《デンマーク発のレトロモダン》Baum Guitars

［記事公開日］2022/10/15 ［最終更新日］2022/10/15
［ライター］小林健悟［編集者］神崎聡

Baum Guitars

「Baum Guitars（バウム・ギターズ）」は、2015 年にアート・ディレクターMorten Bau氏によって設立された、デンマークの高級ギターブランドです。本国ではカスタムショップとしてワンオフのオーダーを受けており、すでにプロミュージシャンらの支持も受けています。2021年より普及モデル「オリジナル・シリーズ」が始まり、いよいよ日本での流通が始まりました。今回は、このBaumに注目していきましょう。

Told Ya So – Live In Studio – The Matchstick Skeletons
LAに拠点を構えるロックバンド、マッチスティック・スケルトンズ。Baum「Leper Tone」を愛用するシンガー、ノイ・マナス氏は写真家でもあります。

ところで「デンマーク」って、どこ？

デンマーク

デンマーク王国は北欧諸国の1つで、首都はコペンハーゲンです。高福祉＆高負担国家で、OECD（経済協力開発機構）加盟国中で個人所得税が最も高く、また生活満足度は世界最高クラスで、2014年の国連世界幸福度報告では幸福度第1位を記録しました。

なお夏は快適ですが冬はまあまあ寒く、年間の気温は氷点下2度から摂氏 21度までが普通です。暑い時で摂氏26度を、また寒い時で氷点下8度をを超えることは滅多にありません。

「Baum Guitars」の特徴

Baum Guitars Conquer 59 Conquer 59 Limited Drop Dark Moon
そのデザインには、古いギターへのリスペクトに加え、装飾を最小限に抑えるミニマリズムが込められている。

Baumのギターは60年代に流行したビザール・ギターに敬意を払いつつ、虚飾を排したシンプルなデザインが第一の特徴です。公式サイトでは「DANISH SIMPLICITY（デンマーク的なシンプルさ）」を標榜しており、西洋文化に詳しい人ならばこのデザインにデンマークを感じることができるようです。

「Goldsound」ピックアップ

「Goldsound（ゴールドサウンド）」はピックアップを専門とする、Baumの自社ブランドです。製品はBaumギターに搭載されるほか、本国ではピックアップのセットとして販売されています。Goldsound名義で作られる各種ピックアップも独特で、Baumの大きな特徴となっています。

ミニハムバッカー「GOLDBUCKERS」

GOLDBUCKERS 「Backwing」に搭載。

「GOLDBUCKERS（ゴールドバッカーズ）」は、通常のハムバッカーと比べてクリアかつクリーンなサウンドを持つミニハムバッカーです。ギター側でのゲインコントロールにも巧く追随します。基本構造は一般的なPAFタイプを踏襲しながらも、より狭い範囲で弦振動を検知することで独特なサウンドになるわけです。

Backwing (#3) | The Original Series | Soren Skovgaard | Baum Guitars
太くも引き締まった音色。好きな人にはたまらないミニハムバッカー。

REWIND 52

REWIND 52 「Leaper Tone」に搭載。

「Rewind ’52（リワインド52）」は昔ながらのP-90をリスペクトしたピックアップで、シングルコイルの敏感さとハムバッカーの力強さを併せ持っています。タイトな低域、ダーティーな中域、クリスピーな高域を持つ、伝統のサウンドです。

Leaper Tone (#2) | The Original Series | Soren Skovgaard | Baum Guitars
太さと軽さの共存した、明るいサウンド。

JMスタイル「JABMASTER」

JABMASTER 「Conquer 59」と「Wingman」に搭載。

「JABMASTER（ジャブマスター）」は一見するとソープバー風ですが、固定式スタガード・ポールピースを採用したJMスタイルのシングルコイル・ピックアップです。しっかり立ったエッジ感と引き締まったタイト感のある、パワフルなクリーントーンと歯切れの良いオーバードライブが得られます。

Conquer 59 (#2) | The Original Series | Soren Skovgaard | Baum Guitars
ミックスポジションではノイズキャンセル効果も得られる。

新旧の設計が融合したギター本体

Baum Guitars：ボディ Wingman Limited Drop Burgundy Mist

Baumのギターは、マホガニーボディ、ローステッドメイプルネック、ローズウッド指板という木材構成、4点留めプレートジョイントというネック接続、弦長25.5インチ、そしてボディにもネックにもラッカー塗装の採用が共通仕様です。また大きな特徴として全モデルでボディが薄型で、本体重量が抑えられています。ソリッドモデルではボディ厚36ミリ、本体重量は3.3～3.4kg、セミアコではボディ厚41～44ミリ、本体重量は3.1～3.3kgです。

Backwing Inca Gold

一般的なストラトキャスターのボディ厚45ミリに対し、Backwingはボディ厚36ミリ。ジャックプレートがギリギリ収まる薄型のボディにより、本体は3.3kgという軽量。

Baum Guitars：ネックジョイント部分ローステッドメイプル製ネックは安定度が高く、チューニングが保持されやすい。ネック裏はサテンラッカー仕上げで滑らかなポジション移動が可能。ギター自体のデザインはさまざまだが、ヒールカットを施さない伝統的なジョイント部の形状は、ブランド内の全モデルで共通というこだわりの仕様。