのを目標に掲げて、めちゃめちゃ練習しています。

──レフティギタリストになったからこそ、目標もそうですが、新しく感じた事や考えられている事が多そうですね。

細川 レフティになって思うのは右の焼き回しをしたいとは全然思っていなくて、今までやってこなかった事をやってみようと思っています。それはギターの練習だけじゃなくて芸術に触れてみたいとかもあるので、絵画の勉強をしてみたり、色々な地域に行ってその地域のものを調べてみたりとか、インスピレーションも含めて新しいギタリストになるために。改めてギターってすごい面白いなって思ったし、今自分がどんなギタリストになりたいのかっていうのを見つめ直しイメージした時、それに向かうためには練習だけじゃダメだっていうのもあるし、今は理想に向かって色々チャレンジしているような感覚です。あとさっきも言いましたけどデメリットって多いじゃないですか。レフティの母体って小さいし、そこから大きくしていくにはレフティでカッコ良いギターを弾く人を増やすしかないと思ってるんですね。そういう意味ではそれの少しでも役に立てたらなと思っています。僕を見て、レフティで始めるのは厳しい道かもしれないけど、やってみようっていう方が増えれば、必然的に楽器屋さんとかメーカーさんもレフティギターを増やしてくれると思うんですよね。そしたらデメリットは無くなりますからね。

──ギター博士は細川さんを含めレフティギタリストを応援しています!

左利き用(レフティ)エレキギターについて

細川 ありがとうございます!デメリットはあるけれど、それを凌駕する格好良さがありますからね。それに弾数が少ないってことは逆に巡り会えたギターにはより愛着が湧くかもしれません。右で弾いていた時はそれなりに良いギターじゃなきゃ弾きたくないという思いが強かったんですが、今は安くても良いなと感じたら買っているんですね。チューニングが甘かったり、鳴りが悪かったりとかもあるんですけど、それはそれでありだなって思える様になりました。チューニング悪いけど、生々しさを感じたりとか良い部分を見つけられますね。だから値段に惑わされない様になったっていうのはあるのかもしれないですね。

今まではギターテックのスタッフにメンテナンスを全て任せていたので、自分でギターのメンテナンスとかカスタムとかってしたことなかったんですよ。でもあるレフティの中古を買った時にバラバラで届いて、今までだったら届いた瞬間に返していたと思いますけど、笑 せっかくの出会いだと思ってそれを何とか初めて自分で組み上げて調整して使っています。今まではギターを弾いてお金を稼ぐなら、クオリティの高いギターを使わなきゃダメだというのがあったのですが、チューニングが悪くても愛してあげよう、逆にどうしたら良くなるだろうって自分で直したりもする様になったので、ギターに対する愛情は強くなったかもしれないですね。自分だけの1本に巡り合ったらその子はかけがえのないものとなって、めちゃめちゃ愛してあげられるんじゃないかって思います。

──素晴らしいお話しありがとうございました!では、初心者ギタリストに向けて一言メッセージをお願いします。

細川 今僕は皆さんと同じように初心者という気持ちでレフティギターを練習しています。右でも左でもやっぱりギターって面白いし、僕らがやっていることは、ギターを通して自分を表現することだと思いますので、自分の思い思いにやって欲しいし、一番は何でギターを弾いているのかっていうのをよく考えて欲しいです。成功するためにやるのではなくて、ずっとやっていたことが成功につながったという「過程」が大事だと思っていて、本当に自分が楽しいと思って始めたのなら、周りが何と言おうと自分が好きなことだけをやって欲しいなと思います。

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