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Leqtique 9/9
Leqtiqueは北海道出身のShun Nokina氏によって設立されたエフェクター専門のブランドです。Shun Nokina氏はキャリアをShun Nokina Designという、自身の名を冠したブランドでスタート。エフェクターではあまり使われないパーツも積極的に利用した独特の設計が話題となり、個性的なペダルを開発するブランドとして知る人ぞ知る存在となっていきました。
2010年、それまでのShun Nokina Designを休止させ、新たにLeqtiqueブランドを設立。第一号としてオーバードライブ「Maestro Antique Revised」を完成させ、高い人気を博します。さらにTS系の「Maestoso」、D-MOSFETを世界で初めて採用したディストーション「9/9」などを次々と開発し、ラインナップに加えていきました。その後も新製品は次々と登場し、現在では歪み系を中心に10種以上のエフェクターが送り出され、日本発のハンドメイドエフェクターとして、確固たる地位を築き上げています。
2016年、Shun Nokina氏はLeqtiqueのサウンドをそのままに小型化を図った、新製品を送り出すための新たなブランド「L’」を設立。ディストーション”9/9”とオーバードライブ”Roch”の二台がブランド第一号として送り出されました。L’はサウンドを本家Leqtique譲りとしながら、小型を実現しつつ価格までも抑えており、エフェクター初心者などにもより使いやすいモデルとして展開されています。現在、Leqtique製品のうちの10種類近くがL’のラインナップとして移植されており、ブランドごとに違ったコンセプトを持って製品作りが行われています。両ブランドをどのように作り上げていくのか…これからのShun Nokina氏の路線にも注目したいところです。
歪み系を中心としたラインナップが特徴。その中にはTS系オーバードライブ、トランスペアレント系オーバードライブ、メタルまで対応できるハイゲインディストーションなど、多岐に渡る製品が存在し、いずれも高い評価を得たものばかりです。
サウンドは全体的に見ても、ピッキングダイナミクスに敏感で、ギター側のボリュームへの追従性が極めて優秀と、ブティック系エフェクターに求められる要素を十分満たしていますが、コントロールで調整できる部分などが少し通常とは違っていたり、音作りの幅がノーマルなサウンドを完全に逸脱するようなものもあります。オーソドックスな使い方に十分なクオリティを備えた上で、そのような個性的な面を覗かせる点こそがこのブランドの真骨頂。個性的なサウンドは、好みとハマれば手放せない魅力があり、広く深い間口を感じさせます。
Leqtique製品はハイエンドエフェクターブランドの代名詞「Landgraff(ランドグラフ)」を彷彿させる独特な塗装と、品質の割に高すぎない価格も特徴といえる点で、無理なく自分のサウンドにいち要素として加えることができるでしょう。後発の小型エフェクター専門ブランド「L’」の製品は価格がさらに抑えられ、キラキラと光るレーザー加工された筐体も大幅にサイズダウンしています。L’製品は基本的にLeqtiqueの移植となっていますが、若干の音色の差が認められるモデルもあります。しかし、その差は微々たるもので、むしろ新たなコントロールが増設されているようなものまであり、電池を使えない点を除けばほぼ劣るところはなく、正統進化形という位置づけを与えることもできます。
クリーンブーストからハードディストーションまでをカバーできる、非常に音作りの幅が広いオーバードライブ。Shun Nokina Designで開発された同名のものをモチーフとしており、そのオリジナル版との差として、効きがよいトレブル、そしてローカットのコントロールを装備しています。トレブルは音を破綻させない範囲での微細な調整が可能で、ローカットは非常に使いやすいコントロールとなっており、ギターやアンプとの相性によって、大きく動かすことで自分の求める音に大胆に近づけていくことができます。汎用性が高く、同社の看板モデルの地位にあり、「何かひとつ」といった時に真っ先に選択肢に上がる存在です。
Leqtique Redemptionist – Supernice!エフェクター
Leqtique版のTSとも言うべき、チューブスクリーマー系オーバードライブ。サウンドのベーシックな部分はTSと同じく、濃密な中域とマイルドなドライブに特徴がありますが、このモデルが特殊な点はその設定幅の広さにあります。ゲインは真ん中までは通常のオーバードライブやブースターの範疇ですが、それ以上まで上げるとファズに近いとげとげしい歪みになっていき、トーンとゲインを最大近くまで上げることで暴れ出すようなサウンドとなります。ゲインやトーンを絞って通常のオーバードライブやブースターとして、マイルドでリッチなドライブサウンドを得るのが一般的な使い方ではありますが、驚異的な振り幅のゲインやトーンコントロールによる暴れたサウンドも、破綻することなく音楽的であり、その独特の個性ゆえに唯一無二の魅力を放つモデルです。
Leqtique Maestoso – Supernice!エフェクター
オーディオ用のパワーアンプICを使用した独自の回路構成をもつオーバードライブ/ディストーション。その回路の恩恵か、非常にアンプらしいパワーやボトム成分が加わる印象があり、特にパワー感には他モデルを凌駕するほどのものがあります。音作りの幅も広く、リフのかき鳴らしからクリーミーなソロまで、いずれも豊富な倍音が乗り、音ヌケのよいサウンドが得られます。ハイファイでありながら中低域の密度とのバランスが取れており、Redemptionistと並んで、もっとも汎用的で使いやすい歪みペダルでしょう。
Leqtique Roger – Supernice!エフェクター
オールドアンプのこもった感触から、ハイファイなサウンドまで、幅広く調整できるDefinitionというコントロールを備えた歪みエフェクター。ブースターとも、プリアンプ、バッファーとしてもいずれも優秀な使い勝手を誇り、ゲインを上げるとオーバードライブとして使うこともでき、使用方法は極めて幅広く考えられます。ギターの音色の根幹となる部分を調整でき、ギター側ボリュームとのコンビネーションは特に秀逸。ありそうでなかった発想のペダルであり、ブランドの個性を一台で体現した好モデルといえる存在です。
Leqtique Caeruleum Lightdrive High Definition – Supernice!エフェクター
トランスペアレント系オーバードライブを基軸としながらもディストーションの域にまでしっかりとゲイン幅を確保したモデル。元々がトランスペアレント系をベースに置いているため、ゲインを下げるとクリーンブースター的に極めてローゲインなサウンドが得られます。トレブルカットとローカットを共に備えているため、そのセッティング次第によってはTSのような豊かな中域を持つサウンドも作り上げることができます。ゲインはゼロでクリーン、上げていくと少しずつオーバードライブ的なサウンドになり、真ん中を越えるとディストーション的なサウンドになります。ローゲインに徹したものが多いトランスペアレント系のなかで、このゲイン幅の広さは異色といえるモデルでしょう。
Leqtique Beryl – Supernice!エフェクター
2019年現在、Leqtique製品で唯一となるディレイペダル。そのサウンドはデジタルディレイの権化ともいうべき代物で、アナログにある高域の減衰などは皆無。デジタルらしく、明瞭なサウンドがコピーのようにフィードバックします。通常のディレイにはないAmbientコントロールはディレイ音にフィルターを掛けるというもので、まるでシンセのフィルターを弄っているかのよう。アナログディレイやテープエコーの音色がもてはやされる昨今において、痛快なほどに逆を行くその姿勢にはブランドのこだわりが強く感じられます。音色が減衰しない猛烈な発振もこのモデル特有のサウンドで、他のディレイではなかなか得られない強力な個性が光っています。
Leqtique EDM – Supernice!エフェクター
9/9、10/10に続くハイゲイン・ディストーションの3作目。過去2作に比べ、より荒々しさが増して、高域のとげとげしさがやや増加、ファズっぽい質感を感じさせるようになりました。ハイゲインなモデルながらゲイン幅は低い方に広く、ギターのボリュームとの併用ではほぼ完全なクリーントーンまでがカバーできます。通常のレベルやゲインの他、低域の飽和具合をコントロールできるBottomや輪郭が制御できるEdgeが秀逸で、アンプとギターの相性によって最適なサウンドがすぐに得られるようになっています。上面に見えるコントロールの他、裏蓋を開けるとMid-Cutコントロールの調整ができ、ドンシャリのサウンドなども作ることができ、非常に幅広い守備範囲を持っています。
Leqtique 11/11 – Supernice!エフェクター
Leqtique製ハイゲイン・ディストーションの9/9がL’ブランド用に移植されたもの。電池こそ使えませんが、軽く小さくなり、値段も落ちているため、より求めやすく使いやすくなっています。サウンドは低音に特徴のあるディストーションで、その分音の太さを感じさせます。要となる強力な低音はBottomコントロールで、そして裏蓋を開けたところにあるMid-Cutで中域のせり出し具合を調整します。クリーミーなリードのサウンドから、尖った煌めきのある音、Mid-Cutを使っての猛烈なドンシャリなど、使いようの幅広さは他のモデル以上。コントロールや低域の制御の仕方など個性的ではあるものの、非常に存在感のあるディストーションです。
L’ 9/9 – Supernice!エフェクター
L’バージョンのMaestoso。オリジナルのもつ類まれなゲイン幅はそのままに、Low-Cutを増設することで、よりサウンドの幅を広げることに成功しています。より安価になり小型化も功を奏し、個性的な面はありつつも、もっとも使いやすいTS系ペダルのひとつと言えるでしょう。
L’ MAT – Supernice!エフェクター
9/9の後発ディストーションにして、メタル系音楽に完全特化したエクストリームなサウンドを叩き出すペダル。こちらのL’バージョンも本家Leqtique版の忠実な移植となっており、サウンドの傾向は同じです。9/9に比べると音圧やゲイン幅の点において上回っており、低域の再生能力も劣らず強力です。9/9と同じくBottomコントロールで低域は微細に調整でき、セッティング次第によって7弦、8弦ギターの低域もタイトかつ飽和させず聴かせることが可能。同ブランドの中でもジェントやデスコアなどにもっとも適応するペダルでしょう。
L’ 10/10 – Supernice!エフェクター
2013年Shun Nokina氏がギタリストToshin Abashiに手渡したShun Nokina Design製Redemptionistが元となって作られたシグネイチャーペダル。Redemptionistを”起源”としているためにそのように名付けられました。オリジナルRedemptionistに比べて、トレブルコントロールのレンジが広めにチューンされており、L’ブランド版Redemptionistである「Red」とは兄弟機の位置付けとなっています。
L’ Tosin Abasi Signature Kigen – Supernice!エフェクター
個性的なサウンドと存在感、そして価格面を両立したLeqtiqueやL’のエフェクター。その製品コンセプトを探ってみると、確固たる信念のもとに作られているのがよくわかります。一癖ある製品が多いものの、汎用性の高いモデルも多く、妥協のない音質は様々なギタリストに評価が高いのも当然でしょう。その使いやすい面をとって最初の一台にするのも良し、クセの強い部分をとってプレイの幅を増やしていくも良し、深く付き合って行けそうなものばかりなので、万人におすすめしたいブランドです。
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